「おーい。起きてるー?おーい!」
う、うぅ。うるさいな。
俺はとても疲れていた。そして、久々の睡眠をとっていると、うるさい声が聞こえてきてしまう。
俺にとって睡眠の間だけが逃げ場であり、安息の地とも言える。
そんな、俺にとっての睡眠という名の楽園を破壊した罪は重い。
したがって、この者がこれから受ける痛みは当然の罰である。
「フンッ!」
「わっ!ちょ!起こしにきただけだっての!急に蹴らないで!もう」
外してしまったが、追撃はしない。理由は単純明快、疲れたから。これ以上攻撃すれば、俺の目は完全に覚めてしまい、もう二度寝はできないだろう。なので、俺はその布団にくるまり、意識を手放そうとすると、
「ちょ!寝るなー!」
そのうるさい声のせいで、目が覚めてしまう。頭も回ってしまう。
目を開けて、その声の主を確認する。
黒い髪に、整った若干の幼さを感じさせる顔、そしてうちの学校の制服。特徴的な紫の目。
予想通り
「リナか。悪いが、帰ってくれ、二度寝する。眠い。」
起きようと決心したが、この身体はそれを否定して、布団にしがみついている。実際眠かったので、その睡眠欲に身を任せて、布団に寝る。
前まではこんなに眠たいと思うことはなかったのだが、この学校に入学してからというもの、少し眠りやすくなっている。まるで睡眠薬を盛られたようだ。過去に睡眠薬の効果を確かめる治験に参加して金を稼いでいたから、その感覚がわかる。
「二度寝なんて許すわけないでしょ!まったく。せっかく寮から走ってきたっていうのに。」
「まあ、いいよ。そんなことは。でもね!先生から伝言があってさ、"依頼"があるらしいよ。私にはなんのことかさっぱりだけど」
「依頼、そう、か。わかった。朝食をとってから行くよ。」
依頼、かあ。そういえば、最近は頻度が上がってきてるな。一週間に多いときは2回ある。目標まで、あと44人か。気の遠くなるような数だ。
いまでも、初めての依頼のことは、鮮明に覚えている。
「朝食なら、もう作っておいたよ。ほら、牛丼」
「朝から牛丼はちょっときついかな。」
小さい頃は最低限のものしか食べてこなかったからか、はたまた普通に少食なだけなのか、俺の食べられる量というのはとても少ない。最近少しずつ改善されているが、まだおにぎり1個分だ。
でも、せっかく作ってくれたのだから、食べないわけにはいかない。
「でも、ありがとう。それじゃ、いただきます。」
さて、朝食をすませ、いま、先生に依頼の詳細を聞きに来ていた。
「やあ!レンくん。依頼について、だろう?今回の依頼だが、連邦生徒会長が失踪したらしくてね。その調査に行ってきてほしいんだ」