暗闇でエルテナは目覚める。
音も光も何も無くただそこには1つの特に深く暗い闇がたたずむ。
迂闊にもそこに不用心に手を伸ばし触れた瞬間に闇から真っ黒な手が伸びてエルテナの首、両手首、足を掴んでそのまま、地面に倒される。
その黒い手に触れられた瞬間エルテナの過去の出来事、力の反動である代償が一気にエルテナを襲い、その一瞬で気が狂いそうなほどの痛みが体を駆け巡る。
悲鳴をあげようとしたが何故か声が出ず、押さえつけられていることで暴れるのことも出来ず苦しみの逃げ場がない。
そんなエルテナを囲むように3つの黒い人形が現れエルテナに暴言を投げかけ罵る。
…ざ…るな…!!!
おま……せ…で…!
じゃ…なん…!
グルグルと視界が回り吐き気がして、それでも苦しみからは逃げられない。
すると自身を掴んで離さない手から黒いモヤが広がり全身を包み込もうと広がり始める。
しかしそれは腕を包んだところで止まりブルブルと震え始める。
モヤはゆっくりと震えを辞めエルテナの体に染み込み腕にシミのような跡を作る。黒い3つの人型は溶けて地面に染み込み消える。
そのまま手はゆっくりと透けて消えて後には元々そこにあった闇が静かに何も無かったように佇んでいた、拘束から解放されたエルテナは、そのまま限界を迎え意識が遠のいて行ったのだった。
闇が、エルテナがここに来る前よりもより深く、濃く輝いている気がした。
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エルテナは目を開け、体を起こそうとする。しかし身体中に激痛と痺れが走り動かすことが出来ない。
「…お、やっと目覚めたかい?目覚めるまで3日もかかるとは、お寝坊さんだね?」
フェネックの様な黒い髪と耳を持つ青年に話しかけられる。見知らぬ丸い屋根を見て自分があの戦いで気を失ってしまったのだと理解する。
「…こ、こは……それに、3日…?」
「ここはガンダルヴァー村、そして僕はアビィデア森のレンジャー長、ティナリだ。そうだね、君が森から救助されてもう3日。朝、森の見回りをしてたら君と教令院の…レイラさん?が倒れてるんだからそりゃもう驚いたよ!特に君の怪我は酷かったからね…」
少しずつ意識がハッキリしてきたエルテナは3日前の夜のことを全て思い出す。目を開きティナリにレイラは無事なのか詰め寄ろうとするが体が動かず、身体中に軽い電気が流れたような痛みが走る。
「…っ!れ、レイラさんは無事なのか…!もし怪我なんかあれば…!!ッウ…!!」
「あーほらほら、動いちゃダメだよ、横になってなきゃ……まだ傷は完治してないし……君、その腕は何?真っ黒で……言い方は悪いが、不気味だ。」
そう言ってエルテナの手を見るティナリ。彼の手は肘を少しすぎた所まで真っ黒に染まっており、明らかに只事では無い。
「それに君の体、ボロボロな上にまだ軽度だけど、それでも君の見た目から想像する年齢より遥かに掛け離れている……極めつけに君の持ち物、あの二丁の銃は何?君が起きる少し前にガタガタ震えだしたと思ったら全部黒く染まって、かと思ったら戻って……………君は、何者なの?」
エルテナは視線を下げ、言葉に詰まる。そんな様子を見てティナリは溜息を吐いて喋りだした。
「…全く、答えられないのか…まぁ教令院の生徒、それも明論派の首席であるあの子と一緒に居たのなら大丈夫か…」
「…ご、めん」
「あぁ、もう大丈夫だから…とりあえず君は少なくとも絶対安静、僕の許可が出るまではガンダルヴァー村から出るのは禁止だよ!…そういえばあの子、さっきコレイに呼びに行かせたはずだけど…」
「師匠、今いいか?」
ひょっこりと家の出入口から顔を覗かせたのはティナリの弟子であるコレイ。誰かを連れてきたようだ。
「あぁ、噂をしたら、だね。連れてきたかい?コレイ。」
「もちろんだぞ!ほら、もうあの人は起きてるぞ、何時まで震えてるつもりだ?」
ぐい、ぐいと出入口の向こうで何かを引っ張るような仕草をするコレイ。
「ちょ、ちょっと待って…!まだ心の準備が…!」
「さっき準備したって言ってただろ!まだアイツは起きたばっかで体まだキツいと思うから、話すなら早くしろって!」
「う、うぅ…!」
そんな話し声が聞こえてくる。ティナリはその大きな耳でしっかり聞き取って少し呆れたような、ため息をついて、エルテナは声は聞こえるがあまり詳しくは聞き取れておらず首を傾げている。
「全く…!ほら、せーのっ!」
とんっ!
「わ、わぁぁあっ!」
「れ、レイラさん!!?もう起きてたんですか…!それより体は、怪我とか無いですよね…!」
「うぇっ!?えーっと…その…」
レイラを見て質問を畳み掛けるエルテナ。少し頬の色が濃くなっているレイラはしどろもどろになりながらも答えていく。
「わ、私は怪我はないし、別にどこも痛くないけど…何でも屋さんは…私のせいで………」
「いや、この怪我は自分が弱かったから付いただけです…レイラさんに悪いところはないですよ。」
「(敬語…)う、で、でも…私が護衛依頼なんて出したせいで…何でも屋さんは3日も目が覚めなくて…」
「大丈夫!俺はもう目覚めて元気…じゃないけど、ちゃんと生きてまさから!だから気にしないでくださいよ。」
「う、わ、分かったよ……ねえ、私からもいくつか聞きたいことがあるの…いい?」
「聞きたいこと…?いいですけど、何を…」
「何でも屋さん、神の目は持ってない、よね?なのにあの時の氷…あれは、何?どうやって氷を操ったの?」
「…はは、気のせいじゃ「答えて」ッスー…」
まさかの質問に一瞬固まり、誤魔化そうとするがレイラに詰め寄られごまかせない。しかも周りにはティナリやコレイが心配そうに見守っており話出せる環境では無かった。
「…も、うしわけ、ない、まだ、話せない、し、はなしたく、ない」
絞り出すように呟いた言葉は拒絶の言葉。レイラはそれに少し傷つきながらも次の質問を出す。
「…分かった、なら次の質問…その、黒い腕は何?」
ピクリ、とティナリの耳が動く。
「これは………魔物共から受けた傷、だよ。そのうち治るさ。」
「…これも答えられない、のね…じゃあこれは教えて欲しいな…何でも屋さんの、名前は?」
「…言ってなかったっけ」
今まで真面目な質問が何度も飛び交って暗い雰囲気だった室内がレイラの質問とエルテナの気の抜けた返答で少し緩くなる。
「俺の名前はエルテナ、フォンテーヌ生まれのフォンテーヌ人。」
「(色々あったし、色々なにか裏があるけど…ようやく、名前が聞けた…!)…エルテナ、さん…ありがとう、覚えた……ねぇ、エルテナさん…」
ゆっくりとエルテナの横になっている寝台に歩み初め、その黒くなった手と手袋を被った自身の手を重ねて微笑み、言う。
「私を、守り抜いてくれてありがとう…!」
「…っ……」
レイラの微笑み顔を見たエルテナは心臓の音が一瞬だけ大きく聞こえ、動揺して向こうを見る。耳が少し紅く染まり小さな声で呟く。
「…どう、いたしまして」
ある森の小さな村で、静かな平和な空気が流れていた。
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「あの計画は、順調か?」
「あぁ、いい感じに進んでいる…あれが我らの手中に収まる日も近いだろう。」
「あぁ…ようやく…ようやく我が計画が成就する…!!楽しみだ…!!」
駄文!以上!