Blue/SOULS   作:文才の無い本の虫

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第4話 / アビドス高等学校

 

 

 

 

 

()タ―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチパチ

 

 

篝火の弾ける音で意識が覚醒する。

 

 

記憶や人間性の欠落は無い。

 

あの巨蛇・・・・・どう攻略してくれようか。

 

 

そう考えながら目蓋を上げると、目の前には篝火が揺れており、篝火を挟む様にA.R.O.N.Aが体育座りで此方を見詰めていた。

 

 

「おはようございます、先生」

 

 

「ああ、おはよう」

 

 

取り敢えず、挨拶を返す。

 

周囲を見渡してみると、廃墟然とした教室に、何も無い天井から覗く星空。

 

此処が『シッテムの箱』の中――A.R.O.N.Aの領域である事がわかる。

 

おかしい。

 

この領域に入ったのはあの一度だけの筈。

 

 

「A.R.O.N.A、()()()()()?」

 

 

篝火を挟んだ向こう側にいる彼女に問う。

 

すると、彼女は言った。

 

 

「回答。先生が死ぬ3時間程前です」

 

 

「前?」

 

 

「具体的に言うなら、先生が駅に着いた時間です」

 

 

・・・・・。

 

時間が戻っている?

 

死んだら篝火で目覚めるのは変わらない。

 

 

「・・・・・A.R.O.N.A、どういう事かわかるか?」

 

 

「回答。原因は不明ですが、先生の死をトリガーとして時間の巻き戻しが発生してる様です」

 

 

「ふむ・・・・・」

 

 

あの少女か。

 

記憶には無いが、何か受け取った様な気がする。

 

 

「考えてもしょうがなそうだな。A.R.O.N.A、先ずはこれからの事を考えよう」

 

 

「了解」

 

 

そうしてA.R.O.N.Aと篝火に当たりながら話す。

 

 

「取り敢えず、あの巨蛇は後回しにしよう。A.R.O.N.A、出現ポイントはマッピングしてあるか?」

 

 

「勿論です。ですが、次は勝てるのですか?」

 

 

「む・・・・・君は難しい事を言うな。何時かは勝てると思うが、次と確約は出来ないな」

 

 

それまでは死に続けるだけさ、と笑う。その己の様子にA.R.O.N.Aは首を傾げた。

 

 

「疑問。先生は死に恐怖を抱かないのですか?」

 

 

「恐怖、か・・・・・確かにある。だが、何も出来ずに、その死に何の意味も見出だせずに死ぬ。無意味な行為の繰り返し。それの方がもっと怖いんだ。だから俺は不死人として、何か変わると信じ続けて火を継ぎ続けた。それが俺の信念に届かない矜持、というわけだ」

 

 

「信念に届かない矜持・・・・・」

 

 

A.R.O.N.Aも見つめる篝火は、ただ揺れている。不死人の拠り所であり、もう一つの故郷。

 

 

「まあ、そういう訳だ。満足したか?」

 

 

「はい。興味深い回答でした。では、これからの方針を決めましょう」

 

 

「ああ」

 

 

A.R.O.N.Aは空中に手を掲げる。するとその先にホロモニターが展開された。

 

 

「これが先程先生の目覚めを待っていた間に連邦生徒会のセントラルネットワークからダウンロードしたアビドス自治区のマップです。申請通りなら今のアビドス高等学校は別館に在るようなのでココです」

 

 

ホロモニターに表示されている地図の上に赤い点が打たれる。

 

 

「ふむ、取り敢えず此処に支援物資を届けるのが先決か」

 

 

「はい。届けてから次の方針を考えるべきかと。あと『ハンドラー・オスカー』のパーソナルデータの捏造も完了しています」

 

 

「よし、取り敢えずの方針は決まった」

 

 

戦闘が起こっても良いように魔法を記憶する。

 

 

取り敢えず【内なる大力】。

 

魔術は【強いソウルの矢】【ソウルの結晶槍】【追尾するソウルの結晶塊】【見えない体】を。

 

 

そして防具や武器を修理してから立ち上がる。

 

 

「いってらっしゃいませ、です。先生。貴方の目覚めが、有意なものでありますように」

 

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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目覚める。

 

どうやら駅のベンチに座って居る状態の様だ。手元には支援物資が詰めてあるボストンバッグもある。

 

 

やはりロードランと復活時の条件などは変わらない様だ。

 

 

「よし・・・・・行くか」

 

 

ベンチから立ち上がり、身体を解す。

 

 

向かうは砂漠の学園。

 

時間は掛かるだろうが、A.R.O.N.Aの地図もある。

 

 

改札から出て、アビドス高等学校がある方向へと歩き出した。

 

そうして暫く経ち、ぼやく。

 

 

「流石に熱いな・・・・・ハァ」

 

 

暑さに辟易しながら砂漠を歩く。

 

かなり遠くだが、市街地が見える。あと1時間程歩けば着くかと言った距離だ。

 

すると、左手に持っている『シッテムの箱』からA.R.O.N.Aが言う。

 

 

『過熱・・・・・大丈夫ですか、先生』

 

 

「ああ。だがしかし、暑さというものには慣れないな」

 

 

『同意。暑さは天敵です』

 

 

ちらりと画面をみるとA.R.O.N.Aが椅子の上に座ってだらけているのが見える。

 

どうやら『シッテムの箱』に籠った熱が彼女にも影響を与えているらしい。かなり暑そうだ。

 

 

「それにしても、人気が無いな」

 

 

『どうやら砂嵐で住人の大半は引っ越してしまったようです』

 

 

「ふむ・・・・・」

 

 

A.R.O.N.Aと雑談をしながら歩くこと半刻。アビドス高等学校がある市街地に着いた。砂に塗れた市街地を進んで行く。

 

 

――カラカラ

 

 

曲がり角から車輪の音が聞こえ、振り返る。

 

 

「クソッ、盾が使えない時に!!」

 

 

車輪に良い記憶は一切無い。此処が【キヴォトス】だと言え、警戒することに越したことは無いだろう。

 

すると、曲がり角から自転車に乗った灰色の髪の少女が現れた。

 

 

車輪骸骨ではなくて良かったのだが。

 

 

「ん・・・・・変な人」

 

 

「・・・・・」

 

 

出会い頭に罵倒されるのは少し堪える・・・・・。

 

 

それから灰色の少女――シロコに事情を話すとアビドス高等学校まで案内してくれる事となった。

 

そうして軽い自己紹介を済ませ、再び歩き出した。

 

 

聞き間違いで無ければ、彼女は毎朝この砂漠を周って居るらしい。彼女が凄いのか、その乗り物が凄いのか・・・・・多分前者であろう。

 

 

「こっち」

 

 

シロコに先導されながら歩く事、数十分。砂に塗れた学校に辿り着く。

 

するとシロコが振り向いて――自慢気に言った。

 

 

「ん。此処が、アビドス高等学校。ようこそ、先生」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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シロコが扉を開き、彼女が入るのに続いて教室に入る。

 

 

「シロコ先輩、おはよ・・・・・って誰?!」

 

 

「わぁ!騎士様ですね☆」

 

 

「いや騎士なわけ無いでしょ?!ボストンバッグ持ってるし、首から下はコートよ?!」

 

 

「もしかして・・・・・シロコ先輩、説明していただけますか?」

 

 

「ん、ちゃんと紹介する」

 

 

賑やかな場所だ。

 

その様子を見て、一礼をして言う。

 

 

「はじめまして。俺が【先生】だ」

 

 

そして眼鏡の少女の前に行き、彼女に手を差し出す。

 

 

「君が奥空アヤネだな?手紙(想い)は受け取った。俺で良ければ、力になろう」

 

 

「?!・・・・・あ、はいっ!ありがとうございます!」

 

 

彼女は手を握り、照れを隠す様に上下に振った。

 

 

「さて」

 

 

外から複数の歩行音。

 

 

「来客の様だが・・・・・知り合いか?」

 

 

外の集団を指して言う。

 

ヘルメットを被った集団。

 

頭部への遠距離攻撃への対策を確りとしている様だ。少し好感が持てる。

 

 

「あれは、カタカタヘルメット団!!」

 

 

「ん、出る」

 

 

「あ、シロコ先輩!!もうっ!!」

 

 

「先生のおかげで弾薬は沢山ありますし、カタカタヘルメット団の皆さんにはお仕置きの時間です☆」

 

 

少女達が各々の銃器を持ち、飛び出していく。頼もしい限りだ。

 

 

「ふむ・・・・・A.R.O.N.A」

 

 

『応答。どうしましたか、先生』

 

 

「彼女達の死角を補う。手伝ってくれ」

 

 

『了解』

 

 

「先生、何を・・・・・?」

 

 

魔法触媒と指輪を取り出す。

 

 

右に『プリシラの短剣』『呪術の火』、左に『結晶の錫杖』を。

 

指輪は『吠える竜印の指輪』と『静かに眠る竜印の指輪』を。

 

 

A.R.O.N.Aの示す彼女達の死角へと【魔術:見えない体】を自身に掛けながら向かう。

 

 

アビドスのメンバーに狙いをつけていたカタカタヘルメット団の生徒に向けて【魔術:強いソウルの矢】を撃つ。

 

多少の距離はあるが、【強いソウルの矢】は直ぐにその生徒に命中し、吹き飛ばした。

 

 

「ぐわっ?!」

 

 

「どうした?!」

 

 

「遅い」

 

 

「がっ」

 

 

警戒を始めた生徒の背後に回り込み、『結晶の錫杖』で殴打し気絶させる。

 

 

「へぇ・・・・・ナイスだよ、先生」

 

 

何時の間にか近くに来ていた桃色の髪の小柄な生徒――小鳥遊ホシノが声をかけてくる。

 

 

「それ程でもないさ」

 

 

()()()()()()()、返事を返す。

 

盾に散弾銃・・・・・その盾、何処で売っているか後で聞いてみよう。

 

装備できるかは別として。

 

 

『報告。カタカタヘルメット団の撤退を確認。戦闘は終了です。お疲れ様でした、先生』

 

 

「ああ。A.R.O.N.Aもお疲れ様。助かった」

 

 

『どういたしまして、です』

 

 

取り敢えず、アビドスの生徒達と話そう。

 

言葉だけではわからないことがある。

 

無論、声だけでもわからないものもあるが。

 

少なくとも、何もしないよりは打つかる方が良い。

 

あの陽気に笑う誇り高き騎士の様に。

 

()()()()()()()()()()()()()()苦難や悩みと同じ様に笑い飛ばしてみせよう。

 

 

――きっと、此処を取り巻く事実は複雑で難解だ

 

 

だが、己が【先生 / 導く者】である限り。

 

 

「やってみせよう」

 

 

 

 

 

なあ、そう云う事だろう?

 

――連邦生徒会長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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