両津達は今、長野県の諏訪大社にいた。もうすぐで1年が終わる。2024年最後の日をここで過ごすことにした。両津達派出所のメンバーと擬宝珠家だ。
「どうだ時行?」
「諏訪神社がまだ続いていたのですね。」
諏訪大社を見て時行が目をキラキラさせていた。両津達からしたらそんなに思い出はないけど時行にとっては数え切れないほどの思い出がある。諏訪大社を見て涙を流す時行。
「そんなに感動しているのか?」
「人それぞれだよ。」
時行を見て驚く纒を夏春都が軽くいなす。
「諏訪大社は古事記にも記載されている歴史のある神社なんです。そこでは建御雷神に戦いを挑んだが負けてしまい、諏訪まで逃れた建御名方神が建てたのが起源とされています。鎌倉時代になると源頼朝に給付され神馬を奉納したり、毎年恒例の重要祭事である五月会や上社南方の御射山で行われた御射山祭における頭役を務めたりしていました。」
中川の説明に両津達が唸る。時行も自分の知らない諏訪大社が聞けて嬉しそうだ。時行は故郷を足利尊氏に滅亡させられた以降の諏訪大社しか知らない。
時行達は本宮に到着した。多くの人達で溢れ返っている。約700年ぶりの諏訪大社に時行は昔を懐かしむ。夏春都が纏達にお小遣いをあげる。
「これで甘酒でも買っておいで。」
纏や檸檬、椎名が買いに行った。
「これであの子らを気にせずに諏訪大社を見れるだろ。」
「さすが夏春都。気がきく。」
残ったのは時行のことを知っているメンバーだ。時行は気兼ねなく諏訪大社を楽しむ。
「懐かしいですね。何度も頼重殿の作った落とし穴に落ちました。」
「どんな思い出だ。」
1発目に出た思い出に両津達は唖然とする。
「鎌倉からここへ逃げました。心強い郎党と出会えました。貞宗殿と犬追物もしました。変態にされかけられました。頼継殿と鬼ごっこもしました。何度も貞宗殿と戦いました。」
「やっぱりお前の思い出は波乱万丈過ぎるぞ。」
「途中変なのが入ってませんでした?」
懐かしむ時行に両津達がツッコむ。そこに甘酒を買ってきた纏達が戻って来た。
「はい、時行。」
「これは?」
「甘酒というのじゃ。」
檸檬が飲む。
「ほほう。これは酔わない酒という物ですね。」
「確かに酔いはしないけど。」
時行が一気に甘酒を飲む。
「いいですね!」
時行が甘酒の余韻を楽しんでいる。両津は知り合いを見つけたと言って少し離れた。
「そうだ。時行君も御守り買ってみますか?」
中川が提案する。みんな、賛成する。御守り売り場に行くと両津が神主と話していた。どうやらその神主が知り合いらしい。両津がこちらに気付くと笑顔でやってきた。
「神主から許可もらったから神事やってみないか時行?」
「い、いいのですか!?」
両津の後ろにいる神主が笑顔が頷く。
「ついでに纏も巫女になっていいってさ。」
「余計な御世話だよ!」
纏が叫ぶ。周りが見る。纏が目を反らす。檸檬が巫女姿を見たいと言う。纏は仕方なく時行と一緒に着替えに行った。待ってる間に両津達は御守りを買う。
「僕は健康祈願にしときましょう。」
「私は恋愛運ね。」
「わしは仕事運だ。」
「わしはもちろん金運だ!」
「カンキチ、あんたも仕事運か恋愛運にしときな。」
「余計な御世話だ!」
両津が叫ぶ。周りが見る。両津が目を反らす。大原部長が仕事運にしろと言う。両津は仕方なく仕事運の御守りを買った。そこに時行と纏が来た。2人とも似合っている。
「いいじゃないか。」
「初めて会った時を思い出しますね。」
「時行様も纏さんも綺麗です!」
みんな褒める。2人とも照れくさそうにしている。2人は体験として掃除や案内、売り子をすることになった。ここでも時行人気は凄まじくいろいろな人が時行を撮影した。
「昔の時行もあんな風に崇められていたんだろうな。」
「諏訪頼重は南北朝時代では現人神として崇め奉られていました。時行君と同じように崇め奉られていたのでしょうね。」
時行人気を見て当時を考察する両津達。両津は一番前で時行を撮影している椎名を引っ張ってお参りに行く。
「時行様〜!」
「お前、初めて会った時とえらいキャラが変わってるぞ。」
待っていると両津達の出番となった。それぞれ硬貨を賽銭箱に投げ入れる。
「両津、1円はないだろ。」
「そこでもケチると来年いいこと起きないよ。」
「悪かったなケチで。」
両津達が祈願しようとすると隣に時行が来た。時行は五百円玉を賽銭箱に投げ入れた。それを見て夏春都達は両津を見る。さすがに気まずくなった両津は百円玉を賽銭箱に入れた。みんなで二礼二拍手一礼する。
「…よし!」
「両津先輩は何を願ったんですか?」
「もちろん金運アップだ。」
「それしかないのか。」
両津に呆れる大原部長達。両津は時行に何を祈願したのか聞く。時行はクスッと笑うだけで話さない。
「気になるじゃねぇか。何をお願いしたんだ?」
「それは秘密です。」
両津が何度も聞くが時行は答えない。
「私より皆さんのお願いが聞きたいですね〜。」
時行が話を反らした。
「僕は今の関係が続くことです。」
「私はみんなが元気でありますように。」
「わ、私は…ヤンキーが和やかになりますように…です。」
「わしは両津がまともになるようにだ。」
大原部長の願いに両津がうっとなる。
「わしは超神田寿司のさらなる発展だね。」
「檸檬はみんなともっと仲良くなりたいじゃ。」
みんなの願いを聞いて時行は微笑んでいる。
「それで時行の願いはなんだ?わしらも言ったんだから1人だけ内緒は無しだぞ。」
「仕方ありませんね。私の願いはこれからも生きていきたいです!」
「時行君らしいですね。」
みんなで笑う。そこに巫女体験を済ませた纏が戻って来る。
「終わったー!」
「お疲れ!」
「たった10分ぐらいなのに本当に疲れた。」
纏が水を飲む。すると、鐘が鳴り響いた。
「除夜の鐘か。」
「あと、30分ほどで今年が終わります。」
「長かったわね。」
「今年はいろいろあった。」
みんなが夜空を見上げる。時行も夜空を見上げ今年を振り返る。初めて両津達と出会ってから何もかもが新しい出来事の連続だった。時には逃若党や諏訪頼重がいないことを寂しく思うこともあった。それでも両津達と一緒にいることが楽しかった。
「…また、みんなに会いたい。」
時行はボソッと呟く。両津達には言った願いとは違う祈った願い。それがいつか届くだろうと願っていた。両津に呼ばれて涙を拭いついて行く。すると、おみくじ売り場が目に着いた。
「あれは…」
「おみくじだ。…そうだ!最後にみんなで引いてみませんか!?」
「そうだな。折角だし引くとしよう。」
みんながおみくじを引く。
「僕は中吉でした。」
「私も吉よ。恋愛運はすぐ現るですって。」
「わしは小吉だ。願望は…あらゆるものを一新すべし。両津を別の署に送るとしよう。」
「なんでそうなるんですか!?」
両津がツッコむ。
「私は…末吉かぁ。待ち人…既に会っている。まさか…」
「認めないよ。」
纏が両津を見る。夏春都が釘を刺す。夏春都は吉だったようですぐにしまった。椎名が震えている。両津がチラッと見ると凶だった。
「そんな時もあるさ。」
「なんですか…この…健康運の逆さの傷に気を付けましょうって?逆さの傷ってなんですか?」
「両津はどうなんだ?」
「わしは大吉ですよ!」
そう言いながらおみくじを開ける。そこには大凶と書かれていた。両津があんぐりと口を開けたまま動かなくなった。
「残念だったな両津。今年は大人しくすることをオススメするよ。」
「商売は…大きな賭けは止めコツコツと積み上げていきましょうと書いてありますね。」
「知るか!こんな物、すぐに結んでやる!」
両津が怒りながら行ってしまう。その間に時行と檸檬がお互いのおみくじを見せあった。
「檸檬は吉じゃ。学問は努力すれば身を結ぶと書いてあるぞ。」
「私は…大吉でした。」
「凄いじゃないですか!」
中川達も時行のおみくじを見る。
「願望は…思いがけない時に叶うでしょう。どんな時でしょうね?」
結び終えた両津が戻って来る。時行のおみくじを見る。悔しそうに見ていた。
「商売が新しい事にチャレンジすればいいでしょうだと…わしもそれが欲しかった!」
「先輩はいつも新しい事にチャレンジしてるじゃないですか。」
中川が指摘する。それでも両津は時行のおみくじが羨ましいみたいで交換を要求する。もちろん断られた。そうしていると周りがカウントダウンを始めた。
「あと10秒です!」
中川がスマホを見る。両津達も一緒にカウントダウンを始めた。
「おお!じゃあ9!
「は、8!」
「7。」
「6。」
「5!」
「4!」
「3じゃ。」
「2ー!」
「1!!」
「「「0ー!!!」」」
とうとう2024年が終わり2025年が始まった。
「今年もいい年になるといいな。」
「はい!」
寒くなり雪がちらほら降り始めた。息もだんだん白くなってくる。時行達は新たな1年がどんな風になるかワクワクとドキドキでいっぱいだった。
「これからもよろしくな時行!」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
遂に始まった2025年。時行達は新たな1年を楽しみにしているのであった。