ある日、時行が登校すると下駄箱にチョコが入っていた。机の中にもロッカーにもチョコが入っていた。それを弧太郎達に伝える。弧太郎達は皺を寄せピクピクさせながら聞いていた。
「どうしましょうか?」
「お、俺達に聞くとは時行も偉くなったっすね。」
「?」
時行が首を傾げていると女子達が来た。みんな、チョコを持っている。
「時行君。これ!」
「私も!」
女子がみんな、時行にチョコを渡す。それを見ていた弧太郎達男子はイライラが溜まっていた。
「分かってる。確かに時行はかっこいいと可愛いが合わさった奇跡の存在だし…」
「行動力も統率力もあるよ。」
「けど、あれを見せつけられて。」
「黙っているほど。」
「「「俺達は大人じゃない!!」」」
「君達は小学生ですよ。」
雪長が冷静にツッコミする。時行のランドセルには大量のチョコがある。それだけではない。クッキーやマドレーヌ、フィナンシェなども入っていた。下校した時行はそれを両津に見せていた。
「やっぱりと言うか…お前は貰うだろうな。」
「そもそも私はバレンタインデーというものをよく分かってません。」
「簡単に言えばお菓子会社が儲けるための戦略だ。」
「言い過ぎよ両ちゃん。」
両津が時行に教えていると麗子が来た。
「バレンタインデーというのはね。女の子が好きな男の子にチョコレートをあげて自分の思いを伝える日なの。」
「ってことは…このお菓子は…」
「時行君を好きになった女の子達の思いよ。」
「そんな…雫、亜也子、魅魔だけでも出来すぎた幸せなのにこんなにたくさんの正室なんて私に養えるでしょうか?」
「そこまで考えなくていいのよ時行君。」
「ここは南北朝じゃなくて令和だぞ。」
顔を赤くさせている時行に麗子と両津がツッコミする。すると、麗子が両津と時行にお願いしてきた。
「そうだ!両ちゃん、時行君。ちょっと手伝ってくれないかしら?」
「何をだ?」
「お菓子作り。」
「またか。」
両津はやる気がないようだが時行が麗子の話に興味津々だった。仕方なく両津も手伝うことにした。両津と時行は麗子が開いている料理教室に来た。
「今日作るイタリアの伝統菓子チョコレートビスコッティはイタリア語で『2回焼かれた』という意味を持つ通り生地を2回焼くことで歯ごたえのある食感になります。」
麗子が生徒達に教えている間、時行が材料や器具を用意し両津が生地を捏ね、伸ばしていた。
「やっぱりこれは力仕事だぞ。」
料理教室が終わり両津と時行は一息ついた。
「た、大変ですね。」
「麗子はお菓子作りには拘るからな。わしのプラモデルと一緒で妥協なんか一切せん。」
2人が水を飲んでいるところに麗子が来た。
「また、手伝ってくれない?」
「またか。」
麗子は両津と時行を連れてマンションに行く。そこではマリアと乙姫がいた。
「両様!」
「時行君も。」
「ビスコッティ作りを手伝ってもらい来たわ。」
早速、麗子達はビスコッティ作りを始めた。
「バレンタインデー仕様にチョコをまぶしていきましょう。」
「チョコの値段が高騰しているのに大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。お金はいくらでもあるし好きでやってるから妥協はしたくないの。」
「さすが麗子。」
両津は卵を1つ1つ問題ないかチェックしながら入れる。その細かさに時行は唖然としていた。
「両さんって鎌倉武士みたいな見た目なのに凄く細かいですよね。」
「両ちゃんは見た目に反して器用よね。」
「聞こえてるぞ!」
両津がツッコミをする。すると、インターホンが鳴った。麗子達は手が離せないので両津が代わりに出ることにした。ドアを開けると営業マンらしき人がいた。その人は両津に名刺を渡す。
「角井デパート…あぁ、あの三ッ星イタリアンレストランが日本初オープンしたとかいう。」
「はい!そこの店でバレンタイン期間限定で麗子さんのビスコッティを販売したいのですが…」
「麗子に断られたと。」
「はい。でも、どうしても諦めきれず…」
営業マンは両津に箱を渡した。両津が開けると中には札束が入っていた。
「こちらはほんのお気持ちのチョコレートでございます。」
「ほぅ。素晴らしいチョコレートだ。」
両津はニヤリと笑った。
「いいだろう。わしがなんとかしてやる。」
「本当ですか!?」
「わしに任せなさい。」
両津は営業マンと分かれると部屋に戻った。
「両ちゃん。長かったわね。」
「変な宗教勧誘だったよ。断るのに苦労した。」
「そう。ありがとね。」
麗子が焼き上がったビスコッティを食べる。すると、難しい顔をした。
「2度目の焼き方がダメね。固いわ。」
「そうか?まだ食えるだろ。」
「やり直しよ。もう一度焼きましょう。」
「えぇ!?」
時行が驚く。
「麗子はお菓子作りに関しては妥協を一切しないからこういうのは納得するまでやり直すぞ。」
「凄いですね。」
麗子達は何度も焼きやっと納得出来るビスコッティが完成した。
「やったわ!これよ!」
「疲れました。」
「菓子作りも根気が必要だ。特に拘る人は根気が凄い。」
「実感しています。」
器具を片付ける両津達。時行は失敗したビスコッティを見ている。
「あれはどうするのですか?」
「署のみんなに配るつもりよ。」
「なら、わしにくれないか?」
「両ちゃんに?」
「固くても美味いからな。わしも食べてみたくなった。」
「そう。いいわよ。」
麗子達を帰らせる両津。
「これ、1人でいただくつもりですか?」
「いや、売る。」
「えっ?」
両津は残った材料で再びビスコッティ作りを始めた。両津は時行にも手伝わせる。
「売るのは麗子さんがするのでは?」
「そことは別の店に出す。」
「それなら麗子さんに一声掛けて…」
「ダメだ。」
両津が時行に顔を近付ける。
「麗子には内緒だぞ。」
「やめた方がよいのでは…」
時行が説得するも効果はなかった。両津はビスコッティのレシピを見て麗子のビスコッティを再現した。
「まだ固いか?だが、これぐらいなら騙せるだろ。期間限定だしケーキに比べれば作り方も簡単だ。」
「嫌な予感しかしません。」
「やるぞ時行!これが成功すればわしらは大金持ちだ!お前の好きなものなんでも買ってやる!」
「わ、分かりました。」
時行は渋々両津に協力した。そうして、大量のビスコッティを角井デパートに卸し両津と時行はかなり儲けた。これによって調子に乗りさらに他の店にもビスコッティを卸し始めた。PRしないようにしてバレないようにいろいろと工夫もした。
「どうだ時行!」
「凄いですが罪悪感が…」
「わしらは麗子のビスコッティをみんなに広める手伝いをしている!いいことだよ。」
「なんでしょうか?上手く言いくるめられている気が…」
「気のせいだ!」
両津は調子に乗り次々と麗子ブランドのビスコッティを卸した。しかし、目立ち過ぎた結果雑誌などに取り上げられてしまいそれが麗子の目に止まってしまった。さらに、大量生産したのが災いし味や食感が麗子のビスコッティと違うものになっていた。
「どういうことよ!?」
「こちらとしてもまさかこんなことになるなんて…」
「麗子さんのマネージャーという方がなんとかするとおっしゃられまして私はてっきり麗子さんを説得してくれたと思い…」
「マネージャー?私にマネージャーなんていないわよ。」
「でも、麗子さんの部屋から出て来られましたよ。」
「え?」
「この方です。」
営業マンが監視カメラの映像を見せる。そこには麗子のビスコッティそっくりなビスコッティを卸している両津と時行がいた。
「へ、へぇ~…」
麗子が眉間に皺を寄せプルプル震えている。そこから発せられたオーラにマリアと乙姫が戦いていた。
そして…栃木県山中
そこに走って逃げている両津と時行がいた。
「両ちゃ~ん!時行く~ん!」
「やっぱりダメだったのですよ両さん!」
「悪かった!ちょっと魔が差しただけだ!」
軍用ヘリに乗り両津と時行目掛けてミサイルを発射する怒り心頭の麗子と必死に逃げながら謝罪する両津と時行がいた。
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潮田 渚
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