ある日、椎名がフラフラしながら派出所に帰ってきた。
「どうした?」
「コンビニで屯っている高校生注意したら喧嘩になって…全員病院送りにしてしまった。」
「始末書確定だな。」
椎名が頭を抱える。
「両ちゃん。教育係なんだからしっかりしてよね。」
「こいつをまともにするの大変だぞ。」
「部長さんもそう思ってますよ。」
両津は黙る。そこに大原部長が来る。見ただけで怒っているのが分かる。
「椎名君。」
「は、はい…」
「高校生8人全員が君に大怪我させられたと親御さんから報告がきたが本当かね?」
「え、え〜と…」
椎名の反応でもう分かった。大原部長は両津を見る。
「両津、お前が教育係なんだからしっかり教育しろ。ボーナスに影響するぞ。」
「分かりましたよ。」
両津は椎名を連れてパトロールする。
「お前また眼鏡外したな。」
「は、はい本来はヤンキーなのでつい…」
「とりあえずこれ食え。」
「これは?」
「煮干しだ。まずカルシウムを摂れ。」
椎名は言われた通り煮干しを食べる。その間に両津が紐で眼鏡を固定した。
「両津先輩!?」
「それを外すな。わしが許可を出したらわしが外す。」
「何しているのですか?」
時行がいた。椎名は驚き煮干しを喉に詰まらせる。
「と、時行様!?」
「何してんだここで?」
「散歩です。私は暇な時はいつも外に出ていますので。」
「宿題とかは終わったのか。」
「…私は逃げ上手です。好きな時に逃げるのが私なのです。」
「やってねぇな。」
両津が呆れる。
「そう言えばお前、東京に来たことがあると言ってたが出身はどこだ?」
「群馬です。」
「マジか。」
両津が驚く。
「ヤンキーやってた頃は群馬の一匹狼、略して群狼と呼ばれてましたから。」
「一匹なのか群なのか分からんな。」
椎名が恥ずかしそうに過去を語る。そこに今度は纏が来た。彼女もパトロールしているみたいだ。
「お前もパトロールか。」
「そう。最近電動キックボード関係の補導が多くて。」
「あっ、今朝蹴り飛ばした高校生達も電動キックボード持ってましたね。」
蹴り飛ばしたというワードに反応しえっ?という顔をする纏。その纏が言う通り最近電動キックボードに乗る若者が増えたが義務であるヘルメットを付けてなかったり歩道を走っていたりと問題が増えていた。しかも、電動キックボードは狭いところも走れるのでパトカーじゃパトロールしにくいということになり歩きでパトロールしていた。
「わしなら電動キックボードで100kmは出せるぞ。」
「出すな!」
纏も加わりパトロールをする。今日は至って平和な日だった。迷子を連れて行ったり道を教えたり知り合いと駄弁るを繰り返していた。
「今日のような日が続くといいですね。」
「そうはならないのがこの街なんだよ。」
両津がやっぱりという顔で前を見る。そこには何の変哲もない民家だった。両津は民家をジロジロ見る。すると、玄関に向かった。
「すみませーん!すみません奥さん!警察です!奥さん!」
両津がどんどんドアを叩きながら叫ぶ。その瞬間、民家の窓から出てきた男が塀を乗り越えた。それを纏と椎名で捕まえる。
「ほらな。」
「よく分かりましたね両津先輩。」
「この辺りは人通りが少ないうえにほとんどが共働き家庭か老人だから入りやすい。」
両津達は男を近くの交番に引き渡しパトロールを再開する。
「両津先輩ってたまに凄い能力発揮しますよね?」
「カンキチは器用だからなんでもするぞ。」
両津を褒める纏。
「まぁ、金が絡むと最低になる。」
「それは付け加えなくていいだろ!」
ツッコむ両津。纏が両津達より前を歩く。両津は椎名を見る。
「わしのことよりもお前だ椎名。お前のヤンキー治さんとわしのボーナスが減る。」
「既に無いだろ。」
「まだある!」
前を歩いている纏の言葉にまたツッコむ。両津は椎名の過去からヤンキーの性格を治す方法を探そうとした。椎名が昔の事を思い出しながら話し始めた。
あれは2,3年前、椎名がまだ高校生だった頃。思い出作りのために友人と一緒に初めての東京に向かった。テレビ以外で初めて見る渋谷や原宿に興奮した椎名達は金も時間も気にせず観光を続けた。
時間が過ぎ夕方になった頃。椎名は友人達と逸れてしまった。土地勘のない東京で心細くなる。そこにナンパ目的の男達が椎名のところにきた。
「姉ちゃん1人?」
「東京じゃないだろ。どこから来たん?」
椎名は無視して進む。その先を塞ぐように先回りされた。後ろにもいる。
「あの…忙しいから退いてくれない?」
「いいじゃん!ちょっとだけ!ちょっとだけお話しようよ!」
「そうそう!ファミレスでもホテルでもどこでも連れてってあげるから!もちろん、お金はこっちで出すから!」
「興味ないので。」
椎名ご脇を通り抜けようとしたら男の1人が椎名の腕を掴んだ。椎名は振り払う。すると、その男は大袈裟に痛がり始めた。それを合図に取り囲む。
「あ〜あ、素直に言う事聞けば怖い思いせずに済んだのに。」
「バカか?あんなもんに引っかかる奴いねぇだろ。」
「そういうのはどうでもいいんだよ。」
男達が無理矢理椎名を捕まえようとした。椎名も抵抗する。なんとか奮戦するも多勢に無勢。だんだん追い込まれていく。椎名はそこで自分が井の中の蛙だと知る。群馬じゃ男相手だって負け知らずだった。それが東京に来てみればこの様だ。
「田舎じゃ喧嘩が強かったってか。」
「調子乗ったな。」
男達が椎名を連れて行こうとする。そこに誰か来た。その人は男達をあっという間に倒していく。椎名は目を殴られ上手く開けることが出来なかったがボヤけながらも警察官の制服とスカートが見えた。椎名はそのまま気絶した。
目を覚ますと病院にいた。友人が泣いて喜んでくれた。椎名は自分を助けた人を聞こうとするも分からないと返事した。その事がきっかけで椎名は警察官になろうと決意した。
「いい話ですね。」
時行が感動している。両津はこの話からヤンキーを治す方法が思い付かなかった。纏を見るとなんか考え事している様子だった。
「纏。」
「なんだカンキチ!」
「何考えてたんだ?」
「別に何も!」
両津が纏に詰め寄る。時行はその様子を見ていると脇道から音が聞こえた。チラッと見ると電動キックボードに乗った集団が爆走していた。
「椎名さん、あっち。」
時行は椎名を連れて向かうと駐車場で爆走している電動キックボードの集団がいた。全員ヘルメットを着用していない。椎名が声をかける。
「君達、何やってるの?」
「人生楽しんでる!」
「それで?」
電動キックボードの暴走族なんて聞いたことない。椎名が注意しようとした瞬間、暴走族は駐車場を出て歩道を爆走した。歩行者がびっくりして避ける。
「待て!」
「俺達18なんで乗ってもいいんですよ〜!」
「ヘルメット着けて!歩道は走ったらダメ!」
「そんな法律知りませ〜ん!」
「今知ったでしょう!」
椎名が追いかけるが電動キックボードのスピードに追いつけない。眼鏡を外してヤンキーになれば追いつくが両津に外せないようにされている。代わりに時行がガードレールなどを使って先回りする。
「危ないことは止めましょう!」
「邪魔だ!」
全然止まる気のない暴走族。そこに両津と纏が現れた。2人はあっという間に暴走族を全員倒した。椎名が追いつく。その時、纏の背中にあの時と同じ感覚がした。
「お前ら、それに乗るならちゃんとルールを守れ。」
「最近は電動キックボードの暴走族なんているのかよ。」
「あの…」
纏が振り向く。
「もしかして…さっき話した婦警さん…」
両津が驚く。纏は思い出したと話を始めた。
「あの時、パトロールしてたら集団で女の子に暴行している奴らがいたから全員引っ叩いたな。」
「お前がまだ配属されたばかりの頃か。」
「うん。」
「纏先輩…」
椎名の目がキラキラしている。警察官になるきっかけをくれた憧れが今、目の前にいるのだから無理もない。その後…
「纏先輩〜!これからは纏の姉御と呼ばせてください!」
「ま、待って!」
「まさか、椎名さんの憧れが纏さんとは…」
「纏は本当に女にはモテるんだな。」
「うるさいカンキチ!」
派出所に戻った両津達は纏に抱き着く椎名を見る。纏は恥ずかしいからと普通に呼んでほしいと言うが椎名は聞いていない。その後、ヤンキーの時だけ纏の姉御と言うことを条件に普通に呼んでくれるようにはなった。
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