逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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怨霊鬼

 スカイラグーンは現在、順調に航行中。それをパトカーから小町と奈緒子が見て手を振っている。スカイラグーン内のレストランでは食事を終えた時行達が遊んでいる。すると、弧太郎が提案した。

 

「なぁ、スカイラグーンの中を探検してみねぇか?」

「探検ですか?」

「そうだよ。折角こんな凄いとこ来たんだからいつもは出来ないことしようぜ。」

「私行きたい!」

「静も。」

 

 弧太郎の提案に亜矢と静が乗った。雪長は断るつもりだったがワクワクしている時行を見て断ることを断念した。渚も多数決に従うと弧太郎の提案に乗る。

 

「では、このことを両津さんにでも…」

「ダメっすよ雪長。そんなこと言ったら絶対ダメって言われるっす。だから、内緒で行くっすよ。」

「断られるとは分かっているのですね。」

 

 弧太郎が雪長の手を引っ張ってレストランを出る。亜矢た静も時行と渚を連れてレストランを出た。それに気付いてない両津は中川に高級街エリアに行きたいとお願いした。

 

「ダメですよ。先輩、隙を見て盗む気ですよね?」

「しない!見るだけだ!」

「AIによる自動警備がありますので盗んだらすぐバレますよ。」

「だから盗まんと言ってるだろ!」

「なら、わしも行こう。」

 

 両津の後ろに大原部長が立つ。両津は断ろうとするも大原部長の圧に負けて中川と大原部長と一緒に高級街エリアに向かった。

 

「そういえば、スカイラグーンの外側にワイヤーがあったな。あれはなんだ?」

「外部に傷などか着いた場合航行しながら作業が出来るようにするためのワイヤーです。ここには修復な必要な道具も全て揃っていますから。それにここにない場合も屋上にヘリポートがありますから直接届けることも可能です。」

「至れり尽くせりだな。」

 

 両津達がエレベーターに乗る。それを時行達が見ていた。

 

「危ねえ。もう少しで鉢合わせだぜ。」

「このまま一緒に行けば良かったのでは?」

「それじゃあ探検にならないっすよ。」

 

 時行達は両津達に見つからないように階段から内部へと侵入した。無機質な橋を渡りながら内部を探検する。初めての光景に全員が唸っていた。

 

「やっぱりこれっすよ!探検はこうじゃないと!」

「凄い高いよ!」

「大丈夫でしょうか?」

「多分、バレたら怒られますね。」

 

 階段や梯子で上に登る。すると、遠くに扉が見えた。その扉が中川が言っていたヘリポートへと繋がる扉だ。興味本位で行こうとする。しかし、そこに誰かいた。咄嗟に隠れる時行達。人影は真っ黒なマントとフードを被り性別すら分からなかった。人影は扉の前で何かするとすぐにどこかへと去って行った。

 

「誰なんすかね?」

「ここの人ならあんな格好する必要ありませんね。」

「お化けだったりして。」

 

 気になり扉の方へと行く。すると、時行が立ち止まった。弧太郎が振り返って聞くと音がすると言った。弧太郎達も耳を澄ますと確かに音が聞こえる。その音はだんだん大きくなっていく。

 スカイラグーンの外では軍用ヘリが飛んでいた。だんだん近付くとヘリポートに着地した。そこから鬼仮面の集団が出て来る。集団は扉を開けるとライフルを構え突入した。その光景を見た時行達はすぐに隠れた。

 

「何なんすかあいつら?」

「いい人じゃないのは確かですね。」

「逃げましょう。」

「うん。それがいい。」

 

 時行達は見つからないように逃げる。集団はいくつかのグループに別れると迷いなく進んで行った。その1つ、黒色の鬼仮面を着けた人物が先頭のグループはレストランの前まで来た。そして、突然扉を開けて突入した。

 

「動くな!」

 

 突然の乱入に麗子達は驚く。すぐに集団はライフルを向けて手を挙げるように命令した。麗子達は命令通りに手を挙げる。そのまま麗子達を連れて行く。

 

「こちら暗鬼。そっちはどうだ?」

『こちら弾鬼。住宅街エリア、制圧完了。』

『こちら噴鬼。厨房、制圧完了。』

『こちら呪鬼。操縦室、制圧完了。』

『こちら変鬼。現在内部捜索中。』

『こちら炎鬼。爆弾設置完了。』

『こちら露鬼。高級街エリア、制圧完了デス。』

 

 こげ茶色の鬼仮面を着けた露鬼がガトリンガンを両津達に向けていた。両津達は露鬼に従い両手を挙げている。

 

「よし。後はコンピューター室か。」

 

 暗鬼は麗子達を宴会会場たパーティー会場に分けて入れた。そこに両津達も連れて来られた。宴会会場に両津や大原部長、マリアや早矢、プラス達がいる。目の前には赤色の鬼仮面を着けた男がライフルを向けている。周りには灰色の鬼仮面を着けた男達が拳銃を持っている。パーティー会場には麗子や纏、檸檬達がいる。

 

「我々は怨霊鬼。中川財閥に恨みがある者達だ。」

「何?目的は目的はなんだ?」

「それは後だ。」

 

 暗鬼が大原部長の質問をはぐらかす。そこに龍一郎と藤村を連れて青紫色の鬼仮面を着けた男が入ってきた。

 

「連れて来た。」

「御苦労興鬼。」

「なんなんだお前ら!?」

 

 藤村が聞くも答えない。一方、大変のことになっているとまだ知らない時行達は急いでレストランに向かっていた。その時、時行達の前に灰色の鬼仮面を着けた男が現れ拳銃を向けた。

 

「う、動くな!動くと撃つぞ!」

 

 弧太郎達は怯えているが時行は冷静だった。相手の手が震えている。時行はゆっくりと歩き出した。男は叫びながら撃った。しかし、時行には当たらない。何度も撃つが時行は全て避けた。弾切れとなり何度引鉄を引いてもカチッカチッとしかいわなくなる。男は尻もちをついて拳銃を向けるも時行は落ち着いて男の手を握った。

 

「あなたが何をしたいのかは分かりません。しかし、こんなことしても誰も報われません。お願いです。止めていただけねいでしょうか?」

「あ、ああ…」

「時行すげぇ。」

 

 戦意を失った男は拳銃を手放す。時行は拳銃を蹴って落とす。そこに弧太郎達が来る。

 

「いくら逃げ上手でも拳銃から逃げるって凄いよ。」

「どうします?」

「とりあえずこのままレストランに…」

「いくら素人とはいえ子供相手に情けないな。」

 

 突然後ろから声がした。誰だと振り返る。そこには白色の鬼仮面を着けたブリーフ1丁の男が腕組みして仁王立ちしていた。時行達は目を点にする。

 

「我は変鬼!日本の変革を望む者だ!」

「「「へ、変態だー!!」」」

 

 時行達が叫ぶ。変鬼はマッスルポーズをとっている。時行達はどう反応すればいいのか分からない。すると、突然変鬼がブリーフに手を突っ込んだ。悲鳴をあげる亜矢達。時行はあの刑事と似た雰囲気に震えが止まらない。変鬼はブリーフからオリーブオイルを取り出した。

 

「安心しろ。我は拳銃など使わない。」

 

 そう言って変鬼はオリーブオイルを全身に塗りたくった。時行達は今のうちだと逃げる。オリーブオイルを全て塗り終えた変鬼は空になったビンを投げ捨てると走り出した。そのまま前のめりにジャンプして腹で滑りながら時行達を追いかけた。

 

「《オリーブローションスライダー》!」

「「「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!」」」

 

 必死に逃げる時行達。しかし、静が変鬼に捕まってしまった。静を抱える変鬼。静はあまりの気持ち悪さに青ざめている。

 

「こちらに来てもらおう。我は子供に手荒な真似はしたくない。」

 

 静を人質に取られた時行達は大人しく変鬼の指示に従った。時行は宴会会場、弧太郎達はパーティー会場に入れられる。オリーブオイルまみれの静を洗う麗子達。

 

「御苦労変鬼。…さてと、まずはスマホなどの通信機器をこの中に入れてもらおう。」

 

 暗鬼は大きなバッグを両津達の前に投げる。両津達は大人しくスマホをバッグに入れる。プラスはスマホに加えてパソコンも入れた。暗鬼がそれを確認すると拳銃で窓を開けバッグを投げ捨てた。

 

「おい!そこまでする必要ないだろ!」

「それを決めるのはお前じゃない。」

 

 暗鬼は両津達の前に移動すると時行に拳銃を向けた。その瞬間、南雲が時行の前に出た。

 

「なんのつもりですか!?子供を撃とうとするのですか!?」

「面倒な抵抗をされないための…見せしめだ。」

 

 銃声が鳴る。南雲が胸を抑える。胸が赤く染まる。南雲はそれを見ると前のめりに倒れた。悲鳴が響く。暗鬼は赤色の鬼仮面の仲間に南雲を運ぶように指示した。時行は運ばれる南雲もじっと見た。

 

「蛮鬼、運べ。」

「了解。」

「張鬼、噴鬼、お前らは引き続きここを見張れ。」

「「了解。」」

 

 暗鬼はスマホでメールを見ると仲間を置いて去って行った。何もない時間が経過していく。銃を向けられ怖がる人もいる中、両津はテロリストに背中を向けて寝ていた。大原部長が両津を起こそうと小声で話しかける。

 

「起きろ両津。なんのつもり…」

「静かに聞いてください部長。」

「起きてたのか。」

「あのテロリスト、素人とプロがいます。灰色の仮面着けた奴ら見てください。拳銃持ってる手が震えているしハンマーが上がったままになってたりセーフティがかかったままに気付いていない。それに対して色付きの仮面は相当慣れてます。おそらく軍人か傭兵でしょう。」

 

 両津がテロリスト達を見て話す。そこに中川達も加わった。

 一方、大阪では…

 

「な〜か〜が〜わ〜さ〜ん〜が〜来〜る〜!」

 

 通天閣署で春が騒いでいた。いつでも迎え入れるようにパーティーの準備までしていた。

 

「春、あのトーキョーモンも来るで。」

「あいつか。あいつは野宿でええねん。」

 

 春はワクワクしながらテレビを見る。たまに映った中川に興奮していた。しかし、テレビの様子がおかしい。そろそろスカイラグーン内の映像が出てもいいのに全然出ない。キャスターもおかしいと思い何度も声をかける。

 

『千条院さ〜ん?おかしいですね。全然反応がありません。…あ、今映像が…』

 

 キャスター達が唖然とする。モニターに映っていたのが暗鬼だからだ。

 

『我々は怨霊鬼。中川財閥に恨みを持つ者達の集まりだ。我々は中川財閥所有の世界最大の飛行船スカイラグーンを占拠した。』

「なんやとぉ!?」

『我々は日本政府に対し100兆円を要求する。もし拒めばスカイラグーンをあべのハルカスに激突させる。猶予は2時間。よく考えるのだな。』

 

 暗鬼が要求を言い終えた瞬間、春が暗鬼の額に弾丸を当てる。テレビが壊れても何度も撃ちまくる。慌ててレイ達が春を止めた。

 

「ふざけんな!何中川さんを危険に晒しとんのじゃ!」

「落ち着け春!」

「そもそも2時間で100兆とか無理に決まっとるやろ!アホか!」

 

 パニックになっているのは春達だけではない。日本中でこの映像が流れた。それを見て驚く人達。さらに暗鬼はこの放送を世界中に流していた。ニューヨークや香港でも放送を見て多くの人が驚いていた。

 暗鬼は放送を切るとスマホで仲間に連絡した。

 

「そっちはどうだ?」

『問題ありません。スカイラグーンのデータベースにハッキング完了。これでスカイラグーンはこちらの手中です。』

「よし。コンピューター室も掌握した。後は…」

 

 暗鬼は仲間を連れて会場へと向かう。その会場では両津達が隙を伺っていた。その隙を作るために時行が噴鬼に近づいた。噴鬼は拳銃を時行に向けるが時行は動じない。

 

「時行!?」

「おいガキ。近づくな。」

「ねぇ。当てれるものなら当ててみて。」

 

 顔を赤くし挑発する時行に噴鬼は怒り発砲した。しかし、時行は華麗に避ける。噴鬼は怒り狂い乱射した。それに他のテロリスト達が驚く。そこに両津達が突撃した。マリアが蹴り飛ばし早矢と大原部長が投げ飛ばす。両津は噴鬼の拳銃を蹴り飛ばす。噴鬼はナイフを取り出し両津と格闘する。両津の顔を狙いナイフを突き立てる。それを両津は噛んで防いだ。そのままナイフを噛み砕く。

 

「はぁ!?」

「わしの歯は鉄だって噛み砕くぞ!」

 

 両津が噴鬼を取り抑える。その時、爆音と銃声が鳴った。暗鬼と蛮鬼が戻って来たのだ。蛮鬼は両津を蹴り飛ばす。暗鬼も拳銃を向け仲間から離れるように命令した。

 

「なんだ今の爆発は!?」

「スカイラグーンの至るところに爆弾を仕掛けた。1つ1つは威力は弱いが一斉に爆発すればここを落とすことだって出来る。」

「な…」

 

 暗鬼は爆弾のスイッチと思われるリモコンを見せた。リモコンを懐にしまい拳銃を時行に向けた。

 

「見せしめが1人じゃ足りなかったか。」

「この…」

 

 起き上がった噴鬼が時行を蹴り飛ばした。そのまま踏み付けようとしたため両津が時行に覆い被さり代わりに受けた。

 

「クソガキが!クソガキが!クソガキが!舐めやがって!」

「落ち着け噴鬼。」

 

 暗鬼が両津達から噴鬼を引き離す。時行が両津を心配する。すると、暗鬼が時行の首を掴んだ。

 

「次の見せしめはお前だ。」

 

 そう言って暗鬼は窓を開け時行をスカイラグーンの外へと放り投げた。

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