「殺害って、そんな、」
殺害、逃亡生活で手段は選んでられなかったときでも、そんなことはしてこなかった。そもそも殺人なんて、許される訳がない。それに、ただの弾丸、いや、どんな弾丸を使ったって、人を殺すことなどできない、できてはいけない。
「人を殺すことなどできるはずがない、そう考えているのだろう?だがさっきの話を聞いていただろう、この弾丸こそが、人殺しの道具。ヘイロー、キヴォトス人の命のようなもの、それを破壊する弾丸さ。」
「ヘイローを破壊する、弾丸!?」
そんなもの存在しているのか!?いや、そもそも存在してはいけないだろう、そんなものが市場に出回れば、みんなそれを買い、戦闘に使ってしまう。
「言っておくが、この依頼を君は拒否できない。拒否すれば、この弾丸をブラックマーケットにばら撒く。そうすれば、さらなる被害者がでることになるのだからな」
クソッ!そんなことさせられる訳がない。ならどうする?仮死状態にするか?いまここでこいつを殺すか?いや、殺したら同じだ。仮死状態にしたって、こいつのことだ、私兵を使って確認するだろう。ならば、
受けるしか、ないのだろう。
「わかった、受けよう。拾ってもらった恩もある。借金100億の時点で人生終了みたいなもんだったからな。」
恩返し、といっても、この恩はどれだけ頑張ったって返せないだろう。
ただ、やっぱりこの世界で殺人なんて実感が湧かない。
人1人の人生を奪ってしまう。この依頼を達成すれば、俺は晴れて殺人犯、依頼から逃げたら、殺人の道具をばら撒いた最悪の人間になってしまう。
そんな考え事をしていると、先生は
「そうかそうか!それは良かった!それでは、早速今回のターゲットについてだが、」
なんでこいつはこんな愉快なんだ?殺人を頼んでいる自覚はあるのか、にしても、こんな狂気的な笑い方をする先生は、俺の翼の研究のときにしか見たことがない。やはりこいつは狂ってる。
「この緑の髪をしたとある学校の生徒でな、のほほんとしてるから君の戦闘力の計測には使えると思ってな」
は?こいつ、ターゲットは適当に選んだのか?計測、使える?人の命をなんだと思って、恩返しとか言ってたのがバカみてぇだ。こうなれば今ここで、
「そう怒るな、感情に任せて私を撃てば、あの弾丸達は部下によってばら撒かれる。それでは意味がないだろう?」
こいつ、心でも読んでんのかよ。だが、やるしかない。ターゲットの写真を差し出されるが、それを見ずに返却する。顔を覚えてしまうと、罪悪感で押し潰されてしまいそうだ。
「あと、これ。いつもの薬だ。」
そう言って、薬を渡されたので受け取る。
「もう少しで研究が完了するんだ。今日も頼むよ。」
この薬には、俺の羽を活性化させる効果があるそうだ。どういう理由かわからんが、羽のサンプルが欲しいらしい。研究の成果が出れば、この翼の秘密がわかるかもしれない、と。そう考えながら薬を飲み、羽を提供し、自室へ戻った。
俺は、花屋に来ていた。せめて、殺した相手に花を添えよう、と考えた。でも、殺人なんてしたくない。誰かの人生を、バッドエンドで終わらせたくない。かといって、やつを欺く方法などない。
はあ、なんて残酷な選択だろう。
殺人の日が来た。
逃げ出したい、足がブルブル震えている。スナイパーライフルを持つ手が震えている。頭が真っ白になる。
でも、やるしかない。
ここは砂漠で、あまりに暑く、動いてないのに暑い、そんな場所のはずなのに、俺の体はむしろ寒さを感じていた。
「あれか、」
緑の髪は珍しいから、すぐにわかった。どうするすぐに撃つか、いやピンクの髪の連れがいるようだから、いま撃ってはいけない。それに強そうなオーラがある。勝てないことはないだろうが、いまはライフルしかない、警戒しておかなければ。
ピンク髪の人が離れて行った。いまがチャンス。
震える身体に言い聞かせる、これは仕方ないんだって。
俺は、それでも震える指をトリガーに添えて、
「ごめんなさい」
謝罪の言葉を述べながら、その弾丸を放った。
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