ある日、時行は両津達と一緒にゴルフをしていた。飛距離は伸びないが大原部長達は拍手している。
「上手いですよ時行君!」
「やるじゃない!」
「これは両津を超えるぞ!」
「い、いやぁ。」
照れている時行。しかし、両津だけは耳を穿っては耳クソを吹き飛ばしていた。
「あれじゃあまだまだ上手くなれるわけないじゃないですか。」
「そ、そうですよね。」
両津の言葉に時行はやっぱりと落ち込む。
「先輩、そこまで言わなくてもいいじゃないですか。」
「そうよ両ちゃん。」
「時行は厳しい時代を生き抜いた将ですよ。現実を教えた方がいい。」
「そうか両津。なら、わしが教えれば時行君は両津を超えることが出来るぞ。」
大原部長の発言に両津はカチンときたのか言い返した。
「部長よりわしの方がゴルフは上ですよ!」
「言うじゃないか。なら、勝負してみるか。」
「望むところですよ!ただし…」
両津が大原部長達にスマホを見せる。そこには『大自然ゴルフ大会』と記載されている。
「これで勝負しましょう!」
「いいだろう。両津、お前が負けたら何をしてくれる?」
「負けた方は勝った方の屈辱キャディですよ。」
「よし。わしが分からせてやろう。」
バチバチ睨み合う両津と大原部長。時行は両津が持っているスマホを見る。大自然ゴルフ大会の下に『優勝賞金100万円』という文字を見て両津の狙いを把握してしまった。
そして、大会当日
両津と大原部長は大会が開かれる会場に来ていた。木が生い茂る山の前だ。かなり多くの参加者がいるみたいだ。その中には中川と麗子もいる。
「なんでお前らも参加してるんだ?」
「先輩と部長の勝負を見るためですよ。」
「両ちゃんこそ、なんで時行君がいるのよ?」
「今回時行はキャディだ。」
両津の隣にゴルフバックを抱えた時行がいた。呆れる大原部長。そこに大会の進行役がやってきた。
「え〜、皆様ご参加していただき真にありがとうございます!この大自然ゴルフは地球温暖化や森林伐採などで失われつつある自然を体験しながらゴルフを楽しむ…」
「この前やった大都会ゴルフとかと変わらないだろ。」
「人気あるんでしょうね。」
ルールは普通のゴルフと同じ。ただフィールドが森の中だったりと特殊だった。まずは目の前にある山の頂きにホールがある。そこにボールを入れた者から順に次へと進んでいく。
進行役が開始の合図をする。その瞬間、参加者達が一斉にゴルフボールを飛ばす。しかし、木に当たってあらぬ方向に飛んでいくボールがほとんどだった。参加者達は慌ててボールのところへと走って行く。
「悲惨ですね。」
「急ぐとああなる。」
多くの参加者が苦戦している中、大原部長は冷静にゴルフボールを打つ。大原部長のボールは木々の隙間をぬって奥へと消えて行く。
「凄い!」
「両津にはこんな芸当など出来ん。」
「いいましたね部長。わしはわしのやり方でいかせてもらいますよ!」
両津もゴルフボールを思いっきり打つ。ゴルフボールは木の枝をオリながら進んでいく。
「思いっきり自然を破壊してますね。」
「隕石か。」
両津の剛腕によるボールを見て中川と大原部長が呆れる。両津がボールが飛んで行った方向へ走る。時行も両津を追って森の中を走って行く。
「時行、アイアンを用意しろ。」
「分かりました。」
「ゴルフバックを抱えても悠々と走ってますね。」
「さすが時行君ね。」
中川達も両津を追いかけて進む。2人の激闘の結果、先にホールに入れたのは大原部長だった。両津は悔しがり嘆く。この時点で多くの参加者がボールを見失ったり諦めたりしてリタイアとなった。
次は川が流れる森の中だ。傾斜のある山と比べるとかなり楽だ。両津の前にいた男がゴルフボールを打つ。かなりの腕前らしくボールはいいところに落ちた。男がボールに向かって歩く。その時、男の前に熊が現れた。
「なにぃ!?」
男はたまらず逃げる。熊が追いかける。男が両津と時行の間を抜けて逃げて行った。時行は熊を見て目をキラキラ輝かせている。
「あのスピードであの鋭い爪に引っ掻かれたらひと溜まりもない。逃げてみたい。」
「時行、今とんでもない性癖を暴露しているぞ。」
時行が興奮している。熊が近付いてくる。それでも、両津は逃げない。ボールを打とうとする。熊が唸りながら両津の目の前まで迫る。すると、両津は打つのに集中出来ないとゴルフクラブで熊を殴った。
「うるせぇ!」
「両さん!?」
熊はたまらず逃げる。両津は気を取り直してボールを打つ。両津のボールもいいところに落ちた。そこに向かうとこんどは猿が現れた。猿はボールをジーと見ているとボールを拾ってどこかへと去って行った。
「おい!待てぇ!」
「両さーん!?」
「先輩も悲惨ですね。」
「放っておけ。」
大原部長達は今のうちとボールを打つ。結局、猿のせいで大分遅れてしまった。憐れと同情する中川と麗子に対して勝ったことで自慢気に待っている大原部長。
次からも大変なフィールドが続いていた。沼地のフィールド。途中にある小島にホールがある。両津が小島へ行くために沼地を進む。
「先輩!」
「わしは行くぞ!これ以上部長に負けてたまるか!」
「ここ、底無し沼です!」
「それを早く言え!」
次は砂漠が続いているフィールドだった。時行が楽しそうに走っている。
「全部バンカーじゃねぇか!」
「歩くだけでも一苦労ですよ。」
次は海の上だった。遠くの船の上にホールがある。両津が進行役に文句を言う。
「全部池ポチャになるだろうが!」
「最早海ポチャですね。」
両津は文句を言いながらもホールに決めて行く。一方の大原部長は慣れないフィールドに苦戦し始めた。だんだんと差が縮まって行く。
「次勝てば逆転ですね部長。」
「ここからだ。」
最後は火山のフィールドだった。火口にホールがある。もちろん両津は行く。時行も着いて行った。さすがに大原部長達は棄権した。
「もう棄権してないの先輩だけですよ。」
「巻き添えになった時行君が可哀想だ。」
「両さーん!もう逃げましょう!」
「ダメだ!ここで逃げたらわしの負けだ!」
火口がから嫌な音がする。それでも両津はゴルフを続ける。もう少しでホールだ。両津は落ち着いてホールを狙う。時行が後ろから叫ぶも聞こえてない。
「両さん!さっきからグツグツ言ってます!」
「あと1打だ!」
両津がボールをホールに入れた。その瞬間、火山が噴火し両津達は巻き込まれてしまった。
後日
「だから言ったじゃないですか。逃げましょうって。」
「時行、お前って噴火からも逃げ切れるんだな。」
「2人とも凄い生命力ですね。」
「両津はゴキブリ以上だ。」
「呆れたわ。」
病室で林檎の皮を剥く無傷の時行と全身に包帯を巻いた両津を見て呆れる大原部長達であった。