ある日、時行が派出所に遊びに行くと休憩室の炬燵に箱が置いてあった。気になって中を見ると美味そうなお菓子があった。時行は食べてみたいと思っているが他人の物だし手出し出来ない。そこに両津が来た。
「どうした時行?…ああ、ドーナツか。食べてみるか?」
「いいのですか!?」
「丸井がわしらにと買ってきてくれたやつだ。問題ない。」
時行は早速ドーナツを食べてみる。その甘さにあっという間に虜になってしまった。
「美味しいだろ。」
「はい。柔らかい口溶けに程よい甘さがたまらないですね。」
時行は美味しそうにドーナツを食べる。そこに今度は弧太郎達が来た。弧太郎達もドーナツに興味津々だ。両津がいいぞと言ったのでみんなで食べる。
「やっぱりドーナツは美味いっすね。」
「ドーナツというのですね。」
「時行君、ドーナツ食べたことないの?」
「はい。今、初めて食べました。」
「時行、不思議な子。」
みんなでドーナツを食べている。両津がその様子を見ていると大原部長が来た。何していると聞くと時行達がドーナツを食べているのを見ていたと答えた。
「そうか。食べ過ぎには注意するように言っておけよ。」
「分かってますよ部長。」
両津も一緒になってドーナツを食べる。
「なんでドーナツってこんなに美味しいんだろう?」
「そりゃあ、進化しているからだ。最初はただ揚げるだけだったのが砂糖やチョコ、カスタードなどと合わせることで新たな味になる。ドーナツは作るのが簡単な分いろいろとアレンジが出来る。」
中川達の分を残して食べ終える。満足した弧太郎だがまだ食べたいとも思っている。
「もっと食べれたらいいんすけどね〜。」
「じゃあ、わしが作ってやる。」
「ホントっすかコーチ!」
亜矢達もキラキラした目で両津を見る。両津は早速知り合いの駄菓子屋に行きドーナツを作った。何も着けていないシンプルなドーナツだが弧太郎達には好評だった。
「美味いっすよコーチ!」
「本当だ!」
「まだまだあるぞ。」
両津はドーナツにクリームやチョコを着けたりナッツを入れたりアレンジしたドーナツを作る。さらに、ドーナツを半分にしてベーコンなどを挟みハンバーガー風にした。
「凄いっすよ!」
「美味しい!」
「私達にはない発想ですね。」
「天才。」
各々好きなドーナツを食べる。両津は駄菓子屋を見回す。客がいない。駄菓子屋のおばちゃんに聞くと駄菓子自体スーパーで売られるようになってここの需要がないと言う。
「なるほど…」
両津はドーナツを食べる時行達を見る。今は日曜日の昼。人もそこそこいる。両津はニヤリと笑うと大量にドーナツを作り販売を始めた。
「いらっしゃい!たった今始めました!なんでもドーナツ!プレーン、チョコ、イチゴ、カスタードなんでもありますよ!」
両津の声に反応した人達が次々とドーナツを買っていく。時行達も手伝うと運んだり客寄せしたりした。あっという間にドーナツが完売する。
「凄いっすね。」
「ドーナツが日本で販売されたのは1914年。そこから100年以上経っても人気がある。それもアレンジの種類の豊富さや手軽さ、美味しさのおかげよ。」
両津は翌日も駄菓子屋でドーナツの販売を始める。中川達も巻き込み試作ドーナツを大量に作った。おからを使った低カロリードーナツ。米粉のドーナツに卵焼きなどを挟んだ和風ドーナツ。製作した特製蒸し器を使い焼かずに蒸したドーナツ。両津のアイデアは止まらない。
「いっぱいあるっすね。」
「私、このフルーツドーナツが好き!」
「ハンバーグ生地で作るドーナツなんて初めて見ましたよ。」
これも好評のようで売れ行きは上々だった。メディアも両津のドーナツを取り上げさらに人気が上昇する。
「コーチのドーナツどこでもやってるっすね。」
「メディアは新しい取組みが好きだからな。斬新なアイデアほどテレビで注目されやすいものだ。」
両津はメディアを利用してさらにドーナツを売り込む。すると、他のドーナツの店も両津のアイデアを真似て売り始めた。
「チクショー!真似なんかしやがって!」
「いいじゃないですか両津先輩。」
「そうですよ先輩。アイデアの独占は市場の停滞にもなります。みんなで共有してこそ業界の発展に繋がります。」
「それだとわしのアイデアが売れん!」
椎名達が説得するも両津は聞かない。何かいいアイデアはないかと考える。すると、いいアイデアが思い付いたのかニヤリと笑った。中川達は嫌な予感しかないと冷や汗を掻く。
それから数日後。両津は広場に巨大な鍋や大量の油にドーナツ生地を用意した。周りにはクレーン車や先に菜箸のような物が着いたショベルカーなどがある。
「両さん。これは一体なんですか?」
「今から世界一デカいドーナツを作る。ギネスに認定されるレベルのな。」
両津はマスコミに向けて説明を始める。その間にショベルカーが生地を混ぜ人海戦術で整えクレーン車で慎重に鍋の中へとドーナツ生地を投入した。ジューという轟音が響く。それと同時ににドーナツのいい香りが広場中に漂ってきた。
「もう美味しそうっすよね!」
「しかし、あんな巨大なドーナツ、崩れないか心配ですね。」
「周りもドーナツだらけ。」
渚が出店を見てカラ笑いする。全部ドーナツ関連の店だ。いつの間にか亜矢と静がほとんどの店のドーナツを買っていた。両津が鍋の中を見る。いい感じに仕上がりそうだ。
「よし!上げろ!」
両津がスピーカーで指示する。クレーン車がゆっくりと上げる。すると、巨大なドーナツが完成していた。それを見て時行達は拍手する。マスコミも次々と写真を撮り報じる。
「大きい…」
「凄いっすよコーチ。」
直径約100メートルのドーナツは見事ギネスに載ることになった。それを祝福して両津はヘリも使ってドーナツを立て穴の部分に乗る。全員がドーナツを見上げる。
「どうやって崩れないようにしたのですか!?」
記者の1人が質問する。
「生地にゼラチンの粉と炭酸水を混ぜてある!これで崩れにくいし気泡によって中までちゃんと熱が伝わるようになっている。」
両津が説明する。他にも巨大ドーナツを作るに当たっていろいろと工夫していたみたいだ。遠くからでも分かるぐらいに大きいドーナツは多くの人の目を惹いた。
「どうだ!」
両津が笑う。すると、プチッという嫌な音がした。しかし、誰も気付いていない。ヘリから吊るされたワイヤーがドーナツの重みに耐えきれていないのだ。だんだん切れていくワイヤー。両津がドーナツのバランスが崩れたことで気付くがもう遅い。全てのワイヤーが同時に切れてしまった。
「なにぃ!?」
両津も計算外みたいで驚く。クレーン車も耐えきれず倒れる。両津を乗せたドーナツが転がる。時行はそれを間一髪で避けた。
「大丈夫!?時行君!?」
「あれに潰されたらどうなるのでしょう。」
「大丈夫みたいですね。」
ドーナツを見て興奮する時行。雪長が心配する必要ないと判断する。心配しないといけない両津はドーナツから降りることが出来ずまるでハムスターみたいにドーナツの中で走っている。
「チクショー!止まらん!」
ドーナツは車を踏み潰し電線を切り裂き爆走する。
「なんだあれ!?」
「ドーナツ!?」
両津が止まれと叫ぶも止まるわけがない。まっすぐな道路を突き進むドーナツ。甘い香りが事故の後に香る。ドーナツがトラックと打つかり進行が変わる。
「バカヤロー!」
ドーナツは近くの坂を下りスピードを上げていく。両津はとうとう力尽き転けドーナツに埋もれる。ぐるぐる回るドーナツの中で吐いてしまう両津。
「これは…下手なアトラクションより怖いぞ…」
ドーナツはスピードを上げたまま進む。その先には骨董品の展覧会が開かれている会場があった。そこには大原部長と屯田署長がいる。
「素晴らしい作品ですな。」
「真っ事、日本の技術に驚かされますな。」
2人が骨董品を見ていると何やら騒がしくなった。なんだと思い見てみると巨大なドーナツが転がりながらこちらに突進してきたのだ。
「なんだねあれは!?」
「助けてくださ〜い!」
「両津!?」
大原部長達は逃げようとするもドーナツの突進に巻き添えになりドーナツに埋まった。次々と骨董品がただの破片になっていく。そのまま重油が入っているプールへとドーナツが飛び込んだ。
後日、新聞に『ギネスドーナツ、東京を蹂躙する!』という見出しで両津が大々的に載っていた。
「美味しそうだったのに…」
「ドーナツ業界が停滞しなければ良いのですが…」
「あのままドーナツと一緒に揚がれば良かったのに。」
最早誰も両津の心配をしていない。最後に両津に対して厳しいことを言う包帯だらけの大原部長であった。
逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が150回を突入した記念としてアンケートします!逃げ上手の転生記の新シリーズの候補として銀魂とルパン三世のどちらかに時行を行かせたいと思います。どちらの逃げ上手の転生記が見たいですか?
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