逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

125 / 229
新葛飾署忍者教室

 いつもの派出所

 両津がいつものように始末書を書いているとボルボがやってきた。

 

「両津、来週のサバゲーだが…」

「あれ?ボルボさん?」

 

 中川が反応した。

 

「今日は非番でずっと家にいるのでは?」

「そのつもりだったがサバゲーの予定がズレたから両津に報告にきた。」

 

 中川がまずいという顔をしていた。

 

「どうした中川?」

「実は時行君がボルボさんの場所を聞いたので今日は非番だから自宅にいると言って場所を教えました。」

「おい。ボルボの家は…」

「もちろん危ない仕掛けがあることは教えましたよ!」

「それよりもまずいぞ。今、家にはじいさんがいる。」

「なにぃ!あの小金丸が!?」

 

 両津と中川が驚愕する。そこに椎名がパトロールから戻って来た。

 

「パトロールから戻りました!」

「丁度いい椎名!お前はここに残れ!」

「え?両津先輩!?中川先輩!?」

 

 両津は椎名を留守番させて急いでボルボの家へと向かった。一方、時行は中川から言われた場所に着く。ボルボの部屋の前まで行くとそこで止まった。

 

「確か中川さんが言うには恐ろしい仕掛けがいっぱいあると…」

 

 まずインターホンを押す。しかし、反応はない。時行が壁に寄りかかって考えていた瞬間、殺気を感じた。すぐに避けると壁から槍が飛び出た。

 

「曲者!」

「うわぁ!」

「曲者!曲者!曲者!曲者!」

「なんですかいきなり!」

 

 時行は槍を避け続ける。すると、手裏剣を出して投げてきた。それも全部避ける。

 

「なかなかやるな…でも!」

 

 煙幕が張られた。それでも、時行は気配を感じ槍や手裏剣を避ける。そこに今度は刀が突き刺してきた。時行は間一髪避ける。時行の僅か数cm横に刀が刺さる。チラッと刀を見る。興奮している自分が映っていた。

 

「この中でも避けきるとは…」

「おい!」

 

 そこに両津達が来た。すると、両津達にも手裏剣を投げた。

 

「危ねえ!」

「俺だ!ボルボだ!」

 

 煙から出た男にボルボが叫ぶ。両津の顔数cm前で刀が止まる。

 

「なんだお前らか。さっさと言え。」

「言う前に手裏剣を投げるな!」

「あの、この人は…」

 

 時行が指差す。

 

「西郷小金丸。ボルボのじいさんだ。」

「両津、あの曲者を知ってるのか?」

「北条時行。わしが育てている子だ。」

 

 小金丸が刀を振り下ろす。

 

「危ねえ!何故振り下ろした!?」

「お前が嘘をつくからだ。」

「どいつもこいつも…」

「本当だぞじいちゃん。」

 

 ボルボが言うから渋々信じる。

 

「しかし、只者ではないだろ。わしの猛攻を全て避けきったぞ。」

「凄え。」

 

 全員驚く。

 

「あ、あの…」

「気に入った!お主、忍者にならないか!?」

「ええ!?」

 

 時行が驚く。

 

「まだ諦めてなかったか。」

「そうだ!折角東京まで来たのだ。このまま手ぶらで帰るわけには…」

 

 小金丸が時行を見る。そして、ニヤリと笑う。

 

「お主を忍者にして客寄せしよう。」

「あれぇ!?」

「わしと発想が同じだ。」

 

 小金丸は時行を連れてボルボの部屋へと入る。ボルボがまた壁を直さないと嘆く。

 

「お主、男か。」

「そうですよ!」

「いや待て。男のくノ一もアリか。」

「なんのことです!?」

 

 中で2人の会話が聞こえる。両津達が中に入ると太腿ギリギリまで丈の短い忍者衣装を着替えさせられた時行がいた。恥ずかしそうに下を抑えモジモジしている。

 

「両津。これなら売れるだろ。」

「売れるな。」

「両さん!?」

 

 時行が着替えたいと言うが小金丸はそれを無視して時行を担ぐ。

 

「このまま葛飾署に行こう。」

「なんでだよ!?」

「あそこから忍者教室を開く。」

 

 両津がずっこける。

 

「以前やって失敗しただろ!」

「大丈夫だ。螺旋丸が使えるようになると言えば生徒は増える。」

「完全な詐欺だぞ!」

 

 両津の忠告も無視して小金丸は時行を連れて新葛飾署へと向かった。

 

「また忍者教室ですか…」

 

 屯田署長が呆れる。小金丸は諦めずに何度も要求する。外では忍装束の時行を椎名含めた婦警達が撮影していた。その光景を両津達は見ている。

 

「小金丸の言う通りになったな。」

「不安しかないぞ。」

 

 両津とボルボが心配する。署長室から出た小金丸の顔はニッコニコだ。これは屯田署長が了承したなと確信する。その確信通り小金丸は新葛飾署の道場に忍者教室を開いた。

 

「よし!お前達、ちゃんと忍装束には着替えたか!?」

「これ…バニースーツじゃねぇか!」

 

 時行効果で入門した椎名達が文句を言う。婦警全員バニースーツだったのだ。それを見た両津がまたずっこける。

 

「お前、以前もマリアにやってただろうが!」

「こんだけ美女がいるのだ。それを利用しない手はあるまい。」

 

 小金丸はカメラで婦警達の写真を撮る。それを両津に見せる。

 

「これで忍者教室に入門する生徒が増えるだろ。」

「確かに…」

「カンキチ!」

 

 纏が2人にウサミミカチューシャを投げつける。仕方なく普通の忍装束にはなった。しかし、時行と同じでかなり丈が短い。

 

「これも…その…」

「似合っておるぞ。」

 

 小金丸は早速忍者修行だと言って天井に張り付いた。

 

「これが忍者の基本だ。」

「基本から篩に掛けすぎだろ!全員落ちるわ!」

 

 両津がツッコむ。小金丸は仕方なく天井から降りて忍び足を見せる。

 

「これが忍者の基本だ。」

「そうそう。それだよ。」

 

 両津が納得する。それでも音を鳴らしてしまう生徒達が大勢いた。その中でも時行は気配を感じさせることすらなく歩いていた。

 

「時行君、凄い…」

「忍者の才能あるかも…」

(玄蕃と一緒に綸旨盗りに行った時が懐かしいです。)

 

 小金丸は次に進むと言って箱を出してきた。両津が近付き箱を開けようとする。中からカサカサと音がする。

 

「おい小金丸…この中にゴキブリ居るんじゃないだろうな。」

「きゃあ!」

 

 両津の発言に麗子達が飛び退く。両津も冷や汗を掻く。

 

「入っとるわけないじゃろう。」

「ほっ。」

「入っておるのはサソリじゃ。」

「いやぁ!」

 

 逃げる麗子達。両津も逃げようとするも小金丸に捕まった。

 

「手伝え。」

「嫌だ!まだ持ってたのか!」

「当たり前だ。サソリは忍者の必需品だぞ。」

「初耳だ!」

「ちなみに1箱100匹はいるぞ。」

「そんなに持ってくるな!」

 

 小金丸がまた箱を出して両津に運ばせる。両津が運ぶがみんな両津から逃げる。両津も早く逃げたいと誰かに押しつけようと走り出す。出ようとするもいつの間にか撒菱がばら撒かれていた。

 

「こういう時だけ用意周到にしやがって!」

「早く開けろ!」

「嫌だ!真っ先にわしが襲われる!」

 

 両津が転ける。箱が開く。中からサソリの大群が出て来る。パニックになる麗子達。両津もサソリから逃げる。ボルボを盾にするがボルボも抵抗する。

 

「なんとかしろ!」

「おいで〜小百合、太郎…あ、小百合と太郎はこの中だ。」

「じじい!」

 

 両津がサソリを蹴り飛ばす。

 

「え、え〜と…誰だっけ?」

「さっさと戻せ!」

「先輩、時行君がサソリを隊列させてます。」

 

 中川が指差す先には時行がサソリを並ばせていた。時行の後ろに避難する麗子達。それに小金丸は唖然としている。

 

「時行のカリスマは全生物に通じるのか。」

「凄いな…」

 

 時行のおかげでサソリを箱に戻すことが出来た。両津は箱を戻す。両津が持っている箱がまだいくつかあったが見ないことにする。両津は小金丸に顔を近付ける。

 

「普通の体術や歩法だけにしろ。」

「わ、分かった。」

 

 小金丸は巨大な手裏剣を出す。

 

「これが…」

「それのどこが普通の体術だ!」

 

 両津が殴る。小金丸が巨大手裏剣を投げてしまう。巨大手裏剣は円を描き戻って来る。両津達が避けると巨大手裏剣は道場の壁に穴を開けた。

 

「危ねえ…」

「ヘリすら貫く手裏剣だぞ!一々持ってくるな!」

 

 両津がまた小金丸を殴る。小金丸は懐から青い玉を出す。

 

「なら、螺旋丸を教えてやる。」

「止めろ!そんなインチキ螺旋丸なんて使うんじゃない!」

 

 両津が止めようとするも小金丸は両津に螺旋丸(?)を放つ。両津に命中すると青い煙幕が道場に充満した。両津はくしゃみが止まらなくなる。

 

「中に胡椒を入れている。」

「そんなしょぼい螺旋丸があってたまるか!」

「何も見えませんね。」

 

 前が見えずぶつかり合う両津達。中川と麗子が窓を開けて煙幕を出す。すると、火事なのかと大原部長達が飛び出してきた。慌てて両津が説明する。

 

「何を考えているんだ。」

「文句はボルボのじいさんに言ってくださいよ。」

 

 くしゃみしながら説明した両津。纏達が近隣住民に説明する。このこともあり小金丸の忍者教室は中止となる。仕方なく片付ける小金丸。すると、サソリを入れていた箱が全て開いているのに気付く。近くには手裏剣で開けた穴。道場にはサソリは1匹も居ない。小金丸は冷や汗を掻く。

 

「小金丸。」

「なんだ!」

「もうここに来るな。来る度に大変なことになってるぞ。」

「わ、分かった。わしはこれでドロンするよ。」

 

 小金丸が去って行く。

 

「そうだ。北条君をわしの…」

「ダメだ!」

 

 両津が言い切る前に小金丸を追い出す。安心した両津が戻る。早矢達が何か会話していた。

 

「どうした?」

「署内の至る所からカサカサという音が…」

 

 早矢が両津に言っていると時行が上を向いて震えていた。それに気付いた両津が上を見ると天井に張り付いていたサソリを見つけた。そう言えば小金丸はサソリが入った箱を持っていなかった。2人は大量の汗を掻く。

 

「は、早矢。それは…」

 

 両津が聞こうとした瞬間、早矢の隣にいた麗子の首元にサソリが落ちてきた。麗子は驚き掴む。なんだと見るとサソリが威嚇していた。

 

「きゃあ!」

 

 麗子達が逃げる。そこに中川が来た。

 

「先輩、サソリが入っていた箱が5箱あったんですが全て開いていましたよ…」

「まさか小金丸の奴…」

 

 至る所からカサカサという音がした。理由は分かった。しかし、そのせいで恐怖が両津達を襲った。大原部長が近くの部屋の扉を開ける。が、すぐに閉めた。両津がまさかと思いその部屋の扉をちょっとだけ開ける。既にサソリの大群が部屋を占拠していた。

 

「両津…」

「小金丸の野郎〜!」

 

 両津が扉を蹴った瞬間、排水口や換気扇、壁の穴と新葛飾署中からサソリの大群が現れた。それにパニックになる署員達。その結果…

 

「両津、早く全部捕まえろ。」

「無理ですよ!500はいるんですよ!早くあのじじいを連れて来い!」

「頼む時行。お前のカリスマで集めてくれ。」

「この数全部なんて無理ですよ!」

 

 署内に閉じ込められサソリ捕獲を命じられた両津、ボルボ、時行であった。

俺だ!星逃田だ!お前達にアンケートするために来たぞ!この俺と北条時行とのコンビが描くハードボイルドストーリー“逃げ上手の転生記〜ハードボイルド刑事星逃田〜”が見たいだろ!見たい!か期待している!で答えてくれ!みんなの投票とコメント、待っているぞ!

  • 見たい!
  • 期待している!
  • 別に見なくてもいい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。