時行の前には凱旋門があった。
時行は今、フランスのパリにいた。両津と麗子に連れてもらったのだ。目的は麗子の母親であるフランソワーズが主催するイベントへの参加だ。
「どんな催しなのでしたっけ?」
「パリ・ジュニア・コレクションよ。年2回開催されるパリ・ウィメンズ・ファッション・ウィークの18歳以下版よ。」
麗子が説明するも時行にはちんぷんかんぷんだ。そこに両津が「麗子。それじゃ分からん。」と言って代わりに説明してくれた。
「簡単にいえば服を見せる会だ。」
「両ちゃん。ざっくりしすぎよ。」
麗子の案内で会場に向かう。会場はパリ・ウィメンズ・ファッション・ウィークが開催しれる会場と同じだった。時行達が会場に入る。中を進むと絶世の美女がいた。その美女に麗子は近寄る。
「ママ!」
「麗子!来てくれたのね。」
彼女が麗子の母親である秋本フランソワーズのようだ。2人はフランス語で会話している。時行と両津は聞き取れず首を傾げている。そこに知っている女性が来た。
「お前は!」
「お久しぶりですね。」
そこにいたのはSt.フェアリー女学園長の飛燕碧だった。後ろにはSt.フェアリー女学園に通う小学生達がいた。全員両津を見て嫌な顔をする。
「なんでいるの?」
「麗子の付き添いだ。」
両津がフランソワーズと会話している麗子を指差す。麗子を見た小学生達は両津を押し退け麗子のところへと向かう。飛燕もフランソワーズに用があるのか彼女の元へと向かう。
「いててて。相変わらずセレブな奴らだ。」
「大丈夫ですか両さん?」
両津は立ち上がると飛燕に何故ここにいるのか聞いた。
「St.フェアリー女学園もこのパリ・ジュニア・コレクションに参加するのよ。」
「まさか、参加するのはあいつらか?」
「ええ。彼女達もよ。初等部、中等部、高等部に参加するわ。」
「そこまでするのか。」
両津はフランス語で会話するフランソワーズと飛燕を見る両津。時行は初めてのパリをキョロキョロ見回している。両津が時行を見ると麗子に時間を聞いた。
「まだ始まるまで2時間あるわよ。」
「そうか。なら、時行。パリ観光してみないか?」
「本当ですか!」
時行がワクワクしている。両津は時行を連れてパリの観光へと連れ出した。
まずはとエッフェル塔を観光した。高く聳え立つエッフェル塔を時行は見上げていた。
「おぉ〜!」
「凄いだろ。」
「スカイツリーよりは低いのですね。」
「そこと比べるな。」
両津は「アハハハ…」とカラ笑いする。続いてカヌーを借りセーヌ川を渡る。両津が漕ぎカヌーの先で時行がパリに景色を堪能している。
「あれがルーブル美術館だ。モナ・リザやミロのビーナスなど有名な絵画が展示されている。」
「??」
「まぁ。時行には分からんか。今度連れて行ってやる。」
両津はノートルダム大聖堂に連れて行った。その圧倒的な出立ちに時行は舌を丸くした。
「これがノートルダム大聖堂。確か完成したのが1345年頃だったな。丁度お前が生きていた時代だ。」
「私がいた時代に別の場所ではこんな建物があったのですね。」
「世界は広いってことだ。」
時行はまだ知らない世界を知りワクワクさせていた。両津はコンコルド広場を案内した。中央に聳える噴水に興味を示す時行。
「コンコルド広場名物オベリスクだ。コンコルド広場は昔、1000人を越える人間がギロチンで処刑された歴史を持つ。その歴史を変えるためにエジプトから運ばれた物だ。」
「いつの時代もどの国でも処刑の歴史はあるのですね。」
「そうだった。お前の時代も処刑が普通にあったな。」
両津は改めて処刑という最後を迎えた時行の人生に戦く。両津が他にもいろんな観光名所を案内した後にシャンゼリゼ通りに連れて行った。そこのカフェで軽く食事する。
「どうだ?」
「日本では味わえない食感と香りですね。」
「そりゃそうだ。」
2人はパリの街を満喫して会場に戻る。まだ時間に余裕はある。麗子がフランソワーズと飛燕と一緒にリハーサルをしている。両津が時行を連れて会場を見回ろうとすると麗子が来た。
「ここなら両ちゃんより私の方が詳しいわよ。」
麗子が時行と両津を連れて会場を案内する。すると、前にSt.フェアリー女学園の生徒達がいた。生徒達は両津を見て嫌な顔をする。そのまま彼女達の控え室に向かう。生徒の1人が控え室の扉を開けた。
その時、控え室に知らない男を見つけた。生徒が悲鳴をあげる。男は驚き生徒を突き飛ばす。倒れた生徒を余所目に逃げようとしたがそれを両津達が目撃した。
「てめぇ!」
両津が追いかける。男は踵を返して廊下の突き当たりにある窓を突き破り飛び下りた。「なんだとぉ!?」と両津が驚き窓から顔を出す。すると、時行が両津の横を通り抜け窓から飛び下りた。男と同じように着地し追いかける。
「わしらも…」
両津が飛び下りようとする。それより早く麗子が窓から飛び下りた。その顔は一瞬般若と思ってしまうほど気迫に満ちていた。
「まずい。麗子が本気で怒っている。」
両津も窓から飛び下りて男を追いかけた。男は時行から逃げている。複雑な裏路地をまるで庭のように駆け抜けている。時行も「待て!」と叫びながら追いかけているが慣れないパリの街に苦戦していた。
「このままでは…」
時行が焦る。男は時行から離れたことに安堵し裏路地を出た。そこには麗子がいた。
「パリに詳しいのはあなただけじゃないわ。」
麗子は逃走経路を予測し先回りしていたのだ。男は慌てて戻ろうとした時、時行が追い付いた。男はナイフを取り出した。そのまま麗子に突撃する。
「危ない!」
時行が麗子を助けようとする。しかし、麗子は冷静にナイフを持った腕を掴み背負い投げで男を飛ばした。その拍子に男からアクセサリーがいくつか落ちる。さっき盗んだ物のようだ。時行がポカンとしていると両津が後ろから来た。
「可哀想に。怒らせたら部長より怖い麗子を本気で怒らせたな。」
男はそのままパリの警察に捕まり連れて行かれた。両津達が会場に戻る。そこで男に突き飛ばされた生徒が倒れた拍子に足を挫いてしまったことを知る。
「幸い大したことはないけどこの後のコレクションは辞退ね。」
シュンとしてしまう生徒。すると、フランソワーズが時行を見た。
「なら、彼に代役を頼んでみる?」
フランソワーズの提案に両津達は時行を見た。時行は目を丸くさせている。
「わ、私ですか!?」
「確かに彼なら容姿に問題はないわね。」
「気品からからコレクションに出ても違和感ないわ。」
「確かにな。」
誰1人無理と言う者はいなかった。飛燕はフッと笑うと時行を連れて行った。そこに麗子やフランソワーズ、St.フェアリー女学園の生徒達も同行する。もうすぐでコレクションが始まる。両津が待っていると「お待たせ。」と言って麗子が戻って来た。
「時行はどうなった?」
「それは見てのお楽しみよ。」
パリ・ジュニア・コレクションが始まる。次々と麗しい少女達が様々な衣装を着て歩いて来る。その姿は本当にパリ・ウィメンズ・ファッション・ウィークと同じだった。
「最近の子供はどの世界もレベルが高いな。」
両津が感心していると一際輝く少女が歩いて来た。長い黒髪をたなびかせ真っ赤なドレスで周囲の目を独占する。両津は気付いた。「時行だ...」と小声で呟く。時行は顔をドレスよりも真っ赤にさせてポーズをとる。
(こ、これで本当に良いのでしょうか?)
「凄いな。似合ってるぞ。」
「でしょ。みんな、驚いてたわよ。」
大盛況の中、パリ・ジュニア・コレクションは無事に終了した。
後日、日本に帰った時行の元に飛燕から手紙が来ていた。両津と麗子が手紙を読む。
「夏のファッションショーに時行を出演させたいらしいわね。」
「しかも、女性限定だから水着はビキニとか女性用だぞ。」
「断ってください!」
恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にさせる時行であった。
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擬宝珠 纏
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潮田 渚
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