ある日の派出所
両津が新聞を読んでいる。中川が書類を整理している。休憩室では時行がゴロゴロしている。
「今の日本はもうダメだな。」
「どうかされたのですか?」
両津の声を聞いた時行がヒョコっと出てくる。
「官僚の汚職が増えた。裏金、賄賂、書類偽造、不倫…こんな奴らのために税金を払っているのかと思うと嫌になる。」
「さらに、規制などの法律が国民に寄り添ってないという不満もよく聞きますね。」
「不満が私の時代の公家に対する不満とほとんど同じですよ。」
「鎌倉幕府と同じルートを歩んでいるぞ。」
「冗談で済ませれませんね。」
時行の発言に両津は日本の未来を憂いていた。そこに慌てた男が入ってきた。
「大変です!お巡りさん!」
「なんだ?」
「野良犬の群れがゴミを荒らしてます!」
「はぁ?」
両津は男に連れられ現場に向かう。その後ろを気になった時行がついて来る。現場につくと数匹の野良犬がゴミ袋を食い破り漁っていた。
「どこから来たんだこいつら?」
「多分、多頭飼育崩壊かと…」
「多頭飼育崩壊?」
「簡単に言えば飼いきれん数のペットを飼った結果だ。」
通報者が野良犬の首に汚れた首輪があるのを両津に教える。両津はため息混じりで野良犬達に近付く。野良犬達は両津を警戒し唸る。そして、襲いかかった。
「痛っ!この野郎!」
両津も野良犬達に苦戦しながらも捕まえる。応援が来る頃には傷だらけになっていた。
「それで、そんなに傷だらけなんですね。」
派出所に戻った両津を椎名が心配する。外からは野良犬が吠える音でうるさい。派出所の隣に野良犬達がいる。ケージに入れられた状態で暴れている。
「あの野良犬はどうするつもりですか?」
「わしは知らん。このままだと殺処分の可能性だってある。」
「それは可哀想です。」
時行が野良犬達に同情している。すると、また通報者がきた。
「大変です!公園に亀が!」
「亀?」
両津や大原部長が現場に向かう。公園の池の周りには既に人だかりができていた。両津が人混みを抜けて池を見る。そこには確かに亀がいた。思ってたより大きくゴツゴツした甲羅を持ちしっかりとした顎を大きく開けていた。
「あれ、ワニガメじゃねぇか!」
「だから、亀がいると…」
「ワニガメと言え!」
両津が躊躇する。
「両津、行け!」
「待ってください!せめてケージを持ってきてください!素手じゃ無理です!」
「とにかく行け!」
「ぎゃあ!」
大原部長が両津を池に突き落とす。ワニガメが襲いかかったくる。それを間一髪で捕まえた。
「なんだ。できるじゃないか。」
「こいつ、人の指ぐらいなら簡単に噛み千切れるんですよ!」
「両さん。左にも何かいます。」
大原部長に文句を言う両津。今度は時行が指をさした。その先には別の亀がいた。
「カミツキガメじゃねぇか!」
カミツキガメぎ襲いかかる。両津はワニガメを抱きながら池から逃げる。
「両津!あいつも捕まえろ!」
「もっと人を呼んでください!」
両津に言われて応援が来る。結果、カミツキガメとワニガメがそれぞれ3匹ずついた。
「誰だ。こんなところに捨てたバカは。」
ワニガメ、カミツキガメも派出所で預かることになった。ケージの中で暴れるカメ達を見る時行。頬を紅潮させながら指を差し出す。
「噛まれたらどうなるのでしょう…」
「指が消えるぞ。」
「両津!また通報だ!」
「何ですか?」
「今度は野良猫だ!」
両津がずっこける。いつの間に繁殖した野良猫の群れが空き家に住み着いていたようだ。両津は本田達も呼んで野良猫を捕まえる。そこにまた通報がきた。
「トカゲみたいな生き物を見たという報告だ。」
「情報がほとんどないぞ。」
両津は野良猫を本田達に任せて現場に向かう。しかし、見つからない。現場の木に見たことない生き物がいるという通報だったがその生き物が見つからない。
「私が見つけましょうか?」
時行が木を登りその生き物を探す。すると、木の葉に隠れジーとしている生き物を見つけた。時行はそ~と手を伸ばす。すると、目の前にハエが通った。その時、その生き物は一瞬でハエを捕まえ食べた。時行は驚き落ちそうになる。
「どうだ時行?」
「確かに見たことない生き物がいます!」
時行が叫んだ瞬間、枝が折れた。時行はなんとか着地に成功する。両津が折れた枝を見るとその生き物がいた。
「こいつ、カメレオンじゃねぇか!」
「カメレオン?」
「日本にはいない生き物だ。多分、逃げたか捨てられたんだろ。」
両津がカメレオンを捕まえ派出所に戻る。そこには野良猫だけではなくエリマキトカゲやウーパールーパーなどさっきまで居なかったはずの生き物までいた。
「中川!これはどうなってんだ!?」
「次々と通報がきて対処したら動物保護をしていると勘違いされまして…」
「それで、捨て猫や捨て犬とかがいつの間にか…」
両津が呆れる。
「そもそも何故ここまで生き物が…」
「ブームや衝動で飼った結果、知識も覚悟もない奴らが無責任に捨てるんだ。」
「そのせいで外来種が増え日本の生態系に悪影響を及ぼす被害が多発しています。」
「でも、この子達に罪はありませんよね?」
時行はある生き物を撫でようとする。その生き物は鋭い歯で威嚇している。
「そいつはヌートリアと言って堤防などに巣穴を掘ってしまうから駆除されてる奴だ。」
「他にもブラックバスやダチョウ、ヘビなどもいますよ。」
「ちょっとした動物園だな。」
両津は集められた生き物達を見る。そこに珍しい生き物がいると子供達が興味津々に見ていた。それを見た両津はニヤリと笑った。
翌日
時行が派出所に行くと人だかりができていた。何事かと見に行くと両津が動物園を開いていた。
「両さん?」
「おぉ!時行!」
「これは?」
「動物園だ。捨てられたこいつらを使ってる。」
両津は子供達に様々な動物を見せている。ちなみに、1人500円で入場させている。
「また商売ですか?」
「こいつらの費用が必要だからな。…そうだ!」
両津は時行を見る。
「トキハルも連れて来てくれ!」
「トキハルをですか?」
「そうだ!人に慣れてる動物もいた方がいいからな。」
「分かりました。」
両津は時行を見送るとどこかに電話した。それから、時間が経つと弧太郎達がきた。
「モモ連れて来たッスよコーチ!」
「雪丸もじゃ。」
両津が迎える。そこに時行がトキハルに乗って颯爽と登場した。
「連れて来ましたよ両さん。」
「時行って…馬乗れるんすか?」
「すごーい!カッコいい!」
褒められてドヤ顔になる時行。それからトキハルの乗馬体験を中心に両津動物園が本格的に開園した。時行は子供達にトキハルを乗せ歩かせる。その様子を弧太郎達が見ている。
「時行って何でもできるッスね。」
「時行の父親が馬が好きみたいでな。よく乗せてもらってるんだとよ。」
「まるで王子様。」
(実際、そのぐらいの立場だったからな。)
両津動物園は大盛況。両津は儲かる儲かるとニヤニヤしていると大原部長が来た。
「両津。またくだらんことをしているのか。」
「そんなことないじゃないですか!これは子供達に生き物について知ってもらうためにやってますよ部長。」
「でも、お金は取ってるよ。」
亜也の発言にドキッとする両津。
「そうか。なら、そのお金は動物愛護団体に寄付するべきだな。」
「なんでですか部長!」
「当たり前だろ!警察官がこんな副業していいと思ってるのか!」
大原部長に詰め寄られる両津。このままでは折角の儲けが全部消えてしまう。そう判断した両津は制服を脱いだ。
「じゃあ警察官辞めます!」
「えぇ!?」
「これで儲けは全てわしのもんだ!」
あっさりと警察官を辞めた両津に時行達が驚愕する。両津は本格的に移動動物園として商売を始めた。
「いらっしゃい~!」
普段は見れない生き物が見れると最初は客が集まった。しかし、だんだんと客足が減っていった。そのせいで動物達に満足な食事や環境が与えられない。しかも、両津は売上を競馬で刷ってしまう。
もう耐えられないと判断した動物達。その夜、両津が寝ている間にカミツキガメが全ての動物のケージを噛み千切り脱走した。その結果、両津移動動物園は廃園となった。
それから…
「あの…僕ちんの席は…?」
「君、警察官辞めたのだろ?もう、優秀な子達がいるから君は必要ないいよ。」
両津が帰ってくるも派出所には既に逃げた動物達が人間のように働いていた。
「両さんが捨てられてしまいました…」
覇気もなく縮こまってしまった両津。そんな両津を軽くあしらう大原部長。そして、両津の末路に同情してしまう時行であった。