逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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仁義なき草野球!!〜対女子野球編〜

「野球が…野球がしたいんじゃ〜!」

「落ち着いてください組長!刀でフルスイングは止めてください!」

 

 ここは魔瑠貌組事務所

 そこで組長の魔瑠貌一が刀で素振りしていた。部下の凸山が必死で止める。

 

「最近どことも野球出来ておらん!野球がしたい〜!」

「組長!対戦相手を探している野球チームがありましたよ!」

「どこじゃ!?」

「社会人女子野球チームだそうです。」

「構わん!誰でもいい!野球をするぞぉ!」

 

 ところ変わって新葛飾署

 そこでは纏達が野球のユニフォームを着て野球の練習をしていた。

 

「纏先輩!対戦依頼受けてくれたところがありましたよ!」

「おっ!どこだ!?」

「社会人チームとしか。」

「よし!やるか!」

 

 纏がウッキウキで素振りする。そこに両津と時行がやってきた。

 

「野球か纏?」

「そうだ。明後日、〇〇の河川敷で野球だ。」

「あそこか。わしらもよく野球やったところじゃねぇか。」

「纏さん達って野球上手なんですか?」

 

 時行の質問に両津が答える。

 

「強いぞ。プロと張り合えるレベルだ。」

「そうなんですね。」

「そうだ。時行、お前も纏の野球チームに入ってみろよ。」

「い、いいん、ですか?」

「いいよ!」

 

 纏があっさり了承する。そして、試合当日。

 纏達婦警&時行チームと魔瑠貌組チームが並ぶ。

 

「私らの対戦依頼受けてくれてありがとうな!」

「わしらも野球したいと思ってたところだ。」

 

 両チーム握手した後、練習する。纏のピッチングを見た魔瑠貌達は驚いている。

 

「速っ!」

「女の体であの投球か。」

「ええで!やる気アップや!」

 

 一方、纏達は魔瑠貌達の姿が気になっていた。なんかヤクザっぽい。そう思った纏は椎名にどんな人か聞いてとお願いした。椎名は魔瑠貌達のところに行く。

 

「あ、あの…」

「幹式、準備出来とるか?」

「問題ない。」

「鑑識?」

 

 椎名が別の人を見る。

 

「そういや、河合組はどうなっとる?」

「いつでもいけるで。あんなところにビビっちゃ魔瑠貌の名折れじゃき。」

 

 椎名が戻る。

 

「なんか鑑識とかマル暴とか言ってましたけど…」

「じゃあ、警視庁チームとかかな?」

「纏先輩、マル暴って?」

「四課のことだよ。主にヤクザなどの組織犯罪を取り締まるところ。」

「だからあんなに体格のいい人ばっかりなんだ。」

 

 一緒にいた小町が納得する。

 

「河合組がどうとか言ってましたよ。」

「河合組って明後日麻薬密売の容疑で強制捜査するところよ。」

「そうなんですね。」

 

 他の婦警が教えてくれた。練習が終わり試合が始まる。先攻は魔瑠貌チーム。纏がピッチャーを務める。キャッチャーは椎名だ。纏のストレートが椎名のミットに入る。

 

「纏先輩の…ボール…」

「なんか怖いんやけんど。」

 

 先頭打者が纏の豪速球と椎名の変態顔にビビる。そのまま三振に終わる。次のバッターも纏の球を捉えることが出来ず三振に終わった。

 

「お前らぁ!相手が女だからって手ぇ抜いてんのじゃあないやろうなあ!」

「しません!しません!本気です!あの娘がごっつう強いんです!」

「女だろうが子供だろうが野球するからには本気じゃ!全力でやれぇ!」

「はい〜!」

 

 魔瑠貌の言葉に纏は微笑む。

 

「サンキュー。女だからってあまく見ないでくれて。」

「当たり前じゃあ。野球は手ぇ抜くんが1番あかん。」

 

 魔瑠貌がバッターボックスに立つ。纏の豪速球を2回見送る。そして、3球目。纏の豪速球を魔瑠貌が捉え打ち上げた。魔瑠貌はそのまま1塁へ走る。

 

「凄いな。」

「さすがや!」

 

 魔瑠貌組のメンバー達が褒める。纏も魔瑠貌に感心する。しかし、次の打者を三振に打ち取り攻守交代になった。1番打者は小町だ。落ち着いてバットを構える。

 

「小町ー!頑張ってー!」

 

 奈緒子達が応援する。しかし、相手のボールを捉えることが出来ず三振に終わった。次の奈緒子も三振に終わってしまう。次の打者は椎名だ。

 

「凄いプレッシャー…」

 

 椎名はカチコチに固まっている。そんな状態で打てるはずもなくあっさり三振に終わった。肩を落とし帰ってくる椎名を励ます纏達。

 

「ドンマイ!」

「纏先輩、不甲斐ない私をシバいてください。」

「そんなことしないから!次も無失点にすればいい。」

 

 纏が帽子を目深に被りマウントに立つ。纏の球は絶好調だ。次々と三振に抑えスリーアウトチェンジになった。しかし、魔瑠貌達も絶好調だ。久しぶりの野球にウッキウキのようで全員三振で終わらせた。

 

「しゃ!ガツガツGUTSや!行くで!」

「強いな。」

「多分、あの人達、広島東洋カープのファンね。」

 

 纏達の攻撃ターンだ。最初の打者は時行だった。纏を真似てバットを構える。ピッチャーが第1球を投げる。時行がバットを振る。バットにボールが当たる。しかし、ネゥロョ〜ンという効果音と共に振られたバットらボールの勢いに負け吹き飛びボールはミットに収まる。

 

「•••」

「投球に負ける打者って初めて見た。」

「まぁ、仕方ないよね。」

 

 纏達も魔瑠貌達も目を点にする。

 

「どうします?加減します?」

「さっきああ言った手前、それは言い難いんじゃ。」

 

 魔瑠貌が時行を見る。時行は深呼吸するともう一度バットを構えた。その目はまだ諦めていない。

 

「本気でやれ!」

「え!?」

「あんな目しとる奴に手加減なんて失礼じゃ!」

 

 ピッチャーは頷く。第2球を投げる。時行は動かない。そして、第3球を投げた。その瞬間、時行はバントの構えをとった。突然のバントに反応が遅れる。時行はなんとかバントで当てるとすぐに走り出した。ピッチャーがボールを取るも既に1塁にいる。

 

「やった!」

「凄いぞ時行!」

 

 纏達が褒める。しかし、次は全員三振となってチェンジとなった。纏が深呼吸してマウントに立つ。そのまま投球する。

 

「ボール!」

「はぁ!?今のストライクだろ!」

 

 纏が審判と言い争う。

 

「幹式を呼べ!あいつ、目いいしこういうのに詳しい!」

「一々幹式呼ぶな!」

「ボールです。」

「纏さん、次行きましょう。」

 

 纏は納得していないが続ける。なんとか無失点で抑え攻守交代となる。すると、そこに両津が来た。両津を見て魔瑠貌達はびっくりする。

 

「なんであいつが…」

「あの女と知り合いか?」

「カンキチ!」

「観戦に来たぞ!」

 

 小町達が来るなと文句を言うも時行は歓迎していた。両津が魔瑠貌達を見る。明らかに両津と顔を合わせようとしていない。両津がそれを見て怪しむ。

 

「あいつら誰だ?」

「警視庁のチームじゃない?鑑識とかマル暴とか言っていたから。」

「まさか…」

 

 両津が近付く。魔瑠貌を見つけた瞬間、ニヤリと笑って戻った。

 

「あいつら、ヤクザだぞ。」

「「「えぇ!?」」」

「魔瑠貌組っていう指名手配ばかりの極道組織だぞ。」

「魔瑠貌組…カンキチが何度も逃がしたヤクザか。」

「どんな覚え方だ!」

 

 両津からヤクザと聞かされた纏達の目が変わる。魔瑠貌達はどうするか悩んでいると両津がやってきた。

 

「久しぶりだな魔瑠貌。」

「ああ、あいつら知り合いか?」

「知り合いも何もわしと同じ署の婦警だぞ。」

「マジか!?」

「知らなかったのかよ。」

 

 両津が呆れる。

 

「で?どうする?このまま逃げるか?」

「バカなこと言うな。今、八回裏が終わったところじゃ。このまま逃げ帰るなんて出来へん。」

「じゃあ、やるか。」

「もちろんじゃき。」

 

 両津は魔瑠貌と握手すると纏達のところに戻った。

 

「わしも出るぞ。」

「なんで!?」

「相手は魔瑠貌だ。野球に関しては相当強い。」

「あんたが居なくても善戦してんだけど。」

「0−0なんだろ。」

 

 図星をつかれ黙ってしまう小町。

 

「分かった。」

「纏さん!?」

「カンキチに任せるよ。」

 

 両津がマウントに立つ。それを見た魔瑠貌は慌てていた。

 

「今すぐ龍次呼んでこい!」

「えぇ!」

「あいつがピッチャーやるなら対抗出来るのは龍次しかおらん!」

「は、はい!」

 

 凸山が急いで電話した。

 羽田国際空港。そこにカップルがいた。サングラスをかけた男が電話に出る。すると、踵を返した。女性が気になって聞く。

 

「どうしたのよ?」

「東京に戻る。」

「なんで!?今からマカオに高飛びするんじゃ…」

「すまんのぉ。組長には恩義がある。男には守らなきゃならん仁義というもんがあるんじゃき。」

 

 試合は拮抗していた。9回裏が終わっても双方無失点。1つのミスが点に繋がってしまう極限状態だった。

 

「あんた、ヤクザだったのね。」

「姉ちゃんも婦警なんて驚きやぞ。」

「あんた!指名手配の!」

「明後日まで逃げ切れば時効や。」

「河合組との関係性は?」

「あいつら、うちのシマで麻薬売りやがったから明日カチコミに行くんや。」

「明後日強制捜査だから止めてくれない!」

 

 なんか仲良くなっている。この回も無失点になってしまう。そこに男が現れた。サングラスをかけた男を見つけた魔瑠貌達は喜び彼の名前を叫ぶ。

 

「龍次!来てくれたか!」

「もちろんじゃき。組長の命令とあらば務所だろうが地獄だろうが行きますよ。」

「本当にそうだから困る。」

 

 龍次を見た両津はやる気を出していた。

 

「カンキチ。あいつは?」

「龍次。組長のために自首して拘置所に来る漢だ。野球も強い。」

 

 龍次がピッチャーとしてマウントに立つ。最初の打者は時行だ。

 

「行くぞ。」

「はい!」

 

 時行はバントを狙うも龍次のカーブに翻弄され三振で終わってしまう。次の打者は両津だ。

 

「お前との因縁もここで決着だ。」

「こっちもその気で来た。手加減無しじゃ。」

 

 ここで点が入れば両津達よ勝利だ。しかし、ここでの龍次は強かった。両津を纏に負けない豪速球で三振に抑えたのだ。悔しそうとする両津。魔瑠貌達は喜んでいる。

 

「それでこそ龍次じゃ!」

「ようやったで!」

「負けた〜!」

「大丈夫カンキチ。私で点を取る。」

 

 最後の打者は纏だ。みんなが応援する。両津はコソコソどこかへと行く。龍次は渾身のストレートでストライクをとる。次はカーブで纏を翻弄する。時行達が固唾をのんで見守る。戻って来た両津も見守っている。

 

「次…」

「これで最後じゃ。」

 

 龍次がストレートを投げた。それを見きった纏がボールをバットに当てる。そのままボールを打ち上げた。魔瑠貌達はまずいと逃げている。ボールは高く飛び誰が見ても分かるぐらいのホームランだった。

 

「これで勝利だ!お前ら…」

 

 纏達が気付いた時には魔瑠貌達は車に乗り込んでいた。

 

「あっ!卑怯者!」

「安心しろ纏!こういう時を見越してあいつらの車をパンクさせた。」

「ナイスカンキチ!」

 

 纏達が追いかける。しかし、車は何事も無く走って行った。両津があれ?と思っていると小町が文句を言った。

 

「バカゴリラ!あんたがパンクさせたの私達の車!」

「あれ?」

 

 そのまま魔瑠貌達に逃げられてしまった。

 

 後日

 

「バカモン!何指名手配犯を逃がしているんだ!」

「纏がちんたらやってたからですよ!」

「カンキチが私達の車パンクさせたからだろ!」

「時行君、薬を持ってきてくれないか?」

「わ、分かりました!」

 

 纏達がヤクザを逃がしたことが新聞に載っていた。それを見て激怒する大原部長。纏の責任にする両津。それに反論する纏。頭痛で頭を抱える屯田署長。彼に薬を持って来る時行であった。

 

 一方…

 

「組長。社会人女子チームが野球相手募集してますよ。」

「やるぞ。」

「止めてください!」

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