逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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時行のサバゲー術

 ある山奥

 両津達は車から降りるとライフルを構えた。ちゃんとメンテナンス出来てるか確認する。その様子を時行が見ていた。

 

「両津、なんで時行連れて来た?」

 

 一緒にいたボルボが聞く。時行も両津達と同じ迷彩服を着ている。今日は両津が率いるギャリソンゴリラがサバイバルゲーム、通称サバゲーをする日だ。

 両津が時行にライフルを教える。そこに相手チームが来た。両津達とは違う迷彩服を着た集団が両津達のところにやってくる。

 

「久しぶり!」

「何ヶ月ぶりだ?今日はよろしく!」

 

 リーダーと思われる男と握手する。すると、リーダーが時行を見つけた。

 

「おい両津。子供も参加させるのか?」

「そうだ!ああ見えて結構強いぞ!」

 

 ある程度、挨拶とメンテナンスを終わらすと審判の前に並んだ。

 

「今回はフラッグ戦。相手陣地の旗を取るか全滅させたら勝利となります。」

 

 審判が説明する。サバゲー用のジャケットにBB弾が命中するとアラームがなって退場。または当たっと判断したら「ヒット!」と宣言して両手を挙げ退場。これを繰り返し25人全員倒すか陣地にあるフラッグを取れば勝利となる。

 ルール説明を聞き終えると両チーム一礼して自分の陣地に戻った。10分後に開始する。その間に両津達は自陣のフラッグの前に集合して作戦会議を始める。

 

「さて、作戦だが…その前に時行。これ撃ってみろ。」

「は、はい!」

 

 両津がライフルを時行に渡す。両津が指差した木を狙い引き金を引く。しかし、反動に負け周りの仲間に当たりそうになった。

 

「危ねぇ!始まる前に終わりそうだったぞ!」

「じゃあ、こっちだ。」

 

 両津は時行に拳銃を渡す。同じように狙ってみる。しかし、反動は少ないものの狙いが定まらず結局10発撃って2発しか木に命中しなかった。

 

「まぁ、初めてなんてこんなもんだ。」

「弓ならいけますけど…」

 

 時行が不貞腐れる。初めて着けるゴーグルが邪魔なようだ。ジャケットも脱ぎたいようだ。

 

「これ外したいです。」

「ダメだ。お前なら当たらんだろうが一応ルールだからな。」

「やだ!脱ぎたい!全部脱いで逃げ回りたい!」

「時行、その発言は誤解を産むぞ。」

 

 暴れる時行。なんとか説得し時行も渋々受け入れる。両津は時行に最低限の装備として拳銃を渡す。時行が拳銃を仕舞うと作戦を話し始めた。

 

「作戦はわしとボルボを中心として二手に別れて各個撃破する。お前らはここでフラッグを守る役目だ。何かあればすぐわしかボルボに連絡しろ。」

「はい!」

 

 両津は数人をフラッグ防衛にする。

 

「そして、時行。お前はフラッグを取りにいけ。」

「おい両津!時行の逃げは知っているがさすがに危ないだろ!」

「わしは時行を信じる。いいか時行。これが当たると退場。つまり死んだということになる。逃げて生きるが信条のお前なら当たらずに大将の首、つまりフラッグを取りに行けると確信している!」

「当たると死ぬ…命懸けの鬼ごっこ…」

 

 何故だろう?時行が凄く興奮している。頬を紅潮させ目をキラキラ輝かせていた。両津は心の中でよしと思うとボルボに簡単な指示を出した。

 そして、10分が経過しサバイバルゲームが始まった。すると、両津は時行を1人で敵陣に突入させた。

 

「わしらは右から行くぞ!」

「俺達は左だ!」

 

 両津とボルボが左右に別れた。

 

「両さん。本当に大丈夫なのか?パルクール鬼ごっこで凄いのは分かったけど今回の相手はライフル装備だぞ。パルクールとは勝手が違う。」

「大丈夫だ。寧ろこっちの方が時行の本領発揮よ。」

 

 両津は確信していた。弓矢が飛び交い四方から敵が押し寄せてくる南北朝を生き抜いた時行ならこの程度簡単に突破出来ると。

 その時行は1人で真っ直ぐフラッグのところへと走って行く。すると、敵チームを見つけて隠れた。

 

(このドキドキ…玄蕃と一緒に逃げたあの日と同じだ。)

 

 時行は木の陰からチラッと覗く。相手は2人。どちらみ警戒しながらこちらへ歩いている。久しぶりの隠れ鬼に時行は興奮している。だんだん近付いてくる。このドキドキは怖いじゃない。楽しいだ。時行は興奮が止まらない。そして、時行の後ろを2人が通った。

 

「しかし、両さんもあんな子供を参加させるなんてな。」

「前回勝ったからってふざけてるぜ。1枚抜きで俺達に挑むか。俺達をナメてるだろ。」

 

 2人の会話を聞いてしまう。自分が戦力外にされていることよりも両津がバカにされていることに憤りを覚えた。2人の後ろで手を鳴らす。2人はびっくりして後ろを振り向くと時行がいた。

 

「お〜にさ〜ん、こ〜ち〜ら〜、手〜の鳴〜るほ〜うへ〜。」

「いつの間に!?」

 

 2人はすぐに撃つが時行は全て避けた。森の中を縦横無尽に逃げる時行を捉えることが出来ない。2人は背中合わせになって時行を捜す。気配や手を叩く音が至る所からするが姿が見えない。

 

(当てるのが下手な私でも絶対に当てる方法がある。)

 

 時行は木の上から2人を見ている。そして、枝にぶら下がり逆さまで2人の間に入り片方の後頭部に銃口を付ける。

 

(いつの間に!?)

(両さんが言っていたゼロ距離射撃!)

 

 時行が引き金を引く。片方が両手を挙げながら倒れる。もう片方が振り向き撃つが時行はすぐに懐に入り顎に銃口を突き付けた。

 

「両さんへの悪口を謝ってください。」

「わ、悪かった。」

 

 その一言を聞いた時行は引き金を引きもう片方を倒した。そのままフラッグへと進む。

 一方、フラッグの前で待っていた相手チームのリーダーが仲間に指示を出していた。

 

「岡田と正道寺がやられたみたいだ。両津がそこにいる可能性がある。警戒して進め。両津とボルボは真っ向から勝負を仕掛けるな。俺達はフラッグを取ることを優先する。」

 

 リーダーが指示を終える。

 

「思い出した!」

「何を?」

「両さんが連れてたあの子!北条時行ですよ!パルクール鬼ごっこで逃げ切った!」

 

 仲間がリーダーに説明する。しかし、リーダーは気にしてない様子だ。

 

「それ、どうせヤラセだ。」

「ヤラセ?」

「だってそうだろ。パルクール世界大会優勝者が8歳の子供に負けると思うか?そんなの番組がどんな奴でも勝てますよアピールするための仕込みだ。」

 

 リーダーが愚痴愚痴言っている。それを時行は聞いていた。すると、時行は隠れもせず堂々と出て行った。リーダー達は驚愕する。普通は隠れながら撃つかフラッグに近付くはずなのに堂々とこちらに歩いて来ているのだ。

 

「どうやって来た!?」

 

 リーダーが叫ぶも時行は黙って歩く。リーダーが撃つ。それに合わせて仲間達も撃つ。しかし、時行は驚異的な動きで全て避けた。

 

「バカな!?一発も当たってないと言うのか!?」

 

 リーダーは焦っているはず。なのに笑っていた。何故なら離れた場所から狙撃手が時行を狙っていたからだ。

 

「あれが両さんが言っていた時行か。」

 

 狙撃手は照準を時行に合わせる。時行のこめかみにロックオンした瞬間、引き金を引く。BB弾は凄まじいスピードで時行に飛んでいく。もう少しで命中する。そう確信した瞬間、時行が後ろに反れて避けた。

 

「嘘だろ!?狙撃を避けたというのかよ!?」

「やっぱり狙撃手がいた。」

 

 狙撃手は驚く。後ろに両津がいた。両津は狙撃手を撃つとすぐに時行のところへと走って行く。時行はBB弾を避けながら歩いている。

 

(数だけで大したことない。これなら顕家殿の矢の方が速い。貞宗殿の矢の方が脅威的だ。)

 

 時行が走り出した。狙撃が来ないことに焦る。その時、仲間がやられた。横を見ると両津がいた。

 

「まずい!回避!」

 

 リーダーは避けるも仲間が両津にやられていく。

 

「今だ!時行!」

 

 両津が叫ぶ。時行がリーダーの背中を踏み台にしてジャンプした。リーダーが時行を狙うもそれより速く時行がフラッグを取った。

 

「試合終了!勝者、ギャリソンゴリラ!」

 

 審判が勝者を宣言する。相手チームは悔しさで倒れ込む。両津が時行とハイタッチする。そこにボルボ達が来た。

 

「本当にやったよあいつ。」

 

 ギャリソンゴリラの仲間達が時行を讃える。そこに相手チームのリーダーが来た。

 

「本当に凄い奴だな。俺達の負けだ!」

 

 リーダーが手を出す。時行も手を伸ばして握手した。時行の機嫌もすっかり元通り。サバイバルゲームが終わり帰宅準備する。ゴーグルやジャケットを脱いだ時行が爽やかな汗を流す。

 

「やっぱり全部脱ぐと気持ちいい!」

「時行、その発言は誤解を産む。」

 

 時行の発言に両津達はソワソワするのであった。

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