もうすぐ3月14日。そう、ホワイトデーである。
バレンタインデーにチョコレートなどをもらった男性が、そのお返しとしてプレゼントを女性へ贈る日だ。そんな日が近付くにつれ焦っている少年がいた。
「ど、どうしましょう。」
時行である。バレンタインデーで大量のチョコレートなどを貰った時行はそのお返しにどうすればいいか悩んでいた。
「テキトーにコンビニで買ったお菓子をあげればいいじゃねぇか。」
「いえ、それですと3倍にはならないかと。」
「律儀だな。」
両津がアドバイスするも時行は却下した。そこに中川が来て提案する。
「手作りなんてどうですか?」
「て、手作りですか?」
時行は考える。そもそも料理自体しないため出来るかどうか不安だった。
「お菓子作りなら私が教えるわよ。」
そこに麗子が来る。以前、ビスコッティを作っているのを見ているためお菓子作りなら任せて問題ない。時行は渡りに船とお願いした。
「そうだ。わしもマリアにお返ししないとな。」
そこに両津も参加する。麗子は時行と両津を連れて新葛飾署の厨房を借りお菓子教室を始めた。
「そうね。今回はキャンディーでも作ってみようかしら?」
「キャンディー?」
「砂糖や水飴を主原料とする菓子のことよ。」
麗子は早速材料を出してキャンディー作りを始める。
「作り方は簡単よ。砂糖と水を鍋で煮詰めて冷やすだけ。あとは好きな形にしたり味付けしたり自由よ。」
麗子がお手本としてキャンディーを作る。型をとって棒を刺した。そのまま冷蔵庫に入れる。
「ねっ。簡単でしょ。」
「確かに。」
「それじゃあ一工夫してみましょうか。」
麗子はチョコレートやフルーツなどを用意した。
「いろいろな種類があるのですか?」
「そうだ。簡単に作れるからアレンジがしやすいんだ。例えば…」
両津は時行に自分が作ったキャンディーを見せる。それは芸術品の域だった。まるでガラス細工のような美しい鶴のキャンディーに時行は息を飲む。
「昔は飴をこうやって金魚や鳥の形にした飴細工が流行ったものだ。」
「両ちゃんは本当に手先が器用よね。」
「た、食べ辛い。」
「まぁ、鑑賞用の飴細工もあるぐらいだ。」
「時行君はシンプルなキャンディーで大丈夫よ。」
麗子は時行にいろんな食材を見せる。時行はその中でホワイトチョコレートを手に取った。
「ホワイトデーということなので白いキャンディーというものを作ってみたいです。」
「いいわね!!」
早速、時行は麗子の真似をしながらキャンディーを作り始めた。
「上手く出来てるじゃない。」
「ありがとうございます。」
完成したキャンディーを見て一息つく時行。
「え、え~と…これをあと65人分作らないと。」
「お前、どれだけもらったんだ。」
両津が真顔でツッコミする。作り方自体は簡単なため時行はなんとか作り上げる。全部作り終えると時行は椅子に座って完成を喜んだ。
「終わりました!」
「よく出来たわね時行君!」
麗子が褒める。両津もキャンディー作りが終わったみたいで時行はチラッと見る。そのほとんどが芸術的な飴細工だった。食紅などで色付けまでしてある。
「両さん、もうそれは食べ物とは呼べないのでは?」
「何言ってるんだ。ちゃんと食えるぞ。」
両津はそう言って金魚の飴細工を頭からバリバリ食べた。時行と麗子はその様子を見て引いていた。
「分かってはいるけど何か気が引けてしまうわね。」
「それほど精巧に作られたということだ。」
両津がカブトムシや猫、蛇などの飴細工を見せる。
「こういうのを露店で作るところをよく見たものだ。感動したぞ。ただの飴があっという間に鳥や金魚になるんだからな。」
両津は子供の頃の話をする。
「あの時はなかなか食べれずに結局溶けてグロテスクになってしまうまでがオチだった。」
「そ、想像したくないですね。」
時行は完成したキャンディーを袋に入れる。両津は時行と麗子を見送ると1人でキャンディー作りを始めた。
「よ~し。キャンディーを作って売りまくるぞ。」
両津はキャンディーを鳥や金魚にしたりクッキーなどと組み合わせたキャンディーの製作を始めた。そこに椎名が来た。
「両津先輩、ここにいた。大原部長が捜していましたよ。」
「そんなの後だ。」
「後って…何作ってるんですか?」
「飴だよ。ホラッ。」
両津が鳥の飴細工を見せる。それを見た椎名は拍手した。
「上手いですね。」
「わしは手先が器用だからな。」
「何故今飴なんですか?」
「ホワイトデーに合わせて売るんだよ。」
「そもそもホワイトデーってどんな感じなんですか?私は男性にチョコレートなんて贈ったことないので実感がないんですよね。」
椎名が質問する。両津はそれに答えた。
「簡単にいえばバレンタインデーにチョコレートなどをもらった男性が、そのお返しとしてプレゼントを女性へ贈る日だ。まぁ、これもバレンタインデーと同じお菓子メーカーの販売戦略だがな。」
「その戦略に両津先輩も乗っかってますよね?」
「まぁな。丁度いい。椎名も手伝え。」
「えぇ。」
両津は椎名も巻き込んでキャンディー作りを続けた。
そして、ホワイトデー当日
時行はキャンディーを亜矢達に渡した。亜矢達は凄い嬉しそうに受け取る。
「ありがとう!」
「凄く、嬉しい。」
「いいっすねぇ時行。モテモテっすよ。」
「あれが時行君がモテる理由だと思います。」
羨ましそうに時行を見る弧太郎とちゃっかりホワイトデーのお返しを持っている渚。
両津もマリアにお返しのキャンディーを渡す。マリアも嬉しそうに受け取る。
「ありがとうございますわ両様!」
「いいってことよ。」
両津はマリアと別れる。着替えて新葛飾署を出て近くに停めてあるトラックに行く。そこには椎名が待っていた。
「よし、出せ。」
「大丈夫なのか心配になってきました。」
椎名は近くの商店街にトラックを停める。荷台の扉を開け簡易的な店を作る。両津は準備が出来ると早速キャンディーの販売を始めた。
「いらっしゃい!ホワイトデーにピッタリのアニマルキャンディーだよ~!」
両津の売り込みを聞いた人達が集まる。みんな、様々な動物の飴細工に興味津々だ。中にはスマホで撮る者もいる。
「鶴ください!」
「猫!」
「蛙いいな。」
反響は良かった。両津は次から次へとどんどん飴細工を売っていく。すると、下校途中の時行達も来た。両津が作った飴細工を見て感嘆している。
「凄えコーチ!」
「これは…飴細工というものですか?」
「そうだ。見映えするだろ。」
「確かに!」
雪長達も兎や金魚の飴細工を買う。
「昔は客の前でこういう風に作ってたのが流行ってたんだぞ。」
両津はそう言ってあっさりと水飴で金魚を作った。それを見た時行達は拍手する。
「凄いですコーチ!」
「綺麗。」
「そうだろ!粘土みたいだが固まるのが早いからかなりの技術を必要とするぞ。」
両津は笑いながら他の飴細工も作っていく。
「飴細工はキャンディーの一種みたいなもんだ。簡単に作れるから種類も多い。例えば高温で加熱して硬く仕上げるハードキャンディにはドロップ、タフィ、バタースコッチなどが、低温で加熱して柔らかく仕上げるソフトキャンディーにはキャラメル、ヌガー、マシュマロなどがあるぞ。」
両津の蘊蓄に時行達は舌を巻いていた。
「ホワイトデー自体だんだん廃れていってるが女性からしたら自分の気持ちが伝わっているかどうかが分かるし男性からしたら感謝を伝える機会でもある。」
「自分の思いを返す日ですね。」
「そうだ。相手が恋人じゃなくていい。家族に感謝を伝える日にしてもいいさ。」
両津の言葉に時行は頷く。亜矢達が笑っている。自分の感謝が伝わってくれたみたいだと思った時行は自分で作って良かったと微笑むのだった。
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両津 勘吉
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大原 大次郎
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擬宝珠 檸檬
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擬宝珠 纏
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磯鷲 早矢
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椎名 蘭
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潮田 渚
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諏訪 頼重
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海パン刑事
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星 逃田
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