「え〜。最近、遅刻や宿題などの忘れ物が増えています。これを解消するための学級会を開きたいと思います。」
ある日の小学校。その教室で雪長が学級会を開いた。議題は言っての通り遅刻や忘れ物をどうすれば減らせるか?それを議論しようとするもなかなか案が浮かばない。そこに亜矢が挙手する。
「給食抜き!それなら絶対私は遅刻しないし忘れ物もしないよ!」
「それは難しいですね。給食はみんなで食べるのが基本です。それを抜きにすると午後の授業に悪影響が出ます。」
「じゃあ、コッペパン抜き!」
「ハンバーグ抜き!」
「ソフト麺抜き!」
「君達、給食しかないのか。」
雪長が止める。今度は静が挙手した。
「逆さ吊り。」
「昭和でも見たことない体罰ですね。」
もちろん却下。いい案が浮かばないまま時間だけが過ぎていく。すると、時行が挙手した。
「領地没収はどうでしょうか?」
時行の案にみんなが首を傾げる。
「あ、その…つまり!自由に動ける場所を制限するということです!」
「なるほど…例えば他のクラスの教室に行くことを禁止するとか休み時間に運動場で遊ぶことを禁止するということですね。」
「は、はい!」
時行の案に雪長が頷く。
「確かに面白い案ではありますね。」
「時行ってたまに俺達じゃ考えれない凄いこと言うっすね。」
クラスのみんなは反対しない。というより実感が湧いていない。でも、担任の先生はそれは面白そうだと時行の案を採用してみた。教職員会議で時行の案が通る。そこから新しい取り組みとして時行の案“領地(行動範囲)の制限”が校則になった。
「みんな、廊下を走らないっすね。」
「廊下を走れば他の階への自由な行き来が出来なくなりますからね。」
翌日、学校に通った弧太郎達が驚いていた。廊下を走るなや整理整頓などの校則までにはなっていないものもしなければ領地没収という校則に加えられたことで守る生徒が増えた。
弧太郎達も他のクラスへ遊びに行けなくなるのは嫌だと時間厳守や宿題提出などをしっかりしていた。時行のアイデアが画期的だと先生達の間で噂になる。
「昔は廊下に立たせたりいろいろと没収していたが場所の没収とは。」
「面白い発想ですよね。」
職員室での話を廊下で聞いていた時行はご満悦だった。
「やっぱりいつの時代も領地は大切ですね。」
時行が歩いている。すると、追いかけっこしている生徒がいた。追いかけている生徒の足が止まる。どうやら、逃げた生徒が入った教室に入ることを禁止されているようだ。逃げた生徒はその生徒を煽っている。
「ふむふむ…ああいうことも起きるのですね。」
時行はすぐに担任の先生に提案する。その結果、領地に関するイジメなどが発覚した場合、その生徒も同じ領地に制限するという校則が出された。
それが功を奏したのかイジメは格段に減少した。そんな話を弧太郎は派出所で両津にしていた。両津も初めて聞く校則に驚いている。
「そんな校則が出来たのか。」
「凄いっすよ時行。俺達じゃ絶対考えられないルール作るんすから。」
「その発想力と行動力は先輩譲りですかね?」
一緒に聞いていた中川も驚いている。両津が中川に近付き耳打ちする。
「時行の時代って領地とかってどうなってんだ?」
「あの時代はお金よりも領地が大事な時代ですからね。与えられた領地を護ることこそが武士の生きがいと言われるレベルですから減らされるなんて屈辱の極みでしょう。」
「時行らしい発想ってわけか。」
両津が納得する。時行にとっては日常的に経験したものではあるが令和では戦争でもしない限り聞かない罰に両津は時行の発想力に驚いていた。
「中川、うちでもやってみるか?」
「その場合、先輩の行動範囲が机しかなくなりますよ。」
「やっぱ無しで。」
中川の返しに即白紙にする両津。弧太郎はあの両津までもが嫌がる罰なんだと驚いていた。時行の新しい校則の効果は絶大だった。そこに時行はさらに校則を加える。
「この校則を先生にもするというのはどうでしょう!?」
「先生方にですか?その必要はないと思いますが…」
雪長が担任を見る。自信がないのかそっぽを向く。
「させましょう。」
「待って高野君!」
校則に生徒だけではなく教職員も罰の対象とするを加えた。その結果、メディアに取り上げられるレベルにまで素行の悪さがなくなった。両津達はそれを見て感心していた。
「昔の罰はバケツ持って廊下に立たされたりビンタ、拳骨なんでもありだったな。」
「最近はそれも問題視されていますから身体的罰がしにくい時代になりましたからね。」
「時行の時代の罰って…」
「体罰は当たり前、学校というものすらなかった時代ですから校則という概念がありませんでした。」
「土地の没収がキツい時代ね。」
中川と麗子が答える。時行だからこその発想はこの時代には画期的だった。しかし、新しい校則もとい法律はどこかで歯車が狂うもの。だんだんと時行の考えた校則に綻びが出始める。
「時行、他のクラスが教室の奪い合い始めたぞ。」
「え?」
「なんでも、掃除した場所を自由に使えるを曲解して相手の教室を掃除して自分達が使える場所にしようと画策したようです。」
時行が呆れる。やってること南北朝と同じだ。争いは教室だけてばない。廊下、理科室や家庭科室、運動場までも争いの場に発展していた。時行は後醍醐天皇の気持ちを知る。為政者ってこんな感じなんだ。時行は頭を抱える。
「新しい校則を作りましょう!」
「だんだんおかしな方向に行ってるような…」
亜矢の心配は的中した。時行は政策もとい校則はどんどん過激になっていく。掃除は決められた場所のみ。争いした場合、喧嘩両成敗として両方の領地を没収する。その他、極端に厳しい校則が次々と出てきたため生徒達から不満の声が出始めた。
(後醍醐天皇、今ならあなたの気持ちが分かる気がします。)
時行は頭を悩ませる。それからもボランティアなどで活躍したり表彰された生徒や成績の良い生徒や学年1位の生徒がいるクラスの担任に領地を与えるなどの校則も付け加えたがそれでも不満は続く。
「そうですね。…不満を言う生徒の領地没収しましょう。」
「時行君、完全に独裁者だよ。」
渚が止める。既に他の階への自由な行き来が制限された弧太郎もさすがに時行に文句を言っている。
「やりすぎっすよ時行。元に戻した方がいいっすよ。」
「ダメです。このままでは…」
「もう何かに取り憑かれてるよ。」
「破滅する未来が見える。」
亜矢と静が時行を見て各々思ったことを言う。時行の暴走は止まらない。何がなんでも自分の提案を採用してもらおうと画策する。その姿はもう調子に乗った両津と同じだった。
「…というわけでさらに厳しく取り締まりましょう!遅刻や忘れ物はもちろん、成績不振の生徒も対象にするのです!」
時行の暴走をどう止めようか悩む弧太郎達。そこに雪長が提案した。
「それもいいですがまずは私達だけで実行してみませんか?」
「私達だけですか?」
「ええ。私達でやって有効なら先生に提案する。自分達でやったという実績もあるのでさらに納得してくれると思いますよ。」
「いいですね!」
時行が雪長の提案に乗った。
「では私の案で。」
「はい!行きましょう!」
「早速だけど時行君、君は算数の成績悪いですよね?」
「え…」
時行は国語は得意だが算数は苦手だ。成績も下から数える方が早い。
「そう言えば時行って結構廊下走ってるっすよね?」
「え…」
「レーズンいっぱい残してるの知ってる。」
「え…」
「時行君って遅刻もしたことあるよね?」
「え…」
「掃除もサボって逃げたことあるよね。」
「え…」
時行の不良部分が次々と露わになってくる。そして…
「あの…私の領地が犬小屋だけなのですが…」
「これは自業自得っすよ時行。」
「これに懲りてやりすぎはやめましょう。」
モモの犬小屋の中で涙を流す時行。モモに肩を叩かれている姿を見て哀れと思うと同時にやり過ぎた者の末路を知ることになる弧太郎達であった。
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