いざ!黄金眠る京都へ!
ある日、両津はインチョキ堂の主人と共に擬宝珠家の倉庫を調べていた。時行もいろんな骨董品を見てワクワクしている。入口では纏と夏春都が呆れて見ていた。
「懲りないねぇあんた達も。」
「女将さん!ここにある物全て売れば10年は豪遊出来ますよ!」
「残念だけどうちはそんなもんに頼るほど困窮していないよ。」
「諦めろ。夏春都は部長以上の頑固だ。」
なんとかして売ってもらいたいと主人は粘っている。そんな中、時行が奥の方へと進むと凄く古い巻物を見つけた。なんだろうと思い手に取る。そこには足利の家紋である二つ引きがあった。
「両さん!」
時行が慌てて両津に巻物を渡す。両津が開けて見るもかなり掠れている上に昔の書き方をされていたため両津には読めなかった。夏春都達も気になり巻物を見る。
「凄い汚いな。」
「かなり昔の巻物みたいだ。」
「足利と書いてあるね。」
「本当か夏春都!?」
夏春都が指差す。確かに辛うじて足利と読める。その次が尊と読めた。
「足利…尊…尊氏か!なんで足利の巻物がここにあるんだよ!?」
「知らないね。うちの先祖が足利の関係者なんだろ。」
突然の大発見に驚く両津達。両津は巻物を夏春都に渡し時行と2人になる。
「おい。足利尊氏が何か言ってなかったか?」
「知りませんし敵対していたんですよ。もしかすると纏さん達は足利尊氏の子孫なんて…」
「可能性としてはある。…本来なら先祖の恨みを子孫が継ぐなと言いたいところだがお前はその先祖に恨み持ってる張本人だしな。」
「はい。家族と故郷を奪われました。」
「その怨恨はしまっておけ。仮に纏達が本当に足利の子孫だとしてももう関係ない。」
「はい。纏さん達のことはもうよく知っていますので全く恨んでいません。」
両津と時行のコソコソ話が気になる纏だが夏春都は気にするなと無視させる。そこにノックの音が聞こえた。超神田寿司の客としてではないようだ。夏春都が両津に出るように言う。両津は話を切り上げ裏口の扉を開ける。
「初めまして。私、歴史研究家の真田小幸と申します。」
そこには黒髪の清楚そうな巨乳の女性がいた。
「何の用だ?」
「実は歴史資料館に展示されている書物の中に擬宝珠という方に向けた手紙みたいな物があると書かれていまして心当たりはありませんか?」
突然すぎるドンピシャな内容に両津は警戒する。
「あるよ。」
「見せてもらえないでしょうか!?」
「構わんよ。」
しかし、夏春都があっさり入れた。
「いいのか?」
「あの手の者は断ってもずーっと居座る。さっさと見せて帰ってもらった方がいい。」
真田が巻物を鑑定する。
「確かに…これは間違いありません。足利尊氏が書いた巻物です。」
「で、なんて書いてあるんだ?」
「要約すると後醍醐天皇に自分の莫大な財産を与えるというものです。」
「莫大な財産?どれぐらいだ?」
「ざっと千万石以上。金閣寺が100は建てられるぐらいです。」
「千万石!」
両津の両目が¥になる。足利尊氏ってそんなに金あったのかと時行は驚いている。
「どこにあるんだ!?」
「ズバリ…京都です!」
「よし!夏春都!わしが家族サービスとして京都に連れてってやる!」
「隠す気ゼロかい。まぁ、こっちも憂鬱に用事があるから丁度いい。あんたの宝探しに付き合ってやるよ。」
「決まり!」
纏が反対するももう決まっちゃったと両津と主人はニヤニヤ笑っていた。
「財宝持ち帰ったら売り捌くの頼んだぞ。」
「任せてください。」
「なんせ、金閣寺が100は建てられるぐらいの財宝だ。黄金がザックザクに違いない。」
時行はニヤニヤしている2人を見て呆れている。すると、何かの気配を感じたのか天井を見た。その天井裏には黒い人影が覗いていた。
時行が両津に天井裏に誰かいると言おうとした瞬間、突如謎の忍者軍団が押し寄せてきた。両津達はすぐに戦闘態勢に入る。
「なんだてめぇら!?」
「我ら、足利四傑衆。」
「足利だとぉ!」
「我、根津焼八(やけっぱち)。いざ、参る!」
根津は小太刀を両手に構えると両津を襲った。夏春都が倉庫にあった薙刀を手に取りもう1つを纏に渡した。
「勝手にうちに入って来るんじゃないよ!」
夏春都の猛攻に忍者達は慄いている。そこに檸檬が来た。
「なんじゃ?騒がしい…」
根津は檸檬を見つけると襲いかかった。そこに時行が来て檸檬を助け梁に飛び乗った。
「早いな。まるで忍者だ。」
「妹に…手ぇ出すな!」
根津は纏の攻撃を受け流すと口笛を吹いた。それを合図に忍者軍団は下がる。
「お嬢さんに御老体もなかなかの腕だ。ここはひとまず退こう。だが覚えておけ。足利の財宝は我らが受け取るに相応しいと。」
そう言って根津達は消えた。両津はこの巻物にはそれほどの価値があるのかと思いますますやる気がアップしていた。その様子を謎の人影は天井裏からまだ見ていた。
翌日、両津は擬宝珠家を連れて京都に向かう新幹線に乗っていた。別の車両には本田、ボルボ、左近寺、椎名もいる。
「何故呼ばれたのでしょうか?」
「碌なことじゃないのは確かだ。」
両津達は朝作った弁当を食べている。小幸が美味しそうに寿司を食べる。
「この寿司美味しいですね!」
「そう言えば憂鬱さんってどんな方ですか?」
「あ〜…纏の兄なんだがこいつらと性格が違い過ぎて混乱するぞ。」
両津が説明する。その説明に纏達はから笑いしていた。
一方、派出所では両津が居ないことに気付いた麗子が中川に聞いた。
「あら?圭ちゃん、両ちゃんは?」
「先輩なら纏さん達を京都旅行に連れて行くと言って椎名さんと一緒に出て行きましたよ。」
「どうせ。碌なことじゃない。」
大原部長が呆れてお茶を飲んでいた。
「それで、なんて書いてあるんだ?」
「足利尊氏は後醍醐天皇の南朝と敵対した後、北朝を推し立てましたがそれでも後醍醐天皇に対する愛が止まらず何度も手紙を出していたようです。」
小幸が書物と巻物を並べて解読する。
「その中に自分が戦で手に入れた全ての財宝を渡すと書かれています。その後が書かれていないのでもしかしたら後醍醐天皇に渡す前に後醍醐天皇が崩御されたことで渡すことが出来なくなったと思われます。」
「それが金閣寺が100も建てられるレベルの財宝だと。」
「考えられます。実際に足利義満が金閣寺を建てた後も財政には余裕があったみたいなので。」
両津はニヤニヤしながら時行を連れてトイレに入る。
「小幸の言っていたことは本当か?」
「全てがそうだとは分かりませんが後醍醐天皇に対して並々ならぬ思いがあったのは本当みたいです。」
「しかし、京都にいた足利尊氏の巻物が東京にあるなんてことはあるのか?」
「足利尊氏はほとんど京都でしたが弟の直義が鎌倉を治めていたのでありえなくはないですよ。尊氏は直義にも並々ならぬ思いがありましたから。」
両津が興奮している。だんだん信憑性が上がってきたのだ。本当に足利尊氏が残した財宝があるのかもしれん。そう思うと両津のやる気がぐんぐん上昇した。
「本当にあるかもな!」
「ただ、私が処刑された後は分かりませんよ。」
「それでも構わん!」
両津はウッキウキで席に戻る。纏が気持ち悪いと言っても気にしてない。何故なら手の届くところに莫大な財宝が眠っていると確信したからだ。両津は楽しそうに弁当を食べる。その様子を後ろの席から虚無僧が黙って見ていた。
舞台は京都へ。京都駅に到着した両津達。そこには早矢が待っていた。両津は京都の案内人として早矢を呼んでいたのだ。両津達の後ろには本田達もいる。
「お待ちしておりました。」
早矢がリムジンでお出迎えしてくれる。しかし、両津は乗らない。不思議に思った檸檬が聞く。
「どうしたのじゃカンキチ?」
「すまん檸檬。わしらはちょっと用事があるんだ。」
「心配すんじゃないよ檸檬。勘吉のことだ。くだらない金儲けを考えているだけだよ。夕方には戻る。」
当たっているため言い返せない。両津は早矢に先に行くように言う。リムジンが去る。両津はニヤリと笑って後ろで待機していた本田達を呼ぶ。
「先輩。何をする気ですか?」
「それで、その綺麗な人は誰だ?」
「初めまして。歴史研究家の真田小幸です。」
「歴史研究家?」
「まぁ、話は後だ。」
両津は小幸が立てた仮説の場所に行く。
「この辺りが怪しいですね。ここは西園寺公宗が後醍醐天皇を暗殺した場所として有名です。」
「どうだ時行?」
「確かにこの辺りで私達は足利尊氏と後醍醐天皇の暗殺を目論みましたね。失敗に終わりましたけど。」
「あり得るな。」
時行とのコソコソ話を終えた両津は金属探知機を取り出し本田達に渡し自分はダウジングを取り出す。
「この辺りに足利尊氏が残したとされる財宝が眠っている可能性がある。今からそれを探す。」
「ざっくりしすぎです両津先輩。」
「それだけのために俺達を呼んだのか?」
「その財宝を狙って変な忍者集団が襲って来たんだ。それの相手もしてもらう。」
「嫌ですよ!なんでそんな怖い思いしないといけないんですか!?」
真っ先に本田が反対する。
「ちゃんと財宝はわしらで山分けだ。」
「じゃあ、まずはこの辺りから探索ってことで!」
両津達が別れて探す。本田達も渋々探し始める。両津は時行と2人っきりになり財宝の在処に心当たりがないか聞く。しかし、時行も昔のことだとあまり覚えていないようだ。結局、手掛かりがないまま探索は打切りとなった。
両津達は纏達がいる料亭へと向かう。スマホに送られた地図を頼りに京都の町を歩く。目的地の料亭に着く。地図とも合っている。しかし、両津は首を傾げている。
「確か憂鬱に会いに行くと言ってたが…憂鬱が働いているのここじゃないよな?」
両津が恐る恐る扉を開ける。そこには纏達が待っていた。その隣にいるハンサムな男性が纏の兄の擬宝珠憂鬱だ。憂鬱がこちらに気付く。
「お久しぶりです両津バカ吉さん。」
両津がずっこける。
「勘吉だ!」
「冗談です。」
「お前、超雅に戻ったんじゃないのか?」
「早矢さんがここに来ると聞いたので急いで来ました。」
両津が納得する。今日は両津達の貸切のようで他の客が居ない。みんなで料理をいただく。予定には入っていない本田達も快く招いてくれた。
「しかし、こんないいところを俺達の貸切にして良かったのか?」
「大丈夫ですよ。」
そこに右京が来た。着物姿の彼女に時行がドキッとする。
「右京か!お前が住み込みで働いている料亭ってここか!」
「はい。早矢さんからここで食事を取りたいと聞き急いで準備しました。実は今回の料理は全て憂鬱さんが作ってくださいましたのよ。」
「ほう。」
「早矢さんが来ると聞いて急いで作りましたよ。」
両津が美味しそうにいただく。憂鬱は有名料亭の板長を任せられるレベルの料理の腕だから美味しいのは当たり前だ。早矢も美味しいと言い時行も憂鬱の料理に舌鼓を打つ。
「美味しいですね。」
「ありがとうございます。」
「時行君もお久しぶりです。」
「は、はい…」
右京の微笑みを見て顔を真っ赤にする時行。いつもと違う時行を纏達が気にする。
「なんか時行の様子が変じゃないか?」
「ああ、いつもの時行とは違う。貴族オーラが消えて普通の子供って感じだ。」
「カンキチ。もしかして、時行…右京に惚れてる?」
「そのもしかしてだ。」
纏が納得する。檸檬が時行をジーと見る。纏と両津の話を聞いた左近寺も納得する。
「確かに和風美人だし時行と雰囲気が似てるな。」
「あの人が時行様のタイプ…」
右京に見惚れる左近寺達。その時、ボルボが立ち上がり扉を勢いよく開けた。
「どうしたボルボ!?」
「さっきから何者かの視線を感じた。」
「まさか、例の忍者か!」
両津も料亭を出て捜すが誰も居ない。時行も感じていたのか警戒している。
「気の所為…ならいいが念の為扉や窓にワイヤートラップを仕掛けよう。」
「よし分かった。」
「分かるな!」
「そんな物騒なもん付けるんじゃないよ!」
料亭に戻る両津達。その姿を建物の陰から虚無僧が覗いていた。
一方、場所不明
そこには2人の男がいた。
「予定通り例の巻物を所持している一団が京都に到着したと報告がありました。」
「それで?」
「まだ、財宝の詳細は分かっておりませんがこのまま計画通り奴らに探させた方が得策かと。」
「分かった。君に任せるよ。」
「はい。足利氏々様。」