寒天の星に轟く銃声は   作:からまる#猫餅プロジェクト

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こっちの更新も久しぶりですね…


6話 護衛任務の昼下がり、2つの氷と僅かな揺れ

ガンダルヴァー村の朝は、砂漠の光に柔らかく包まれていた。

建物から漂う乾いた木と石の匂いが、まだ冷たい風と混ざり、歩くたびに砂利がかすかに鳴る。

 

レイラは少しぼんやりとした足取りで砂利を踏む。

氷元素の神の目を胸元に宿し、微かに青白い光を放つそれは、心の揺れを映す鏡のように微動していた。

目は遠くの空を追い、指先で砂を軽くすくい上げる。

「……おはよう、エルテナ」

声は柔らかく、朝の光に溶けるように消えそうだ。

 

エルテナは短剣を腰にかけ、歩幅を自然に合わせる。

「おはよう。昨夜はちゃんと眠れたか?」

レイラは首をかしげ、手で髪をかき上げる。

「うん……夢は覚えてないけど、落ち着く夜だったかな」

微かに心がざわつくのを感じながらも、隣にいるエルテナの存在が、自然に安心感を生んでいた。

 

二人は村を抜け、護衛ルートの砂漠の道を進む。

陽射しが砂を黄金色に照らし、足元の熱気が靴を通して伝わる。

レイラは砂粒を手で弾き、青白い神の目の光と砂のきらめきを重ねる。

「ねぇ、エルテナ……この砂、光に当たると綺麗……」

ふわりと呟き、心の奥では誰かに寄り添いたい気持ちが小さく揺れていた。

 

「眩しいけど、確かに綺麗だな」

エルテナは短剣の柄に手を添え、砂埃を避けながら歩く。

守るべき対象を前にした無意識の意識――その姿勢に、レイラは安心感を覚える。

 

「……エルテナって、護衛中も、そんなに冷静でいられるの?」

レイラは視線を少し斜めに向け、問いかける。

「する。でも、守るべきものがいると自然に冷静になれる」

答えに、レイラの胸の奥が少し温かくなる。

守られる安心感と、守る対象として意識される自覚が、互いに静かに心を結ぶ。

 

歩きながら、レイラは肩を無意識に少し近づける。

その距離の微妙な変化に、エルテナの胸が軽くざわつく。

まだ恋とは呼べない――でも、互いの存在を自然に意識していることは確かだ。

 

「……星、昨日の夜も見たよね」

レイラは指先で空を軽くなぞる。

「夜空って……守られてるみたいで、安心する」

胸の奥に微かなざわめきが混ざる。

隣にいる人の存在が、意識しなくても心を支えてくれる実感があった。

 

砂漠の昼下がり、光が砂粒に反射して煌めく。

レイラは帽子のつばを押さえ、注意深く歩きながらも、自然な歩幅を保つ。

砂に足を取られそうになり、軽くバランスを整える動作に、エルテナは守るべき対象への責任を改めて感じる。

 

「……あ、ありがとう、エルテナ」

レイラは振り返り、少し照れた笑みを浮かべる。

「隣にいてくれると、落ち着く……不思議だけど安心するの」

 

その言葉に、エルテナは短く微笑む。

「……それなら、俺も安心だ」

 

肩の距離はまだ少しあるが、互いの心の奥では確かに近づいている。

レイラは氷の神の目を胸元で微かに光らせながら、隣にいる人の存在に自然に守られている実感を抱く。

恋という言葉にはまだ早い――しかし、信頼と安心、微かな胸の高鳴りが二人の距離を静かに縮めていた。

 

砂漠の風がそよぎ、太陽の光が砂の粒に反射する。

氷の神の目を持つ青年と、同じ力を宿した少女。

昼下がりの光と砂漠の匂いの中で、二人の心は互いに寄せられ、まだ言葉にできない特別な距離感を育んでいた。




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