逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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時行と恐竜

「これが…恐竜…」

 

 時行達は今、福井県恐竜博物館に来ていた。両津と中川とマリアの付き添いで弧太郎達も一緒にいる。

 

「こんなのが私が産まれる遥か前からいたなんて…」

「驚きっすよね!」

(時行もお前達からしたら遥か前の人間なんだがな。)

 

 恐竜博物館の中を見て周る。ティラノサウルスの実物大骨格標本の前で燥いでいる。

 

「確かティラノサウルスって年々姿が変わっていったよな?」

「ええ。最初は直立二足歩行で尻尾は地面に着けた所謂怪獣型でした。それから、尻尾を上げ頭、背中、尻尾が一直線になり羽毛が生えたり唇が出来たりしてましたね。」

「ティラノサウルスも大変だな。」

 

 時行達がマリアと会話している。

 

「そう言えば、中川のところでジュラシック・パークみたいな施設を作ってなかったか?」

「作ってましたよ。名前もそのままジュラシック・パークです。恐竜と人間が共存しているという設定で進められているプロジェクトの1つです。映画と違うのは恐竜は全てAI搭載型のロボットという点です。これによりより安全なテーマパークになります。」

「そこに時行達を招待してみないか?」

「いいですね。体験していただくモニターの方々を募ろうとしていたところです。」

「よし。」

 

 後日、両津は時行達をヘリに乗せてジュラシック・パークへと向かった。ヘリポートに着き降りる時行達。早速空をプテラノドンの群れが飛んでいた。

 

「すげー!あれ、プテラノドンっすよね!?」

「どうやって飛んでんだ?」

「羽ばたき飛行機と同じ原理です。後はラジコン鳥のように滑空からの着地する機能を着けています。」

 

 両津は技術の進歩に驚いている。森の中を進むとラプトルがいた。こちらを見て動かない。ロボットと分かっていても怖いぐらいリアルに動く。

 

「襲ってこないか心配だよね?」

「大丈夫。1番最初に襲われるのは両さん。」

「なんでわしが!?」

「大丈夫ですわ!両様が襲われたら私が守ってさしあげます!」

「本当に出来そうで怖い。」

 

 中川の案内で森を抜ける。そのには広い草原と数多くの恐竜達がいた。

 

「ここが白亜紀ゾーンです。有名なティラノサウルスやトリケラトプスはこの時代の恐竜ですよ。」

 

 時行達が興奮して走り回る。トリケラトプスに乗ろうとしたり赤ちゃんに触ってみたり各々の方法で楽しんでいる。

 

「トリケラトプスの角やフリル…この扇状になっている装飾部分は敵から身を守るだけじゃなく同種間でのコミュニケーションにも使われてたと言われてる。」

「博識ですね。」

「先輩は恐竜の骨格標本や模型をいくつも作ってましたからね。」

「プラモデルと同じよ。構造さえ分かれば簡単に作れる。」

(まぁ…天国じじいのところにいた奴のせいで本当の白亜紀に行ったことあるなんて言えんしな。)

 

 両津が遠いところを見て切ない顔をする。マリアが両津を戻す。両津は悪い悪いと言って戻る。スピノサウルス、アンキロサウルス、パキケファロサウルス、ギガノトサウルス、イグアノドン、フクイサウルスを見回っていると海からモササウルスが現れた。もちろんロボットだがその迫力に時行達は固まっていた。

 

「凄えな。」

「あれはモササウルス。アメリカや日本でも化石が発見された海の支配者です。」

「あれと鬼ごっこしてみたい。」

「時行が変な性癖を爆発させる前に次に行きましょう。」

 

 雪長が時行を連れて行く。今度はジュラ紀ゾーンのようだ。最初に見つけたのは世界最大と言われた恐竜ブラキオサウルスだ。その大きさに時行達は首を痛めるほど見上げていた。後ろにはアロサウルスとステゴサウルスが戦っている。

 

「これが全部ロボットか。信じられんな。」

「科学技術の進歩と絶え間ない努力により昔の化石やDNAから再現することが可能になった時代ですよ。」

「じゃあ、昔の偉人とかも再現出来るのかな?」

 

 亜矢の質問に時行がドキッとする。

 

「厳しいですね。恐竜と違いDNAが採取出来る骨などが見つかりませんので。偉人の場合は資料や当時の絵などから想像するしかありませんね。」

「そうなんだ…」

「こいつらいればCGを使わなくてもジュラシック・パークが出来そうだな。」

 

 ジュラシック・パークを見学した後にパーク内のレストランで食事する。みんな興奮して食事どころじゃないみたいだ。両津と中川はこれなら開いても大丈夫だなと安心した。

 食事が終わり自由行動になる。ジュラシック・パーク内はあらゆるところに監視カメラがあるが一応決められた場所から出ないように中川が釘を刺す。

 

「じゃあ、18時にここに集合してください。」

「よし!5時間たっぷり遊べるぞ!」

 

 両津が時行達を連れて再び恐竜達に会いに行く。時行はやっぱりティラノサウルスに興味があるようで探していた。白亜紀ゾーンに足を踏み入れる。森の中を歩いていると倒れているトリケラトプスに足を乗せているティラノサウルスを見つけた。

 

「いた…あれが両さんが言っていた最強の恐竜ティラノサウルス…鬼ごっこしてみたい。」

 

 時行はワクワクが止まらない。頬を紅潮させ目をキラキラさせて興奮している。すると、時行に気付いたティラノサウルスがこちらを見た。ティラノサウルスと目が合う。ゆっくりと近付くティラノサウルス。時行も逃げる準備は出来ていた。

                      

          令和鬼ごっこ  

           最強恐竜鬼    

         《ティラノサウルス》

 

 ティラノサウルスが走る。鋭い歯が並ぶ口を大きく開けて襲ってくる。それを時行は避けた。時行はウッキウキで逃げ始める。ティラノサウルスは時行を追いかける。時行の前にヴェロキラプトルの群れがいた。時行に気付いたヴェロキラプトルが襲ってくるも時行は避けた。そのヴェロキラプトルをティラノサウルスが噛みつき投げ飛ばす。

 

「凄い!これが何万年も前にいたなんて…」

 

 時行は他のヴェロキラプトルからの攻撃も避ける。ティラノサウルスはヴェロキラプトルに興味はないようで邪魔だと言わんばかりに払って行く。時行は草原エリアに出る。ティラノサウルスも時行を追って草原エリアに出た。

 

「こっちですよ!」

 

 時行は楽しそうだ。ティラノサウルスはこちらに向かって威嚇しているトリケラトプスをあっさり倒し時行を追いかける。イグアノドンの下を通って逃げる。ティラノサウルスはイグアノドンを体当たりで吹き飛ばして追いかける。

 

「時行の奴、どこ行ったんすかね?」

 

 時行を探す弧太郎達。すると、雫が時行を見つけた。どこだと聞くと指を差した。その先には笑顔でティラノサウルスから逃げる時行がいた。みんな汗をダラダラ掻く。

 

「え?時行…ティラノサウルスから逃げてる?」

「あのシーンは完全にジュラシック・パークの一場面ですね。」

 

 この状況を飲み込めていない弧太郎達。時行は弧太郎達に気付くと手を振りながら向かってきた。もちろん、ティラノサウルスも向かって来ている。

 

「みんなー!」

「来るなぁ!」

 

 弧太郎達は慌てて逃げる。早く隣のジュラ紀ゾーンに行くための従業員用のゲートを開ける。開くのが遅い。弧太郎達は早く早くと焦っていた。後ろには時行とティラノサウルス。すると、ギガノトサウルスがティラノサウルスに噛み付いてきた。それに対抗すべくティラノサウルスも噛み付く。

 ゲートが通れるぐらいまで開いた。弧太郎達は急いで入る。雫が閉じるボタンを押す。ゲートが閉まり切る前に時行が入ってきた。みんな、ホッとしてしゃがみ込む。

 

「楽しかったです。」

「こっちは心臓止まるかと思ったっすよー!」

「時行君、怖いから止めて。」

 

 一安心して腰が抜ける。白亜紀ゾーンに行くのは止めようと立ち上がる。すると、突然開閉時のアラームが鳴り響いた。ボタンがあるところを見ても誰も居ない。おかしいと思っていたらゲートが開きティラノサウルスがこちらを見ていた。

 

「え…?」

「まさか…」

「開閉ボタンを押した…」

 

 渚の予想は当たっていた。ギガノトサウルスを倒したティラノサウルスは尻尾で開閉ボタンを押して開けたのだ。ティラノサウルスはこちらを見ている。これはヤバいと判断した弧太郎達。時行はまた鬼ごっこが出来ると興奮している。

 

「に、逃げるっすよー!」

「これって死んだフリとかした方がいいんじゃ…」

「そのまま食べられて終わりでしょうね。」

「あれはロボット。あれはロボット。あれは…ロボットでも怖いっすー!」

「楽しいですね!」

「「「どこが!?」」」

 

 ティラノサウルスから必死に逃げる時行達。開いた状態のゲートから白亜紀ゾーンの恐竜達が出てくる。一方の両津は恐竜で大儲け出来ないかと試行錯誤していた。

 

「恐竜サーカスとかいけるな。ボールの上でバランスとるティラノサウルスとか絶対ウケるぞ。」

 

 両津は恐竜で大儲け出来るとニヤニヤしていた。すると、ジュラ紀ゾーンが騒がしくなっていることに気付いた。両津が駆け寄るとアロサウルスがアンキロサウルスと交戦していた。

 

「おい!アンキロサウルスは白亜紀ゾーンだろ!」

 

 両津は何が起きたのか確かめるために中川に連絡した。

 

「どうなってんだ!?」

『分かりません!突然、従業員用ゲートが開き白亜紀ゾーンの恐竜達がジュラ紀ゾーンへと雪崩込んでいます!』

「時行達は!?」

『探しています!』

 

 両津も時行達を探そうとしているとマリアが来た。

 

「両様!」

「マリア!お前も時行達の捜索手伝え!」

「分かりましたわ!」

 

 両津とマリアがジュラ紀ゾーンを駆け回って時行達を探す。その時行達はティラノサウルスから逃げていた。必死に逃げているといつの間にか居なくなっていることに気付いた。

 

「いないよ。」

「諦めたのかな?」

「壊れたか他の恐竜に興味が移ったのか…どっちにしてもこれで安心…は無理みたいですね。」

 

 雪長が見る先には白亜紀ゾーンとジュラ紀ゾーンの恐竜達が戦争していた。

 

「凄い迫力。」

「まるで怪獣映画っすね。」

 

 弧太郎が慄く。そこにヴェロキラプトルの群れが襲ってきた。反応が遅れてしまう。そこに両津が来てヴェロキラプトルに体当たりし尻尾を掴みぶん回した。

 

「こいつらに手ぇ出すなー!」

「コーチ、凄いっす。」

「両さんなら恐竜の時代に行っても生き残りそう。」

 

 ヴェロキラプトルを一掃した両津は駆け寄る。

 

「お前ら!大丈夫か!?」

「大丈夫っすよコーチ!」

「両さん凄ーい!」

 

 弧太郎達が喜ぶ。しかし、安心出来ない。今度はスピノサウルスが両津達を狙っていた。両津達はすぐに逃げるもスピノサウルスの方が速い。その時、マリアが駆け出しスピノサウルスを蹴り一発で倒した。

 

「両様に手出しなんてさせません!」

「両津さんの周りは強過ぎる方が多いですね。」

「何も怖くない。」

 

 時行達と合流した両津はすぐに中川に連絡した。

 

「中川!時行達を保護した!」

『こっちも原因の特定がなんとか出来ました!ティラノサウルスの追尾機能の対象がジュラ紀ゾーンに入ったためティラノサウルスがゲートを破壊して侵入したのが原因と思われます!』

 

 スマホから聞こえる中川の声で弧太郎達は時行を見る。時行は汗をダラダラ流しながらそっぽを向く。それを見た両津は確信していた。

 

「時行…」

「…鬼ごっこをしてみたいと思いました。」

「本当のジュラシック・パークみたいになってきたな。」

 

 両津が中川に恐竜達を止めるように命令する。中川も既にしているようで比較的大人しい恐竜のほとんどは機能停止している。しかし、ストップ機能が壊れてしまったのかまだ暴れている恐竜がいる。

 両津達は安全な場所へと走る。その時、両津がプテラノドンに捕まった。時行達が助けようとジャンプするも既にプテラノドンは高く飛んでしまう。そのまま海に向かう。

 

「まずいぞ…ジュラシック・パークだったら…」

 

 両津は下を見る。その時、モササウルスが現れ両津とプテラノドンを食べようとした。両津はなんとか食われないように踏ん張る。しかし、モササウルスはそのまま海へと消えてしまった。

 

「両さん!」

「両様!」

 

 時行達が叫ぶ。すると、モササウルスが苦しみ出し両津を吐き出した。

 

「危ねえ!」

「あれは危ないで済むのでしょうか?」

「もうコーチは人の域を出ている気が…」

 

 両津を心配するマリア達。時行は視線を感じ後ろを見る。まだ、恐竜達が暴れている。その中にこちらをジーと見ている恐竜がいた。あのティラノサウルスだ。伏せた状態で時行達を狙っている。

 

「両さん、早く逃げましょう。」

 

 時行が言う。両津もティラノサウルスに気付いた。ティラノサウルスも自分の存在がバレたと判断したら一気に走ってきた。両津達は慌てて逃げる。時行は興奮している。

 

「とにかくシェルターまで逃げるぞ!」

 

 両津達は恐竜の居ないシェルターへと走る。それを追いかけるティラノサウルス。追いつかれる。そう思った瞬間、マリアがティラノサウルスの顔を蹴り飛ばした。ティラノサウルスは耐えるも時間が出来た。そのおかげで両津達はギリギリでシェルターに滑り込めた。シャッターが閉まる。さすがに諦めたのかティラノサウルスは雄叫びをあげながら去って行く。

 

「リアルでジュラシック・パークを体験することになるとは…」

「恐竜って怖いっすね。」

「また、鬼ごっこしたいです。」

「時行、止めとけ。」

 

 グッタリする渚と弧太郎。頬を紅潮させ興奮する時行を両津が宥める。そこに中川たちが迎えに来てドキドキジュラシック・パーク体験は終了した。

 

 後日

 

『中川財閥主導で行われたプロジェクト“ジュラシック・パーク”で恐竜達による暴走が起きました。これによりジュラシック・パークは開園を延期、大幅な…』

「す、すみませんでした。」

「中川!今度は手乗り恐竜なんてどうだ!?」

「しばらく恐竜はいいです。」

 

 意気消沈している中川と謝る時行と新しいアイデアを提案する両津であった。

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