逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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京都大決戦!

 氏々を倒し喜ぶ両津と時行。しかし、時行が1点を見つめ動かなくなる。両津が振り返ると小幸が立っていた。

 

「小幸さん!無事でしたか!?」

「いや待て。」

 

 小幸に駆け寄ろうとした時行を両津が止める。

 

「なぁ、本当にお前人質だったか?」

「え?」

「そもそもお前が来てから忍者軍団の襲撃が来たんだ。それにあの時、初めて会ったはずの海パン刑事を見てすぐに刑事と言ったよな?」

 

 両津の発言に時行は確かにと思った。

 

「最初からわしらを利用して足利尊氏の財宝を奪う算段か?」

「その通りよ。」

 

 言い訳すらしなくなった。小幸は一瞬で忍び装束に着替えた。

 

「私は真田幸村の子孫。それで何か思い出さない?」

「真田…もしかしてお前、真田遥の…」

「正解。私は真田遥の妹、真田小幸よ。折角分かりやすく真田にしてあげたのに全然気付かないんだもの。」

「正直言うとお前が言うまで忘れてた。」

 

 小幸がずっこける。

 

「そ、その程度なのね。」

「それで、姉の復讐か?」

「違うわ。そもそも姉貴はあまり好きじゃなかったのよ。いつもおっぱい自慢ばかりではしたない姉貴だったわ。」

「ザックリ言ったな。」

 

 小幸が近付く。落ちている壺を拾い中を確認する。

 

「こいつの仲間になったのもあんたに勝つためさ。あんたに勝てば私が姉貴より優れているってことでしょ。」

「お前もそれ飲むのか?」

「嫌に決まってるでしょ!」

 

 小幸は一気に近付き両津から木箱を奪おうと手にかけた。

 

「寄越しなさい!」

「渡すか!」

「その穴に足利尊氏の唾液を入れて初めて開くのよ!あんたが持っていても意味ないわ!」

「お前がそれ寄越せ!」

 

 木箱と壺の奪い合いになる。その弾みで壺を手放してしまい唾液が木箱の穴に入った。すると、木箱がパカッと開いた。両津達は慌てて木箱を開けて中を見る。すると、大量の手紙があった。

 

「何これ?また暗号と地図?」

 

 とにかく読んでみる。内容は…

 

「なんだこれ?」

「後醍醐天皇と…直義に向けた手紙?」

 

 足利尊氏から後醍醐天皇と足利直義に向けた狂気じみたラブレターだった。2人は呆然とする。両津は時行にも手紙を見せる。

 

「時行、解説。」

「尊氏は後醍醐天皇と対立してしまった時に自害未遂するほど好きでしたし直義が危機に陥るとすぐ飛んでくるぐらい直義も好きでしたね。」

「これ、好きとかの次元じゃないだろ。完全に未練たっぷりの恋人に送るやつだぞ。今やればストーカーとして逮捕されるレベルだぞ。」

「これが…財宝?」

 

 他に無いかと探す。

 

「あった!財宝に関する手紙!」

「なんて書いてるの!?」

「え〜と…何々…読めん!時行!」

「…どうやら、金のほとんどを直義や部下にあげたようで手元にはほとんど残っていないみたいですね。」

「そう言えば…天龍寺を建立する時も財政難だから元との貿易で手に入れたお金を使ってたわね。」

 

 小幸の目が点になる。

 

「じゃあ…千万石の財宝は…」

「最初から存在しませんね。」

 

 時行の発言に両津と小幸は項垂れた。時行は心の中でやっぱりとも思っている。

 

「そもそもお前が千万石の財宝があると言うからここまで来たんだぞ!」

「仕方ないじゃん!これに後醍醐天皇に自分の財産全部あげるから許してって書いてある手紙が見つかったんだからそれぐらいあると思ったのよ!」

 

 小幸は書物を投げ捨てるとスマホで何かを操作した。その時、地響きが鳴り広間が揺れた。2人がなんだと思っていると地面から巨大ロボットが出て来た。

 

「とにかく!あんたに勝つのが目的よ!この足利ロボでね!」

「名前がダサいぞ!」

「うるさい!」

 

 小幸が足利ロボに乗り込む。両津達は木箱や氏々達を連れて逃走する。アジトから出ると剣之介達が忍者軍団を全滅させていた。

 

「両津。」

「逃げろー!」

 

 両津が叫ぶ。嵐山から巨大なロボットが出て来た。それを見てさすがの剣之介達も逃げる。両津を追っていた纏も足利ロボを見て驚愕した。

 

「なんだあれ!?」

「纏!逃げろ!」

 

 両津が叫ぶ。小幸の狙いは両津だけのようで纏達には目もくれない。両津は必死に逃げている。チラッと横を見ると興奮し頬を紅潮させながら逃げている時行がいた。

 

「凄い。、あれと鬼ごっこしたい。」

「またヤバい性癖が出てるぞ。」

 

 両津は無断駐車している自転車を見つけると時行を後ろに乗せて走り出した。

 

                 令

                 和

           新     鬼

     ︽     復     ご

     真     讐     っ

     田     鬼     こ

 

     小

     幸

     ︾

 

 爆走する両津を足利ロボが追いかける。

 

「そんなもん作る金があるなら足利の財宝とかいらなかっただろ!」

『…うるさ〜い!』

「自覚してるだろ!」

 

 足利ロボは腰の刀を抜くと振り下ろした。両津はなんとか避ける。時行が弓矢で攻撃するも全然効かない。

 

「無駄ぁ!」

 

 コックピットで小幸が笑う。遠くから足利ロボを見ていた早矢。そこに琴姫に乗った右京が来た。

 

「早矢さん。こちらへ。」

「ありがとうございます。」

 

 琴姫は早矢を乗せると一目散に足利ロボへと走り出した。同時刻、いつの間にかバイクに乗った本田が小金丸を乗せて走っている。

 

「もっとスピード出せんのか?」

「これで限界だ!」

 

 足利ロボから逃げる両津と時行。そこにヘリが来る。中から中川が出て来た。

 

「先輩!」

「なんだ!?」

「先輩が言っていた足利の書物は資料館から盗まれた物でした!」

「犯人見て分かるだろぉ!」

 

 両津達は避難所になっているところから離れる。足利ロボがまだ追いかけている。そこにタイガー戦車から砲撃が来た。しかし、少しよろけるだけで倒れない。

 

「おや。なかなか硬いですね。」

 

 足利ロボは刀を振って払う。それだけでも相当被害が大きい。両津は考えている。被害を出さずに足利ロボを倒す方法はないか?すると、山が視界に入った。大文字山だ。それを見て両津は笑う。

 

「中川!今からわしの言う通りにしろ!」

 

 タイガー戦車が足利ロボの注意を引いているうちに中川に作戦を話す。

 

「またそれするんですか!?」

「これが1番いい作戦だろ!」

「何をするつもりですか?」

 

 中川は渋々了承しどこかに電話しながらヘリを飛ばしてもらった。一方、足利ロボと並走している早矢達が矢で攻撃するも効いていない。そこに本田が来た。

 

「両津の旦那からだ!なんとしても目を潰して視界を奪ってほしいだとよ!」

「でも、どうやって…」

「わしがやってみよう。」

 

 小金丸が背中の巨大手裏剣を構える。足利ロボの前まで移動する。小幸が小金丸を見つける。

 

「それで挑むつもりか?」

 

 足利ロボが刀を構える。小金丸が巨大手裏剣を投げる。巨大手裏剣は弧を描き刀を避けると足利ロボの右目に命中した。さらに、タイガー戦車が足利ロボの左目に砲撃を当てる。

 

「この程度…」

 

 ヒビが入るがまだ目は機能している。そこに早矢と右京が矢を放った。2人の矢は同時に足利ロボの両目のヒビに命中し遂に破壊した。

 

「な!…たかがメインカメラをやられただけだ!」

 

 小幸はセンサーに切り替え周りを確認する。両津が大文字山に向かっていた。それを察知して追いかける。両津が大文字山に入る。そこには中川が左近寺達と協力して準備を終えていた。

 

「先輩!準備完了しました!」

「よっしゃあ!」

 

 両津が駆け抜ける。足利ロボが大文字山に入る。今、どうなっているか分かっていないようだ。両津が時行が持っているスマホで中川達に指示した。

 

「今だ!」

 

 両津の合図で中川達がスイッチを押した。その瞬間、大文字山に炎で巨大な大の字が現れた。突然の炎に小幸が驚く。炎を振り払おうと暴れる。しかし、足利ロボは炎でオーバーヒートしてしまい動かなくなった。

 

「こうなったら…」

 

 小幸はコックピットから出て狙撃銃を構えた。そこに時行がスコープと銃口に矢を次々と命中させた。小幸は目を点にして狙撃銃を見る。足利ロボが大爆発し小幸が吹き飛ばされる。そこに両津と時行が来た。

 

「チェックメイトだ。」

「ま、まだよ…」

 

 起き上がる小幸。両津と時行は彼女の胸を見た。なんか垂れ下がっている。小幸も視線を感じて自分の胸を見る。顔を赤くして慌てて直す。

 

「お前…それパッドか。」

「…」

「そういやお前、姉をおっぱい自慢のはしたない姉貴って言ってたな。…胸にコンプレックスがあったのか。」

「いいじゃない!いつも貧乳ってバカにされてたんだから!」

 

 小幸が泣き出す。そこに続々と纏や早矢達が集まる。もう小幸に戦意はない。そのままお縄となり連行された。小幸の悔しいという断末魔が大文字山に響き渡る。

 

「よし。これで本当に事件解決だな。」

 

 本当に事件は解決した。京都中に大変な被害が出たものの死傷者は0という奇跡に終わった。その日は早矢の実家で大宴会が開かれる。みんなで酒を飲み酔っ払った両津達が暴れる。それを見て時行は笑っていた。

 翌日、東京へ帰る前に中川達に手紙を見せる。まだ解明されていない足利尊氏の実態を知る資料として大切に保管することになった。

 

「これだけでも数百万の価値はありますよ。」

「数千億が数百万か…」

 

 両津がガックシする。

 

「それも京都の復興に当てられるから結局一文無しだね。」

 

 さらに夏春都が追い討ちをかける。

 

「それよりも夏春都さんが時行君のことを知っていたのは驚きでしたね。」

「年寄りをなめるんじゃないよ。知識と経験はあんた達以上だよ。」

「結局、骨折り損の草臥儲か…ん?なんかまだあるぞ。」

 

 両津が手紙の中にくしゃくしゃになった手紙を見つけた。中川が手紙を開けてみる。

 

「これは…佐々木道誉が魅魔という女性とやり取りをしていた手紙みたいですね。」

「佐々木道誉…足利尊氏の側近だった男だね。」

 

 気になってみんなで読んでみる。

 

「え、え〜と…え?これって時行君が魅魔って女性と…」

「え…?」

「おい。それってそんなことに使う道具だったか?」

「村人全員と書いてありますよ。」

「だんだん変態にされていくって…あんた、見た目に依らず過激だね。」

 

 両津達が手紙の内容にドン引きして時行を見る。時行は思い出す。確かあの時魅魔は父親である佐々木道誉に手紙を出していた。魅魔は変態にされていくと書くと言っていた。

 

「…魅魔〜!!」

 

 それを思い出した時行は顔を真っ赤にさせて行き場のない怒りを露にするのであった。

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