時行達は特撮の撮影現場にいた。両津が知り合いの特撮監督に誘われ何なら時行達も誘おうってことになった。
「これが…スタジオ…」
「ここで新番組“ウルトラマンゲイザー”の撮影をするんだ。」
「徳田は昔から特撮が大好きでこういう仕事に関わりたいって小学生の時から言ってたな。」
「最初に見たウルトラマンティガに感銘受けたからな。あれを見ると忘れられんよ。」
徳田が笑う。時行達はスタジオ内を見学していた。時行が変わった形の剣を見つける。
「これはなんですか?」
「それはゲイザーが使う武器ゲイザースラッシャーだ。これを使って怪獣を倒すのさ。」
徳田がゲイザースラッシャーの使い方を教える。
「なんかかっこいいですね。」
「だろ?ゲイザースラッシャーは変身アイテムにもなる。」
徳田がゲイザースラッシャーで変身ポーズをとる。それを見て時行達は真似をした。
「でもいいんですか?そんな大事な場所に私達を招待して。」
「問題ないよ。撮影はもう全て終わってるから。」
雪長の質問に他のスタッフが答えてくれた。すると、そうだと行って徳田がスタッフに見せたい物があるから持って来てと指示した。少し時間が経つとスタッフが怪獣を連れて来た。
「こいつが記念すべき第1話に登場する宇宙怪鬼獣コボルザークだ。」
徳田が説明してくれた。一角獣のような角、筋肉質な黒い体、トゲだらけの背中から尻尾とシンプルな見た目の怪獣だ。それを見て時行達は興奮している。しかし、亜矢と静はあまり乗れてないのか真顔だ。
「男の子ってああいうのが好きだよね。」
「あれが男の子のロマン。」
燥いでいる時行達。両津は後ろからコボルザークを見ている。
「こいつ、誰がスーツアクターしてるんだ?」
「聞いて驚くな。こいつにスーツアクターはいない。こいつはAIで動くロボットだ。」
弧太郎達が驚く。
「昨今、スーツアクターの高齢化やそもそもスーツアクター自体が少なくなってしまったからな。新しい取組みとして撮影用ロボット怪獣を導入した。」
「技術の進歩は凄いな。」
「他にもゴブリガンやオークロスといった怪獣もAIロボットで動かしている。本当はこいつも他の怪獣と一緒に点検するんだがどうしても自慢したかったから持ってきちゃったよ。」
試しにと徳田が専用端末を使ってコボルザークを動かす。すると、角の付け根と両腕からゴムボールを発射した。
「コボルザークの武器は怪力と角と両腕から放つ光弾コボルショットという設定だ。実際に撃つと軌道が分かりやすくて合成しやすいんだ。」
街中を暴れ回るコボルザーク。その迫力に時行達は興奮していた。亜矢はあまり興味ないのかコボルザークよりも周りの設備に目がいっている。
「ねぇ。これは何?」
「それは施錠ボタンだ。ここはこのボタンで開閉が可能だ。」
実際にボタンを押してみると扉の上の表示がOPENからROCKに変わった。もう一度押すとOPENに戻った。休憩しようとスタジオを出る。両津が声をかけるも時行はもう少しここに居たいと言う。すぐに来いよと言って休憩室に向かう。
「凄かったっすね!」
「技術の進歩を感じられました。」
「特撮も進化しているんですね。」
「そうだ。昔は多くの人達が糸などで怪獣の尻尾を操作したり空に飛ばしたりしていたが今は映像の進歩で合成によってあらゆることが出来るようになった。」
徳田はモニターを着ける。そこにはスタジオの中を歩く時行がいた。ミニチュアのビルの間を抜ける時行はまるで巨人だった。
「初代に巨大化した隊員がいたな。懐かしい。」
「あれ?怪獣動いてないっすか?」
弧太郎を指差す。確かにコボルザークが時行を見ていた。
「おかしいな。ちゃんと切ったはずだぞ。」
徳田が確かめる。すると、いつの間にか再起動していたことが分かった。端末は手元にある。
「他に動かす方法は?」
「コボルザークの背中にON/OFFスイッチがあるだけだ。」
両津が時行に電話する。
「時行。」
『はい。』
「お前、怪獣に何かしたか?」
『はい。背中に何かあったので触りました。』
理由は分かった。
「時行、今すぐ怪獣のところに行って背中のスイッチを元に戻せ。」
『分かりました!』
これで解決。そう思った瞬間、モニターに映るコボルザークが笑った。そして、時行に向かってコボルショットを放った。時行は慌ててビルの後ろに隠れる。
「おっと。戦闘モードになってるのか。俺が行って止めて来る。」
徳田が席を立つ。その瞬間、コボルザークが尻尾で施錠ボタンを押した。さらに、強く押したため電気系統に異常が発生した。
「なんだ?開かないぞ!?」
徳田がボタンを押すもROCKのまま反応しない。スタジオには時行とコボルザークだけがいる。両津は時行に指示した。
「時行!なんとしてもコボルザークを止めろ!」
「はい!分かりました!」
時行は電話を切ってコボルザークの前に出る。コボルザークも街中のセットに入る。雄叫びをあげて威嚇する。それに対して時行は頬を赤らめ興奮していた。
「あれは暴走なのかな?」
「いや、特撮用の戦闘モードだろう。だが…」
両津が心配する。そんなこと知らず時行はワクワクが止まらない。
「凄い!最新技術というものと鬼ごっこが出来るぞ!」
目をキラキラさせる時行。街中に時行とコボルザークが立つ。それをいろんなところに配置しているカメラが撮らえた。
令和鬼ごっこ
宇宙怪鬼獣
《コボルザーク》
コボルザークが先に動く。時行は下がりながら様子見する。コボルザークは両腕を振り上げて攻撃する。それを時行は避ける。コボルザークの後ろをとる。しかし、尻尾で攻撃してきたコボルザークに近づけない。
「時行!」
弧太郎が心配して叫ぶ。時行は楽しそうに笑っている。
「心配の必要はないみたいですね。」
「たまに時行が変態に見えてくる。」
弧太郎達が頭を抱えている。コボルザークは角からコボルショットを放つ。時行はそれを全て避けた。それを休憩室に戻って来た徳田が見て驚く。
「凄いなあの子。スタントマン顔負けのアクションだぞ。」
「そういうのが得意なんだよ時行は。」
コボルザークの攻撃から避け続ける。しかし、それではジリ貧だ。コボルザークの稼働時間は徳田によるとあと3時間は保つそうだ。その間に修理業者が来ればいいのだがもし来る前に時行に何かあったらどうしようかと徳田は悩む。そこに両津が来て徳田の肩を叩く。
「両さん…」
「徳田。時行を心配しているなら問題ない。見ろ。」
徳田がモニターを見る。時行は笑いながらコボルショットを避けていた。
「時行はこういうのが好きだから全然迷惑だなんて思ってない。」
時行はノリノリで攻撃を避けている。さらに、徳田から教えてもらった変身ポーズをする。
「楽しそうだね。」
「時行だからな。」
時行はビルの後ろに隠れる。その時、コボルザークがビルごと時行をなぎ倒した。時行に馬乗りになる。コボルザークが踏みつけようとしたのを察知して転がりながら避けた。
「このままじゃ近付くことすら出来んぞ。」
再びコボルショットで攻撃する。時行は何か近付く方法はないか探る。すると、机にゲイザースラッシャーが置いてあるのを見つけた。コボルショットを避けながら走る。ジャンプして避けるとゲイザースラッシャーを手に取った。
「これで…」
時行はゲイザースラッシャーを鳴らす。コボルショットをゲイザースラッシャーで打ち返した。それが見事コボルザークに命中した。一瞬、よろける。
「今だ!」
時行が走り出す。コボルザークはコボルショットを乱射する。それを時行はゲイザースラッシャーで弾きながら突撃した。そのままジャンプしてすれ違うと同時にコボルザークの首をゲイザースラッシャーで一閃した。それが決め手となったのかコボルザークは倒れた。それに合わせて時行がポーズを決める。
「すげぇ!すげぇっすよ時行!」
「本当の映画を見ているようでした。」
「う、うん。」
弧太郎達が喜ぶ。その中でも徳田は感動すらしていた。
「素晴らしい…素晴らしい逸材だ。」
時行がコボルザークに駆け寄りスイッチを切る。これでもうコボルザークは動かなくなった。それから数十分後、業者が来てドアが開いた。
「モニターで見ていたがさすが時行だ。」
「ありがとうございます。」
時行が照れている。徳田がコボルザークを見る。すると、ゲイザースラッシャーで切られた部分が本当に切られていた。
「なるほど。伝達系統があの時の一撃で遮断されたのか。」
徳田は驚いていた。
「でもこれって修理とかは…」
「こちらでなんとかするよ。」
渚の心配に徳田が答える。徳田は時行に近付き片膝を着いて時行と同じ目線になると肩を掴んだ。
「ありがとう。君のおかげで素晴らしいものが見れた。」
「い、いえ。」
コボルザークは壊れてしまったが後悔はしていないと徳田は言う。これにて特撮スタジオ見学はなんとか終わることが出来た。
それから数日後…
『必殺!《ゲイザーホウジョウスラッシュ》!』
「徳田の奴、時行の時の映像を使ったな。」
「転んでもただでは起きない人なのですね。」
新番組ウルトラマンゲイザーの中にいつの間にか時行の時の映像を入れていた徳田に両津と時行は彼の特撮魂を感じていた。