ある日、両津と時行はチェスをしていた。初めてやるチェスに時行は苦戦している。その結果、両津の勝利に終わった。
「どうだ時行?」
「チェスというものは将棋と似ているのに細かいところが違っていて難しいです。」
「だろうな。アメリカでは大会が開かれるレベルで有名だが日本じゃまだそんなに人気があるわけじゃない。」
両津がチェスの説明をしていると大原部長がやってきた。
「お前達、今日ここに特殊刑事が来る。」
「時行、チェックメイトだ。」
「待った!」
「チェスに待ったはないぞ。」
必死で逃げようとする時行を捕まえる両津。
「どんな変態が来るんですか?」
「変態は確定なんですか?」
「このパターンは嫌な予感が…」
両津が予想しているとそこに1人の男が現れた。全身白タイツにチェスのキングの駒のコスプレをしている怪しすぎる男だ。
「私が特殊刑事課の知恵巣野駒金具之助である!」
「なんですかこの人?」
「終わった…」
「また強烈な人が来ましたね。」
椎名はドン引きし両津は膝から崩れ落ち時行は呆然とする。
「なんで将棋刑事と同じ格好なんだよ!?」
「彼とは大学の同期だ。」
「お知り合いでしたか。」
両津がずっこける。
「チェスとは将棋と同じ盤面を動かす戦略ゲーム。相手の先を読み常に先手を取る知的なゲームである。故にチェス刑事である私はこの格好をすることで知的なイメージを出しているのだ。」
「そうですか?わしにはコスプレ変態オヤジにしか見えませんが。」
「早速だが君達にもチェスになってもらおう!」
チェス刑事が自分と同じチェスの駒のコスプレを持ってきた。最初に中川を指名する。
「まず君だが当に知的!君にはビショップをしてもらう。」
「は、はい。」
「次に君だが…美しい。クイーンをしてもらおう。」
「絶対見た目で選んでるだろ!」
中川と麗子にチェスのコスプレをさせる。続いて大原部長を見る。
「君はチェスの経験は?」
「ほとんどありません。将棋なら得意なのですが。」
「ならば飛車と同じ動きをするルークに任命しよう。」
「はい!」
次々と決まって行くメンバー達。チェス刑事は両津を見た。
「君は?」
「はい!両津勘吉です!チェスは大得意でございます!」
「ならポーンだ。」
両津がずっこける。
「なんでチェスが苦手な部長はルークでわしがポーンなんだよ!?」
「お似合いだからだ。」
「やっぱり見た目で選んでるだろ!」
「ついでに君もポーンだ。」
「私も!?」
「わしの話を聞けぇ!」
チェス刑事は両津の発言を無視して椎名をポーンに任命する。最後に時行を見た。
「君が例の真っ裸刑事だな。」
「違います。」
「君は特別にナイトの駒を授けよう。」
「何故あなた達は私の話を聞かないのでしょうか?」
時行はもう諦めナイトのコスプレをする。
「どうだ時行?」
「今までの特殊刑事よりマシ…ですかね?」
「今までが酷すぎたな。」
チェス刑事のスマホが鳴る。
「私だ。…よし、分かった。立て籠もり事件が発生した。至急行くぞ!」
「これでですか!?」
「そうだ。腹括れ。」
急いで現場に向かう。場所は8×8に区切られた田んぼがある民家だ。犯人は2人。1人暮らしの老人を人質に取り5億円を要求している。そこにチェス刑事を先頭に両津達が来た。
「チェスにお誂え向きの現場だな。」
呆れながらもチェス刑事の言う通りに配置する。犯人の1人が2階の窓から覗いていた。
「兄貴!なんかわけの分からない連中がいるぜ!」
「は?…あれはチェスの駒じゃねぇか。なんだあいつら?チェスでもしようっていうのか?」
兄貴が双眼鏡で覗く。
「やってやる。拡声器持ってこい。」
「はい!」
兄貴は拡声器を受け取る。
「俺とチェスしようってなら上等だ!そっちが先攻でいいからかかってこい!」
「なんで犯人側もチェスに乗るんだよ。普通に撃たれると思ったぞ。」
「ほう。あの犯人も知的だな。」
「わしには全然そうは見えませんが?」
チェス刑事の前に配置された両津が呆れる。チェス刑事は自分の前にいる刑事を2つ前に出した。すると、兄貴は両津の前を撃った。
「Pd4!」
「なるほど、そう来るか。なら、Pd5だ。両津、2つ前に出なさい。」
「おい待て…」
両津が嫌々ながら前に出る。
「おい!これって次わしが撃たれるやつじゃねぇか!?」
「そうだ。クイーンズ•ギャンビットだ。わざとポーンを取らせてクイーンを動かしやすくする。」
「それを聞いてるんじゃない!次は確実にわしが…」
「Pd5…死ねぇ!」
兄貴が両津を撃つ。両津は避けながら逃走した。麗子の後ろでゼェゼェ言っている。
「よし、Qd5。麗子君、行きなさい。」
「は、はい。」
麗子が前に出る。そこからチェス刑事と犯人のチェス勝負が続いた。両津は早々に退場したため外野から盤面を見ることが出来た。
「あの犯人、相当チェスが上手いな。」
「分かるんですか両津先輩?」
「わしだってチェスぐらいやる。」
意外と白熱するチェス勝負に両津が唸っている。すると、兄貴が時行に向かって乱射し始めた。
「そののナイトがムカつく!てめぇのせいで俺のクイーンが自由に動けねぇ!」
「それ、私悪くないですよね!?」
時行はナイトのコスプレ状態でも避けまくる。その間にチェス刑事が大原部長を進めた。
「これでチェックメイトだ。」
「チクショー!」
兄貴が苛立ち乱射する。
「おい!犯人を怒らせただけじゃねぇか!」
両津がチェス刑事に文句を言う。
「もう1戦だ!もう1戦やらせろ!」
「いいだろう。」
「よくねぇよ!さっさと捕まえろ!」
両津がチェス刑事の頭を叩く。それでも変わることなくまた配置された。
「これで負けたら投降したまえ。」
「よし!そっちこそ負けたら要求飲めよ!」
また始まるチェス勝負。今度は犯人側が先攻だ。ポーンを前に出す。チェス刑事もポーンを前に出した。
「さっきから思っていたんですけどなんで犯人の駒がないのに勝負が成り立っているんですか?」
「目隠し将棋と同じだ。プロは見えない状態でも盤面を想像して将棋することが出来る。」
「それが出来る犯人って相当優秀じゃないですか?」
「確かに。」
両津の隣で待機していた椎名の発言に両津は頷く。周りはほとんど状況が分かっていない。犯人の駒なんて見えていないから当然ではある。しかし、チェス刑事や中川、麗子は分かっているのか次の手を考えていた。
「次は…」
「犯人がここを狙うなら…」
「中川先輩達も凄すぎません?」
「ああいうのが得意だからな。」
椎名が唖然とする。両津がチェス刑事達の顔を見ると顔色が悪かった。どうやら、劣勢のようだ。
「まずい。追い込まれた。」
「おい!」
両津が叫ぶ。チェス刑事の冷や汗が尋常じゃないぐらい出ている。それに対し犯人は何故か人質が作ってくれたおにぎりを食べて待っていた。
「いくら長考しても構わんぞ!」
「向こうは余裕だな。」
「ここは待ったを…」
「チェスで待ったはダメだろ。」
チェス刑事がどうするか迷っていた。そこに時行が挙手した。
「私が行きましょうか?」
「大丈夫か時行?」
「はい。将棋と同じなら私も出来るので。駒の動かし方も両さんから習いましたし。」
時行は自分が行く場所を指差す。そこを見たチェス刑事は盲点だったと驚愕した。時行の言う通りに動かす。それを見た犯人もびっくりした。
「な!?そんな手があったのか!?」
「時行以外誰も分からなかったのか?」
両津が呆れる。犯人はそれでも粘っていた。硬直状態になる。しかし、だんだん犯人側が押されていった。そして、時行のナイトでチェックメイトされた。
「ま、参りました…」
「投降しなさい。私の勝利だ。」
「どっちかというと時行の勝利だろ。」
「くそー!チェスで負けたのが悔しい〜!」
「兄貴!?落ち着いてください兄貴!」
ライフルを乱射する犯人。
「ポーンは全員で突撃しなさい。」
「どんなチェスだ!?」
「犯人はもうチェックメイトされている。これ以上はチェスに拘る必要はない。直ぐ様逮捕しなさい。」
「じゃあ、お前が行けー!」
両津はチェス刑事を持ち上げて突撃する。犯人達が撃つも意外とコスプレの駒が固く盾になっていた。両津はそのまま犯人達に向かってチェス刑事を投げた。
「もう知的とか全然関係なくなってきましたね。」
「そうですね。」
最後はワチャワチャした感じで犯人逮捕となった。その光景を見て唖然とする椎名と時行だった。
後日…
「え〜と…“真っ裸刑事チェスを製作した。これで知的な人間になりたまえ”だとさ。」
「こ、これの…どこが知的なんですかぁ!」
今までの真っ裸刑事の時行が駒となったチェスを前に叫ぶ時行であった。
逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が150回を突入した記念としてアンケートします!逃げ上手の転生記の新シリーズの候補として銀魂とルパン三世のどちらかに時行を行かせたいと思います。どちらの逃げ上手の転生記が見たいですか?
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