逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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漢ならカジキを釣れ!

 両津が机に突っ伏している。

 

「簡単に儲かる方法ないかな〜。」

「ないと思いますよ。」

 

 椎名がバッサリ言う。両津がスマホを見ている。

 

「最近生成AIによる偽情報が増えましたよね。」

「増えた。誰でも手軽に使えるようになった弊害だ。前の地震でもライオンを合成させて動物園からライオンが脱走したと嘘の情報を流す事件があった。簡単に出来るということは簡単に人を騙す手段が出来たということだ。」

 

 両津がその時の写真を見せる。

 

「大事なのは1つの情報を鵜呑みにするんじゃなく他の情報と合わせて真偽を確かめることだ。」

「先輩も大学教授の発言は簡単に信用しますよね?」

 

 やってきた中川の発言にうっと汗を流した。中川は手には何か箱を持っていた。

 

「なんですかそれ?」

「知り合いからカジキが送られてきたんですよ。」

「カジキ?あの角のある魚ですか?」

「そうだ。カジキは剣や槍のように長く鋭く伸びた上顎で獲物を捕まえたり身を守ったりしている魚だ。比較的暖かい海に生息していて日本じゃ沖縄とかでよく見られるな。マグロのような流線型の体をしている回遊魚でソードフィッシュとも呼ばれる。」

「詳しいですね両津先輩。」

「先輩は超神田寿司で板前していますからね。魚には詳しいですよ。」

「へぇ。」

 

 中川が箱を開ける。

 

「なかなか綺麗な切り身じゃねぇか。」

「これだけで30万はしますよ。」

「30万!」

 

 両津と椎名が驚く。見た感じ10kgもないはず。それなのに凄く高い。

 

「カジキの切り身って数kg2,3万ぐらいだろ!」

「普通はそうなんですがこのカジキは500万で落札された物なんですよ。」

「500万!?」

 

 また両津と椎名が驚く。

 

「カジキって凄い儲かるのか。」

「カジキマグロというぐらいだからマグロと一緒なのかな?」

「いや、カジキとマグロは全然違うぞ。」

「え?そうなの?」

 

 椎名が目を丸くして驚く。両津はカジキが儲かると知り検索する。すると、ニヤリと笑った。どうやら、沖縄でカジキ釣りの大会が近日開かれるのを見つけたようだ。カジキを売るだけではなく優勝賞金500万も目に入る。

 

「中川!わしは今から沖縄に行く!部長には浅草に法事に行ったと言ってくれ!」

「先輩、もうその言い訳10回以上してますよ。」

「両津先輩の親戚何人死んでいることになっているんですか。」

 

 両津は派出所を出て行った。それから数日後、両津は時行と本田を連れて二徹の船で沖縄の海にいた。周りには多くの漁船がいる。世界中から来ているようだ。

 

「両津、カジキ釣りはかなりハードだぞ。北条を連れて大丈夫なのか?」

「心配ない。」

「普通の釣りじゃないんですか!?」

「普通のカジキ釣りだ。」

「カジキですか…食べたことありませんね。」

「フライにすると美味いぞ。」

 

 両津はリールや生き餌の確認をする。海水温は25℃。天候は晴れているが海は荒れている。そのせいで船もかなり揺れていた。そんな中でも二徹の船は安定していた。

 

「そういや、娘達が世話になったようだな。」

「え?」

「この会った左京、右京と日光、月光は二徹の娘だぞ。」

「あ!?」

 

 時行は思い出す。あの4人の名字が飛鷹だった。時行はびっくりして二徹を見る。

 

「野球するために息子が欲しかったが産まれたのが全員娘だった男だ。」

「そうでした…あの右京さんのお父さんなのですね。」

 

 時行は膝を着く。そこにヘリが来る。そろそろ開始の合図がくるようだ。注意してヘリを見る。そして、開始の合図が鳴った。一斉に釣り糸を海へと垂らす。両津も負けじと釣り糸に生き餌を付けて海に垂らした。

 

「カジキを甘くみるなよ。時速2kmだが最大4mの刃物が泳いでると思った方がいい。下手したら串刺しにされるぞ。」

「任せろ!それぐらい…」

 

 両津の釣り糸に何か掛かった。両津はリールを引き釣り上げる。しかし、カジキではなくシイラだった。

 

「違う!次だ!時行、生き餌持ってこい!」

「はい!」

 

 両津はシイラを生け簀に投げ込み次の準備をする。時行から生き餌を受け取り付け再び釣り糸を投げ込む。周りではカジキを釣った者もいる。

 

「くそ!先を越された!」

「慌てるな。チラッと見たがあれは1m程度だ。まだ、優勝は出来る。」

「よし!」

 

 また、掛かった。しかも、さっきよりも重い。船が引かれるレベルだ。

 

「こいつは大物だぞ!」

「凄い揺れてますよ先輩!落ちちゃいます!」

 

 本田が船にしがみつき叫ぶ。両津が引くも釣り糸が切れてしまった。両津は倒れる。

 

「やられた!時行、替えだ!」

「は、はい!」

 

 時行は揺れる船内でも倒れずに釣り糸を両津に持っていく。

 

「平衡感覚いいじゃねぇか。」

「あたぼうよ!わしの子だぞ!」

「僕より逞しい…」

 

 両津はすぐに釣り糸を付けもう一度投げ込む。さっきの大物狙いだ。すると、向こうにいたアメリカの船に大物が掛かった。両津達が見ると遠くからでも分かるレベルの巨大なカジキが海面を飛んだ。

 

「でけえ!」

「5mはいってるか…あれを釣れば優勝間違いなしだ。」

「わしらも行くぞ!」

 

 二徹の船が向かう。巨大カジキは暴れながらアメリカの船に体当たりした。アメリカの船が大きく揺れる。巨大カジキはそのまま釣り糸を切って海へと逃げた。

 

「あれがカジキ…」

 

 産まれて初めて生でカジキを見た時行は興奮していた。

 

「カッコいい。」

「だろうな。」

「あれは凄い武器になりますよ。」

「そこかよ。」

 

 両津はツッコミながらも巨大カジキを狙い釣り糸を垂らす。しかし、次は中国の船に掛かったようだ。ものすごいスピードで逃げる巨大カジキ。そのままUターンして中国の船に突撃した。そのまま船に付けてあった釣り竿を破壊したうえに中国の船を転覆させた。

 

「ヤバい奴だな。」

「両さん、あれを釣るつもりですか?」

「当たり前だ。なぁ二徹?」

「ああ、あいつを見たら漁師の血が騒ぐ。ここまで来て逃げ帰るなんて出来ねぇ。」

 

 二徹も巨大カジキを狙う。

 

「先輩!他のカジキにしましょうよ〜!」

「ダメだ!漢なら狙うはトップ!あいつを釣り上げるぞ!」

 

 周りがそこそこの大きさのカジキを釣り上げる。しかし、両津達はもう狙いを決めている。しかし、その日はそれ以上巨大カジキが出ることはなかった。両津達は捕まえたシイラやカジキなどで食事する。

 

「まだ2日ある。カジキは回遊魚だが1日やそこらで遠く行くことはあまりない。チャンスはいくらでもある。」

「そうだ。明日もしっかり釣るぞ。」

「シイラもカジキも美味しいです。」

 

 翌日、再び例の巨大カジキを釣るために船を出す。昨日は7匹しかカジキは釣れていない。それも1mから2m程度の大きさだ。まだ逆転は出来る。

 

「今日こそは…今日こそはあいつを釣るぞ!」

「はい!」

 

 揺れる船上を走り回って準備する。何度も試す。しかし、巨大カジキは釣れない。

 

「先輩、他の船は次々とカジキ釣り上げてますよ。もう釣られているかも…」

「それは無い。あの大きさだ。700kgはあると思っていい。そんな大物が釣れたら主催側が黙っているわけないからな。」

 

 二徹は荒れ狂う海を見事な操縦で渡る。本田は遂に吐く。両津が本田に生き餌を持ってくるように言う。なんとか生き餌を釣り糸に仕掛けるも揺れに負けて海に落ちてしまう。

 

「お前が生き餌になってどうする!」

「この大時化じゃ無理ですよ〜!」

 

 両津が本田を引き上げる。そこに何かが掛かった。両津はまだ本田を引き上げている途中だ。

 

「時行!お前が引け!」

「えぇ〜!?」

 

 両津に言われて竿を引く。釣りはしたことはあるがその時とは比べ物にならない。時行が頑張って引くも負けている。そこに本田を引き上げた両津が来て引いた。

 

「よく頑張った時行!あとはわしに任せろ!」

 

 両津が引っ張る。すると、例の巨大カジキが姿を現した。

 

「来たぁ!」

「両さん!船が…」

 

 船が大きく揺れる。このままだと転覆する可能性すらあった。

 

「二徹を信じろ!ベーリング海の荒波だって制覇した漢だ!」

 

 時行と本田に両津と一緒に引く。巨大カジキはまだ抵抗している。両津達も負けじと力強くリールを巻き竿を引く。すると、巨大カジキがこっちに向かってきた。スピードを落とすことなく直進している。

 

「先輩!こっち来ましたよ!」

「やべぇ!」

 

 両津達が避けるも巨大カジキは時行に向かって突撃した。1mはあろうかという吻が船に刺さる。両津が時行を心配して名前を叫ぶ。吻は時行の左を掠めていたため時行は無傷だった。時行は巨大カジキを見て頬を赤らめ興奮している。

 

「はぁ…はぁ…凄い…大きい…これが刺さったら…」

「時行、ヤバい性癖が出てる。」

 

 両津が呆れて時行を見る。その時、巨大カジキが暴れ始めた。両津はこのチャンスを逃さんと捕まえる。

 

「時行!本田!手伝え!」

「どうするんです!?」

「こいつは生け簀には入らんからここで仕留める!抑えてろ!」

 

 両津に言われて抑え込もうとするも暴れる巨大カジキに苦戦してしまう。そこに時行が銛を手にした。

 

「…すみません!」

 

 時行は巨大カジキのエラに銛を刺す。巨大カジキはだんだん動きがなくなり遂に動かなくなった。時行は力が抜けその場にへたり込む。そこに両津が来て肩を叩いた。

 

「よくやった時行。」

 

 両津は二徹にもグッと親指を立てる。二徹も満足した顔で頷く。両津がヘリに向かって巨大カジキを自慢する。主催側も今までの大会で1番の大きさだと驚く。

 そして、翌日。結局、両津達が釣り上げたカジキ以上のカジキが釣れることなく両津達の優勝が決まった。カジキを吊り上げ両津達は記者達にピースする。それが新聞に載った。

 

「凄いですね。ここまでの大物はなかなか出会えませんよ。」

「これも運とわしらが諦めなかった結果だ。」

「本田さん、大変だったわね。」

「何度も酔って最後は喋ることすらなかったぞ。」

 

 写真に載っている本田は両津に抱えられグッタリしていた。

 

「あのカジキ、840万で売れたぞ。」

「682kgのカジキですからね。」

「中川先輩が持ってきたカジキも美味しかったですからこのカジキも凄い美味しかったんですよね?」

「わしらはこのカジキは食ってない。こいつを釣り上げるためだけに没頭していてな。他の釣り上げたカジキを食ってたらもういいやとなった。」

 

 両津は笑った。後日、このことを嗅ぎつけたマスコミに巨大カジキを釣り上げたエピソードを少し誇大に話した。そこから両津はマグネットやポスター、ゲームなど自身の偉業を称えるものを次々と発売した。

 

「両さんってあれで満足しないのですか?」

「先輩の欲は無限ですから。」

 

 テレビでまだまだカジキ釣りのエピソードを語る両津を見ていた時行達であった。

俺だ!星逃田だ!お前達にアンケートするために来たぞ!この俺と北条時行とのコンビが描くハードボイルドストーリー“逃げ上手の転生記〜ハードボイルド刑事星逃田〜”が見たいだろ!見たい!か期待している!で答えてくれ!みんなの投票とコメント、待っているぞ!

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