ある日、時行が派出所から出て遊びに行った。それを見ていた1人の少女がいた。
「あの子が…」
少女は派出所に入る。そこにはスマホでテレビを見ている両津がいた。両津はその少女を見ると彼女の名前を呼んだ。
「小梅か!久しぶり!」
「久しぶりです両さん!」
彼女は花山小梅。小梅は両津に質問した。
「さっき、綺麗な男の子が出て行ったけど…」
「時行だ。わしが養子として育てている。」
「そう…」
小梅は珍しく真剣な顔をしている。両津が気になり聞こうとする。そこにスマホからニュースが流れた。
『…で金ピカの仏像が発見されました。特徴や年代から後醍醐天皇とされ…』
「金ピカの仏像だと!」
両津の両目が金という字になる。
(待てよ。時行の時代はかなり動乱が続いたが足利尊氏側はかなりの金があったはず。この前は足利尊氏の財宝をゲット出来なかったがわしがあの時代の時行に加勢すればもしかしたら足利尊氏に勝てるか?そうなれば足利尊氏の財宝をガッポリゲット出来る!)
両津は小梅を見て笑う。
「小梅。ちょっと調べたいことがあるからわしを南北朝にタイムスリップさせてくれ。」
「だ、だめです!」
「そう言わずに~。」
両津は隙を見て小梅から杖を奪うと呪文を唱えてタイムスリップした。
「こ、ここは?」
両津が起き上がる。周りを見ると派出所どころか都会ですらなかった。山と田圃と木の家しかなかった。両津は詳しく場所を知るため歩いて散策する。しかし、全て空き家だった。
「どうなってんだここ?」
両津は村には誰もいないと判断し山に入った。無数の足跡がある。両津は足跡を追っていると大量の死体があった。両津は吐きそうになるのを我慢する。全員討死したようだ。
「間違いない。ここは現代じゃねぇ。」
両津は調べる。そこに足音が聞こえてきた。両津は慌てて隠れる。数人の武士が現れた。折れた刀を捨て死体から追い剥ぎのように刀などを奪った。
「これで顕家軍に援軍は来ないな。」
「さすが師直様。あの方の先見の明には敵わん。」
「顕家…師直…確か…」
両津は思い出す。時行から聞いた話にその2人が出ていた。ここで確信する。両津は今、時行と同じ時代に来たのだ。両津はよしと喜んでいると武士に気付かれた。
「おい!誰だ!?」
「まだ顕家軍がいたか!」
向かってくる武士達。両津は咄嗟に木の上に逃げた。武士達は両津を見失いその場から離れる。両津は再び死体のところに行く。
「う〜む。わしに負けず劣らず悪顔な奴ばっかりだな。」
両津は考える。顕家は時行の仲間だ。なら、顕家軍になれば時行に会えるかもしれない。そう考えた両津は死体に南無阿弥陀仏と手を合わせると服や刀を装備して武士になった。両津は死体を観察しどこに向かっているのか推理する。
「おそらくこの先に顕家がいるはず。」
両津は1人進んでいる。その時、後ろから声ご聞こえた。振り向くとさっきの武士達が追いかけてきた。
「やはり生き残りがいたか!」
「殺せぇ!」
「首を取れぇ!」
「来やがった!」
両津は走って逃げる。その速さは凄まじく武士達も驚いていた。
「なんだあいつ!?」
「本当に人間か!?」
両津はなんとか逃げ切った。そこから何日も川の水だけで歩いた。さすがに疲れたとヘトヘトになっている。
「さすがのわしでも何日もまともに食べてないとキツいぞ。」
両津が歩いているといかにも悪人顔の武士達がいた。よく見ると自分と同じ服装をしていた。
「こいつら、もしかして。」
両津は一番後ろに着き一緒に行動した。すると、広い平野に着いた。両津が見渡す。
「ここはまさか…関ヶ原か!?」
「関ヶ原?」
両津は口を閉じる。周りにいた武士達は両津を見て何か話し合っている。方言がキツすぎて聞き取れない。すると、武士達は笑いながら両津を歓迎した。普通に仲間だと思われたらしい。
「わしとこいつらは同類かよ。」
両津がキョロキョロ見渡していると派手な化粧を施した、中性的で見目麗しい青年がいた。両津も息を飲むほどの美青年だ。その青年に仲間と思われる男が報告した。
「顕家卿ーっ!北、西、北西から足利軍が!」
(顕家!まさか、こいつがあの…)
両津は驚く。ほとんど文献が残っていない北畠顕家の素顔を見たのだから無理もない。顕家は自分を見ている両津を見るとイライラした顔で怒鳴った。
「貴様!
突然の罵倒に両津は一瞬イラッとするもすぐに切り替える。
「す、すみません。」
「さっさと配置に着け!」
顕家は馬に立つと命令した。両津はどこにも所属していないためどうしようか悩む。
「伊達と北条!西へ戻り殿を襲う敵を討て!」
「北条!」
両津はとうとうその名前を聞いた。もう迷っていなかった。両津は西に行くことにする。弓矢をもらい川の向こうにいる敵に射る。
「これが時行がいた時代か。織田信長の時とは違う緊張感だ。」
両津は時行を捜しながら弓矢を射る。しかし、だんだん圧されていきとうとう敵軍が川を渡り襲ってきた。両津は敵の武士を蹴り飛ばし下がる。すると、見覚えのある武器を持った女の子を見つけた。
「あれは、時行が言っていた武器か。と、すると…」
亜矢に似ている女の子は相手の武士と仲良く喋っていた。両津はそこに行く。すると、さっきまで笑顔で会話していた少女と武士が突然殺意をぶつけて殺し合いを始めた。それに両津はドン引きする。
「間違いない。あいつが時行が言っていた亜矢子だ。」
両津が引いていると亜矢子の向こうに凛々しい少年を見つけた。その少年は馬に乗って冷静に戦況を見ている。
「押し返せ北条軍!時行はここで見ているぞ!」
確信した。あの少年が令和に来る前の北条時行だ。両津は周りの武士達と一緒に進軍する。その時、時行に矢が襲ってきた。時行は避けると矢を射ったと思われる男が馬に乗って下がった。
「大丈夫か!?」
両津が聞くも時行はさっきの男の真似をしながら興奮していた。
「やっぱりそうなるか。」
心配したのが馬鹿みたいだ。興奮している時行を見た男は笑うと時行に勝負を挑んだ。ピイィィィィと鳴る矢を放つ。敵軍は両津から見て左に向かう。しかし、両津は敵軍とは反対の方向に走った。
「あんな分かりやすい合図、囮だろ。」
両津は時行のところへ走る。しかし、それより速く男が時行に矢を放った。その一撃は凄まじく命中した時行は吐血して馬から落ちる。
「時行!」
両津は慌てて駆け寄る。すると、時行が起き上がった。近くにいた亜矢子が武器を見て驚いている。矢が貫通していたのだ。
「貞宗の奥義を学びたかった。」
時行がそう言って男を見た。
「あいつが小笠原貞宗か。」
両津が貞宗を見る。時行が一礼すると貞宗は去って行った。戦況を把握し撤退が最善と考えたのだろう。時行の勝利に歓声が上がる。少しの休憩。傷を癒している。両津は時行のところに行こうと考えたが今は見守ることだけにした。
時行は弧太郎に似ている少年と楽しそうに話している。両津は時行達の後ろを歩く。どこも順調に勝ってきているみたいだ。途中、殺り合うフリをしながら誰かと話している。
「時行も大変だな。」
時行達と一緒に向かう。凄い雰囲気の老将がいる。老将が手を上げる。両津を息を飲む。
「皆に問う。…飯はまだかのう?」
両津はずっこけた。仲間と思われる色黒の少年達が何か言っている。敵軍は狼狽えている。
「今だ敵はビビっている!殿の耄碌がバレる前に打ち破れ!!」
「雰囲気勝ちじゃねぇか!」
「あっ。やっぱそう思うッスよね?」
「こ、弧太郎!」
「弧次郎ッス。」
両津の前にいた弧次郎が話しかけてくる。仲間が報告しに来る。よく見ると風祭と同じ面を被った少年だ。
「あいつ、マジで忍者の家系だったのか。」
「坊ーーーー!!すぐ本隊に戻れ!」
亜矢子がゲンバと呼ぶ。玄蕃は慌てて報告した。
「顕家本隊の四万騎が…たった千騎にズタズタにされてる!」
時行が驚いている。両津も驚いていた。四万対千で四万が負けているという報告だ。驚くしかない。
「土岐頼遠!!あいつはこの世のもんじゃねぇ!!」
時行達は急いで向かう。両津も時行達と一緒に走るのだった。