逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

213 / 229
なんでも規制

 ある日、新葛飾署で両津がコーラを飲みながら歩いていると署員達がざわざわしているのを見つけた。気になった両津が一番後ろにいる署員に聞く。

 

「うーっす。」

「両津。」

「何やってんだ?」

「見てくれよあれ。」

 

 署員に言われて両津が見る。そこには掲示板に張られた紙があった。そこには

 

『明日から新葛飾署員は漫画、アニメ、ゲームを禁止とする。』

 

 と記載されていた。それを見た両津はコーラを吹く。

 

「なんだこれ!?横暴だろ!」

「やっぱり両津もそう思うよな。」

 

 周りからは「酷すぎる。」や「それはないわ。」と批判的な声があがっている。前に出て張り紙の前で倒れている左近寺と本田の肩を叩く。

 

「わしが署長に直談判してやる!」

「両津!」

「先輩!」

 

 両津の言葉に賛同する署員達。そのまま両津は署長室に入り屯田署長に抗議した。

 

「署長!」

「なんだね両津君?」

「アニメやゲームの禁止とはなんですか!?」

「それかね。昨今、アニメやゲームの影響で犯罪をする未成年が増えている。これはアニメやゲームが子供達に良くない影響を与えているからと区から申し出が出たので見本となる警察官からそういうのを規制することで若者にアピールするという試みだ。」

 

 屯田署長が両津の気迫に圧されながらも答える。それにさらに抗議する両津。

 

「何が悪影響ですか!?アニメやゲームを見なくても犯罪する若者は出ます!家庭環境や憂さ晴らし、目立ちたいなどアニメやゲームと関係無い動機の方が多いです!」

「だがね。アメリカじゃアニメの規制を厳しくしているじゃないか。」

「アメリカはアニメよりまず拳銃所持を禁止にするべきです!インディアンや大戦で拳銃が活躍したからそのプライドが邪魔しているでしょうがそれが問題なんです!アニメは関係無い!」

 

 両津がものすごい形相で屯田署長を睨む。後ろでは署員達が「そうだ!そうだ!」と騒いでいる。

 

「しかし、規制することで犯罪をする若者が減るのはいいことではないか?」

「その点はわしも賛成します。しかし、最近は規制のしすぎです!署長、少し前に風営法改正によるホストの広告規制がされたのをご存知ですよね?」

「ああ。そうだな。」

「その結果、ホストの看板はどうなりました!?顔と名前だけですよ!あんなので誰が興味持ちますか!?」

 

 両津が机をダンッ!と叩く。

 

「ホストの「No.1」「億プレイヤー」などのキャッチコピーを家電販売に例えましょう。店の前に炊飯器や冷蔵庫を置いて「炊飯器」「冷蔵庫」とだけ書いて誰が買いますか!?「当店売上No.1!」とか「100万台売れています!」があって初めて買うでしょう!とにかくなんでも規制しすぎです!」

 

 両津の例えに「原始人の言う通りよ。」「確かにあれはやりすぎかも。」と普段はいがみ合っている婦警達ですら賛同していた。

 

「やれ人権団体だのやれLGBTQだの言ってますがあんなのは自分が気に入らないから禁止にしようなんて考える馬鹿共の屁理屈ですよ!」

「そこまで言うほどじゃ…」

「とにかく!アニメやゲームの禁止令の撤廃を求めます!」

「それなんだが代わりの物ならあるぞ。」

 

 屯田署長が両津達にアニメのDVDを渡す。しかし、どれも子供番組や教育番組のような幼児が見るアニメだった。両津はそれを見て真顔になる。

 

「こういうのなら認められている。」

「なんですかこれ!?わしらは大人ですよ!こんなアニメを見ると思いますか!」

「ゲームならどうだ?」

 

 そう言って屯田署長が出したのはけん玉やカルタだった。それを見た両津はずっこける。

 

「何時代ですか!?戦時中の子供ですか!?令和の大人に渡して喜ぶと思いますか!?」

「じゃあ、どうしろと?」

「発想を変えるんです。規制するのではなく緩和させるんですよ。」

 

 両津が屯田署長に顔を近付け提案する。

 

「問題なのはなんでも規制することです。犯罪なんて規制が突然厳しくなるからするもんです。やるなと言われたらやりたくなるのが人間です。」

「しかし…」

「わしに任せてください。」

 

 屯田署長は両津の迫力に圧され渋々了承してしまった。

 

 翌日

 

「なんでしょうか?雰囲気変わりました?」

 

 新葛飾署にやって来た時行が中を見て目を丸くした。署員はみんな、いつもの制服だがどこかおかしい。所々にバッジを着けたりデコっている。そこに両津がやってきた。時行が振り返ると制服中にいろんなアニメキャラをプリントしたシールを着けていた。

 

「どうだ時行?」

「なんと言いますか…関東庇番の皆さんと同じぐらい奇抜ですね。」

「それは褒めてるでいいのか?」

 

 時行が周りを見てから両津に聞く。

 

「凄く変わりましたよね?」

「制服の規制を緩和させたからな。みんなやりたい放題よ。こんな中でちゃんと制服を着ているのは部長や署長のような年配組か早矢のような礼儀正しい人だけだ。」

 

 両津が時行に話していると中川と麗子が来た。

 

「先輩!」

「どうだ中川?この取り組みはうけただろ。」

「えぇ。ですが…」

「両津。」

 

 中川が何か言う前に大原部長が来る。

 

「やはり区から文句が来たぞ。規律の模範となる警察官がふざけた格好をしているのはどういうことだと。」

「そこですよ。規律規律とうるさく言うからなんでも規制するようになるんです。こうやって少し緩めるだけで署員のストレスは減ります。事実、改造制服を認める高校だってあります。それに、そこに文句を言うなら中川と麗子はどうなりますか?」

 

 両津が中川と麗子を指差す。今更だが黄色やピンクの制服は警察官の規律から離れている。それを見た大原部長は黙ってしまった。

 

「そういえば中川さんと麗子さんは皆さんと違いますね。」

「馴染み過ぎて考えもしなかっただろ。」

 

 両津に言われて頷く時行。改めて見ると両津も元から警察官の規律から離れた制服の着方をしていたことに気付く。

 最初は苦情を言っていた区もだんだん何も言わなくなっていく。それに味を占めた両津はさらに規制を緩和させていく。パトカーも痛車のようにデコりなんと副職まで許可させた。

 

「両さん。いつもやっていることとあまり変わらないのでは?」

「それは言うな時行。」

 

 また今更だが様々な副職をしている両津に時行がツッコミする。新葛飾署はもう警察署としての威厳が無くなっていた。とうとう建物自体にもデコり始めたのだ。

 

「大原君。さすがにこれはまずいのでは?」

「私もそう思います。」

 

 これにはさすがの屯田署長と大原部長も危機感を募らせた。2人は両津に規制緩和の中止を求めに行ったが両津はもう既に制服の改造をしていた。

 

「両津!」

「部長!」

「さすがにこれ以上は緩和できんぞ!」

「今すぐ戻すんだ!」

「何言っているんですか?今の日本は何でも規制してしまう自由の無い国になっています。今こそわしらで昔の日本に戻すべきです!」

 

 大原部長に詰め寄る両津。「し、しかし…」と大原部長が口を開くとさらに詰め寄った。

 

「いいですか部長、署長。日本経済が衰退した理由が正に規制です。広告の規制、ネットの規制、アニメや漫画の規制…どんどん規制していくがためにつまらない物しか作れなくなるんです。昔の日本はどうだった時行?」

「規制なんて物はありませんでしたね。」

「時行のは昔すぎるだろうが。」

 

 大原部長が両津になんとか規制緩和を中止させようとする。それを屯田署長が肩に手をかけて止めた。

 

「署長。」

「もうここまで来たら止まらん。このまま放っておこう。」

 

 それから、数日後…

 

『規制緩和で有名となった新葛飾署の署員が泥酔し裸で寝ていたとして逮捕されました。署員は調べに対し「制服事態を緩和するべきだ。」と訳の分からないことを…』

「やはりな。何れこうなる。」

「一番規制しないといけないのはやはり両津だったか。」

「両さん…」

 

 テレビのニュースで流れた両津の逮捕に対して呆れる時行と新葛飾署員達であった。

200話達成記念!人気投票!皆様のおかげで『逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜』は200話を達成することができました!これを記念して人気投票をしたいと思います!期限は決めてませんので気楽に投票してください。その他を選んだ場合はこちらにコメントお願いします!

  • 北条 時行
  • 両津 勘吉
  • 中川 圭一
  • 秋本 麗子
  • 大原 大次郎
  • 擬宝珠 檸檬
  • 擬宝珠 纏
  • 磯鷲 早矢
  • 椎名 蘭
  • 潮田 渚
  • 諏訪 頼重
  • 海パン刑事
  • 星 逃田
  • 佐々木 洋子
  • その他(コメントでお願いします)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。