「…はぁっ、はぁっ、ぐぅっ…!」
一面砂の世界で、走る音が響く。
「ふ、ふざけるな…!なんで俺があんなのに狙われないと行けないんだ…!」
エルマイト旅団の男が必死に足を動かし走る。体中傷だらけにも関わらず、ただ真後ろの恐怖から逃げるために。
…しかし、そう甘くはないようだ。
ドンッ!
「うがああああああっ!!!あ、あしが、あしがぁぁぁぁぁぁ!」
「逃がすわけないだろ?今まで散々暴れてきたんだ…覚悟を決めろ」
「い、嫌だ!!俺はまだ…!た、助けてくれ…!!たす…!!」
ダァン…
先程まで騒がしかった夜が一息で静かになり、サラサラと戦士の体が砂になっていく。
「これで依頼達成かな、生き残りもいなさそうだ」
エルマイト旅団の戦士にトドメを刺した男…「エルテナ」はゆっくりとつぶやき、戦士の亡骸後から討伐の証拠となる「色褪せた赤い絹」を回収し、ゆっくりと砂漠を歩き始める。
「さて、集落に依頼完了の証拠品提出してシティに帰ろう…」
彼はスメール限定で何でも屋を営むごく普通の、神の目も持たない青年。フォンテーヌで開発された二丁の拳銃とごく普通の剣で戦う何でも屋なのだ。
「ぁー疲れた…ったくこれだからエルマイトの連中は…平気で人を襲う癖にそこそこ腕は立つんだからタチが悪いよなぁ…小さい集落の人達は大変だな…」
先程討伐したエルマイトの戦士は、砂漠にある小さな集落で何度も盗みを働いたが、辺境の地であるため、フットワークが軽い何でも屋のエルテナに話が来たのだ。
「まぁ終わったしさっさとシティに…ん?」
のんびりと砂漠を抜け、シティ周辺に到着した時、森の方から戦闘音が聞こえてくる。
「誰かが何かと戦ってるな…ちょっと見に行くか」
シティについて依頼達成報告をしてもすることがあまりない為、暇つぶしがてら見に行く事にしたエルテナ。
そこで目にしたのは、綺麗な藍色をした儚げな少女が、大量のヒルチャールと戦っている所だった。
少女は座り込み、彼女の額には汗が浮かんでおり、剣を握る片手もブルブルと震えている。ヒルチャールはまだ2桁以上の数が残っており、負けてしまうのも時間の問題だった。
「…思ったより不味そうだな……あんまりこういうのは手を出さない方がいいんだけど…このまま死なれても寝覚めが悪い…!」
カチリ、そう音がしたかと思うと…
ガガガガガガガガガガッ!
一瞬、まばたきのうちにヒルチャールの眉間を一撃で撃ち抜き無力化させる。エルテナの持つ二丁拳銃からはうっすら煙が立ち込め、ゆっくりと拳銃を腰に収める。少女の顔はいきなりの出来事に驚いたまま固まってしまった。
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困った、まさか少し研究のために外に出たらこんなたくさんのヒルチャールと出くわすなんて…!そんなにシティからも離れてないのに、なんで…!なんとか数匹は倒せたけど…もう、うでが…っ…!
「dada!! yappy!!!」
「きゃぁっ…!」
しまった、油断した…!は、はやくたたないと…!でももう、体が動かない…!
「yaaaaaaa!!!」
もう、だめ…!
ガガガガガガガガガガガッ!
…えっ…?な、なんで…ヒルチャールが倒れ…?
「あー…大丈夫か?そこの人…」
だ、だれ…なの…?
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