逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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完全勝利の条件

 両津達が廊下を走る。そこに逃さん君がやってきた。備え付けられたスマホからスパークの声がする。

 

『両津君。』

「その声…スパークか!」

『このスマホを取り給え。』

 

 両津がスマホを受け取る。そこには暗鬼達の情報が載っていた。さらに、中川財閥所有タンカーの監視カメラの映像も送られてきた。

 

『タンカーを爆破したのも今回の占拠事件も同じテロリストだ。しかし、正木繁の前を歩いている金色の鬼仮面だけが未だ分かっていない。』

「こいつは見てねぇぞ。」

 

 両津が監視カメラの映像を見て答える。先頭にいる金色の鬼仮面を着けたテロリストは刀を持っていた。時行も両津と一緒に監視カメラの映像を見る。

 

『灰色の仮面のテロリストは中川財閥に恨みのある者達。色付きは傭兵。ここまでは分かった。目的もおそらくスカイラグーンをあべのハルカスにぶつけることだ。』

「それだがあいつら多分、ここから逃げる算段があるぞ。」

 

 両津はスカイラグーンで見た状況をスパークに教える。

 

『確かに。だが、逃げるためのヘリはさっき落とされたのを確認した。他に逃げる方法は…』

「あいつらにはあるかもしれん。とにかくわしらは正木を含むテロリストを全員引っ捕らえる。そうすれば撃墜なんてされずに済むからな。」

『頼んだぞ。』

 

 両津が電話を切る。

 

「両津さん?」

「時行、わしら警察の勝利条件はなんだと思う?」

「え、ええ〜と…悪い人を捕まえる。」

「そうだ。だか、完全勝利の条件は違う。誰も死なさずに捕まえることだ。」

 

 両津が苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

「これ以上被害者を出さないためにもいち早く捕まえるぞ!」

「はい!」

「ポッポー!」

 

 両津達は決意すると走り出した。一方、コンピューター室へ入ったボルボは拳銃を構えながら進む。大量の機械が並ぶ。その間を静かに歩いて行く。その姿を桃色の鬼仮面を着けたテロリスト隠鬼が見ていた。ボルボの後ろをとり拳銃を構えた。その瞬間、ボルボが振り返り撃った。隠鬼はすぐに隠れた。

 

「お前がスカイラグーンをハッキングしているテロリストだな?」

 

 隠鬼は答えない。が、ボルボはそれだけで十分だった。激しい撃ち合いになる。精密機械に弾丸が当たりまくる。このままでは危ないと判断したボルボが突撃する。隠鬼も撃って応戦するがボルボが隠鬼の拳銃を蹴り飛ばした。それと同時に隠鬼が裏拳でボルボの拳銃を弾き飛ばす。

 

(動きがいい。やはり軍人か。)

 

 隠鬼がナイフを取り出す。ボルボは素手で隠鬼に挑む。ナイフに気を付けながら格闘する。ナイフを持つ腕を掴み胸に手をかける。その時、ムニュッという感触がした。ボルボはもう1回胸を揉む。明らかに女性の胸だ。

 

「ま、まさか…」

 

 ボルボが動揺する。隠鬼も動揺して仮面を落とした。その顔は聡子の後ろにいたメイドの1人だった。隠鬼は顔を赤くしてボルボを睨む。

 

「ま、まずい…」

「…変態!」

 

 ボルボは鼻を抑える。隠鬼の攻撃が激しくなった。ナイフに加えて蹴りなどの体術も駆使してくる。ボルボは精密機械に凭れる。そこに隠鬼がナイフを突き立てた。ボルボは腕を抑えてナイフが刺さらないようにする。ナイフの先がボルボの目の直前まで迫る。ボルボはナイフを反らし避ける。その時、バランスを崩し隠鬼の胸に顔を埋めた。

 

「…」

「もう…無理だ…」

 

 鮮血に染まるコンピューター室内。隠鬼がナイフを振り上げるより早くボルボの鼻血が隠鬼の顔にかかった。隠鬼は堪らず顔を背け目を瞑る。

 

「変態の血が!」

 

 さらに、床に垂れたボルボの鼻血で滑り後頭部をぶつけた。その結果、隠鬼は目を回しながら気絶した。ボルボも鼻血を噴き出して倒れ痙攣した。

 一方、住宅街エリアでは中川と龍一郎を監禁した弾鬼と仲間達がいた。ショットガンを2人に向けている。すると、後ろからうめき声が聞こえた。扉を開けると左近寺が灰色の鬼仮面のテロリスト達を投げ飛ばしていた。

 

「機動隊か?」

 

 弾鬼は冷静に左近寺を狙う。左近寺を弾鬼に気付くと近くの建物に入って隠れた。見張りを仲間に任せ左近寺を追う。左近寺は銃など持ってないため逃げるしかなかった。弾鬼が近付き撃つ。

 

(あの見た目は格闘タイプ。距離を保ちつつ弾数に気を付ければこちらが有利だ。)

 

 左近寺の姿が見えた。そこに向かって撃つ。弾を素早く装填してまた撃つ。左近寺は近付くことが出来ないと逃げまくる。

 

「くそ〜。あれが邪魔だ。」

 

 左近寺は建物から出る。弾鬼も建物から出て左近寺を捜す。左近寺は他に隠れる場所がないか探していると上を見た。弾鬼が左近寺を捜す。すると、左近寺が出て来た。弾鬼は左近寺を狙う。その時、銃声と共にショットガンが弾き飛ばされた。弾鬼が上を向くと中川が拳銃を持っていた。仲間を倒し拳銃を奪っていたのだ。

 

「不覚。」

 

 それを合図に左近寺が詰め寄る。左近寺と弾鬼が取っ組み合いになる。

 

「柔道か。俺はプロレスだ。」

 

 弾鬼は左近寺の手を跳ね除けラリアットする。左近寺も防御するが馬鹿力の一撃に下がってしまう。弾鬼はショットガンを拾う。拉げて撃つことは出来ない。弾鬼はショットガンの砲身を持って柄で殴りかかってきた。

 

「それは卑怯だろ!」

「悪いが俺はヒールでね。」

 

 リーチがさらに伸びた弾鬼に苦戦する。そこに降りてきた仲間が拳銃で狙撃してまたショットガンを弾き飛ばした。弾鬼は中川に驚く。

 

「驚いた。これを狙撃するか。」

「弾鬼さん!」

「お前らは下がってろ。邪魔だ。」

 

 弾鬼は仲間を下がらせる。すると、近くのベンチを持ち上げた。

 

「嘘だろぉ!?」

「これが俺の自慢でね。」

 

 弾鬼がベンチを叩きつける。衝撃でバラバラになったベンチの破片が左近寺に刺さる。

 

(こいつ、タイガーのところにいた奴らよりむちゃくちゃ強いぞ!)

 

 左近寺は弾鬼の攻撃から避け続ける。中川も狙撃で援護する。しかし、弾鬼の猛攻は止まらない。左近寺はある店のショーケースに凭れかかった。そこは人形などを売る店だった。左近寺がチラッと後ろを見るとさおりの人形があった。

 

「さおりナースフィギュアだと!こっちはメイド!こっちはバニーガール!」

「余所見か!」

 

 後ろから弾鬼がベンチの破片で殴ってくる。左近寺は避けるもショーケースが破壊されさおり人形は無残にも粉々になった。それを見た左近寺は絶望する。

 

「さおりー!」

「?」

「よくも…さおりを…許さん!」

「何に怒ってんだ?」

 

 弾鬼は突然の左近寺に怒りに一瞬動揺するもすぐに殴ってきた。それを左近寺は躱し綺麗な一本背負投で弾鬼を倒した。仮面が取れ素顔が露わになる。

 

「参ったぜ。」

「お前の敗因は1つ。さおりを傷付けたことだ。」

「さおりって誰…?」

 

 弾鬼はそのまま気絶する。仲間が拳銃を向けるも中川が狙撃で拳銃を弾き飛ばす。そのに本田がバイクで登場した。次々とテロリストを轢き飛ばして行く。

 

「中川、無事か!?」

「はい!僕達は無事です!」

 

 中川の後ろに龍一郎が来る。2人の無事を確認した本田が両津に連絡しようとした。その時、1人のテロリストが現れた。金色の鬼仮面を着けた人物だ。動きで只者じゃないと分かる。

 

「誰だ?」

「知りません。少なくとも僕は見ていません。」

「だが、テロリストなのは確かだな。」

 

 本田がバイクで向かう。すると、テロリストは腰に差していた刀に手をかけ居合斬りでバイクを一刀両断した。倒れる本田。爆発するバイク。

 

「本田さん!?」

「ひぃ〜!」

 

 本田は大丈夫のようだ。左近寺が前に出る。すると、今度は拳銃を取り出し左近寺を撃った。左近寺が倒れるのを見るとテロリストは刀の峰で龍一郎を殴った。

 

「お前は…何者だ…」

「怨霊鬼。」

 

 変声器で声を変えたような低い声で答える。龍一郎が気絶する。中川が拳銃を向けるもそれより早く刀で拳銃を斬った。そのままスタンガンで中川を気絶させた。

 一方、パーティー会場にいる麗子達はなんとかして逃げれないか観察する。いるのは灰色の鬼仮面を付けた数人と張鬼。こっちには纏や弧太郎達に聡子、鷹柳、アレクサンドラにメイド達やコック達だ。

 宴会会場にいる大原部長達も麗子と同じく隙を見て逃げれないか観察していた。目の前にいるのは灰色の鬼仮面を付けた数人と蛮鬼。こっちには早矢、マリア、檸檬、プラス、水沢、千条院、石井に乗務員達だ。

 

(どうにかして逃げたいが…)

 

 大原部長が障子を見る。すると、障子が開いた。蛮鬼達は警戒して構える。そこには大量のラジコン戦車がいた。

 

『見つけたぞテロリスト共め!このラジコン刑事が来たからにはもう終わりだ!必殺…』

 

 ズガガガガガガガガ

 

『僕のラジコンがぁ〜!』

「なんだこいつ?」

 

 蛮鬼がラジコン戦車を破壊する。その時、天井の換気扇が外れ麻里晩が現れた。蛮鬼はすぐに向けるも麻里晩はライフルを蹴り飛ばす。それを見た大原部長達が走り出す。灰色の鬼仮面のテロリストを投げ飛ばした。プラスも檸檬に何か渡すと近くのテロリストに向けて催涙ガスを発射した。

 

「うわぁ!?なんだこれ!?」

「我が社で開発したゲーム機型催涙スプレーです。」

「さすがじゃの。」

 

 マリアが麻里晩の隣に並び蛮鬼を蹴り飛ばした。これでテロリストは全滅と思っている。

 

「お父様、何故ここに?」

「両津がここで活躍すれば翻堕羅拳の道場を作ってくれるというからな。」

「多分、無理ですわ。」

 

 マリアが気の毒に思っている。水沢達が大喜びしていた。

 

「やっと…やっと助かった!」

「まだですわ!」

 

 早矢が叫ぶ。マリアと麻里晩が警戒すると蛮鬼が起き上がった。

 

「危なかった。防御してなかったら完全にやられていたな。」

「まさか、私と愛の蹴りを受けて立っていられるとは。」

「拳法家か。面白い。俺も拳法は出来る方だぞ。」

 

 そう言って蛮鬼が構えた。

 

「あの構えは!」

「知っているのか早矢君?」

「はい。昔、約600万人が受け継いだとされる伝説の拳法…千葉拳!」

「さすが磯鷲家長女。知っていたか。」

「そんな拳法があるんですか?」

「わしは知らん。」

 

 早矢が警戒するも他のみんなはポカンとしていた。

 それとほぼ同事故、張鬼が隣が騒がしいと扉を見る。すると、扉が少しだけ開いた。それを見た張鬼は迷わずライフルを撃つ。扉が穴だらけになっても何の反応もない。

 

「気の所為か…」

 

 張鬼は警戒を怠らない。その時、空いた穴から何かが投げ込まれた。それと同時にジョディーが叫ぶ。

 

「Gplug your ears!! duck it!!」

「なんて!?なんて言った!?」

「なんすか!?全然聞き取れなかったっす!」

「耳塞いで!」

 

 慌てふためくテロリスト達。麗子達は耳を塞ぎ体勢を低くする。それと同時に聡子が弧太郎達の上にのしかかる。その瞬間、何が激しい閃光と共に爆発した。

 

「ぐわぁ!耳がぁ!」

「眩しい!」

 

 ライフルや拳銃を落としてのたうち回るテロリスト達。そこにジョディーが来て制圧する。それを合図に鷹柳がマイクスタンドでテロリストが持っているライフルを落とす。麗子もテロリストから拳銃を奪う。

 

「す、すげー。」

「あの…今のは?」

「耳を塞いで背を低くしてって言ったのよ。」

 

 ジョディー達がテロリストを制圧する。そこに張鬼が拳銃を撃った。ジョディーはすぐにテーブルを倒して盾にする。

 

「ライオットエージェント弾か。英語で叫ぶから反応が少し遅れたよ。」

「ちゃんと英語が聞き取れるテロリストがいたのね。」

「世界中で活動しているからな。お前はどこに従軍してる?」

「アメリカよ。アメリカ海軍所属よ。」

 

 張鬼がライフルを構える。

 

「お前、戦争経験は?」

「多少。」

「それじゃあダメだ。俺はスーダンやシリア、イスラエルの内戦に参加した。激戦の地獄だった。死ぬかもしれないスリルが堪らなかったよ。」

 

 張鬼がライフルを乱射する。ジョディーも撃ち返す。張鬼もテーブルを倒して盾にするとまた撃ち返した。

 

「銃を持ったからには撃たれる覚悟も楽しまないとなぁ!」

(かなりクレイジーな男ね。)

 

 張鬼がジョディーを狙って撃ちまくる。そこに麗子が拳銃でジョディーの援護をした。張鬼は隠れると拳銃を取り出し麗子を撃った。両手にライフルと拳銃を構え麗子とジョディーを相手にする。

 宴会会場ではマリア達対蛮鬼。パーティー会場では麗子達対張鬼のバトルが始まった。スカイラグーンがあべのハルカスに激突するまであと2時間…

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