逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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撃墜命令

「時行!」

 

 暗鬼が時行をスカイラグーンから放り投げた。それを追いかけ両津もスカイラグーンから飛び降りる。千条院が悲鳴をあげる。中川が窓に向かうと暗鬼が拳銃を向けた。

 

「先輩!」

「お前はダメだ。お前が1番大切な人質だ。こんなところで死んでは困る。」

 

 暗鬼は後から来た黄色の鬼仮面を着けたテロリストである弾鬼に中川と龍一郎を別のところへと連れて行くように指示した。

 時行は落ちながらも両手を拡げて落下速度を落とす。両津は抵抗を減らし時行のところへと落ちて行く。時行に近づいた両津はなんとかして時行を捕まえ引き寄せる。

 

「このまま海に…わしが下になれば時行は助かるか…」

 

 両津がどうしようか考える。すると、そこに月光が飛んできた。それを見た両津はチャンスと手を振って叫んだ。月光は下からフック付きロープを垂らす。両津はロープに捕まりなんとか落ちずに済んだ。

 

「ナイスだ月光刑事!」

『満月の夜でもないのに出撃してみれば…何故お前達が落ちてる?』

「話は後だ!まずは降ろしてくれ!」

 

 両津の指示で月光はどこかの港へと着陸しに行った。

 

 一方、警視庁

 

「撃墜!?」

 

 そこに呼ばれた屯田署長が警視総監達から聞かされ驚いていた。

 

「そうだ。日本政府はテロリストに屈さない姿を世界に見せなければならない。」

「それにもしスカイラグーンがあべのハルカスに激突するようなことがあれば中川財閥が終わるだけではない。爆発による被害は想像出来ん。」

「さらに、あべのハルカスが倒壊すれば日本の経済に大打撃を与えることになる。それだけはなんとしても防がなければならない。」

 

 警視総監達が理由を話す。理解は出来るが納得は出来ない。屯田署長は警視総監達に言い返す。

 

「あそこには我が署の署員達が…」

「知っている。スカイラグーンには乗員乗客215人がいる。それにテロリストを加えても250には満たない。250人の命と日本の未来は秤にかけるまでもない。」

 

 屯田署長は必死に撤回を求めるも却下された。退室した屯田署長がトボトボ歩いていると後ろからスパークが声をかけた。

 

「屯田署長、少しお話いいですか?」

 

 スパークに案内され屯田署長が入る。そこは以前逃さん君の実証実験のために使ったモニタールームだった。目の前のモニターに暗鬼達が映っている。

 

「こ、これは…」

「プラスに持たせた隠しカメラの映像だ。これを解析しテロリスト達の照合を行った。」

 

 モニターに複数の人物の写真が映し出される。動作や癖から仮面の下の素顔を暴き出したのだ。

 

「灰色の仮面を着けたテロリストは嘗て中川財閥関連の会社や取引先の会社の役員達だ。皆、援助の打ち切りなどによって倒産している。」

「こいつらが…」

「だが、色付きのテロリストは違う。ほとんどが北アフリカや中東で活動している傭兵だ。その中でも…」

 

 スパークは黒色の仮面を着けたテロリストの素顔を映し出した。顔に複数の傷がある男だ。

 

「正木繁。こいつは中国、韓国、北朝鮮、ロシアでテロ行為を行い国際指名手配されている。おそらくこいつが怨霊鬼のリーダーだろう。」

「では、中川財閥に恨みを持つ彼らが傭兵を雇ったと。」

 

 スパークがテロリスト達の素顔を明かす。屯田署長はそれに希望を持ち始めた。

 一方、両津達は静岡県の港にいた。遠くにスカイラグーンが見える。月光刑事が両津にスマホで暗鬼の映像を見せる。

 

「2時間以内に100兆円用意しろとか無理だろ。バカか。」

「どうするつもりだ聖羅太郎。」

「今すぐ行きたいが相手は今までの奴らと全然違う。無策で行っても返り討ちだ。」

 

 両津が考える。すると、聞いたことある曲が流れてきた。

 

「これは…ワルキューレ騎行!まさか!」

 

 両津が見上げると大量のヘリの部隊がスカイラグーンに向かっていた。両津は急いで電話する。

 

『なんだ両津?』

「爆竜!何するつもりだ!?」

『たった今、政府からスカイラグーンの撃墜命令が出た。』

「馬鹿野郎!今すぐ止めろ!中にはまだ中川達がいるんだぞ!」

『このまま行けばあと5時間でスカイラグーンはあべのハルカスに激突する。そうなれば、戦後始まって以来の最悪のテロになる。』

「わしがスカイラグーンに乗り込んでテロリスト全員ふん縛る!それまで手出しするな!」

『…500メートルだ。スカイラグーンがあべのハルカスに500メートル近づいたら警告無しで撃墜させる。』

「よし!今すぐ静岡に輸送機を持ってこい!」

 

 両津はスマホを切る。

 

「どうするのですか?」

「時間も限られた。こうなったら総力戦だ!」

 

 両津はスマホでいろんな人に電話した。爆竜大佐の部隊がスカイラグーンに近付く。すると、スカイラグーンのヘリポートから攻撃ヘリが飛び立ち爆竜大佐の部隊を攻撃した。

 

「散開!」

 

 爆竜大佐の部隊が散り散りになる。攻撃ヘリは紫色の鬼仮面を着けたテロリスト鎧鬼が操縦していた。

 

「判断が早いな。しかし、撃墜をアメリカに任せたか。どこまでも腰抜け野郎だな。」

 

 鎧鬼は爆竜大佐の部隊を次々と落としていく。

 

「ほう。なかなかやるな。」

 

 爆竜大佐も負けじと撃ち返す。他の部隊がスカイラグーンに近付く。しかし、今度はヘリポートにいた露鬼がガトリングガンでヘリを攻撃した。

 

「ガッデム!」

 

 激しい攻撃になかなか近付けない。露鬼から離れスカイラグーンの下へと移動する。その時、エンジンが撃ち抜かれ墜落していった。パーティー会場から張鬼が狙撃銃でヘリのエンジンを撃ち抜いたのだ。それを見て驚く麗子達。

 

「あの人、かなりの腕ね。」

「あれ?朝絵が居ない。」

 

 麗子の隣にいた聡子が周りをキョロキョロ見回す。メイドの1人がいつの間にか居なくなっていたのだ。弧太郎達も朝絵を捜すがいない。そこに張鬼がやってきた。

 

「あまり騒ぐなよ。一々殺すのに弾丸使うのは勿体ないからな。」

 

 張鬼にライフルを向けられ麗子達は黙った。その隣の宴会会場では大原部長達が時行と両津を心配していた。しかし、プラスは冷静に隠しカメラで暗鬼達を撮影していた。暗鬼はスマホを見ている。すると、檸檬とプラスのところまで歩いてきた。暗鬼はスマホを2人に見せる。プラスが盗撮した映像がニュースに流れていた。

 

「距離、角度からしてお前らのどちらかが盗撮している。まだ、見せしめが足りないか?」

「これです。」

 

 プラスが隠しカメラを暗鬼に渡す。暗鬼はスマホを見て確認すると蛮鬼に投げた。蛮鬼は隠しカメラをライフルで破壊する。暗鬼はプラスに向けて発砲する。わざと外したのかプラスは無傷だった。

 

「次は当てる。」

「大丈夫かプラス?」

「はい。私は問題ありません。」

 

 暗鬼は外の様子を見る。爆竜大佐の部隊の姿は見えない。しかし、スカイラグーンの遥か上空に輸送機がいた。後ろのハッチが開くと両津達が降下準備を済ませて立っていた。

 

「さすがに12000メートルは空気が薄いし寒い!」

「せんぱ〜い!なんで僕も連れて来たんですかぁ!」

「本当にこれで大丈夫なのか?」

 

 両津の隣にいた本田が叫ぶ。他にはもボルボ、左近寺、ジョディー、海パン刑事、麻里晩がいる。後ろにはラジコンのヘリや戦車が大量にある。時行も覚悟が決まり太陽を見る。すると、太陽に諏訪頼重の笑顔が映った。それに吹く時行。

 

(何故頼重殿が!?)

「大丈夫か時行?」

「は、はい。」

「両津、本当だろうな?ここで活躍すれば天空道場に翻堕羅拳を入れるというのは?」

「お前の頑張り次第でわしが上に掛け合ってやる!」

「なぁ、両津。本当にこれで大丈夫なのか?」

「言われた通りにすれば大丈夫だ!」

「あなた、寒くないの?」

「この網タイツがあるから大丈夫だ。」

「服着ればいいじゃない。」

『ハッハー!このラジコン刑事がいるからにはもう大丈夫だ!』

 

 騒がしくなる輸送機内。両津は内心大丈夫かと心配はしているがもう戻れない。

 

「奴らもさらに上から突入するとは思ってないだろ。」

「無理です先輩〜!」

「ボルボ、本田を連れて降下しろ。」

「分かった。」

「皆さん、大丈夫なのでしょうか?」

「部長達がいるなら大丈夫だ。わしらは出来ることをするだけだ。」

 

 ボルボが本田を自分とくっつける。両津も時行を自分にくっつける。降下しようとするもヘリポートには攻撃ヘリがある。このまま降下しても攻撃ヘリに撃ち抜かれるだけだ。両津は爆竜大佐に連絡する。

 

「わしらが上から突入するから邪魔なヘリを退かしてくれ。」

『分かった。』

 

 爆竜大佐は早速スカイラグーンの上まで移動する。それに気付いた鎧鬼もヘリを飛ばして爆竜大佐と激突する。さらに、月光刑事が応援に来た。

 

「さすがに高度1万メートルはやり辛いな。」

 

 爆竜大佐と月光刑事対鎧鬼のバトルが始まる。そのままスカイラグーンからヘリが離れるのを確認した両津が輸送機から飛び降りた。それに続きジョディー、ボルボ、海パン刑事、麻里晩、左近寺が飛び降りる。もうすぐでスカイラグーンだ。すると、ヘリポートに露鬼が現れた。パラシュートを開けた両津達にガトリングガンを向けて乱射し始める。

 

「なにぃ!?」

「ガッデム!」

 

 両津達はパラシュートを操作してなんとか避ける。ジョディーが拳銃を取り出して露鬼を撃つ。

 

「ショータイムね!」

 

 露鬼はジョディーの弾丸をガトリングガンで防ぎ再度乱射する。麻里晩が避けるが急に落下速度が上がる。上を見ると弾丸がパラシュートを貫通していた。

 

「あ〜〜!!」

「翻堕羅親父!」

 

 露鬼は麻里晩を狙う。そこにラジコン刑事のラジコンヘリ軍団が攻撃を仕掛けた。

 

『喰らえ!必殺!《アパッチカルテット》!』

「今だ!翻堕羅拳法《唾の舞》!」

「《海パンキック》!」

 

 露鬼がラジコンヘリを鬱陶しく払っている間にパラシュートを外した麻里晩が露鬼に唾を吐く。露鬼は腕に着いた唾が汚いと一瞬、気を反らす。そこに海パン刑事の蹴りが露鬼のガトリングガンを弾き飛ばす。さらに、両津が着地と同時に露鬼の顔面を踏み付けて扉を破った。仮面が割れ気絶する露鬼。

 

「よし!まずは1人!」

 

 両津は気絶した露鬼に手錠をかける。パラシュートが外せない左近寺を抑えパラシュートを外す。ボルボが気絶した本田を起こし再度作戦を確認する。

 

「いいか?ボルボはコンピューター室に向かってハッキングしている奴を無力化しシステムを取り戻す。ジョディーは会場に行って救出&テロリストの無力化。時行と本田はわしについて来い。お前らは自由に動いてテロリストを見つけ次第無力化させる。」

「OKよ!」

「任せろ!」

『このラジコン部隊があればどんなテロリストもイチコロだ!』

 

 両津達は別れてスカイラグーン内を走る。スカイラグーンがあべのハルカスに激突するまであと4時間…

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