コードギアス反逆のルルーシュ ロストカラーズ 補完編 作:アシッドレイン
ジャンル 昼ドロ
注意点
登場するキャラクター壊れています。
キャラファンの方は、ご注意を…。
この話は、データ破損、及び損失で4~6話が抜けています。
当時のSSスレのデータをお持ちの方は、よければご協力をお願いいたします。
こんな心なんて……。
こんな思いなんて……。
壊れてしまえばいいのに……。
私は、そう願っていた。
死んでそれが終わるのなら、それもいいかもしれない。
そんな事が救いのようにさえ思えてしまう。
私は、絶望という名の闇の底なし沼の中に沈みこんでいった。
ずるずると沈み込んでいく身体。
だけど私は何も出来ない。
だって抗ったって何もないもの。
そう…私には何もない。
あははは……。
自然と乾いた笑いが出た。
私……結局、ただの道化だっただけじゃない。
ぐるぐると世界が歪んで回っているような錯覚がする。
そして、どこからか私を嘲るような笑い声が響く…。
いや、実際はそんな事はないのだろう。
だが…聞こえるの…。
嘲り笑う声が…。
何人もの嘲りの声。
その中にはミレイちゃんの声もしたような気がした。
でも…もういいの。
私なんかいなくてもいいの。
だから、私は屋上の手すりを乗り越える。
そして、ゆっくりと縁に立つと足を一歩踏み出した。
ぐらりと身体が傾き、重力に従い落下していく。
これで楽になれる。
その安心感からか、すごく心が軽い。
さよなら……、ライさん。
そう…裏切られていたとしても……。
この思いが届かないとしても……。
私は……。
貴方が……。
好きです。
私の…。
王子様……。
そこで私の意識は、暗闇の中に消えた。
私は、ライを感じながら、呆然とした表情のままドアのところに立ち尽くすニーナを見ていた。
ごめんなさいね、ニーナ。
くすっ…。
お先に美味しくいただいちゃってるわよ、ライの身体っ。
残念ねぇ。
うふふふっ…。
優越感とライからもたらされる快楽に私は酔っている。
ここ3日間の間、何回もライに抱かれたが、ここまで気持ちよかったのは初めてだった。
興奮し、よりニーナに見せ付けるかのように私は激しくライを求めた。
ライもそれに答えてくれる。
多分、彼はニーナに気付いていないだろう。
もっとも、気付いたとしてもたぶん彼は途中で止められないだろうけど…。
そんな事を思いながらも、私は快楽に酔いしれる。
ライもより高みの快楽を求め、私を激しく求め続ける。
いいわ…。
もっと、もっと楽しみましょう…。
愛しい私のライ…。
貴方の心と身体が私のものであると同時に、私の心も身体も貴方のものなんだから…。
僕は何をしているのだろう…。
身体中で快楽を感じて喜びに震えながら、なぜか心にはぽっかりと穴が空いている。
そんな感覚……。
身体は満たされながら、心は渇きを覚える。
そして、快楽に溺れれば溺れるほど、その傾向は強くなっていく。
なんでだ……。
なんでなんだ……。
何が足りないんだ。
僕は、何を求めているんだ。
こんなにもミレイさんは尽くしてくれているのに……。
こんな駄目な僕を支えてくれているのに……。
何が足りないんだ。
僕の心は、満たされぬまま渇きに苦しんでいる。
何でだ。
何を僕は……。
その時だった。
すーっと脳裏に浮かぶのは一人の人影。
黒髪をおさげにした恥ずかしがり屋の眼鏡の似合う少女の姿。
そうか…。
そうなのか…。
やっぱり、僕は…。
僕は……。
「……んっ……」
ゆっくりと瞼を開く。
そこに見えるのは白い天井。
あれ?
私、死んだんじゃないのかな。
それとも……ここ、天国?
ぼんやりとした思考の中、私はゆっくりと身体を確認する。
擦り傷や打ち身はあるものの、どこにも大きな痛みや骨折はないようだった。
何で……。
何で私は生きているの?
屋上から飛び降りたのに……。
ゆっくりと上半身を起こし、周りを見回す。
どうやらアッシュフォード学園の保健室みたいだ。
私は、今、保健室のベッドに寝かされているようだった。
ぼんやりと飛び降りた後の事を思い出そうとする。
だが、どうなったのかわからない。
そんな時だった。
「気がつかれてよかったですわ、ニーナ様」
ベッドをさえぎるカーテンの向こうから一人の女性が顔を出した。
「咲世子さん……」
思わず名前が口から漏れる。
「もう、心配しましたよ。いきなり上から落ちてくるんですもの」
そう言って私の方を見ると微笑む。
「落ちたんじゃありません。飛び降りたんです」
思わず、小さい声でだけどそう言い返してしまう。
だが、そう言ってみて初めて気が付く。
でも…どうして……。
確か下は空き地でクッションになりそうなものなどなかったと思ったのに……。
私の表情から思っている事がわかったのだろう。
「運が良かったんですよ。ほら…今、学園祭の準備してるじゃありませんか。
その準備の為に集めておいたいろんな材料の山に落ちたんです」
咲世子さんはそう言うと保健室の窓の方を指さした。
窓の外に確かにクッションやら木材やらが崩れ散乱しているのが見える。
「そっか…死ねなかったのね……」
すべてを理解し、私は俯いた。
目から涙が溢れ出し、ベッドのシーツに染みを作っていく。
嗚咽が口から漏れる。
何で…。
何で死なせてくれないの。
死んでしまえば、こんな苦しまなくていいのに……。
シーツを握る手に力が入る。
そんな私を咲世子さんがやさしく抱きしめながら囁く。
「大丈夫ですよ、ニーナ様。死ねなかったのは、きっとやる事がまだあるってことなのですよ」
まるで母親のように、ゆさしくゆっくりと諭すように…。
「まだやらなきゃいけない事があるのです。だからなのですよ」
何度も繰り返してそう言って励ましてくれる。
「…あ、ありがとう……ございます…咲世子さん」
嗚咽と共に漏れる感謝の言葉。
私は、しばらくそうやって泣き続けた。
すべてを吐き出すかのように…。
「もう少し、落ち着くまでゆっくりお休みください。いいですね」
私を落ち着かせた咲世子さんは、そう言って保健室から出て行った。
多分、まだ仕事があるのだろう。
そんな中なのに私の為に……。
感謝の気持ちで胸が一杯になる。
そして、私はぼんやりと白い天井を見ていた。
涙と共にすべて流しつくしたかと思えた思いも苦しみも無くなった訳ではない。
心の中にまだ残っている。
そう、それは泣くだけで無くせるほどちっぽけなものではない。
私は…死ねなかった。
では、死ねなかった私に何が出来るのだろう…。
咲世子さんは、きっとやれる事が残っているからと言ってくれたが、この思いも苦しみもすべて無くせるような事なんて何かあっただろうか…。
ぼんやりと考える。
そしてゆっくりと瞼を閉じる。
そして、そこに浮かぶのは、ライさんのあの優しい笑顔…。
ライさん……。
私の王子様……。
でも…彼は……ミレイちゃんと……。
そう思った瞬間、あの時見た二人の姿が脳裏に浮かぶ。
まるで獣のように激しく快楽に溺れる二人の姿…。
そして気が付く。
そう言えば……。
あの時、ミレイちゃんは私を見てなかっただろうか…。
ゆっくりとあのシーンが何度もリプレイされる。
その度に心に激痛が走ったが、なぜかその行為を止める気にならなかった。
ドロドロとしたものが心に纏わり付いていく。
そうだ……。
見てた……。
ミレイちゃんは……。
私を……見てた。
そして……
笑ってた。
その瞬間、私の中で何かが弾けた。
そうだわ…。
間違いなくミレイちゃんは……私がいるのを知っていて……笑っていた。
私のライさんへの思いを知っておきながら……。
それが判っておきながら、私の大切なライさんを奪った。
そして……ショックを受けた私を……嘲り笑っていた。
心の痛みはいつの間にかなくなっていた。
その代わり、心をゆっくりと嫉妬と恨みがじわじわと覆い尽くしていく。
それはまるで傷ついた心を守るかのようだった。
その心地よさに私は喜びさえ感じる。
そう言えば、ミレイちゃんのお見合い相手って、本当にまたちょっかいを出していたのかしら…。
嫉妬と恨みは不信を生み、そして疑惑が心に湧き上がってくる。
あまりにもタイミングがよすぎる様な気がする。
それにライさんがおかしくなったのは、あれがあってから……。
疑惑は、ますます深くなっていく。
そうだわ。
確かめよう。
確かめなければ……。
私はゆっくりとベッドから起き上がるとふらふらとまるで亡霊のような歩き方で保健室から出た。
行った先は、ルルーシュの部屋だった。
彼はなにやら難しい顔をしてノートPCを覗き込んでいる。
私がドアを開けてもまだ気が付いていないようだ。
何かしら…。
そんな疑問が湧いたが、それは私の疑惑に比べれば些細なものだ。
私はルルーシュに近づくとはっきりとした口調で用件を切り出した。
「ルルーシュ…調べて欲しい事があるの」
私がいきなり来た事にまず驚き、そしてその口調にますます驚いた様だった。
「あ、えーっと…ニーナ……だよな…」
いつもクールで落ち着いた彼にしては珍しく慌てたような言い回し。
それはなかなか面白かったが、そんな事はどうでもいい。
「…そうだけど。何か問題?」
ズケズケとものを言う私にさらに驚いているようだ。
「い、いや、なんでもないよ、ニーナ」
そう言って少し間を置く。
それで落ち着こうというつもりなのだろう。
私は、そんな彼を見て意外と小心者かも…という認識を新たに思った。
今まで認識していたイメージとは違うが、今の彼を見ていればそう感じてしまう。
「で…調べて欲しい事って?」
落ち着いたのだろう。
普段と変わらない落ち着いた感じの口調で聞いてくる。
だが、それはまるで張子の虎のように…或いは彼の本質を隠す仮面のように見えた。
でも、私には関係ない。
私が今知りたいのは、疑念をはっきりさせる事だけ…。
「ミレイちゃんのお見合い相手の事を調べて欲しいの」
私の問いに怪訝そうな表情のルルーシュ。
それはそうだろう。
終わった事を再度調べて欲しいといっているのだから。
だけど、はっきりさせなければならない。
そうしなければ、私の心を覆い尽くす疑念の念は晴れないだろうから。
「あのライと一緒にぶち壊した相手だな。確かに会長にまたちょっかいを出したとかいう噂があったな……」
しばらく考えた後、ルルーシュは私を見るとうなづいた。
「わかった。その件は調べておこう。俺も関わった事だしな」
そして、私を見ると少し微笑んだ。
「しかし、ニーナも会長の事になると心配性だな。多分、噂だけだと思うぞ」
そんな彼の思惑は的外れだったが、別に私の思いを知らせる必要はない。
だから、私は頷いて言った。
「…親友だから……」
心の中で親友という言葉の陳腐さに苦笑し、もう私とミレイちゃんはそう呼べあえない関係になるかもしれないのにと思いながら……。
「じゃあ、2時間ほど後に再度来てくれないか…。その間に調べておくよ」
ルルーシュは、そう言うとPCに向き直った。
どうやら今からすぐに調べてくれるようだ。
そんなルルーシュに私は「ありがとう」と礼を言って部屋を出た。
3時間後、私は一人実験室に篭っていた。
愛用のPCの席に座りじーっとディスプレイを見ていたが、内容は目に入っていなかった。
ただ、頭の中でさっきルルーシュから教えてもらった話の事だけを考えている。
調べて判った事は、ちょっかいをかけようと動いていたけれど、ミレイちゃんの祖父の力で結局何も出来なかったという内容だった。
そして、その結果によって判った事。
それは、ライさんに頼んでまで恋人の振りを偽装する必要がまったく無いということだった。
つまり、ミレイちゃんは嘘を言っている事になる。
そう…ミレイちゃんは、この件をうまく使ったんだ。
ライさんを陥れる為に…。
きっと優しい彼は断れなかったんだろう。
そして…罠にはめられた。
そういう事ね…。
疑惑は、今、確定になった。
ゆっくりと心の中にめらめらと黒い炎が燃え始める。
恨み、嫉妬という負の感情の炎が…。
その炎は、だんだんと大きくなって心を埋め尽くしていく。
ぎりぎりと歯が軋み、ぶるぶると手が震えて指が白くなるほど強く握り締められる。
眉が跳ね上がり、眉間に皺が寄る。
ニーナは知らなかっただろうが、その表情はまるで般若のようだった。
あの……女……。
私の…。
私の大切な思いを踏みにじった…。
そして……それだけでは飽き足らず……。
すました顔で親友とか言いながら……。
私の王子様を奪って……。
私を……影で嘲り笑ってたんだ。
口が大きく歪む。
憎い……。
憎いわ……。
あの女……。
許さない…。
絶対に……。
絶対に許さないっ……。
復讐してやる…。
あの女に……。
地獄の苦しみを……。
味あわせないと……気がすまない。
より大きくなる黒い炎に私は身も心もゆだねた。
完全に私の心は復讐へと染め上がっていく。
そして私は気がついた。
そっか…。
そういうことなんだ。
疑問がすーっと氷解していくようだ。
なんで死ななかったのか……。
なんで死ねなかったのか……。
これではっきりした…。
そうか……。
そういう事なんですね…、神様…。
きりきりと口元が吊り上がっていく。
ゆっくりと口が三日月を描き、そして笑い声が漏れ始めた。
うふふふふふっ…。
私は、ゆっくりと立ち上がると天を見上げる。
そして、生まれて初めて私は神に感謝した。