時行は弧太郎に自宅に呼ばれてやって来た。
「確か、ここでしたね…」
時行が教えてもらった場所に行く。そこは団地になっていて同じみための建物がずらりと並んでいた。
「え、え~と…どこでしょうか?」
時行は目を点にして入ってみる。階段を上がって部屋に行く。ドアを叩いて呼んでも返事がない。表札が無いため本当に弧太郎の家なのか不安になった。そこに初老の男性が来た。
「あんた、ここの者じゃなかろう。」
「あっ。私は北条時行と申します。米津弧太郎さんの家に向かいたいのですが…」
「米津さんの。米津さんなら隣の棟だよ。」
男性が指差す。時行はお礼を言って隣の棟に向かう。同じように階段を上がって行くと部屋の前に弧太郎がいた。時行に気付いた弧太郎は手を振って呼んだ。
「時行ー!こっちっす!」
「良かった~!」
時行はホッと一安心して部屋に入る。既に雪長達が待っていた。
「遅いよ時行ー!」
「すみません。迷ってしまいました。」
「分かりますよ。この辺りはどこも同じですから。」
「僕も最初は迷いました。」
自分と同じ経験をしていた雪長達と楽しそうに談話した。
後日、その時の話を時行は両津達にしていた。両津はそれを聞いて笑っていた。
「確かにそれは迷うな!団地はどこも同じだし部屋が多い。一度、入る道を間違えると全然違う棟に行ってしまう。」
「最近は団地自体減ってきたわね。」
「あぁ。マンションなどセキュリティが高いところを選ぶ人が増えた。だがそれでも空き巣などの被害は絶えない。その点、団地は隣同士の交友も多いから不審者などすぐ気付く。ほぼタダでセキュリティしてもらっているようなもんだ。」
両津が説明した。それに中川が乗った。
「なので我が社も新たな団地を作る計画を遂行しています。」
中川が両津達に説明をする。
「団地は元々、細かく規定はされていませんが一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又は附属施設がそれらの建物の所有者の共有に属する場合とされています。我が社もその規定に則ると同時に最新のシステムを組み込んだ住宅団地を建設しています。」
「面白そうだな。わしらも見てみたい。」
「分かりました。」
中川は両津と時行を連れて開発途中の団地に向かった。到着した両津達は車から降り団地に向かう。途中と言ってもほとんど形になっていた。
「あとはシステムやインフラを整えるだけですのでどこを見学しても構いませんよ。」
「面白そうですね。」
早速部屋に入って見る。そこは昔ながらの和風な間取りだった。
「見た目は最新という感じじゃねぇな。」
「レトロブームなのでここは昔の団地を再現しています。」
両津が住んでいる寮の部屋と同じ雰囲気に両津と時行は安心している。
「落ち着く。」
「懐かしい感じがします。」
「お前の場合は最近だな。」
畳の上でゴロゴロしている時行に両津が言う。
「それでどこがどういう風に変化しているんだ中川?」
「まず団地の入口に監視カメラとセンサーを設置しています。予め登録している人以外が通過するとすぐに管理人に報せが来ます。」
「そこはマンションと同じなんだな。」
「一つの土地に建てられている複数の建物のことを纏めて団地と言いますのでマンションが一つの土地に複数建てられているなら団地と言えます。言い換えればマンション団地ということです。」
中川が案内しながら説明する。スマホを取り出しアプリを起動する。そこに自分の名前とパスワードを打ち込むと数字と位置情報が表示された。
「登録している人の名前とパスワードを打つとどの棟の何号室に住んでいるのかが分かるようになります。」
「便利だな。」
「これで迷わずに済みますね。」
両津と時行が関心する。位置情報を頼りに着いた部屋に入る。
「ここも変わらんな。」
「基本はどこも同じですよ。」
「凄いですね!」
時行がはしゃぎながら部屋内を駆け回る。
「まぁ、時行からしたら何もかも新鮮か。」
「そうですね。僕達は昔のことでも時行君からすれば遥か未来ですからね。」
「両さん!中川さん!探検してもよろしいでしょうか!?」
「構わんぞ。わしらはここで待ってるからな。」
時行は部屋を飛び出し団地を探索に出た。
「団地が賑わってた頃はあんな風に子供が駆け回って遊んでいたんだろうな。」
「はい。団地の近くには今はもうない遊具なんかも多いですからね。その遊具も安全性を追究して再現する予定なんですよ。」
両津と中川が外を見ながら昭和を感じていた。時行は団地から出て公園に向かう。そこには回る球体状のジャングルジムみたいな遊具がある。グローブジャングルと呼ばれる遊具だ。昔はいろんな公園にあったが安全性が欠けているとして撤去されほとんど見られない昭和の遊具だ。
「あれは面白そうですね。」
時行はグローブジャングルを見て目をキラキラさせている。そのままグローブジャングルに飛び付きグルグル回って遊ぶ。馬に乗って今川から爆走して逃げた時行にとってかの程度は怖くもなんともなかった。そのまま勢いよくジャンプし華麗に着他した。
「楽しいですね!」
時行は令和では見慣れない昭和の遊具を満喫していた。もうすぐ夕方になろうという時間まで公園で遊んでいた時行はそろそろ帰ろうかと考えた。
「え~と…確か両さん達がいる部屋は…」
そこで気付く。時行はスマホに登録なんてしていないから両津と中川がいる部屋がどこなのか分かっていなかった。そもそもスマホをその部屋に置いてしまっていた。焦る時行。記憶を頼りに部屋を探す。
「た、確かこっちのはずですよね?」
時行はなんとか辿り着いた部屋をノックする。しかし、反応は無い。
「あれ?違う?」
時行はさらに焦る。完全に迷子だ。
「両さ~ん!中川さ~ん!」
叫びながら走る。叫びながら探す。しかし、闇雲に探しても見つからない。そんなこと知らず両津と中川は談笑していた。
「…という具合に団地の良さを残しつつ安全性や快適性を向上させています。」
「確かに最近はマンションだからといって安全じゃないからな。この前もマンションの最上階で空き巣が発生していたな。」
「ええ。一度入れば住人は疑いません。後は屋上に行きロープを垂らせばベランダから簡単に侵入出来ますからね。」
「それに比べて団地は住人同士の仲がいい。だから、不審者が来ればすぐ分かる。やっぱり人間が一番のセキュリティだ。」
両津が外を見る。もう夕方だ。
「そろそろ帰るか。」
「そうですね。」
両津が時行を呼ぼうと電話する。しかし、後ろから着信音が聞こえる。振り向くと時行のスマホがあった。
「まさか、時行の奴…ここに辿り着けていないのか?」
「ありえますね。」
しばらく黙る2人。そして、同時に部屋を飛び出す。
「中川!ここにはわしら以外いないのか!?」
「建設関係者は既にみんな帰っています!」
「時行ー!」
2人は急いで時行を捜す。その時行は別の棟で迷子になっていた。
「どうしましょう。」
慌てて捜すこと3時間。ようやく合流出来た時行は両津と中川の前でぜぇぜぇ言いながら膝を着いていた。
「どこも同じなので一度忘れると夜の諏訪ぐらい迷ってしまいます。」
「まだまだ改良が必要だな。」
「そうですね。」
疲れきっている時行を見て改善の余地があらことを知った両津と中川であった。
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