逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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時行京都訪問記 京都流鏑馬対決!(後編)

 突然の爆発。そのせいで時行達の対決は有耶無耶になってしまった。パニックになる会場。両津が人混みを抜けて時行達のところへと走る。

 

「何があったのですか!?」

「知らん!とにかく中止だ!早矢!避難誘導するぞ!」

「分かりました!」

 

 両津はスタッフと一緒に避難誘導をしながら爆発場所に向かう。爆発したのは会場横にある普段は使わない倉庫だった。両津が消火しているスタッフの元へと走る。

 

「原因はなんだ!?」

「分かりません!こういう大会の時にしか使わない倉庫ですので火元すらないはずなのですが…」

「じゃあ、原因は簡単だ。何者かによる意図的な爆発だ。」

 

 スタッフが驚く。そこにパトカーや消防車が駆けつけてきた。

 

「えらく早いな。」

「両津さん!」

 

 早矢が両津のところへと来た。

 

「爆弾魔!?」

「はい。ここを含めて既に4ヶ所を爆発させているみたいです。犯人グループは京都府に対し10億円を要求。従わない場合は30分おきに京都中に仕掛けた爆弾を爆発させると。」

「くそ!最近の犯罪者はどこからそんなもん入手するんだ!それで場所とかは分かるのか?」

「これではないでしょうか?」

 

 時行がスマホを見せる。生中継で爆弾魔達が警察に対し拳銃を発砲していた。手には拳銃の他にスマホも握っていた。

 

「スマホから起爆させる仕組みか。わしも行く!」

 

 両津はパトカーで来た警察官に事情を説明し現場へと向かった。現場は膠着状態だった。会場の爆破の後にもう1回爆破させている。

 

「さっさと10億円用意しろ!京都中に爆弾を100個仕掛けてるんだぞ!」

「隊長!既に怪我人も続出しています!」

「中の様子が分からんとどうにも出来ん。京都そのものを人質にとったようなもんだ。」

 

 両津が離れた場所から現場を見る。ビルの2階から爆弾魔の1人が身を乗り出し叫んでいる。裏口は既に爆破され正面入口からしか突入出来ない状態だ。

 

「下手に動くとどこが爆発するか分からんな。」

「両さん!」

 

 そこに時行達が来た。全員流鏑馬の時の格好をしている。

 

「なんでお前ら来た!?」

「心配だからです!」

「それに決着を邪魔したあいつらには一泡吹かせたい。」

 

 左京が爆弾魔を睨む。両津は空を飛んでいる報道ヘリを見た後にスマホの生中継を見る。爆弾魔の人数は3人。3人とも手にはスマホを持っていていつでも爆発出来るようにしていた。

 

「お前ら、今からわしが言うことを出来るか?」

 

 両津は早矢達にコソコソ話す。

 

「分かりました。」

「もちろん。」

「やってみます。」

「よし。」

 

 両津は近くにいた警察官から双眼鏡を借りる。

 

「距離は約60m。1人はじっとその場に留まり1人は動き回り1人は奥にいる。」

「私が動いている奴だ。」

「私は奥の方。」

「分かりました。」

 

 早矢、左京、右京が弓矢を構えた。

 

「同時に行きます。」

「はい。」

「あの程度、地元の荒波に比べれば容易い。」

「見てろ時行。弓矢の技術は日々進歩…いや、進化していく。それを支えてきたのは受け継ぐ者達の絶え間ない努力と新しいことにチャレンジする精神だ。」

 

 3人は集中して弦を引く。時行はその姿をじっと見守る。両津はいつでも突入出来るように他の警察官と一緒に準備する。そして、3人同時に矢を放った。まず、早矢の矢が要求してくる爆弾魔のスマホに、左京の矢が動き回っている爆弾魔のスマホに、右京の矢が軌道を曲げ奥にいる爆弾魔のスマホに命中させた。

 

「「「!?」」」

 

 突然のことで動揺する爆弾魔達。それと同時に両津達が突入した。

 

「おい!どうなってる!?」

「やべぇ!全然動かねえ!」

「こうなったら…」

「動くな!警察だ!」

 

 両津達はあっという間に爆弾魔達を捕まえる。しかし、その1人が笑っていた。なんともう1つスマホを持っていたのだ。

 

「てめぇ!」

「フッフッフッ…念には念を入れよってやつだ。時限式になるがもう止まらねぇ。1時間後には京都中の爆弾が爆発する。シンボルが吹き飛ぶぞ。」

 

 両津は爆弾魔をボコボコにして爆弾の在処を聞く。その1つがここにあった。両津はすぐに爆弾の解除を試みる。よく観察して青いコードを切った。すると、タイマーが止まった。両津はすぐに爆弾を持って外に出る。

 

「両さん!」

 

 時行達が駆け寄る。

 

「お前ら!今から言う場所に行って爆弾を解除してくれ!」

「ええ!?」

 

 時行が驚く。

 

「こいつは作り自体はシンプルだ。この青いコードを切れば止まる。だが、構造がシンプルな分作り易く持ち運び易い。だから、大量に作れるし設置もしやすい。この大きさの爆弾が爆発すれば甚大な被害が出る。それでもやってくれるか?」

「もちろんです。」

 

 最初に答えたのは早矢だった。そこから右京、左京と頷く。両津が時行を見る。時行も決心して頷いた。

 

「よし。残りの爆弾は5つ。その内の1つがこいつだ。あいつら爆弾が100あると言ってがあれは嘘だ。実際そんなに仕掛けてない。」

「分かりました。」

 

 両津が場所を言うと全員一斉に馬に乗り駆け出した。まず、右京が五条大橋に辿り着く。よく見ると橋の下に爆弾が仕掛けられていた。ここが爆発すれば橋が落ちてしまう。

 

「あそこですね。」

 

 右京は琴姫に近くの船に飛び乗るようにお願いした。琴姫が船に飛び乗る。その瞬間、右京が爆弾目掛けて矢を放った。矢は軌道を変えて青いコードに命中した。これで爆弾の1つは解除出来た。

 次に早矢が京都駅に到着した。そのまま駅内に入る。周りの人達が驚く。早矢が上を見上げると爆弾があった。どうやったのか分からないが屋根に爆弾が仕掛けられていた。

 

「あそこが爆発すれば天井が落ちて多くの人達が…」

 

 早矢はエスカレーターを駆け上がり出来るだけ近くに寄った。しかし、ほぼ真上だ。早矢は深呼吸すると弓矢を構えた。多くの人達が早矢を撮る。警備員が来た。それより早く早矢が矢を放った。矢は真っすぐ飛び青いコードに命中した。これで2つ目の爆弾を解除することが出来た。

 左京は遊園地の観覧車を見上げていた。その支柱に爆弾がある。爆発すれば支柱は崩壊し車輪部分が落ちる。さらに、面倒なことに爆弾は動いていた。観覧車の稼働部分に仕掛けられているためゆっくりとだか動いている。それに鉄柱が邪魔で狙い難い。

 

「いける。」

 

 それでも左京は冷静に弓矢を構えた。周りの人達がスマホで左京を撮る。左京は気にせず矢を爆弾に向ける。フラッシュが邪魔だが集中は乱さない。そして、矢を放った。矢は鉄柱の隙間を抜い青いコードに命中した。残る爆弾はあと1つ。

 その爆弾がある場所に時行が到着した。場所はなんと東寺だった。東寺の1番上の屋根の下に爆弾があった。そこに両津も到着した。

 

「残りはあそこか…どうやって仕掛けたんだよ。」

 

 両津が見上げる。もし、この爆弾が爆発すれば日本の世界文化遺産の1つが失われることになる。両津はなんとかしたいがあそこまでは行けない。時行も爆弾がある場所を双眼鏡で見つけた。しかし、高くて距離がある上に途中、木々が邪魔になっていた。

 

(あの爆弾に矢を当てるにはあそこまで届かせ尚且つ木々の隙間をぬうか木を貫通させるしかない。)

 

 時行は考える。そして、馬を東寺から離した。ある程度距離をとる。一度目を瞑り精神統一する。

 

(力を貸してください。貞宗殿、顕家卿。)

 

 時行はゆっくりと目を開ける。そして、馬を走らせた。周りにいた人達が驚く。東寺の下では両津達が避難誘導している。両津は最悪の結果を予想していた。

 

「頼むぞ時行…」

 

 両津の期待に答えるべく時行は馬を走らせる。弓矢を構え爆弾を狙う。チャンスは一度っきり。タイムリミットはあと20秒。失敗すれば爆発に巻き込まれる。そんな状況でも時行は冷静だった。足りない速度を馬で補う。馬のスピードに合わせ弦を思いっきり引く。そして、1番いいと判断した場所でジャンプさせた。

 

(見ていてください。)

「御ぶちのめせ!」

 

 時行が矢を放った。馬の最大速度を真っ直ぐ乗せた上に矢を放つと同時に全身の捻りで弓を突き出すことで、更なる加速を上乗せした。

 

射三十三間先共射全(三十三間先を射んとすれば全てを射ん)

 

 時行が放つ渾身の一撃は木々を貫き真っ直ぐ飛び青いコードに命中させた。その瞬間を両津は見ていた。タイムリミットまであと1秒。両津は一安心して振り向くとはぁ…はぁと息切れしている時行を見つけた。

 

「ナイス時行!」

 

 両津が駆け寄る。時行は緊張が解け馬に凭れかかる。それを両津が支えた。

 その後、爆発物処理班が到着し各地に設置された爆弾を全て回収した。時行達は会場に戻る。爆破事件のせいで続きも出来ない。それでも時行達は満足していた。

 

「強かったですね。」

「そうでしょう。」

 

 早矢と会話そている時行のところに右京と左京が来た。

 

「早矢、決着はまた今度だ。そろそろ戻らないといけない。」

「分かりました。その時を楽しみに待っていますわ。」

 

 左京が帰る。右京もそろそろ帰らないといけない時間だ。右京は時行の前に来てしゃがむ。

 

「かっこよかったですよ。」

「あ、ありがとうございます。」

 

 時行はまた顔が赤くなる。そこに琴姫が来る。右京は琴姫に話しかける。

 

「琴姫もあなたに挨拶したいって。」

「言葉が分かるのですか?」

「はい。琴姫は私の家族なので。」

「凄いです。」

 

 時行は右京を尊敬した。右京が琴姫と一緒に帰って行く。時行は右京の後ろ姿をボーっと見ていた。そこに両津が来る。

 

「帰るぞ時行。」

「は、はい!」

「お前に惚れられるなんて後世まで自慢出来るな。」

「両さん!」

 

 恥ずかしいのか時行は話を変えようとするも両津が弄ってくる。それを見て笑う早矢。3人は夕日に照らされながら帰って行くのであった。

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