ある日、両津は友人達と話していた。
「それで一発逆転の企画として警察官にドッキリしてみようってことか。」
「そうなんだよ両さん。最近、芸能人にドッキリする企画が増えただろ?うちの会社もそういうのを取り入れようと思ってさ。」
「確かにブラジルのドッキリ番組とかはゾンビが出たり建物が崩れたりと派手な上にネタバラシもないのが受けていたな。」
両津の友人曽山がお願いする。
「よし!わしが冬の署員旅行の幹事をするから場所のセットは頼んだぞ。」
「任せてくれ!」
「報酬は分かってるな?」
「もちろん!」
両津達は悪い顔でニヤニヤと笑っていた。
署員旅行当日、両津は大型バスに署員達も時行を乗せて移動していた。
「今回知り合いがいる旅館に頼んでなんとお一人様10万を1万にしてもらいました!」
「いよっ!天才!」
「さすが両津!」
署員達が酒を飲みながら笑う。中川は両津の発言を疑っているようだ。
「本当に1万でいけたのですか?」
「さすが中川。鋭いな。実は…ちょっとわけありの旅館なんだ。」
「え…」
中川の近くで聞いていた時行が心配していた。バスが旅館に到着する。そこには両津の友人達が旅館関係者や客などのエキストラとしていた。
この旅館は他の番組がホラードッキリのために製作した架空の旅館だった。両津達はそこにさらにいろいろとドッキリ用の仕掛けを着けていた。
両津はバスから降りると責任者役の友人と握手した。その様子が至る所に設置していた隠しカメラから別室で曽山達が見ていた。
「よ〜し。そろそろ始めるぞ。」
「ここが泊まる旅館、桐津戸旅館でございます!築150年の老舗ですよ!」
「凄いな!」
「風格がある。」
両津が案内する。エントランスホールを抜け目の前にある大きな階段を上がる。その瞬間、階段が突如坂になり署員達が叫びながら滑り落ちた。それを見て曽山達は笑っている。
「なんですかこれ!?」
「なにしろ築150年ですから。」
両津が部屋に案内する。部屋に入った中川が両津に聞く。
「先輩。バスで言っていたわけありというのは?」
「実はここ…座敷わらしが出るそうだ。」
「ええ!?」
「ネットには座敷わらしどころか桐津戸旅館なんて名前の旅館すらありませんよ先輩。」
「ネットに載らないマニアしか知らない秘境だぞ。当たり前だ。」
両津が嘘八百を並べる。検索していた本田が歩いていると畳が回転して落下した。
「よし!かかったぞ!」
「どの部屋も誰かがかかっているぞ!」
「これは売れる!」
曽山達は楽しそうに見ている。両津は時行を連れて2人になる。
「時行。お前にだけは教えておく。」
「何をですか?」
「実はな。この旅館にはいろんな仕掛けがある。お前にはそれを作動させる手伝いをしてほしい。」
両津がスマホを時行に渡す。
「このスマホにメールで指示するからその指示通りに番号を押してくれ。」
「わ、分かりました。」
両津は時行に任せると大原部長のところへと向かった。
「どうですか部長!?」
「いい雰囲気じゃないか両津。」
「部長にそう言ってもらえて良かったですよ!」
両津がニコニコしながら話す。すると、カタカタと音が聞こえた。その音はだんだん増えていき至る所から鳴り始めた。
「両津、これは…」
「ここはマニアの間じゃ有名な心霊スポットなんですよ部長。ここに住み着く座敷わらしがいたずらしているんですよ。」
「そ、そうなのか?」
大原部長が天井を見ながら歩く。両津はそれを確認すると時行に仕掛けを作動させるようにメールした。時行はメール通りに作動させる。すると、廊下にピアノ線がピンと張られそれに躓き大原部長が転けた。
「な、なんだ!?」
「部長〜、もしかして座敷わらしに足を掴まれたのかもしれませんね。」
大原部長が驚く。両津は署員達を連れてゲレンデに向かう。
「ここが桐津戸名物、新雪のゲレンデでございます!」
真っ白な雪景色に署員達は唸った。早速リフトに向かおうとした時、署員達が雪の中に消えた。よく見ると落とし穴になっていてそこに落ちたのだ。
「よっしゃあ!落とし穴はドッキリの定番だからな!」
「こういうのが説明不要でよく笑える!」
曽山達が喜ぶ。両津がなんせ新雪ですからと言い訳する。なんとか上がれた署員達はリフトに乗る。だんだんと上がって行く。頂上に着いたはずだが終着点が見えない。それもそのはず、まだ続いていたのだ。高さ約50mのリフトが署員達を怖がらせる。
「ひいぃ〜!」
「怖い〜!」
そこから急にスピードが上がる。そのままジェットコースターのような動きで周りそのまま急降下する。その先にほぼ直角のジャンプ台があった。署員達は無理矢理降ろされジャンプ台を滑らされる。
「ぎゃあぁぁぁぁ!」
「止まらな〜い!」
先の方から悲鳴が聞こえる。それを聞いた麗子達は怪しいと判断した。
「ここで降りましょう!」
「はい!」
麗子とマリアに続き中川や椎名達も降りる。しかし、椎名が降りた地点にも落とし穴があり落ちてしまった。
「何…これ…」
一方、麗子達は滑りながら離れる。
「さすが麗子。鋭い。だか…」
ヘリから様子を見ていた両津がニヤリと笑う。両津は時行に用意していた弓矢で中川のスキー板を狙撃するように指示した。先回りしていた時行が鏃の代わりに雪玉に偽装したボールを着けた矢で中川を狙う。
「なんかすみません!」
時行が放った矢は見事中川のスキー板に命中し中川はバランスを崩して落とし穴に落ちてしまった。残ったのは麗子、マリア、纏、早矢だ。両津はニヤニヤしながら見る。
「おかしいですわ。この先、どんどん狭く…」
マリアが気付くももう遅い。滑る雪の坂に取られエッジが効かない。そのまま4人は固まってしまい落下する。その先には大きなカレーがあった。4人はカレールーの中に落ちる。
「やったぞ!美女カレーの出来上がりだ!」
「素晴らしい映像だ。」
曽山は興奮していた。散々なスキーが終わり夜になる。ヘトヘトになった麗子達は温泉に入ることにする。男子浴場に入る中川達…ボルボと左近寺はサウナに入る。
「どうなってんだこの旅館?」
「両津が言うには座敷わらしがいるらしいぞ。」
「座敷わらしが落とし穴掘ったり油撒いたりするのか?」
「それは知らん。」
ボルボがチラッとサウナにある貼紙を見る。そこには『自動ロウリュやっています。』と書かれていて下にはボタンがある。面白そうだと左近寺がボタンを押す。その瞬間、大量の水がサウナストーンにかかりサウナ内が水蒸気で満たされた。
「あちぃ!」
「水の量間違ってるだろ!?」
慌てて逃げるボルボ達。一方の大原部長と屯田署長は大浴場に浸かっている。すると、突然グツグツと煮え始め温度が一気に上がった。
「アチチチ!」
「助けてくれぇ!」
大原部長達も慌てて大浴場から逃げる。中川がそれを見て不安に思っていた。すぐに出ようとした瞬間、今度は浴場に電気が走る。
「痛い!」
あまりの痛さに浴場で飛び跳ねる中川達。それを隠しカメラから見ていた曽山達は大爆笑していた。
「最高だよ!」
「これは売れるぞ!」
麗子達女性陣は露天風呂に浸かっている。今のところ変なことは起きていない。それに安心して一休みする。すると、音楽が聞こえてきた。
「何この曲?」
「分からないわ。」
何の曲だと思った瞬間、お湯が消えた。さらに、仕切りも取れ外から丸見えになってしまった。多くの人達が驚いた顔で麗子達を見る。麗子達は叫びながら脱衣所に入ろうとするも扉が開かない。
「美女の展覧会だぜ!」
「扉はこちらから電子ロック出来るようになっている。」
風呂から上がった大原部長達。さすがに座敷わらしでもおかしいと思い始めていた。大広間で宴会の準備がされていた。既に両津がいて座布団に座らせる。そこで中川が時行がいないことに気付いた。
「部長、麗子さん。」
中川は2人に耳打ちした。両津が乾杯する。署員達が食事したり酒を飲んだりしている。すると、何人かが突然お腹を抑えて大広間を出た。トイレに行こうとしていた。1人目がトイレに入り便座に座る。一安心していると突如トイレが逆流して水浸しになってしまった。
「早く変わってくれぇ!」
中で何が起きているか分かっていない他の署員達が扉を叩く。すると、今度は床と天井からシャワーが出て署員達は水浸しになってしまった。顔を赤らめる署員達もいる。その様子を別室から時行が笑いを堪えて見ていた。
「確かにこれは面白いですね。」
「何が面白いのかしら時行君?」
「両さんに頼まれた…ドッキリ…の…仕…掛…け…」
時行が振り向く。そこには麗子がいた。一方、両津はそろそろ次の仕掛けを作動させようと時行にメールする。しかし、何も起きない。おかしいと思った両津が電話する。
「時行、何してる?早く…」
『時行君なら私の前で正座しているわよ両ちゃん。』
「れ、麗子…何故…」
両津が冷や汗を掻く。そこに中川と大原部長が来た。隣には曽山もいる。
「全部聞かせてもらったぞ両津。」
「ぶ、部長!?」
「説明してもらうかね両津君。」
署員達から睨まれる両津。両津は体中から冷や汗を搔いた。そして…
「両さん!助けてください!」
「バカ!引っ張るな!」
「アチ〜!」
「そんなに企画が欲しいならお前達が出ろ。」
ドッキリのデータは処分されグツグツ煮え滾る温泉に滑る坂から落とされそうになる両津達であった。
逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が150回を突入した記念としてアンケートします!逃げ上手の転生記の新シリーズの候補として銀魂とルパン三世のどちらかに時行を行かせたいと思います。どちらの逃げ上手の転生記が見たいですか?
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