時行は興奮していた。今、旅客機から香港の街を見下ろしていた。両津とマリアと一緒に香港に来ている。
「これが香港…」
「今日はマリアの妹マリリンの家に遊びに行く予定だ。」
空港に着いた両津達。両津が電話する。電話を切ると時行の目線までしゃがんだ。
「丁度映画の撮影をしているらしい。行ってみるか?」
「はい!」
両津達はタクシーに乗り撮影場所に向かう。着いた場所が建物がごちゃごちゃしている裏路地だった。こんな場所もあるのかと時行が見回していると突然1人の男性が吹き飛んできた。体中真っ赤になっている。
「大丈夫ですか!?」
時行が駆け寄ろうとしたところに両津が肩を抑えて止めた。時行が振り向くと両津は人差し指でシーと指示する。すると、奥からマリアと似た…いや、マリアと全く同じ女性が現れた。
「カーット!いいよ凛ちゃん!」
「え?」
「やっぱり映画撮影だったか。」
時行が目を丸くさせると倒れていた男性がヒョイッと立ち上がって女性と仲良く話し始めた。女性がこちらを見ると手を振った。
「両さん!愛!こっち!」
「久しぶりだなマリリン。」
どうやらこの女性がマリアの妹らしい。マリリンが時行に気付くと目を丸くした。
「あんた達…もう子供を作ったの!?」
両津がずっこける。
「違う!こいつは北条時行!わしの養子になった子だ!」
「よ、よろしくお願いします!北条時行です!」
「私は麻里凛。通称マリリンよ。よろしくね!」
マリリンが時行の頭を撫でる。監督が休憩だと言いに来る。マリリンが返事する。両津はそうだと言ってマリリンに提案した。
「マリリン。時行の得意技に逃げがある。鬼ごっこなら誰にも負けない自信があるぞ。」
「両さん!?」
「どうだ?お前もやってみないか?」
マリリンは考える。時行は驚きつつも両津の耳打ちで頬を紅潮させ目をキラキラさせ興奮していた。マリリンも面白そうだと提案に乗った。
「時間は…そうだなぁ…休憩時間終了まででどうだ?」
「いいわよ。」
急に始まるマリリンとの鬼ごっこ。時行は早速逃げる。それをマリリンが追いかける。一応、機材やセットを傷付けないように両津が時行に言う。時行は螺旋階段を駆け上がる。
「普通の子供に見えるけど…両さんがああ言うなら普通じゃないのよね。」
マリリンはとりあえず普通に追いかける。すると、時行は螺旋階段からジャンプして向かいの建物のパイプに飛び移った。それを監督達が下から見ていた。マリリンは面白いと笑っている。
「いいじゃん!」
マリリンもジャンプして追いかける。2人の追いかけっこは多くの役者達を魅了した。時行が壁を走りマリリンの上をジャンプする。それでもマリリンは楽しそうに追いかけた。
「凄い…」
時行も楽しそうに逃げる。そんな楽しい時間も終わりが来る。監督が休憩時間の終わりを告げる。マリリンは笑いながら水を飲む。
「凄いじゃないあの子!」
「だろ。」
「あの子…時行君?映画に出してみない?」
マリリンの提案に両津が考えた。時行を見る。監督達から絶賛の嵐だ。両津はニヤニヤした。
「いいぞ。やってみよう。」
「やった!」
マリリンは両津の許可を得たと監督に話しに行く。時行も断る理由はないと了承した。
「時行君はスラムの子供の1人という役で出てもらうことにしたわ。スラムから私のパートナーとして任務に参加するという設定よ。」
マリリンと一緒に撮影を始める。2人は男達に囲まれる。そこから怒涛の連続攻撃がくるも時行は全て避けマリリンは全て受け流した。そのまま懐からヌンチャクを取り出し男達を全員倒した。
「凄いですね…」
「カーットォ!いいよ!少年もいい動きだよ!けど、闘いが全部凛ちゃんってのも見栄えしないなぁ。」
両津が監督に時行は基本逃げだけで格闘は出来ないことを教える。監督は納得すると考える。派手なバトルアクションはないがあの華麗な避けは出さないのは勿体ない。考えた結果、それでOKということにした。
「凛ちゃん、次からは少年を守るように闘って。少年はさっきのように逃げるだけでいいよ。」
「分かりました!」
急遽時行が出演することになったが上手く映画に取り入れることに成功した。休憩時間に入り時行がヘトヘトになって両津のところに来る。そこにマリリンが水を出す。
「ありがとうございます。」
「君、凄いね。」
マリリンが褒める。時行は照れていた。
「そう言えば、マリリンさんとマリアさんは双子なのですか?」
時行の質問もマリアとマリリンが顔を見合わせる。顔どころか体型含めた全てが同じだった。2人はクスクス笑う。時行が不思議に思っていると両津が肩を叩いた。
「同じなのは当たり前だ。天国じじいがマリアを男から女に変える際にマリリンを参考にしたから全く同じだ。」
「へ、へぇ~。」
(天国じじい?)
時行は一応納得した。映画撮影が再開される。マリリンの華麗な演技に両津達は唸る。時行も楽しそうに逃げている。今日の撮影が終了した。監督は満足して両津と握手した。
「撮影も終わったことだし香港観光していかない?」
「いいなそれ!時行もどうだ?初めての香港だ。いろいろと見ていかないか?」
「はい!」
「じゃあ、私が案内してあげる。」
マリリンが香港観光の案内を申し出る。両津もそれに賛同し一緒に香港を見て周ることにした。初めて見る香港に時行はワクワクが止まらない。マリリンが屋台が並ぶところに案内してくれた。
「ここにはいろんな料理があるわよ。」
そう言ってマリリンはニヤリと笑い両津達に頼んだ料理を出す。両津達は最初に出たワンタンを美味しそうに食べるが次に出た料理に汗を搔いた。
「マリリン、これって…」
「蛙の辛味揚げに鳩の唐揚げに猫の姿焼きね。」
両津は食欲が無くなりかけている。その反応が見たかったとマリリンは小悪魔的な笑みを浮かべる。時行はどんな反応しているのかなと見ると普通に食べていた。蛙も鳩も猫も躊躇なくいただいている。
「ど、どうかな?」
「蛙はしっかりとした肉付きが歯応えバッチリです。鳩は少し硬いですが鳥本来の味はしっかりありますね。猫は初めて食べますが美味しいですよ。」
「普通に食レポしている。」
逆にマリリンが引いてしまう。それを見てマリアがクスクス笑っている。
「マリリン。時行は幼い頃からイナゴとか食べているからゲテモノ料理に抵抗はないぞ。」
「そう…みたいね。」
マリリンがアハハ…と笑う。食事も終わりマリリンの家に行く。凄い広い豪邸だ。時行は目を丸くして驚く。
「凄い…中川さんや麗子さんと同じぐらい広い…」
「マリリンは女優の他にも歌手活動に飲食店やファッションブランド、洋菓子店とかいろいろやってるからな。」
「多才ですね。」
「好きなのよ。」
その日はマリリンの家に泊まった。翌日、撮影の続きをする場所に向かった。今は使われていない廃工場だ。ここでアクションを撮るみたいだ。撮影が始まる。時行は男達が撃つ弾を全て避けていた。その動きに監督達は唸っている。マリリンも負けじとヌンチャクで男達を倒していく。
「はいカットォ!いいよ!少年も見たことない動きで凄かったよぉ!」
「ありがとうございます!」
両津が時行に水を渡す。マリアも汗拭くためのタオルを渡した。その光景を見たマリリンは微笑んでいる。
「そうやって見ると完全に家族よね?」
「やっぱりマリリンもそう見えます!?私と両様の子供みたいですわよね!」
マリアが嬉しそうに話す。すると、監督達が何やら困っているのが見えた。両津が聞いてみる。
「この後出てもらうスタントマンがさっきの撮影で足首捻ってしまってね。」
「じゃあ、両さんがスタントマンやってみたら。」
「わしが!?」
両津は迷うがマリリンが強く押すため両津はOKを出した。
「ありがとう!」
「ギャラはちゃんと貰いますよ。」
「わ、分かったね。」
両津がスタントマンをやる。マリリンに襲いかかり殴り飛ばされる。その先には大量の爆薬があった。両津がえ…?と言った瞬間、爆発し両津は吹き飛ばされた。
「カットォ!いいよ!あの吹き飛び方は最高だよ!」
「これ…ギャラを倍にしてもらわんと割に合わん。」
監督は両津も気に入ったのかその日の爆発関係のスタントマンを全て両津にやらせた。両津は何度も吹き飛ぶ。最後のクライマックスの大爆発に至っては十数メートル吹き飛んだ。
「両さ〜ん!」
「両さんなら大丈夫と思ってしまうわね。」
「両様ですもの。」
映画は無事クランクアップした。タイトルは“カンフーポリス 香港大爆発”らしい。これに時行も出ることになった。映画は大人気となり時行は香港スターデビューすることになった。そして、両津は…
「まだやるのですか?」
「ギャラがいいからな。」
「さすが両さんね。」
「素敵ですわ両様!」
監督に気に入られた両津は翌日も他のドラマ撮影のためのスタントマンを任されていたのだった。
逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が150回を突入した記念としてアンケートします!逃げ上手の転生記の新シリーズの候補として銀魂とルパン三世のどちらかに時行を行かせたいと思います。どちらの逃げ上手の転生記が見たいですか?
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