ある日、両津が仕事をしていると1人の男性が派出所にやってきた。
「お久しぶりです両さん。」
「ん?誰だお前?」
「私ですよ。目太門比科忠です。」
「お前か!」
両津の声に反応した時行がひょこっと顔を出す。
「誰ですかその人?」
「こいつか?こいつは目太門比科忠。立石署の警察官で常に顔を変えている面倒くさい奴だ。」
「そんな言い方しなくても…」
目太門がアハハ…とから笑いする。
「それでまた整形か。」
「ええ。でも、今までの整形とは少し違うんですよ。」
「どこが?」
「実はこの顔、たった数分で整形したんですよ。」
その言葉に両津は驚くも時行はよく分かってなかった。
「普通整形といったら目を二重にするだけでも10分以上はかかるぞ!それを顔全体でやって数分だと!?」
「ええ。ですので麻酔なんかも必要ないんです。」
両津がどうやってするのか聞く。
「3Dプリンターを使うんです。」
「まさか、顔を一から作るってことか!」
「はい。専用のアプリを使って顔を作るんです。実際に見てみますか?」
「面白そうだ!」
両津は時行を連れてその整形をしている美容院に向かう。目太門が案内した部屋には整形に使う道具は無く3Dプリンターとベッドだけがあった。早速、目太門が3Dプリンター整形のやり方を教える。
「まずはこのアプリに自分の顔を登録するんです。その顔にどんな風になりたいかを加工するんです。」
試しにと目太門は時行を見ながら自分の顔をアプリで加工する。すると、3Dプリンターが動き出し時行の顔が生成された。凄く薄いマスクのようだ。目太門は先生に頼んでそのマスクを顔に張ってもらう。
「これで完成です。」
そう言った目太門の顔は時行そっくりだった。金髪だということ以外は時行なので両津も時行も嫌な顔をして見ている。
「金髪の時行はなんか不気味だ。」
「すみません。彼を見た瞬間、この顔に成りたいと思いまして。」
「でも、凄いですよ。本当の肌です。」
時行が目太門の顔を触ったり抓ったりしている。質感が完全に皮膚と同じことに驚いていた。
「ええ。極薄なのでほぼ自分の肌として定着するんです。これの良いところはシリコンを使わないところです。なので手術後にシリコンによる垂れなどの問題が起こりません。」
両津も目太門の顔を触っている。
「確かに凄いな。時間も費用もかなり抑えられるわけか。」
「その通りです。ただ、毛髪はまだ技術的に無理なのでそこがネックですね。」
「充分だろ。」
両津が感心していると次の客が来たようで扉が開いた。
「どうも〜!予約していたチャーリー小林ですけど〜。」
その男を見た瞬間、両津がずっこける。小林も両津を知っているようで両津を見て驚いていた。
「何故両さんが!?」
「お前こそなんで整形なんかに来るんだ!?」
「鼻を高くしようとしに来たんだ!」
「変わんねぇぞ!」
両津と言い合う小林。すると、時行が目に写った。それを見た瞬間、小林に電流が走る。
「先生!あの子と同じ顔にしてください!」
「お前もか!」
両津が止めろと叫ぶも小林は無視して時行の顔にしてもらった。
「これでまた人気者になれる!」
「パンクバンド頭の時行とか不気味だぞ。」
「私と同じ顔が2人いるのが怖いです。」
時行と同じ顔になった目太門も小林を見て時行は震える。小林が帰った後で両津が再び目太門の顔を見る。
「実際の人間と同じ顔に出来るってもう変装の域超えてるな。」
「実際に変装にも使われているみたいですよ。」
「いよいよルパン三世とかスパイ映画みたいになってきたな。」
両津がマスクの外し方を聞く。すると、目太門が先生から薬品を受け取った。
「これを顔に塗って放置するだけです。時間が経てば自然と剥がれてきます。」
「これは面白そうだ。わしも気軽にやってみよう。」
両津はスマホで大原部長の顔が写った写真を見つけると先生に見せた。
「この人と同じ顔にしてくれ。」
両津はあっという間に大原部長になった。頭が角刈り以外は全て大原部長だ。それを見た時行は引いている。
「なんか違和感が。」
「帽子を被れば大原部長よ。」
両津はニヤニヤ笑っている。時行は直感した。両津はなんか企んでる。その直感は当たっていた。両津は早速、時行には目太門と一緒に美容院で待っているように指示して大原部長として街に出掛けた。
「これはいい。いつもいろんな物没収されているからな。そのお返しだ。」
靴も履き袖も元に戻し帽子を被り声は風邪を装ってバレないようにした両津は尾崎模型店に入る。そこで欲しかったプラモデルを全て買う。
「珍しいですね。大原さんがプラモデルなんて。」
「両津の頑張りを労おうと思ってな。」
「29800円です。」
「後で立て替えるよ。それと、今まで両津がツケていた分も一緒に後で払うよ。」
「ありがとうございます!」
両津は調子に乗っていた。そこからも欲しかったゲーム機やゲームソフト、テレビなど買い後で支払うと言って買いまくる。両津は満足して寮に帰る。
「これでだいたい買えたな。…そうだ。次はこれでドッキリしてみよう。」
両津は新葛飾署に向かった。大原部長は今日は別の署へ行っているためばったり出会す心配はないと判断したのだ。入ってすぐ残念を見つける。
「残念君。」
「は、はい部長!」
バレていない。両津は心の中で笑いながら接近した。
「両津に任せるつもりだった書類があってな。後で派出所に取りに来てくれ。」
「わ、分かりました!」
両津は大原部長に言われていた仕事を残念に押し付ける。次は小町と奈緒子がいた。両津は近付き2人の肩を叩く。2人はびっくりして振り返る。
「頑張ってるかい?」
「ぶ、部長さん!?驚かさないでください!」
「部長さんでもセクハラで訴えますよ。」
「すまないすまない。」
笑いながら去って行く両津。2人は訝しながら見ている。両津は次は誰にしようか捜している。すると、屯田署長を見つけた。両津はいいことを思い付いたと笑うと屯田署長に近付いた。
「署長!」
「大原君か。どうしたのだね?」
「今度の今度の給料とボーナスなんですがわしの分を全て両津にやってくれませんか?」
「いきないだね?」
「え、ええ。最近の両津は頑張っていますからね。わしも感動して…」
両津はあることないこと言いまくって屯田署長を騙す。
「まぁ、考えておくよ。」
「ありがとうございます!」
屯田署長が去る。そこからも婦警達の体に触ったり両津に奢ると言っていろんな物を買ったりとやりたい放題だ。両津は満足して派出所に戻る。今度は中川と麗子から集ろうと考えている。
「中川君!麗子君!両津のことなんだが…」
「両津はお前だろ。」
派出所に入った瞬間、大原部長が睨んでいた。後ろには麗子、時行、目太門がいた。
「な、何故…」
「麗子君から電話があったのだよ。両津がわしの姿で悪さしていると。」
「美容院で偶然時行君に会ってね。」
両津の冷や汗が凄いことになる。ジリジリと追い詰められる。パトロールから帰った中川と椎名が大原部長が2人いると驚いていた。
「えっと、これは…?」
「お手軽に出来る3Dプリンター整形です。」
「目太門さん!」
「これ、整形なんですか?」
「はい。両さんです。」
「両津先輩!?」
椎名が驚く。両津は逃げようとするも大原部長に捕まってしまう。
「覚悟はいいな両津?」
「そ、その…」
後日
「お前の顔など見たくないからな。その顔で過ごしてもらうぞ。」
「角刈りの私って凄い不気味ですね。」
3Dプリンター整形で時行の顔にされた両津であった。