ある日、両津が引き出しからミニカーを出して遊んでいた。そこに時行がやって来る。
「何ですかそれ?」
「こいつはな…こうやって引くと動き出すゼンマイのミニカーだ。」
両津が遊び方を教える。ミニカーわ後ろに引いて手を離すとミニカーが前に進みだした。それを見て驚く時行。
「凄いですね!」
「だろ!今の子供達は夢がない!わしが子供のころはブリキの玩具でも感動したものだ!」
「先輩、時行君の時代は玩具すらありませんでしたよ。」
中川が指摘する。
「分かってる!だからこそ今の子供に嘆いているのだ!やれ危険がどうの、やれ性能がどうのと文句ばっかりだ。多少の怪我なんて小さい頃から経験しておくべきだ!」
「そうですね。私も背中を大太刀で斬られたり胸を逆さ凶で斬られたり身体中に矢が刺さったりいろんな怪我を経験してきました。」
「時行、それは多少じゃない。」
「時行君の時代は改めて恐ろしいですね。」
時行の経験に両津達がツッコむ。両津はそうだと言って引き出しからベイブレードを出した。
「ベーゴマま良かったが最近はこういうのもまた流行り出したぞ。」
「それは?」
「ベイブレードという。基本的にはベーゴマだがそれよりもさらに進化している。」
両津がベイブレードの使い方を時行に見せる。時行は激しく回るベイブレードに驚いている。
「凄い!こんなに速く回るのですね!」
「だろ。ベーゴマと違って技術があまり必要無いし、パーツを組み合わせて自分だけのベイブレードを作ることだって可能だ。」
「そう言えばうちの会社でも新しい玩具の開発に取り組んでいますよ。」
「いいな!時行、行ってみるか!」
「はい!」
中川が両津と時行を会社に連れて行く。次世代の最新玩具の開発をしているだけあって様々な玩具があった。両津も時行も興奮して玩具を見ている。
「なかなか凄いのが揃ってるじゃねぇか。」
「初めて見る物ばかりです。」
中川が2人に開発中の玩具を持ってきた。見た目は普通のレゴという玩具だ。
「これは?」
「中川、見た感じは普通のレゴだぞ。」
「見た目はそうでしょう。でも…」
中川が組み立てると豆電球をセットした。そして、レゴに付いていたスイッチを傾けると豆電球が光だした。それを見て時行が驚く。
「おぉ!?」
「これはレゴの中に電気を通す銅線を組み込んでいます。そのため繋げると電気を通すことができるのです。」
「ただ作るだけじゃないってことか。」
「はい。別売りのソーラーパネルと組み合わせるとレゴで自家発電が出来ます。これがあればもしもの災害時に役に立つとおもいますよ。」
「遊びながら発電か。時代も変わってきたな。」
時行がいろいろと組み合わせながら遊んでいると今度はパズルを持ってきた。時行が実際にやってみる。立体パズルのようでかなり難易度が高い。時行が苦戦しているので両津が手伝った。
「これ、子供にやらせる難易度じゃないぞ。」
「それがいいんですよ。脳の体操にもなりますし手先が器用にもなるんです。」
両津も手伝いなんとか完成させた。カブトムシの立体模型だった。
「カブトムシか。」
「ええ。恐竜の骨格標本のパズルと基本は同じです。作って学ぶ。これを目的としています。」
「最近は普通に遊ぶが出来んのか?」
「厳しいですね。最近は遊びそのものに厳しい親が増えています。こうやって学習を取り入れないと買ってくれませんね。」
「なんか情けなくなってきた。」
両津が玩具を見て嘆く。
「最近は大人向けの玩具も開発していますよ。」
「ほう。どんな…」
「こんなのですか!?」
時行が走って来る。その手にはグイングインと動く何かがあった。それを見た両津と中川が唖然とする。
「バカヤロー!早くそれを元に戻して来い!」
両津が時行の持っている玩具を返す。
「まさか、あれとか言うんじゃないだろうな?」
「違いますよ。こちらです。」
中川が見せたのは小さな野球盤の玩具だった。
「懐かしい!昔はよくこれで遊んだぞ!」
「それです!これのコンセプトはレトロです。昔流行った玩具を一新して大人に向けた玩具にしようということだす。」
中川が野球盤のバッターの人形を変える。
「おぉ!王貞治じゃねえか!」
「一新したのはそこです。実在した選手を配置して遊ぶことができるのです。実在の選手を自分好みに選んでチームを作ることが出来ます。」
「だが、人形を変えてもやることは同じじゃ…」
「それが違うんです。」
中川が王貞治とイチローの人形を見せる。よく見るとバットが微妙に違っていた。
「ここを変えることで打った際のボールの軌道を再現して見ました。」
「これは売れるぞ!」
実際に両津と時行で遊んでみる。結果は両津の圧勝だ。野球選手のことなどほとんど知らない時行だから当たり前ではある。それでも時行は楽しんでいた。
「大谷選手やトラウト選手もいるのであのシーンの再現も出来ます。」
「これなら親子で遊べるぞ。」
両津が興奮している。すると、中川が次の玩具を持ってきた。
「あの、これは?」
「軍人将棋じゃねぇか。」
「はい。こちらもレトロをコンセプトとしています。」
「一時期流行ったんだけどなぁ。」
時行が気になっているので実際にやってみる。普通の将棋と違うためいつものやうにいかず苦戦する時行。これも両津が勝つ結果となった。
「こちらはスマホと連動させて今までの戦績を記録することが出来ます。」
「凄いな。」
中川ぎスマホを見せる。次に見せた玩具はリカちゃんだ。
「これも流行ったなぁ。」
「こちらはリカちゃんが結婚して子供もいます。」
「そこを進化させたのか。」
「ちなみにリカちゃんに恋するケント君もいます。」
「何昼ドラみたいキャラだしてんだ!」
両津がツッコむ。
「他にもいろいろな玩具がありますよ。」
中川が開発中の玩具を見せる。ブリキの人形やプラスチックなミニカー、ベイブレードとベーゴマを合体させたような最先端の駒など懐かしい玩具の進化版を見せてくれた。
「最近の玩具は1つの性能ではなく多くの要素を取り入れた物が多いです。学習用の玩具もその1つですね。」
「文明水準が高くなればなるほど人が求める物が多くなる。」
「そうですね。私も生きていれば後は何も求めていませんでした。」
「お前は特殊過ぎる。」
両津が時行にツッコむ。
「中川!わしも開発に携わらせろ!」
「先輩を!?」
「そうだ!わしが昔の玩具を流行らせてやる!」
両津はそう言って玩具開発に参加した。そこから両津の発想で様々な玩具が誕生した。1面がモニターになっている難易度高めのルービックキューブ、スマホで操作するラジコン、AI搭載の話せるぬいぐるみなど次々と開発していった。
「懐かしいな。わしも小さい頃は野球盤で遊んだものだ。」
両津が中川のところから持ってきた玩具を大原部長達に遊ばせる。みんな、それぞれの玩具で遊んでいた。
「確かに俺のところの親はこういう玩具に厳しいっすよ。」
「僕もあまり玩具は買ってもらえませんでした。」
弧太郎や渚達も楽しそうにしている。
「俺、このラジコンが欲しいっす!」
「私はリカちゃん!」
「僕はこのモデルガンで。」
みんな、それぞれ気に入った玩具を手に取る。それを見た両津は頷いていた。
「良かった。やっぱり子供はこうじゃないと。最近の子供はどこか大人びていたり玩具で遊ぶなんてこと自体が少なくなってきたり、とこういう機会が無くなっている。」
「わしらが子供の頃は贅沢出来なかったから、玩具1つで一日中遊んでいたよ。」
両津と大原部長が昔を懐かしむ。
「そう言えば、時行君はどんな玩具が気に入りました?」
「私はこれです!」
そう言って出したのはギュインギュイン動くゴムで出来た玩具だった。それを見た両津達は黙ってしまう。
「これの動きが凄く面白いと思いました!」
「返せ!今すぐ返せ!」
「時行!それ、なんか如何わしい感じがするっす!」
「卑猥。」
慌てて時行に返すように叫ぶ両津達であった。