逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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両さん、蛇になる!?

 ある日、派出所で両津と時行が会話していた。

 

「魔法使いというのは現実にいるのでしょうか?」

「なんだいきなり?」

「この前、花山小梅さんという方に会いまして。」

「あぁ。それで何か話したのか?」

「いえ。私が自己紹介するとすぐにどこかへ行ってしまいました。」

 

 時行がこの前出会った小梅のことを聞く。

 

「魔法なんて言い換えれば未知の技術だ。お前がいた時代にスマホなんてなかっただろ?車なんてなかっただろ?いつの時代も最先端の技術は魔法と呼ばれるんだ。」

「そうなのですね。」

 

 時行が納得しているのかしていないのか首を傾げている。そこに弧太郎達が遊びにきた。

 

「よぉ!時行!」

「おっ。弧次郎か。」

「弧太郎ッスコーチ。」

 

 両津は頭を抱えた。時行は弧太郎達と遊びに行く。両津はトイレに行った。その時、知らない場所に転送された。周りは雲のような床があり目の前には老人が立っていた。

 

「ここは…」

「両津、お前に重大な…」

「またかてめえ!」

 

 両津は老人を殴り引き回す。

 

「毎度毎度大した用事も無いのに連れて来るな天罰じじい!」

「待て両津!今回は本当に重大な事案なんじゃ!」

「知るかぁ!」

「ええい!」

 

 老人は両津を消した。

 

「相変わらず話を聞かん男だ。」

 

 両津は起きた。周りを見ると大きい木がならんでいる。戻ったと思い起き上がろうとするもおかしい。両手両足が動かない。いや、感覚すらない。まるで両手両足が最初からなかったかのようだ。そう言えば周りの景色も大きく見える。横を見れば草むらが自分の丈と同じぐらいある。どういうことだと思って近くに捨ててあった鏡を見る。すると、自分が蛇になっていることに気付いた。

 

「あのじじい!今度は蛇か!」

 

 両津はなんとか蛇行し移動する。

 

「とりあえず匍匐前進の要領で動けばいけるが…猫やカラスよりもやりにくい。」

 

 両津は今いる場所を特定する。

 

「一応、東京みたいだな。」

 

 両津は東京タワーが見えたため東京にいると判断する。近くに女性がいた。東京のどの辺りか知るため近付く。

 

「おい!ここは…」

「え?へ、蛇~!」

「しまったぁー!」

 

 両津は慌てて逃げる。

 

「今のわしは蛇だった!東京に蛇がいる時点で大問題だぞ!」

 

 猫やカラスと違い東京にいたら不自然な蛇だということを忘れていた。しかも、見た目はガラガラヘビだ。完全に駆除対象だ。

 

「猫やカラスは仲間がいたからまだいいけど蛇なんて東京のどこにも居ないだろ!」

 

 両津は木の上に登って避難した。すぐに警察が来て捜索を始めた。

 

「さすが日本。対応が早い。」

 

 両津は見つからないように草むらをかぎ分け逃走した。

 

 一方、派出所には例の老人が小梅と一緒にいた。

 

「お久しぶりです花山さん。」

 

 大原部長が挨拶する。この老人は花山理香。天国警察下界課に勤める魔法使いだ。花山小梅の祖父でもある。ちなみに、理香という名前は彼の親が今度は女の子が生まれると思っており女の名前しか考えていなかったからと小梅が言っていた。

 

「それで先輩を蛇にしたんですか?」

「そうだ。あやつは猫にしてもカラスにしてもしぶとく順応するからな。」

「確かに逞しいですよね先輩は。」

 

 中川達は花山の依頼で蛇になった両津を捜索することになった。その両津はトラックの中にいた。運転手の隙を見て侵入した。

 

「とにかく派出所に行けば中川や麗子がいるはずだ。」

 

 両津は荷台から外を見る。高速道路に入っていた。

 

「まずい!このトラック、東京を出る気だ!」

 

 両津は慌ててトラックから飛び降りる。しかし、高速道路の橋から飛び降りたためそのまま落ちる。

 

「何を〜!」

 

 両津は体をくねらせ滑空した。実際に滑空する蛇はいる。しかし、それは体の構造が特殊だからこそ出来た芸当である。それを両津は気合いで成し遂げた。しかし、受難は続く。着地した場所が街中だ。

 

「上手く木に着地出来たから良かったものの。ここからどうする?」

 

 両津は周りを見る。近くに電線があった。両津は思い出す。電線は片方だけだと感電しない。現にカラスが電線に留まっている。

 

「電線を伝っていくか。」

 

 両津は体を伸ばし電線に絡まる。すると、カラスが襲ってきた。

 

「待て!わしはお前ら食べに来たわけじゃ…」

 

 両津が叫ぶもカラスには聞こえていない。さらに、騒ぎが大きくなった結果、上を向く人が増えた。両津を見てすぐに通報する。両津は強行突破した。

 

「ええい!派出所まで行けばこっちのもんだ!」

 

 両津が逃げる。なんとか捕まらずに市街地に逃げることが出来た。しかし、場所はまだ分からない。ここはどこなのか調べようとした瞬間、両津の前にBB弾が飛んできた。

 

「誰だ!」

 

 両津が狙撃地点を探す。すると、見覚えのあるマンションが見えた。それで思い出す。

 

「後流悟か!」

 

 両津の推測は当たっていた。両津をスコープから覗いているのは後流悟十三。両津と同じ新葛飾署の署員だ。背が低くガニ股歩きになってしまう某スナイパーっぽい男だ。

 

「あの野郎!ほとんどの人が忘れているくせに今更出て来やがって!」

「まさか女湯覗いてたら蛇を見つけることになるとは。」

 

 後流悟が両津を撃つ。両津は電線から降りて建物の陰に隠れる。

 

「あの野郎…だが、ここが金町だというのは分かった。それなら派出所は…」

 

 両津ほ土地勘で派出所に向かった。すると、今度は小金丸と遭遇した。両津は唖然としている。何故なら大量のサソリや蛇、蜘蛛を散歩させていたからだ。

 

「何考えてんだあいつ!」

 

 両津がツッコミをする。しかし、これに紛れることが出来れば派出所に行けるのではないかと考えた。蛇の群体の一番後ろに入り着いて行く。そこにボルボが来た。

 

「じいちゃん!何やってんだ!?」

「何って散歩。」

「苦情来てるぞ!」

 

 どうやら、通報を受けて来たらしい。そりゃそうだ。こんな危ない奴をほっとくわけにはいかない。そこに左近寺や残念、恵比寿、雑、丸井、ダメ太郎が応援に来た。全員顔を青ざめていた。両津は今なら誰か自分に気付いてくれるのではないかと思い近づく。

 

「これ、全部回収か?」

「そうだ。とりあえず九州の実家に送る。」

「まずい!」

 

 小金丸が抗議するも左近寺達はサソリ達を捕まえ始めた。両津はこのままだと戻れないと判断しそこから逃走した。

 

「1匹逃げましたよ!」

「あれ?あいつ誰だっけ?」

 

 雑が叫ぶ。両津は急いで逃げるもボルボが追いかけてくる。

 

「くそっ!土岐から逃げてる気分だ!」

 

 両津は側溝に逃げ込む。ボルボが手榴弾を構える。さすがに市街地で手榴弾はアウトなため左近寺達が止めた。そのおかげで両津は逃げきることが出来た。

 

「仕方ない。やりたくないがここを通るしかないか。」

 

 両津は下水道を通って派出所に向かうことにした。土地勘が合っていればもうすぐで葛飾のはずだ。一応、確かめるために外に出ることにした。器用に体をくねらせ側溝から出た。その瞬間、パンツが見えた。両津が驚いて誰か確認すると駐車違反を取り締まっている小町だった。

 

「こいつかよ。」

「どうしたの?」

「なんか、誰かに見られているような…」

 

 小町が下を向く。両津と小町の目が合った。その瞬間…

 

「きゃ〜!ヘビ〜!」

 

 小町が叫んだ。両津はまずいと判断し逃げる。奈緒子も両津を見て小町と抱き合い叫ぶ。

 

「くそっ!よりにもよってあいつらかよ!しかし、葛飾内ということは分かった!このまま派出所まで行くぞ!」

 

 夕方になり太陽が沈み始める頃、両津は公園に着いた。一休みしようとすると時行がいた。弧太郎達と別れの挨拶を言っている。

 

「そうだ。時行ならわしのこと分かるかもしれんぞ。」

 

 両津は時行なら蛇を怖がることなく話を聞いてくれる。もしかしたら両津だと気付いてくれるかもしれない。そんな望みを賭けて両津は時行のところに行った。

 

「時行〜!」

「あ、蛇ですか。美味しそうですね。」

 

 両津の望みは砕かれた。両津は忘れていた。時行は蛇だって普通に食べる。両津は逃げた。時行が追いかけた。

 

「ヤバいヤバいヤバい!今までで1番ヤバい!蛇として喰われる最後とかわしは絶対嫌だぞ!」

 

 両津は必死に逃げるも時行に捕まってしまった。時行は両津の首を抓みながら派出所に行った。そこには両津が見つからないと嘆いている中川達がいた。

 

「皆さ〜ん!蛇を捕まえました!」

 

 時行が見せると花山は目を見開き口をあんぐりと開けた。

 

「いたぞ!両津だ!」

「え?」

 

 時行は蛇が両津だと気付かず後ろを振り向く。花山が魔法で両津を蛇から戻した。突然、蛇が両津になったことに驚く時行。

 

「え?両さん!?」

「てめぇ!やってくれたな!下手したら時行に喰われるところだったぞ!」

「それは危ないところでしたね。」

 

 両津が花山の胸ぐらをつかみ振り回す。

 

「どうせ今回も大した話じゃねぇだろ!」

「今回は重大な話なんだ!北条時行についてだ!」

 

 両津の動きが止まる。時行はキョトンとしていた。花山の口から時行の真実が語られる。

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