コードギアス反逆のルルーシュ ロストカラーズ 補完編   作:アシッドレイン

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15話は、データ喪失で、16話になっています。
もし、当時のスレッドデータお持ちの方いましたら、連絡お願いいたします。


蒼天の騎士 16話 ナナリーの騎士団

行政特区日本。

新しいエリアのあり方を模索するという形で始まったこのシステムに、今変革の時がきていた。

ナナリー総督誘拐事件と政庁の機能停止という非常事態に仮で実施されたエリア全体の行政特区化。

その仮で行われた処置が大きくエリア11を変化させた。

活気がエリア全体を覆い、エリア11は、かって経済大国といわれ世界に名を知られた頃のような片鱗さえ見せ始める。

そして、本来ならば少しずつ特区を広げ、エリアのほとんどを特区化するというナナリーとライの考えは、事件を期に一気に進められる事となった。

まず、監視機構を残して行政権利の特区日本への譲渡を実施。

そして、その政務のほとんどは、ブリタニア人と日本人による議会が行う形へと移っていった。

その結果、ブリタニアの支配圏でありながら、エリア11は半独立国家という新しい国の姿をとる事になったのである。

その流れやエリアのあり方は、多くのブリタニア人の反感を買いエリアを離れるものも多かった。

しかし、それ以上にナナリーの考えに賛同、或いはこの新しいエリアの形に期待し残ったものも少なくなかったのである。

 

 

「面白くない流れだね…」

シュナイゼルは、集められた資料に目を通すと机の上に放り投げた。

ここは、ブリタニア本国の宰相室。

側には副官のカノンがついている。

「そうですね。あの事件がきっかけとはいえ、一気に流れが変わってしまいました。

また、反対者が多数を占めるとはいえ、一部に賛成するものも現れ始めています…」

そう言うと新たなファイルを手渡す。

そこには、行政特区賛成者や推奨者、企業などがリストアップされていた。

「アッシュフォード家やエニアグラム家はわかるが、アスプルンド家やゴッドバルト家、さらにコーネリアまでとはね…」

「はい。アスプルンド家は、ロイド伯が皇コンツェルンの招待でエリア11の技術開発施設に参加していますし、ゴッドバルト家は、ジェレミア卿がナナリー様の騎士団に参加している以上仕方ないかと。

また、コーネリア殿下もユーフェミア様の推し進めた事業という事もあり、全面的に支持を表明されています」

報告を聞きながら、デスクを指で叩くシュナイゼル。

それは、彼が思考をめぐらしている時の癖であり、それを知っているカノンは気にせず報告を続ける。

「また、行政特区推進派の繋がりは強く、現時点での切り崩しは逆効果になる恐れもあり、中々難しいと思われます」

報告が終わり、静寂が部屋を包み込む。

ただ、シュナイゼルの机を指で叩く音だけが、コツコツと響く。

しばらくして考えがまとまったのだろう。

その動きが止まる。

「今のところは、もっとも影響力の強いコーネリアを中央から遠ざけておくぐらいしかできないか…」

「EU戦線の司令官として、赴任してもらうのが一番問題ないかと…」

「よし、それでいこう。ところで、例の件は進んでいるのかい?」

「ニーナの方はうまくいっています。2~3日後には実施可能です」

「そうか…成功したか…」

シュナイゼルが、表には出さない策士としての顔でにたりと笑う。

「また、積み上げの方ですが、今のところ6割程度は確実に掌握出来ます。また、さらにうまく立ち回れば8割は硬いと思われます。」

「積み上げに関しては、もう少し確実に上げておきたいが、そろそろ拙そうだね…」

「はい…。ナイトオブワンが動き始めているそうです」

「よし…。積み上げはここまでだ。3週間後のエリア11視察で実施する…」

「イエス、ユア マジェスティ」

カノンは深々と臣下の礼をすると部屋から退出していった。

一人になって、シュナイゼルは画面に映る人物データに目を通し、楽しそうに呟いた。

「ふふふ…、さぁ、どう出る……狂王…」

その画面には、皇帝の他、数名しか見る事は出来ないはずのライの本当の人物データが映し出されていた。

 

 

行政特区日本の中心都市富士宮市に作られたブリタニアエリア11管理機関の敷地内にある中央ビル。

そのビルの大広間では、ナナリーの騎士団に所属する騎士たちの任命式が行われていた。

大画面のディスプレに編成図が表示され、名前が映し出される。

団長は、ライ・エニアグラム卿。

副団長は、ジェレミア・ゴッドバルト卿。

行政補佐官としては、特区成立に尽力を尽くしたミス・ローマイヤを初めとする初期スタッフの名前が並んでいる。

そして、なによりその場に居合わせた者を驚かせたのは、黒の騎士団からの参加者がいた事だろう。

それもかって黒の騎士団の双璧といわれ、ブリタニアから赤き死神と呼ばれた紅蓮のパイロットが率いるゼロ番隊…。

「紅月カレン以下12名、ゼロの命により騎士団に参加いたします」

膝をつき、臣下の礼をとるカレンと12名の彼女の部下達。

「参加していただきありがとうございます。カレンさん」

ナナリーは、そこで一度言葉を切ると質問する。

「参加の前に貴方に聞きたいことがあります。もし、ゼロと敵対する事があれば貴方はどちらに付くのですか?」

そう、誰もが疑問に思う事を、ナナリーははっきりと聞いたのだ。

その打ち合わせにはない言葉に、周りはざわついた。

そのざわつきの中、カレンは顔を上げるとライを見て微かに微笑み、そして、ナナリーの方を向きはっきりと宣言した。

「私たちが命じられたのは、行政特区日本を推し進めるナナリー皇女殿下の手となり足となり尽力を尽くせという事です。

ナナリー皇女殿下が行政特区日本を推し進める限り、例え相手がゼロであっても、我々はナナリー皇女殿下の味方として尽くすだけです。」

その言葉に微笑むナナリー。

「わかりました。よき答えです。私、ナナリー・ヴィ・ブリタニアの名において、皆様を喜んで歓迎いたします」

その宣言に会場は一気に沸きあがった。

 

 

僕は、この結果にほっとした反面、ナナリーの政治的センスと度胸、それにカレンの判断に驚かされた。

この場合、ただ信用しろといわれても誰も信用はしないだろう。

また、双方に大きな確執とわだかまりは間違いなくある。

だが、味方である条件がはっきりしており、その条件が満たされる間は裏切る事はないという説明は実にわかりやすく、誰もが納得しやすい。

確かにこんな事では、確執やわだかまりが完全に消える事はないだろうが、これで多くのものは彼らを迎え入れるだろう。

力強い味方…そして、良き仲間の一員として…。

 

 

その日の夜、富士宮市に作られた新しい総督宅では懐かしい面子が集まり、簡単なパーティが行われた。

参加者は、ナナリー、僕、咲世子さん、そして、カレン。

新しい同居人と友人との再会を祝して行われたものだ。

もちろん、新しい同居人とは、カレンの事である。

前回の事件の教訓から、ナナリーの側についていることの出来る女性の護衛役の必要性が急務であり、その条件を満たしているものが騎士団にはカレンしかいなかったのだ。

もちろん、反対する意見はあった。

しかし、ナナリーは、彼らにカレンが学生時代の友人であると説明し、何かあったときは自分が責任を取りますと言い切った。

そこまで言われてしまっては、反対派もこれ以上反対する事は出来ず、認めるしかなかったのである。

そして、カレンはこの館の一員となった。

 

 

「ふう…」

久しぶりに味わう楽しく心休まる時間に、安堵の息が漏れる。

「あらあら、どうしたのですか?」

微笑みながら咲世子さんが飲み物を手渡してくれる。

「いやぁ、こういう安心できる時間って久しぶりだなぁって…」

「そうですわよね、ちゃんとカレンさんにも浮気釈明できたみたいですし…」

ぶっ…。

危うく飲みかけたものを噴出しそうになった。

「ど、どうして…それを…」

僕が恐る恐る尋ねると咲世子さんがにこにこと笑って携帯用動画末端を見せる。

そこには、抱き合って見詰め合う僕とカレンの姿。

そして…。

「い、いつの間にっ…」

真っ赤になってそれを奪い取ろうとする僕に、咲世子さんの更なる追い討ち…。

「だ、駄目ですわ…ライさまっ…。せめて御二人のいないところでお願いしますぅ~」

色っぽい声でそんな台詞を叫ぶ。

仲良く談笑していたカレンとナナリーがこっち側を振り向く。

カレンの冷たい目がきつい…。

「あの…カレンさん、どうしたんですか?」

状況がわからないナナリーがカレンに説明を求めている。

(カレン…頼む誤魔化してくれ…)

拝む格好までしてなんとか援護を期待したのだが…。

「ああ、ライが咲世子さんに手を出そうとしているのよ」

実に容赦ない言葉が返ってきた。

「ち、違うんだ…ナナリーっ…こ、これは…」

慌てて弁解しようとするのだが、その言葉は咲世子さんの声で遮られる。

「ああんっ…駄目ですわっ…ライさまっ、そんなところぉ…」

実に楽しそうに怪しい声をあげている。

(ああ…オワッタァ…)

がっくりと崩れ落ち呆けてしまいそうになる僕の耳にナナリーの笑い声が響く。

「くすくすくす…咲世子さん、ライさんをからかうのは程ほどにしておいてくださいね」

それと同時に笑い出すカレン。

「なによ、その必死な顔は…。しっかりしなさいよ、ライ」

「へ?!」

そこまで言われ、僕は気が付いた。

そう、僕は完全にみんなに弄ばれていたのだ。

(なんで…こうなるんだ…)

うれしいんだけど、とても泣きたい気持ちになってしまった…。

 

そして、楽しい宴の時はあっという間に過ぎていき、別れる間際にナナリーはカレンにそっと囁く。

「私、まだ諦めていませんから…」

その宣言に、カレンは微笑みながら同じように囁き返した。

「いいわ、受けてたつわよ。私だって負けられないもの」

そして、二人は楽しそうに笑いあった。

 

 

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