コードギアス反逆のルルーシュ ロストカラーズ 補完編 作:アシッドレイン
ジャンル 昼ドロ
注意点
各キャラクターが大好きな方は、特にご注意ください。
愛憎劇ですので、かなりショックを受けると思います。
また、すでに各キャラクターともかなりの壊れが入っているので、ご注意ください。
なお、データ破損、損失で、3~4話がありません。
もし当時のSSスレのデータをお持ちの方は、ご協力お願いいたします。
私は戸惑っていた。
確かに見てたはずなのに……。
絶対その場にいたはずなのに……。
なのに……。
なぜ……。
ニーナ、なぜ貴方は普段の表情でそこにいるの?
いつものように私に話しかけてくるの?
あれは私の錯覚?
いいえ。
あれは間違いなくニーナで、確かにあそこにいて、絶対あの光景を見ていた。
それなのに……。
私はいつの間にか背中に冷たい汗をかいていた。
そんな……馬鹿な……。
ライを手に入れたというのに……。
ニーナを見返したのに……。
すべては私の思ったとおりに進んでいたはず。
そのはずだったのに……。
なぜ、私はこんなにも怯えてしまっているんだろう。
なぜ、こんなにも冷たい汗をかいているのだろう。
ひたひたと何かに迫られる感覚が私の心を圧迫していく。
なんでなのっ。
その思考は止まる事がなく、私の頭の中をぐるぐると駆け回り続けた。
「ミレイちゃん、学園祭のイベントのデータ、まとめあげておいたよ。はいっ」
私は、最高の笑顔で書類を渡す。
戸惑っている表情と言葉でそれを受け取るミレイちゃん。
そこには怯えの色が見え隠れしている。
くすっ。
これくらいで怯えてもらっても困るんだけどな。
私は、普段どおりに会話をして楽しそうに微笑み、そして再び学園祭の準備の作業に戻った。
心の中ではまったく別の事を考えながら……。
「変わったよなぁ、ニーナのやつ」
リヴァルがそう話している。
「うんうん、明るくなったよねぇ。なんかさ、話しやすくなったという感じ」
シャーリーが相槌を打つ。
「はい。なんか、ニーナさんの言葉の端々から毎日が楽しくて仕方ないって感じがします」
これはナナリーだ。
そして、その会話には参加しないで資料を読んでいたはずのカレンでさえも、彼らの会話を楽しく聞いているように見える。
512 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/04/02(木) 15:16:59 ID:93xSr/1u
どういう事なの……。
私の知らないところで何が起こっているの?
まだ、私とライの情事を目撃して3日も経っていないのに……。
そう思っていたら、私はシャーリーに突付かれた。
「かいちょぉー、どうしたんですか? 何度も呼んだのに……」
怪訝そうな顔で皆が私を見ている。
「あ……、ご、ごめんなさい。ちょっと考え事してたから……」
そう言って誤魔化す。
「さすが、会長。学園祭の事ですね。」
「う、うん。そうなのよ」
慌てて頷く。
勘違いしているなら、それに越した事は無い。
「いけないっ、言い忘れるところだったわ」
学園祭という言葉に資料を読んでいたカレンが反応する。
「ミレイさん、ニーナから伝言です」
ニーナという単語に身体が反応する。
いけない。
落ち着け、落ち着くんだ。
自分自身に言い聞かせる。
「ライを暫くお借りしますねって事です」
えっ……。
心臓の動悸が早くなる。
落ち着きかけた私の心が、再び乱れ、暴れ始める。
不安という暗幕が心を覆っていく。
だが、ここで我を忘れる訳にはいかない。
「え、ええ、判ったわ。ガニメデの調整かしらね……」
だから、表面状は何気なさを装って返事をする。
「そうみたいですね。学園祭までには、しっかり調整するだって息巻いてました。うふふふ……」
その時のニーナの姿を思い出したのだろうか。
カレンが楽しそうに微笑む。
私も微笑を返しながら、暴れる心を押さえつけるので精一杯だった。
「はいっ、ライさん。このデータでお願いします」
ニーナは、ニコニコと笑いながらそう言ってディスクを僕に渡す。
僕は、それを受け取りながら、彼女の顔を見つめる。
罪悪感が心をどろどろに溶かしていくようだ。
どうすればいいんだ。
僕は、彼女を裏切ったのに……。
心が、後悔の念で潰れそうだった。
約束を破っているのに……。
そう、1週間後に大切な話があると言ってから、もう期限はとっくに過ぎている。
でも、彼女は何も言わない。
それがますます僕を苦しめていた。
「あ、あのさ……。ニーナ……」
かすれたような声でなんとか話そうとする。
だが、思うように声が出ない。
言わなきゃ……。
軽蔑されてもいい。
罵られてもいい。
でも、言わなきゃ……。
謝らないと……。
そして、僕の気持ちを……。
僕は、なんとか言葉にしようとした時だった。
ニーナがやさしく僕を抱きしめる。
「いいんですよ、ライさん。何も言わなくても……」
その言葉と彼女の温もりが僕を包み込む。
彼女の優しさが、僕の心を癒そうとする。
だが、優しいゆえに、僕の心はキリキリと締め付けられる。
「大丈夫です。だって……私……」
そう言って、ゆっくりと僕の顔をまっすぐ見つめる。
「ライさんの事、信じてますから……」
そう言って、優しく微笑む。
心が……。
心がとても苦しい。
その痛みにどうにかなりそうだ。
だけど、彼女を悲しませたくないという強い思いが心を縛り付ける。
いや、もしかしたら、彼女を傷つけ、失う事の恐怖なのかもしれない。
決心がまるで砂の城のように崩れていく。
弱い自分が囁く。
いいじゃないか……。
彼女が大事なんだろう?
それはいい訳だ。
そう判っているのに……。
僕には……。
………。
……。
だが、どちらにしても判った事がある。
そう……。
僕は、
臆病で……
弱虫で……
そして、卑怯者だ。
1週間が過ぎた。
あれ以来、昼間はほとんどライと二人っきりで会えないでいる。
それに、たまに会っても、挨拶ぐらいしかしていない。
そして、夜、彼の部屋に行っても「疲れている」の一言で相手にもされない。
避けられている。
そう、私は、ライに避けられている。
どうして……。
どうしてよ……。
あんなに私に頼っていたのに……。
あんなに私を必要としていてくれたのに……。
あんなに愛してくれたのに……。
私の身体を、心を、すべてをあなたに捧げたのに……。
それなのに……。
なんで手に入れたものが、するりと逃げていこうとするのよ。
嫌よ。
絶対、イヤ。
何でこんな事になっているの。
何でよ……。
そして、そんな私をあざ笑うかのようにニーナは明るく生き生きとしている。
その姿が、ますます自分の惨めさを再認識させる。
嘘よ……。
こんなのウソよ。
なんで、ニーナが……。
ギチギチと締め付けられていく。
私のセイシンが……。
私のココロが……。
まるで拷問のように手加減なく。
締め付けられていく。
イヤダ……。
ナンデ……こんな……コトにナってイルの……。
イヤだ……。
イ……ヤ……。
……ダ……。
……。
私は、本当に狂いそうだった。
「はいっ。えーっとですね……」
ニーナは、顔を真っ赤にして、全員に包みを1つずつ渡していく。
私も1つ受け取った。
かわいい感じの紙で巻いてある。
「がんばっている皆さんに……差し入れです」
照れながら彼女はそう言うと微笑んだ。
「へぇ……ニーナがねぇ……」
リヴァルが少し驚き気味の言葉を漏らす。
だが、その気持ちはすごく判る。
多分、ここにいる全員がそう思っているだろう。
ほんの2週間ぐらい前のニーナなら絶対ありえない事だ。
だが、今のニーナならアリかもしれない。
そう思えてしまうほど、彼女は変わった。
だから、少し程度の驚きなのだろう。
「えーっと……美味しくなかったら、ごめんなさい……」
済まなさそうに言う姿もかってのニーナとは思えないほどかわいらしかった。
「おーっ、うまそうじゃん」
リヴァルが早速自分の包みを開けてみたようだ。
そこには、いろんな形のクッキーが入っていた。
ところどころにある黒いものは、チョコチップのようだ。
「えーっと、個人個人の好みに合わせて、ちょっと味とか中に入っているものとかいろいろ変えてるんです」
その言葉に、各自も自分に配られた包みを開けていく。
「あの……私のは、なんなの?」
シャーリーが遠慮がちに聞いている。
「えっと、シャーリーのは、ドライフルーツの刻んだのを入れてみたの」
そして、すーっと耳元に近づくとなにやら囁いている。
シャーリーの為に配慮してだろう。
多分、ダイエットしているシャーリーの為に糖分カットしてるとかいう事を言ったんだろうけどね。
だって、その囁きを聞いた途端、シャーリーったら、ニーナに抱きついて「ありがとう」って連呼してたから。
最近、シャーリーったら甘いもの断ってたからねぇ……。
そりゃ、甘いもの大好きの乙女としては、感謝したくなるだろう。
なんとなく、その気持ち、わかるよ、シャーリー。
シャーリーに説明している間に、皆それぞれ食べ始めたのだろう。
「へぇ…、やるじゃないか、ニーナ。美味しいよ、これは……」
あのルルーシュでさえ、素直に褒めている。
「本当に。美味しいです、ニーナさん」
ナナリーもうれしそうだ。
スザクもニコニコして食べているし、、リヴァルなんかもう遠慮なくガツガツ食べていた。
まぁ、この二人は、味わかっているか判らないけど……。
「カレンも食べてみて……」
ニーナに薦められて私も1枚口に運ぶ。
口の中で蕩けていくようなクッキーの感触とちょうどいい感じの甘さが広がっていく。
オーソドックスなやつだが、その素朴な中にも上品な感じがいいと思う。
「美味しい……」
私は、笑顔でそう言った。
「よかったっ」
ほっとしたようなニーナ。
そして、小声で言葉を続ける。
「カレンには感謝してるの」
意外な言葉が続き、私は思わず聞き返す。
「え?!」
少し照れながら、彼女は答える。
「だって……今の私があるのは、カレンが勇気くれたからだもの」
その言葉で納得できた。
そっか……。
あの時のことか……。
「ううん。あれはたまたまよ。それに決断したのはニーナ。あなた自身なんだから……」
そう言って微笑む。
そう、あれは、貴方に勇気があったから。
私は、少し背中を押しただけ……。
「それでも、私は貴方に勇気を貰ったと思っているから……」
私の言葉にそう答えるとニーナもまた微笑んだ。
この差し入れのおかげだろうか。
学園祭の準備で生徒会室に漂っていたピリピリした緊張が解れていくようだ。
ふふっ。
いい感じでみんな休憩できてるみたい。
よかったね、ニーナ。
みんな喜んでいるみたいよ。
自然と目を細め、うれしそうに皆と会話しているニーナを見つめた。
たが、そう思っていた私は、ふと気が付く。
こんな中で、ただ一人、固まっている人間がいる事に。
ライは、今は倉庫の方に行っていてここにはいない。
そう、その固まっている人物は、ミレイさんだった。
みんなが楽しそうにニーナの配ったクッキーを食べている。
とてもじゃないが、今はそんな気分じゃない。
今の私は、学園祭の準備という仕事があるおかげで、うわべだけは何とか平常のように見せているだけなのだ。
それに、私はニーナが怖かった。
彼女の笑顔の後ろには、憎しみと恨みの炎が見え隠れしている気がする。
じわじわと真綿で首を絞めるように私の物を奪っていく。
そんな気さえしていた。
たが、皆が食べている中、私だけ食べないわけにはいかないだろう。
私は、恐る恐る1枚を口に入れた。
そして、それを噛んだ時だった。
口の中に痛みが走り、血の味が広がっていく。
私は慌てて口を手で押さえ、異物を吐き出す。
そこには、クッキーの破片と紅い雫、そして……カッターの折れた刃があった。
私の背筋がゾーッとする。
そして、まるでぬめりつくかのような重くて冷たい汗が流れる。
周りのみんなは、この事に気が付いていない。
みんなに言わなきゃ…。
そう思った瞬間、私は視線を感じてその方向を向いた。
その先にはニーナがいた。
そして、彼女と視線が合う。
ニタリ……。
一瞬であったが、間違いなく彼女の唇が邪悪な微笑みに歪んだ。
その笑みには、私を嘲笑し、言いたければ言えば?という挑発が含まれている。
以前の私なら、挑発に乗っただろう。
しかし、私は、その笑みの前に、まるで蛇に睨まれた蛙のように動けなくなっていた。
言っても無駄だ……。
いや、言ってしまったら……。
私は……。
私は、きっと……。
一気に血の気が引いていき、体温が下がっていくのが判る。
恐怖と絶望が私の心を蝕み、心臓が締め付けられていく。
ひぃぃぃぃーーーーっ……。
叫びたいのに声は出ない。
ただ、身体がガクガクと震えるだけだった。
助けて……。
誰か……。
タすケテ……。
たすケテょぉ……。
タ…ス……けぇ……。
………て……。
そして、私の意識は暗闇の中に沈み込んでいった。