ある日、両津達は弧太郎達の通報である家の前にいた。そこはゴミが庭からも溢れ近所にまで悪臭が漂うゴミ屋敷だった。
「こいつは酷いな。」
「そうっすよね。俺の家まで臭くなってきてるっすよ。」
「ここは以前にもゴミ問題で注意したところですね。」
みんな、鼻を抓みながらゴミ屋敷を見る。中川がゴミを退けて表札を見る。『北尾』と書いていた。両津がインターホンを押す。すると、髭も髪もボサボサの男が出てきた。
「なんだ?」
「近所迷惑だからこれなんとかしろ。」
「知るか!」
バタンと音を立ててドアを閉める。
「さっきの人が…」
「そうっす。この辺りじゃ有名な迷惑親父っすよ。」
「私も近くを通っただけでゴミ投げられた。」
「以前、片付けようとした業者に向かって酒瓶を投げたと聞いています。」
弧太郎達が次々と文句を言う。両津はこれしきのことで諦めるような男ではない。両津は中川のところに行く。
「中川、今すぐここで焼却処分するぞ。」
「ダメだすよ!プラスチックや家電もあるんです!こんなところで燃やしたら大惨事ですよ!」
中川が慌てて止める。両津が舌打ちして次の策を考える。すると、二階の窓から北尾が出て来てゴミ袋を投げてきた。
「うるせぇ!近所迷惑だろ!」
「迷惑なのはそっちだろ!」
両津が遂に怒る。中川に頼んでゴミ回収業者を呼ぶ。両津主導の元片付けが始まる。そこに北尾がカンカンになって出てきた。
「てめぇ!誰の許可で俺の私物を…」
「うるせぇ!」
両津が北尾をアッパーする。そのまま拉致に近い感じでパトカーに押し込める。約5時間かけて全てのゴミの回収が完了した。しかし、付着した臭いは簡単には取れない。
「ここからが本番かよ。」
「もう壊した方が早いっすよ。」
時行達や近所の人総出で清掃する。ゴミ回収が終わってから3時間後。やっとマシになった。北尾は泥酔状態で暴れてパトカーを傷付けたためそのまま逮捕され新葛飾署へ連行された。
翌日、両津は北尾をアッパーしたことで始末書を書かされていた。そこに中川が昨日の件の報告に来る。
「氏名、北尾権造。68歳。ゴミを溜め始めたのは12年前。本人はコレクションだと主張していますが区から何度も撤去命令が下されたにもかからわず全て無視。挙句の果てには業者に対して酒瓶などを投げる妨害行為を…」
「中川、長い。簡潔に結果だけ教えてくれ。」
「今回は厳重注意に留まりましたが次同じようなことをすれば逮捕になります。」
「大変でしたね両津先輩。」
椎名が両津達に同情する。それに対して大原部長は呆れた顔で両津を見ていた。
「その男と同じゴミ部屋の主をわしは知っておるぞ。」
「誰ですか?」
椎名が聞くと大原部長は両津を睨んだ。
「確かに先輩の部屋は酷かったですね。」
「最近は時行が片付けに来てくれるけどな。」
「あの…1ヶ月ぐらい両さんの部屋に行ってない気が…」
気になった時行が両津の部屋に行きたいと言う。椎名と中川も一緒に行くと言った。両津は断ろうとするも大原部長が念の為にと行かせた。
「あれからそんなに経ってないしわしも片付けはしているから大丈夫だ。」
「不安しかないですよ。」
両津がドアを開けて部屋を見せる。布団の周りにはプラモデルやカップ麺やコンビニ弁当の容器などが散乱していた。それを見た時行達は呆然とする。
「両津先輩、これは酷すぎますよ。」
「私が居ない間に…」
足の踏み場もない部屋を歩く。
「これは掃除の必要がありますね。」
中川達が早速片付ける。
「時行様がここに来たの最近なんですよね?その前はどうしていたんですか?」
「以前はマリアさんに手伝ってもらったり麗子さんの催眠術で綺麗好きにしたりしてましたね。」
「そこまでしないと片付けないんですか?」
時行と一緒に分別している両津の後ろで椎名が中川に聞く。時行は両津にゴミの分別を教えていた。
「こちらが燃えるゴミですね。木や食べ残し、紙類をこちらに入れましょう。こっちが燃えないゴミ。プラスチックなどを入れときましょう。」
「あれ、どっちが大人か分かりませんね。」
面倒くさくて1つに纏めようとした両津を注意する時行。椎名と中川がその様子を見て心配している。今度は服を片付ける。ほとんどがシャツか制服だった。
「そう言えば両さんって普段も制服ですよね?」
「いつも制服だ。」
「どうしてですか?」
「特に理由はない。」
時行がシャツを持って呆れる。ほとんどがボロボロだったり汚れていた。
「服を洗わないのですか?」
「面倒だから洗わん。この制服も1週間洗ってないぞ。」
その発言に時行は中川のところまで退いた。
「洗いましょう!今すぐ!」
「面倒だ…」
「面倒は無しで!」
中川が代わりの服を用意し時行と椎名で両津の服を洗濯した。その間に中川が両津に掃除を教える。
「先輩。今着たいという服を選んでください。後で着ようとか今は着る気分じゃない服は全て処分しましょう。」
「おいおい。もったいなくないか?」
「先輩。それ北尾と同じこと言ってますよ。」
ゴミ屋敷直前の両津の部屋を掃除する。既にゴキブリやネズミが繁殖していた。中川は駆除しながら要らない物を外に出す。そこに洗濯を終えた時行と椎名が来た。
「これで完了ですか?」
「まだありますが…」
「残りは私がやりましょう!」
時行が自分が手伝うと言って掃除を再開した。中川と椎名は残りを時行に任せて派出所に戻って行く。粗方ゴミを片付け窓や床を拭き綺麗にする。
「これで後は…」
時行が残りのゴミを片付けようとするとアルバムを見つけた。気になって開いて見ると昔の両津が写っている写真がいっぱいあった。
「これは…」
「まだカメラが普及していない頃の写真だ。こんなにあるのは珍しい方だぞ。」
両津が思い出話を語り始める。時行は興味深く聞いている。両津は昔使っていたというベーゴマを出す。バケツや捨てる予定の布と雑誌などを纏める用の紐を使って簡単なステージを作りベーゴマをする。
「どうだ!小学生の頃はベーゴマで敵無しだったんだぞ!」
「おぉ〜!」
そこから両津はレア物のプラモデルや今じゃ手に入らないメンコなど自分の宝物だと言う貴重品を時行に見せた。
「昨日のやつかほどじゃないがわしも気持ちは分からんでもない。大切な物が増えると捨て難くなるものだ。最近はレンタル倉庫が普及してきた。それほど物を溜め込む人が増えたってことだ。」
「私の時代では考えられませんでしたね。」
「お前の時代は特殊すぎる。」
両津は腹が減ったなとピザを注文した。結構頑張った褒美として時行と2人でピザパーティーを開く。時行も初めて食べるピザに興味津々だ。
「これがピザというものですか。」
「どうだ?美味いだろ。いつかアメリカやイタリアのピザを食わせてやる。」
その夜は掃除を忘れピザパーティーやメンコ、ベーゴマと1晩中遊んでいた。そして、翌日…
「両津…」
「さすがの時行君も先輩に毒されてしまいましたか。」
「時行君の未来が心配…」
再びゴミ部屋となってしまった部屋でぐーすか寝ている両津と時行に呆れる大原部長達であった。