逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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新•太平記

 ある日、中川が派出所に新しいゲームを開発したとゲームソフトを持って来た。

 

「どんなゲームだ中川?」

「名前はズバリ“新•太平記”です。」

「新•太平記?」

「ええ。1991年に放送された太平記という大河ドラマに便乗して製作されたゲーム太平記の新作です。」

 

 中川が早速休憩室でゲームを始める。

 

「舞台は建武の新政後の1335年10月の日本。プレイヤーはここから南朝の北条時行か北朝の足利尊氏のどちらかを選択し全国統一を目指すというものです。」

 

 その発言に時行が反応した。

 

「以前聞いた時行君の話を元に製作しました。」

 

 ゲーム画面になるとそこには時行と尊氏が出てきた。少し変えているようだがほとんど本人だった。その再現度の高さに時行が驚く。

 

「凄いですね!」

「基本は戦略シミュレーションゲーム。ここは大戦略2004というゲームを元にしています。」

 

 中川が時行を選んで進める。画面には正六角形のマスが蜂の巣のように並んでいた。試しにと兵士を動かす。全員動かして行動を終えるというボタンを押すと相手側の兵士が動き始めた。それを繰り返すと相手の兵士と隣り合った。中川はそこで攻撃するを選ぶ。

 

「兵士を動かして相手を全滅させるか退却させる。又は相手の総大将を倒す、捕縛したら勝ちとなります。その他にも防衛ステージでは一定時間防衛すれば勝利という条件もプラスされます。」

「面白そうじゃねぇか。」

 

 両津が興味を持つ。

 

「ちなみに、これは複数のプレイヤーとオンラインで繋げることが出来ます。協力して相手を倒すのもよし。敵対してバトルするのもよしと好きなように遊べます。」

 

 両津がやってみたいとゲームを始める。それと同時に時行もやりたいと挙手した。両津はならばと尊氏サイドを選んだ。両津は自分の机に行き小型テレビでゲームをする。

 

「わしが尊氏をやってやる。」

「私はもちろん北条時行です。」

「ちなみに時行君サイドは大将が一定時間逃げ切れば勝利という条件も追加されています。」

「そこは時行らしくなっているのか。」

 

 早速始める。軍の規模は尊氏サイドが圧倒的に上だった。両津はサバイバルゲームなどで培った経験を使い駒を進める。対する時行は守りを固めるために領国経営などを先に進めた。

 

「早速違いが出たわね。」

「先輩は基本攻めるですからね。」

「時行様、堅実ですね。」

 

 両津はガンガン攻めて領地を広げていく。

 

「村や土地を占領するというコマンドもあるんだな。」

「もちろんありますよ。」

「村人殺し過ぎじゃないですか両津先輩?」

「歯向かう奴は全員死だ。」

「野蛮過ぎる。」

 

 両津のやり方に若干引く。対する時行は基本攻めず向かってきた両津軍を返り討ちにするか諜者を潜入させて情報を得るを繰り返していた。

 

「時行君の時代ってこんな感じで進んでいたの?」

「こちらから攻めたのは鎌倉奪還の時ぐらいで基本は守りが多かったですね。」

 

 麗子の質問に答える。対する両津はどれだけ被害が出ようとお構い無しに領地を奪っていく。それを後ろから見た椎名が引いている。

 

「両津先輩。そろそろ内政をなんとかした方がいいのでは?」

「そんなもん師直に全部押し付けてる。わしはとにかく攻める。攻めて攻めて攻めまくって領土を広げる。」

「その内政ボロボロですよ。」

 

 椎名が指差すところにいくつものメールが来ている。村人を殺し過ぎたせいで土地が増えてもそこから税が取れず資金が枯渇していくばかり。さらに、全部人任せにしたことで現状の内政が全く分からず全部において対応が遅れていた。

 それに対し時行は内政をちゃんとして問題には素早く対応。人材も適材適所にやっていたおかげで少ない領地ながらも安定はしていた。

 

「先輩のところ、だんだんジリ貧になっていますね。」

「両ちゃん自滅まっしぐらよ。」

(これが本当の南北朝なら楽かもしれませんでしたね。)

 

 両津陣営はもうボロボロ。攻めるだけで疲弊していった。時行は冷静に陣地を守るだけに留め時が過ぎるのを待つ。そして、両津陣営の自滅でゲームが終わった。

 

「やりましたね!」

「ありがとうございます!」

「チクショー!」

 

 両津の叫び声が聞こえる。

 

「急に師直が死ぬとかありか!?」

「一応、史実通りに進めていますので。」

 

 中川が説明する。時行陣営も新田義貞が途中で死んだりと史実通りにはなっていた。

 

「中川!これ借りるぞ!」

「ええ!?」

 

 両津はソフトを持って派出所を出て行った。

 

「先輩、負けず嫌いですからね。」

「不安しかないわ。」

 

 中川達は心配していた。それから数日後、両津がソフトを持って戻って来た。

 

「時行!再戦だ!」

「わ、分かりました!」

 

 新•太平記を始める。すると、両津陣営が凄い規模になっていた。最初に見た時の10倍以上の軍にゴツい兵に当時では最先端の武器があった。

 

「ここまでするとは…」

「両津先輩、もうヤケクソですね。」

 

 ゲームが始まる。すぐ両津陣営は侵攻を開始した。瞬く間に時行の領地を占領して行く。時行は諜者を潜入させ情報を得る。しかし、両津陣営も諜者をさせていた。その結果、守りの薄いところから次々と狙われていった。

 

「前より強いです。」

 

 時行が何度も出兵させるが両津軍の圧倒的な強さになす術なく蹂躙されていく。次々と占領され最早領地が信濃だけになってしまった。

 

「ぐはははは!どうだ時行!これで日本は全てわしのものだ!」

「完全に足利尊氏より悪辣ですね。」

 

 両津は勝利を確信し笑う。両津軍による信濃への侵攻が始まる。すると、時行は大将である自分を前線に出した。時行が捕まるか倒されるとゲームオーバーだ。そんな状態で大丈夫なのかと椎名が時行を見ると頬を紅潮させて興奮していた。

 

「時行様?」

「始まりましたね。」

 

 中川が頷く。時行は大将を兵士の前に出す。両津は兵士達に大将を捕らえるように指示する。兵士達が大将を攻撃する。しかし、全然当たらない。大将は全て攻撃を避けていたのだ。

 

「何をしている!?さっさと捕らえろ!」

「逃げるの楽しい!」

 

 時行がキラキラした目で操作する。その結果、大将は逃げ切りこのターンは時行陣営の勝利になった。

 

「さすが両さん。尊氏より分かりやすい。」

 

 時行は2度の対戦で両津のやり方を学んだ。そこから時行の反撃が始まる。両津軍が攻めてくる領地に大将を先回りして逃げまくる。攻めしかしない両津軍に時行を捕まえることが出来ない。

 

「くそ!全然捕まえれねぇ!」

 

 両津が苦戦する。すると、他の領地が時行の領地になっていることに気付いた。いつの間にか相手を寝返らせたりして領地を広げていたのだ。

 

「こいつら!何寝返ってんだ!?…おい!なんで足利直義まで寝返ってんだよ!?」

 

 次々と裏切られ領地も取られていく両津軍。負けじと領地からの税収を増やし兵士を増やし物量で押してくる。すると、時行は両津軍に潜入させていた諜者を使い内部から軍隊を崩壊させ始めた。

 

「時行様、えげつない作戦使いますね。」

「さすがにあんなに独裁していたら裏切りは出るわよ。」

 

 三浦など様々な武将を裏切らせ両津軍を混乱に陥れる。さらに、両津が疎かにしていた内政や村人達への配慮も行い支持を集める。

 

「こんなところで負けてたまるか!」

「先輩。守りも考えないと自滅しますよ。」

「考えてる暇はない!とにかく攻めだ!」

「ダメだ。もう止まらない。」

 

 両津軍が次々と敗れ領地が取り戻され砦も突破された。最終的に鎌倉で両津が時行に追い詰められた。もう守ってくれる有能な武将はいない。

 

「両ちゃん、戦略シミュレーション向いてないわよ。」

「RPGや現代兵器が絡む戦略シミュレーションは得意なんですけどね。」

「両津先輩のところの武将全員裏切ってますよ。」

 

 両津は金で武将を買収しようにももう土地も税もない。

 

「待て時行!交渉だ!」

「それは利益が見込める時に使うものです。」

 

 時行は必死に命乞いする両津を無慈悲に倒した。この瞬間、時行の勝利でゲームが終わった。

 

「どうでした?」

「これが史実ならどれだけ簡単だったのでしょうか。」

 

 時行は苦労した過去を思い出す。このゲームでは時行はほとんど被害を出さずに勝利していた。

 

「既に経験している時行君ならもしもを考え易いのでしょうね。」

「両ちゃん意気消沈ね。」

「両津先輩。これを気に戦略考えてみませんか?」

 

 燃え尽きた灰のようになりゲームオーバーと表示されたテレビの前でうつ伏せになっている両津。時行はゲームでだが悲願を達成出来たと喜んでいた。

逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が150回を突入した記念としてアンケートします!逃げ上手の転生記の新シリーズの候補として銀魂とルパン三世のどちらかに時行を行かせたいと思います。どちらの逃げ上手の転生記が見たいですか?

  • 銀魂
  • ルパン三世
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