ある日、両津はコンビニでジャンプを読もうとした。しかし、ジャンプが売り切れていた。
「なっ…まだ発売日だぞ!」
両津が店員に聞く。
「あぁ…ジャンプなら入荷された瞬間に3人組の若者が全部買い尽くしましたよ。」
「なんだと!?」
「多分、目当てはジャンプの付録カードじゃないですか?」
店員の言葉に両津はガーンと崩れ落ちた。
翌日
「くそっ。とうとうここまできたか。」
「どうされたのですか?」
派出所の休憩室でスマホでニュースを見ている両津に時行が話しかけた。両津は時行にスマホの画面を見せる。
「転売…ですか?」
「最近問題になっている行為だ。」
「転売って何でしょうか?」
「簡単に言えば買った商品を別のところへ売る行為だ。」
「それが問題なのですか?」
時行はまだ理解できていないのかキョトンとしている。両津は時行にフリマアプリを見せた。
「例えばこれのように自分が使っていたけどもう使うことがないから捨てる代わりに誰かに売るというのは問題ない。問題視されているのは転売目的で大量に買い占める行為だ。」
両津が怒っていた。
「これの例で言うとジャンプではなくジャンプの付録特典になっているカードを売るためにジャンプを買い占めたのが問題だ。その結果、純粋にジャンプを読みたいと思っている人が読めなく事態が発生した。」
「その結果、集英社が新たに電子版で発売したり転売された付録カードの買い取り価格を5円にするなんてことになりましたからね。」
2人の話に中川が入ってきた。
「そうだ!そのせいでアオハコの最終回がジャンプで見れないと文句言うやつが続出だ。集英社も50万部多く発行したが即完売。これはこち亀最終回以来だぞ。」
「そう考えるとこち亀も社会現象になりましたね。」
「その反動なのか次週のジャンプは初めて100万部割れたんだぞ。逃げ若はいい時期に最終回迎えて本当に良かったと思ってる。」
「そ、そうなのですね。」
両津が時行に顔を近づける。時行は両津の迫力に圧倒されていた。そこに大原部長が来た。
「両津!中川!すぐに来い!」
「なんですかいきなり!」
「不法投棄だ!」
大原部長に連れられ両津と中川が急いで向かう。現場に着くとジャンプが大量に捨てられていた。
「これはひどいですね。」
「中身だけ抜いて捨てるなんぞバナナと変わらんぞ。」
「今、これが問題になっている。」
両津達は急いで不法投棄されたジャンプを回収する。両津はそのうちの1冊をこっそり読んでいた。それに気付いた大原部長が両津を殴る。
「何仕事をサボってるんだバカ者!」
「イテッ!いいじゃないですか!こういう時じゃないともう読めませんよこれ!
なんとかして全て回収した両津達は派出所に戻る。
「ジャンプも売れるためにいろいろと工夫したのだろうがこんなことになるぐらい予想できただろ。」
「他の雑誌でも似たような現象が起きてますからね。」
「読者の民度が一番高いのはもうコロコロぐらいじゃないか?」
両津がフリマアプリで売られている付録カードを見る。ほとんどが数万円で売られていた。
「限定だから高値で売れる。元手は数百円だ。」
「私の時代では考えられませんでした。」
「そりゃそうだ。そもそも転売はここ2,30年ぐらいでできた言葉だ。フリーマーケットで他から安く買い高値にして売る行為からだと言われている。」
両津が時行にいろいろと教える。
「いっそのこと転売目的による大量購入を罰則に加える転売禁止法を作るべきだ。1人3つまでにして買う際には書類に名前と住所、購入目的を記入。転売すればすぐ逮捕か罰金にすればいい。」
「さすがに無理だと思いますよ。」
「罰則にならなくても規制ぐらいはできる。売る側がその辺りを徹底すればいい。」
両津は長々と話し続けた。
その夜
両津は部屋にいるとチャイムがなった。出ると左近寺がいた。
「どうした左近寺?」
「両津。実は…」
左近寺は両津に大量のさおりフィギュアを持ってきた。
「さおりコスプレフィギュア10体セットを3つ買うつもりが一桁間違えてしまって大量に買ってしまったんだ。」
「普通金額で気付くだろ。」
両津が呆れている。
「頼む両津!もらってくれ!」
「そもそもさおりフィギュアなんて30も必要か?」
「いろいろと試したくて。」
「何をだ?」
左近寺は両津に頭を下げながらお願いする。両津も仕方なく了承してしまい大量のさおりフィギュアを部屋に入れた。
「こうして見ると不気味だ。」
同じ顔した大量のフィギュアを見て戦く両津。このままでは置くところもないし邪魔になるだけだ。かと言って捨て辛い。すると、両津は思い出したのかスマホを手に取る。
「そうだ!こういう時こそフリマアプリの出番じゃねぇか!」
両津はさおりフィギュアを撮影し高額で売る。すぐに買い手がついた。
「いいぞ。これは貰った物だ。だから、問題にはならんし元手は0だ。誰にも迷惑はかからん。」
両津はニヒヒ…と笑いながらさおりフィギュアを売りまくる。両津は儲けた儲けたと笑っている。すると、新しい商売を考えた。
翌日
両津は派出所で時行に何かいらない物はないか聞いていた。
「いらない物…まず私は物をそんなに持ちません。」
「だろうな。なら、お前の友達でもう使わない物があるなら譲ってくれないか?」
「わ、分かりました。」
両津は時行と別れる。そこに大原部長が来る。
「なんだ両津?気持ち悪い笑いをしおって。」
「変なこと言わないでくださいよ。」
両津のニヤニヤしている顔を見て何か企んでいると確信した中川達だった。
夕方になると時行が戻ってきた。
「みんな、明日持ってきますと言ってました。」
「おっ。サンキュー時行。」
「何に使うつもりなのですか?」
「リサイクルだ。」
両津はフリーマーケットがバレないように誤魔化す。
翌日
両津は時行が貰ってきた使わなくなった玩具や日用品などを受け取る。
「売れそうな物はフリマアプリに出店。ダメならこちらで処分。我ながらいい商売を思い付いたものだ。」
両津は売る物と処分する物を分けながら次々と売っていく。
そんなある日、両津がパトロールに行っている間に時行が派出所にやってきた。
「両さん!今日も…」
「両津ならパトロールだ。」
派出所にいたのは大原部長だけだった。大原部長は書類に何か記入している。その隣にゲーム機があった。
「大原さん。これは?」
「それか。それは大介に頼まれたやつでな。わしでは全然分からんから両津に頼もうとここに持ってきた。」
「そうなのですね 。」
「そうだ。両津の勤務時間が終わったらこれを頼むように言ってくれないか?」
大原部長が時行にゲーム機を渡してお願いする。
「直接じゃダメなのですか?」
「わしは書類を本署に届けなければならない。両津に今お願いすれば勤務時間中にゲームするからな。」
「分かりました!」
大原部長は書類の記入が終わったようで書類を纏めている。そこに丁度両津と椎名がパトロールから帰ってきた。
「時行君。頼んだぞ。」
「はい!」
「どうした時行?」
「いえ。なんでもありません。」
ニコニコしてなんとか誤魔化す時行。両津は怪しみつつも勤務を続けた。勤務時間が終わり両津が帰ろうとする。時行が待っていた。また、両津に渡すための玩具などがダンボールいっぱいに入っている。
「こちらで大丈夫ですか両さん?」
「おぅ!大丈夫だ!」
「それと...」
時行は大原部長から預かったゲーム機を両津に渡した。
「大原さんが孫のために両さんにクリアしてほしいと。」
「なるほどなぁ。よし、分かった!」
両津が帰ろうとする。すると、時行が止めた。
「両さん。」
「なんだ?」
「この前、リサイクルと言ってましたがもしかしたら…転売してますか?」
ギクッとなる両津。時行はさらに詰め寄る。
「前に転売は法律で禁止すべきと言ってませんでした?」
「時行。それは少し違うぞ。」
両津は時行の両肩を掴む。
「わしは転売目的で大量に購入するのを禁止すべきと言ったんだ。最近はカードだけじゃなく人気作品のぬいぐるみなどのグッズも大量に購入されている。問題なのは転売じゃなく周りの迷惑を考えずに買い占めることだ。わしはいらないと言われた物をいると言う人に売っているだけだ。」
両津の説得は続く。
「誰かにとっていらない物は別の誰かには必要とされるケースなんていくらでもある。そういう人に売ってあげるのもフリマ、つまり転売になる。だから、わしがしている転売は誰の迷惑にもなっていない。みんな、Win-Winなんだ。時行だって南北朝でそういう時があるだろ?」
「え、え~と…ないとは言い切れませんけど…」
両津の説得(?)により時行は渋々納得してしまう。両津は寮に帰るとフリマとゲームクリアを始めた。
「なるほど。確かにこのステージは難しいな。」
両津はゲームに熱中する。
「最後までクリアできたぞ。」
両津はゲームをクリアさせる。続けてフリマアプリで売る玩具などを仕分けしていた。しかし、売れないと判断した物が多くなっていた。
「さすがにそろそろ処分しないとな。…明日にするか。」
両津は眠くなり布団に仰向けになって寝た。その際、売る予定の物が崩れ落ち似たゲーム機が預かったゲーム機の近くに落ちてしまった。両津はそれに気付いていなかった。
翌日
両津は起き上がると崩れている山を見つけた。
「まずい。片付けないと…」
両津が持ち上げるとゲーム機があった。そのゲーム機を両津は拾い上げフリマで売った。全部売れたと両津はニッコニコでその日の勤務を終えた。
その夜
両津はゲーム機を起動させる。しかし、昨日やっていたゲームではなかった。あれ?と思いいろいろと調べる。すると、フリマで売っていたゲーム機と同じゲーム機が手元にあることに気付いた。両津は真顔になってしまう。
「ま、まさか…」
両津は焦る。大原部長から預かったゲーム機を間違えてフリマで売ってしまったのだ。両津はムンクのような顔になった。鼻水が垂れ身体が震えている。
「ま、まずい…」
両津はどうしようかと悩んだ。あのゲームはもう最後までやっている。今からやっても間に合わない。そして…
派出所
大原部長が来ると汗だくの両津がいた。
「どうした両津?」
「あっ!いえ!なんでもありません!」
両津は急いでゲーム機を渡す。
「バッ…バッチリですよ部長!」
「そうか。」
「わしはパトロールに出掛けます!」
両津は急いで派出所から出て行った。
その夜、大原部長は大介にゲーム機を渡した。
「ありがとうおじいちゃん!」
大介がゲーム機を起動する。しかし、ゲームが全然違った。
「おじいちゃん。これ、ゲームが違うよ。」
「え?」
「僕が頼んだのはこのゲームじゃないよ!」
大原部長は目を点にさせる。
「僕のゲームどこ!?」
「えっ、えっと…それは…」
大介に責められ大原部長は冷や汗を掻く。そして…
「両津はどこだぁ~!両津のゴミ野郎はどこにいる~!」
「両さんならフリーマーケットに参加すると行って出ていきました!」
派出所に自走榴弾砲で突撃しながら叫ぶ大原部長に時行は両津の行き先を答えた。