両津が新葛飾署内を歩いていると周りがざわざわしていた。なんだと見てみると大原部長が小町と社交ダンスをしていた。2人を見て署員達は拍手する。
「フォークダンスってやつですか。」
「部長さん、あれからも社交ダンスを続けているのよ。」
麗子が教えてくれる。両津はまだやってたのかと悪態をつく。すると、壁に貼ってあるポスターが目に着いた。そこには社交ダンス大会と書いてある。まさかと思い署員達を掻き分け近付くと優勝賞金1000万と表記されていた。
「またやるのか!」
両津はチラッとマリアを見る。今回はちゃんとした相手もいる。両津はニヤリと笑う。そこに屯田署長がやってくる。
「君達に言っておくことがある。今回の社交ダンス大会だがペアはくじ引きで決める。」
その発言にみんなえぇ〜と叫ぶ。両津もまずいと思い反対する。しかし、もう決定事項のようなので仕方なく従うことになる。
みんな、会議室に集まりくじ引きが始まる。両津はマリアとペアになるように祈る。最初に決まったのは本田と乙姫だった。本田は大喜びしている。
「マリア来い。マリア来い。マリア来い。マリア…」
「マリアと…雑ペア!」
「雑変われ!」
即反応し雑に詰め寄る両津。大原部長が両津の肩を掴む。
「諦めろ両津。」
「次は…残念と麗子ペア!」
男性署員は残念にブーブー言う。
「次は…小町と根画手部ペア!」
「え…」
小町が目を丸くして根画手部を見る。そこからも次々と決まって行くが両津の名前は出て来ない。そして、最後のペアが決まった。中川と早矢のペアだ。両津は文句を言う。
「署長!わしの名前は!?」
「すまんが今回両津君は出場させないようになってる。」
「なんでですか!?」
「前回、ロボットと組んでいただろ。あれは違反とされペナルティを受けてもらうことにした。」
両津が唖然とする。女性署員からはザマァと言われている。ペアが決まり練習が始まるも両津はペアがいないため出られずトボトボ歩いている。そこに時行がやってきた。
「両さん。どうかされたのですか?」
「時行か…」
両津は時行を見る。もしかしてイケるかと判断する。以前、時行のダンスを見たことがある。かなり上手い。
「時行。わしとペアを組んでダンスしないか?」
「え?」
両津は早速スパークの会社へと行く。
「パワードスーツ?」
「そうだ。お前のとこならパワードスーツもあると思ってな。」
「あるぞ。」
スパークが案内する。そこにはたくさんの発明品がずらりと並んでいた。
「最近は筋力低下やパーキンソン病の治療法として手足に着けるタイプのパワードスーツの研究が進んでいる。」
「借りていいか?」
「試作品だから不備が出ても文句を言わないのなら構わんぞ。」
両津は早速いくつか借りて時行に装着する。その結果、時行の身体は成人と同じになった。両津はニヤリと笑うと人工皮膚などでカバーした。
「これでどうだ?」
「本当に…私なのでしょうか?」
両津はドレスを着せる。顔は時行だが身体は完全に成人女性だ。両津は時行の髪留めを外す。
「凄い。絶世の美女が誕生したぞ。」
「少し嬉しいと思ってしまった自分が悔しいです。」
時行はパワードスーツを動かしてみる。ぎこちないがなんとか動く。両津はこれならイケると判断し練習を始めた。時行も慣れない義肢を使いながらもなんとか両津と合わせていく。
「いいぞ。これなら優勝間違い無しだ。」
「不安しかありませんけど。」
大会当日
タキシードやドレスに身を包んだ署員達が予選開始を待っていた。そこに両津と時行が来る。全員が驚愕する。両津が参加するのもそうだが隣には綺麗な人がいるのだ。時行は髪型を変えただけでほぼ素顔なのだが誰も気付いていない。
(何故、誰も私と気付かないのでしょうか?)
(これはイケるぞ時行。)
「両津!何故ここにいる!?」
「もちろん1000万のためですよ。」
両津は胸を張って威張る。周りの人達は時行に夢中になっている。
「あの、あなたは?」
「ほ…星野時子です。」
時行は裏声で自己紹介する。義肢も違和感なく動いている。周りから質問攻めにされる時行もとい時子。両津はボロが出る前に引き離す。
予選が始まった。各々練習の成果を見せるが緊張したりそもそも出来なかったりと苦戦している。
「踏むなよ。」
「分かってる。」
「逆でしょ。」
「え?そうか?」
周りが続々と失敗する中、両津時子ペアは優雅に踊っている。近くには大原部長と椎名ペア、中川と早矢ペア、屯田署長と麗子ペアが踊っている。
(決勝に残るのはあの3組だな。)
両津はニヤリと笑うと屯田署長に近付いた。すると、パワードスーツの足から油が流れ出てきた。それを踏んでしまい麗子が倒れる。そこからも近くのペアを次々と油で転ばせていった。その結果、両津は決勝に出場する3組に選ばれた。
「よし!これで1000万は目の前だ!」
「罪悪感しかありませんけど。」
予選に落ちた屯田署長達を見て時行が同情する。ニヤニヤする両津を見た麗子。自身の手に着いている油を見てまさかと思っていた。
決勝が始まる。両津は確実に優勝するために大原部長と中川を転ばせようと企む。それを麗子は厳しく見張っていた。そこにスパークがやってきた。
「スパークさん。」
「両津君の奴、我が社からパワードスーツを借りて何をしている?」
「パワードスーツ?」
近くにいた小町が聞く。
「障害者用の生活補助のために作った我が社の試作品だ。」
「もしかして、それを使って…」
「でもパワードスーツってことは誰かが着けないといけないよな。」
纏の言葉に麗子は確信する。
「両ちゃんの相方、時行君ね。」
「え?…確かに言われて見れば時行に似てる。」
署員達がボソボソ呟き始める。しかし、それを伝える手段がない。両津は麗子達が時行のことに気付いていることを知らない。踊りながら中川に近付く。
(次は中川を転ばすぞ。)
(もう止めません?)
(絶対1000万を獲るためだ!)
両津が中川に近付き油を撒こうとした。その時、時行と早矢の目が合った。
「もしかして時行君。」
すぐバレた。両津と時行はギクッとして離れて行く。中川もさすがに怪しみ始めた。両津は仕方ないと狙いを大原部長に変え近付いた。そこに中川が踊りながら近付く。
「確かめてみましょう。」
中川は踊りながら近付くと手を伸ばし一瞬で時行の髪を解いた。それを見た大原部長と椎名も時行に気付く。
「あれ?時行様?」
「何をしているのだね?」
「あ、あははははは…」
「ヤバい。」
時行は嘘が言えずカラ笑いで誤魔化す。両津が冷や汗を掻く。大原部長が両津を睨む。
「両津。貴様という奴は…」
「こうなったら実力行使だ!」
「え!?」
両津は踊るフリして時行を振り回す。その勢いで大原部長達を吹き飛ばした。
「これで1位はわしらのものだ!」
「無理だと思いますよ。」
高らかに笑う両津。すると、パワードスーツの握力が急に強くなった。
「時行、握りすぎだ。もっと弱めろ。」
「え?私は何もしていませんよ。」
「え?」
2人がポカーンとしていると急にパワードスーツが暴走し過激に踊り始めた。パワードスーツの力に手が砕けそうになり叫ぶ両津。何が起きたと戸惑う会場。
「まぁ…本来は介護用だからあんだけ乱暴に扱うと壊れる。」
「自業自得ね。」
スパークの説明に麗子が呆れる。両津と時行はぐるぐる回りながらステージを縦横無尽に踊る。やっぱり参加させるべきじゃなかったと後悔する屯田署長。
「あの…全然止まりませんよ。」
「これどうするんだ!?」
「両津〜!」
大原部長が怒り両津を追う。暴走したパワードスーツが油を撒き散らし中川達を転ばせる。もう大会どころではない。大会は中止となり優勝者は出なかった。それから…
「あの…両さん…これ、いつになったら止まるのでしょうか?」
「知らん…」
「内臓バッテリーを調べてみたがあと1週間は稼働するぞ。」
「そこまでして踊りたかったのだろう。両津も本望じゃないか。」
大会が終わってからも踊り続け窶れてしまった両津と時行であった。
逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が150回を突入した記念としてアンケートします!逃げ上手の転生記の新シリーズの候補として銀魂とルパン三世のどちらかに時行を行かせたいと思います。どちらの逃げ上手の転生記が見たいですか?
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