逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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バナナ園でリベンジ!

「今年はバナナか。」

「去年はイチゴ園で先輩が暴れまくりましたからね。」

「聞きたいような聞きたくないような…」

 

 バナナ園に向かうバスの中、両津が元気にカラオケ熱唱している。時行は中川達から去年の散々なイチゴ狩りを聞いて呆れていた。

 

「もうすぐ着くぞ。」

 

 大原部長が両津を止める。バスが停まりバナナ園へと向かう。そのバナナ園にいた園長が今日の予定を聞いていた。

 

「今日は確か団体様が1つだけだったね。」

「はい。親方商事御一行様ですね。」

「来たか…」

 

 園長が外を見る。先頭に両津がいた。園長は両津を見て笑っていた。両津達が到着する。そこに園長が来た。もちろん、両津達は知っているからびっくりしていた。

 

「あっ!お前、イチゴ狩りの時の!」

「え、ええ。」

「バナナに変えてたのか。」

「誰かさんのせいでイチゴ農園を畳みましてね。」

「あれはさすがに悪かったと思っているよ。」

 

 両津が申し訳なさそうに指示喋る。園長は両津達を案内するが両津と本田とボルボと左近寺、そしてついてきた時行を別の場所に案内する。

 

「おい。なんでわしらだけ別の場所なんだよ。」

「お客様は大変大食漢というわけで他の方と一緒にいたら食べ尽くしてしまうので特別にこちらへ。」

 

 園長が案内する。

 

「本当にバナナなんだろうな。去年は赤く塗ったキュウリをイチゴだと言ってたからな。今度は黄色に塗ったキュウリをバナナと言うんじゃないだろうな?」

「もちろん!青々しいバナナでございますよ。」

 

 園長の笑顔が怪しい。園長が案内した先に入る両津達。すると、園長は金網の扉を閉めて鍵をかけた。

 

「おい!なんのつもりだ!?」

「バナナは進んだ先にありますのでどうぞご自由に!」

 

 そう言って去ってしまう。両津達は仕方なく進む。

 

「本当にバナナだろうな。」

「青々しいというのは?」

「瑞々しいとかフレッシュとか新鮮という意味があるな。」

「じゃあいいじゃないですか!」

「待て時行。あの園長の目、完全にわしらを敵と見ている。」

 

 時行がええ…と両津を見る。進んで行くと確かに青々しいバナナがあった。しかし、青々しいというより青いバナナがあった。

 

「これが青々しい?」

「くそっ。青く塗ったバナナか。」

「食べれるのかこれ?」

 

 一応剥いてみる。皮だけではなく実も青かった。食欲が失せる両津達。チラッと見ると向こうでは普通のバナナを食べている大原部長達がいた。

 

「やっぱりやられたな。」

「これ食ったらまずいんじゃ…」

「少し苦いですけど食べれますよ。」

「これを躊躇なく食うのか…」

 

 ムシャムシャと青いバナナを食べる時行に両津達は驚いている。両津はどうしようか考える。ここと大原部長達がいるところには崖がある。高さは10mぐらいだから登り降りが出来ない高さではない。問題はその間にある川だ。

 

「なぁ、両津。川に何かいないか?」

「わしもそう思ったところだ。」

 

 よく見る。目を凝らしてよく見る。すると、ワニがいた。しかも、いっぱいいた。両津達は嫌な顔をする。

 

「バナナワニ園かよ。」

「どうします先輩?」

「行くしかないだろ。」

 

 両津はバナナの枝や葉っぱを使って器用に弓矢を作る。それを時行に渡した。矢にはどこからか見つけてきたロープを縛り付けている。

 

「時行、これを向こうまで飛ばせ。」

「わ、分かりました。」

 

 両津が何か企んでいることを知らない園長は笑っていた。

 

「これで今回は私の勝利だな!さすがの両津もここまでは来れまい!囲むフェンス!登りにくい崖!借金して飼ったワニ軍団!これなら…」

「そう言えば園長。あの人の隣に子供がいましたよ。」

「え?」

 

 園長は気付いていなかった。監視カメラで確認してみると確かに時行がいた。

 

「しまった。子供にあのバナナはキツい。なんとかあの子だけでも…」

「何か渡していませんか?」

「ん?なんだあれ?」

 

 時行は弓を引く。そして、矢を向こう側まで飛ばした。これには園長も驚く。さらに時行は崖からジャンプして降りると躊躇いもせずにワニがいる川に飛び込んだ。

 

「待って!そこにはワニがいるんだよ!」

 

 園長がどうしようと悩んでいるとワニから楽しそうに逃げている時行がいた。ワニから逃げ切り崖を駆け上がる。園長達はそれを見て唖然としていた。時行は矢に付けたロープフェンスに結び付ける。両津もバナナの木に結び付けた。

 

「よし。ここを伝って渡るぞ。」

「やるんですか先輩?もし落ちたら…」

「そんなこと考えるな。」

 

 両津達はロープを伝う。園長がまずいと部屋を出て追いかける。しかし、フェンスに入った時には既に大原部長達の前にいた。

 

「両津、そっちはどうだ?」

「なかなか面白いバナナがありましたよ。なので部長達にもお裾分けを…」

「い、いらん!両津達だけで楽しんでくれ!」

 

 青いバナナを見て引く大原部長。両津はボルボに指示そてニッパーでフェンスを切り入ってきた。

 

「よ〜し!わしらもバナナいっぱい食べるぞ!」

 

 園長が到着する。両津達は普通にバナナを食べている。

 

(普通に楽しんでいる?いや、あの男のことだ。何か企んで…)

「そうだ園長。」

 

 両津が園長に気付き声をかける。

 

「これでいいんだよこれで!」

(これ以上、刺激するのは止めておこう。)

 

 今後のためにも両津に手を出すのを止めた園長。一応、変なことしないように見張る。今のところ普通に食べているだけだった。しかし、だんだん雲行きが怪しくなる。小町と言い争いを始めたのだ。

 

「お前ら取り過ぎだろ!」

「いいじゃない!こっちは人数が多いのよ!」

「ほとんどバナナ1本で満足するじゃねぇか!」

 

 バナナの取り分で言い争いしていた。園長がこれはまずいと飛び出す。

 

「お客様、ご安心を。バナナはたくさんありますので…」

 

 園長が仲裁に入るも言い争いは何故かどっちがバナナを独占するかの勝負になった。両津が野球拳を提案するも即座に却下された。すると、両津は青いバナナを出してバナナの大食い勝負を申し込んだ。

 

「やってやろうじゃない!」

 

 小町が乗るも青いバナナの不味さに一口目からダウンした。両津は顔を青くさせながらも一房食べ尽くした。両津が勝利し大笑いする。

 

「どうだ!…うぷっ。」

 

 両津は吐く。そんな青いバナナを普通に食べている時行。中川と麗子が止める。大原部長は呆れバナナ狩りを再開する。両津は他の男性署員達を集める。

 

「さぁ!ここからはわしらの独壇場だ!お前ら!日頃の鬱憤をここで晴らせ!」

「「「おぉー!!」」」

「日頃から鬱憤というものが溜まっていたのですか?」

 

 時行が聞くも中川も麗子も答えない。

 

「1番!両津勘吉!バナナ丸呑みいきまーす!」

「いいぞぉ!」

 

 両津ごバナナを噛まずに丸呑みする。それを見て笑う署員達。そここらというもの署員達によるバナナを使った一発芸大会が開かれた。大原部長が安全な場所にあるバナナを小町達にあげる。

 

「悔しい…」

「頼むから普通にしてくれ…」

「両津がいる限りそうはなりませんな。」

 

 大原部長が園長を慰める。一発芸はだんだん下ネタ方面に走って行く。バナナを股間に当てたり下品なものに見立てたりやりたい放題だ。

 

「よし!次はバナナ合戦だ!」

 

 両津達は2チームに分かれバナナを投げ合い始めた。飛び散るバナナ。皮を踏んで転ぶ署員達。もう終わりだと嘆く園長。

 

「両津!」

「部長もやりますよ!」

「やるかバカモン!」

 

 大原部長が叱るも両津達は止まらない。バナナ合戦がさらにヒートアップする。被害は参加していない署員達にまで及んでしまう。男女上下問わずバナナまみれになる。そんな光景を見た時行は両津に近寄った。

 

「両さん…」

「おう!時行も一緒にやるか!楽しいぞ!」

「…心底見損ないました。」

 

 時行が冷たい目線を両津達に送る。両津達は動きが止まり震えた。そのまま時行に跪き平伏した。

 

「す、すみませんでした。」

「凄い。あの両津を大人しくさせた。」

「時行のあの一言はキツいですね。」

「あのバカ共には純粋な子供の正論と罵倒が1番効くのだろう。」

 

 時行に土下座する両津達を見て園長は感服し大原部長は両津達に呆れるのであった。

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