許してください。俺はただ、ほのぼの回を書いてみたら、楽しくなっちゃっただけなんです。
シュウを部屋にあげる。
こんな時のためにカップラーメンは2つ、3つ、4つ…とにかくたくさん買ってある。
椅子に座らせて、沸かしたお湯をカップヌードルに注ごうとする。そのとき
「待ってください先輩、この一週間インスタント食品、シーフード味のを3食ずっと食べてましたよね。」
驚いた。まさにその通りで、仕事で忙しかったし、料理ができないためにずっとインスタント食品を食べていた。
ただ、シーフードという味まで当てるとは。俺に対する理解が深い。ありがたいことだ。
ん?いやいや、理解度が高いとしても、全部しっかり当てて、あんな堂々と言える。おかしくないか?そんな確証を持てるわけ
「ふふ、私、言いましたよね。盗聴器仕込んだって。まさか、部屋だけだとでも思っていたんですか?」
…あとで全部壊さないと。
「ということで、私がご飯作りますので。先輩はシャワー浴びてきてください」
どうしたものか、任せて良いのだろうか。
いや、信用は、してる、はずだ。
ああ、ダメだ。さっきの話が気になりすぎる。盗聴器なんていつ着けたんだ。
てか、なんで付けたんだよ。なんて、本人には聞けない。
こういう状況は、恋愛小説とか、漫画で読んだことがある。
こういうのをやんでれ?とかいうらしい。
重い愛、らしい。うーん、やっぱわからんな、愛って。
そもそもこれがそれとは限らないし。
おっと、違う違う、今は料理をさせるかどうかを、
「先輩?どうしたんですか?もしかして、私のご飯食べたくないですか。先輩、今私のこと信用できてないの?ごめんなさい。私があんなに重いから。でも、私ずっと会えなくて寂しかったんだよ?さっきも言ったよね。ずっと心配だった。料理作ってあげられないから。もし、他の女に胃袋奪われてたらって。ねえ、さっきはああ言ったけど、一回だけ、他の女の手料理食べてたよね。弁当までもらっちゃってさ。ゲヘナなんて危ないとこ行って。あ!わかったよ!ゲヘナだもん。襲われて、脅されたんだよね。じゃあ、その胃袋、私が満たしてあげるね!」
ひぇ、少し考えてるだけでこれか。
てか、いま思考読まれて、まずい。
「ねえ、何がまずいの?言って、直すからさ。」
すみません。
思考読んでるなこれ。これからは気をつけないと。
料理か、確かによく作ってくれてたけど、胃袋奪われるって、別に彼女のものというわけじゃないし。
手料理食べた、ああ、フウカさんのことか。いつもの恩返しにってくれたんだっけ。思い出すと、ほんとに美味しかった。また食べたい。
というか、絶対良いお嫁さんになるよな。料理できて、買い物上手だし。あとゲヘナの常識人だし。あと可愛いボソ。
「あ゛?その女が、どうかしたの?やっばり、あのオンナァ!」
「違うから!脅されてなんかないし、あの人は常識人だ!脅すなんて絶対しない!」
「関係ない。先輩を意識するだけじゃ飽き足らず、ご飯まで作った。これは重罪。許さない。」
意識ってそんな訳あるかい!あれは勘違いしたら悲惨だ。あの笑顔で否定されたら立ち直れる気がしない。小説じゃ、勘違いした主人公がひどいことになってた。
やはり、恋愛とは怖いな。
「はあ、このクソボケ、いや、愛を知らないだけでしたっけ。ならしょうがないですね。私も、そうでしたから。はあ、私じゃ足りないんでしょうか。やっぱり、無理矢理襲ってでもわからせるしか、」
怖!
何言ってんの!まじで何言ってんの?
わからぬ。もっと勉強しないとか?
いやいや。襲うとか、明らかに良くない単語が出てきてる。
ここは話題をそらそう。
「な、なあ?そろそろ腹減ってきたからさ。ご飯作ってくれない?」
「、うん!わかりました!作っておきますね。それじゃ待っててください。」
よかった。とりあえず、大切な物を守れた。俺、やったよ。
食べたらすぐにトリニティに行こう。うん。
ここにいるのは危険だと本能が言ってる。
良い感じに光があたり、とても明るく、清々しい朝が、重々しい修羅場みたいになってしまった。
「できましたよ。こちら、貝の味噌汁、炊き込みご飯、ベーコンです」
少し恐怖していた料理は俺の好物が出てきていた。
朝は米と味噌汁、ベーコンが簡単でうまい。別に、自分で作れるとは言ってない。
だが、油断は禁物だ。前は睡眠薬が入っていて、起きたらベッドに裸、とは言わないが、シュウが隣で、抱きついて寝ていたことがあった。
しっかりリナに叱られた。
怖くて仕方ないが、頼んだ以上、食べるしかない。
「い、いただきまーす」
パク
うまい!普通の味だ。
うまい、とは言ったが、実際は変な味がしないことへの安堵が勝っていた。
だが、前に、寝起きで牛丼を食わせようとしてきた誰かさんとは違う。
量もちょうどいい。
「美味しいですか。よかったですね。
ふふ、よく考えたらこれ、もう夫婦のそれですね。というか、もう付き合っているので、そう遠くない未来ですが。」
そんな未来は来ない。と言ってやりたいが、そんな勇気はなかった。
絶対ピンチになる。
ここで言葉を控えた俺の行動は、きっと最高のものだ。
これで長文を回避できる!
「それじゃあ。
…あの女と、私。どっちの料理が美味しいですか?」
…まずいまずいまずいまずいまずいまずい!!
これを忘れていた俺の姿はお笑いだった。
どうしよう。いやまあ普通に考えてシュウを選べばいいのだが、そうはいかない。
まず、そう答えたら婚姻届を突きつけられるだろう。
褒めすぎるとそうなるし、距離を置きすぎると襲われる。
そんなめんど、これから先は言わない。
うーむ、こうなれば仕方ない。
必殺を使う時が来た。
「シュウ」
そう言って壁ドンのような体勢になる。
そして耳元に顔を近づけ、
愛してる、と囁く。
「あ、」
そうするとバタンと倒れる。
愛してる、なんてわからないが、これを言えばすぐに気絶してくれる。
俺はその隙にスクールバッグを背負いながら、扉を開ける。
明るい日差し。これで清々しい朝を迎えられた。そう実感した。