「凄い!鳥のように空を飛んでいる!」
時行は今、両津達と一緒に軍用ヘリに乗っていた。初めて見る空からの景色に興奮している。
「今の時代はこんなことが出来るのですね。」
「凄いだろ。でも、驚くのはここからだ。」
軍用ヘリが向かう先には大きな船があった。時行は窓に頬を張り付かせ凝視している。
「あれはなんですか!?」
「あれこそがアメリカ海軍が誇る原子力空母カール・ヴィンソンだ!」
「両津、時行。そろそろ着くぞ。」
軍用ヘリがカール・ヴィンソンに着陸する。両津達が降りると金髪のナイスバディの女性が出迎えてくれた。彼女はジョディー・爆竜・カレン。アメリカ海軍所属の女性軍人で、カール・ヴィンソンの発艦士官でもある。
時行がジョディーの胸を凝視する。鎌倉にはあんな胸の女性なんていなかった。時行がジョディーを凝視しているのにジョディーが気付いた。
「あらボビー、その子は?」
「北条時行。両津が預かってる子だ。」
「あなたが?珍しいわね。」
「よく言われる。」
ジョディーが時行に軽く挨拶する。時行も会釈で返す。
「可愛いわね。」
ジョディーが時行に近付く。豊満な胸が目の前まで迫る。時行は目を反らしてしまう。そこに両津が助け舟を出した。
「ジョディー、今日はどこに向かうんだ?またアフリカか?」
「いえ、今回はブラジル。アマゾンよ。」
「次はジャングルかよ。」
2人の会話が分からない。時行が目を丸くして見ている。それに気付いた両津が教えてくれた。
「今日はジョディーの婿選びに来た。ボルボはその候補者の1人だ。」
「そうなんですね!」
時行がキラキラした目でボルボを見る。ボルボはむず痒そうに頭を掻く。
「候補者の1人だ。俺以外にも候補者は大勢いる。」
「そうよ。パパが選んだ選りすぐりの男達が待っているわ。」
今カール・ヴィンソンは太平洋上にいる。ブラジルに着くまでかなりの時間がかかる。そこで両津は余興として面白い提案を出した。
「そうだ!ジョディー、時行と鬼ごっこしないか?」
「鬼ごっこ?」
「時行は鬼ごっこが大好きでな。わしでも捕まえることが出来ない逃げ上手だ。」
両津が時行の肩を組みニヤリと笑う。
「時間は…2時間!その間にお前達が時行を捕まえられたらわしが日本で何でも奢ってやる!」
「いいわよ。私達が負けたら何が欲しい?」
「アメリカで何か奢ってくれ!」
「OK!」
ジョディーが時行の前に立つ。すると、両津が手を前に出した。
「お前達全員でだ。」
両津の発言にジョディー達はキョトンとする。そして、笑い出す。
「両さん、あなた冗談言うのね!」
「その方が面白いだろ。」
さすがにボルボも無茶だと両津に言う。
「相手はアメリカ軍人だぞ。」
「大丈夫。時行は日本軍人だ。」
「まだ子供だろ!」
両津は時行に近寄り耳打ちする。
「相手は軍人。戦闘のプロだ。もちろん鬼ごっこのプロでもある。こんな体験滅多に出来ないぞ。」
両津の言葉に時行はワクワクしていた。やる気は十分。時行はピョンピョン跳ねながら待っている。ジョディー達もやる気満々の時行を見て遊んでやろうという軽い気持ちで挑んだ。
「それじゃあ…始め!」
両津が開始の合図を叫んだ瞬間、時行がものすごいスピードで走り出した。それに驚くジョディー達。でも、すぐに追いかけ始めた。左右から追いかけてくる軍人達。時行を挟み打ちしようと迫るも時行はジャンプして軍人を避ける。
「やるじゃない。」
ジョディーが追いかける。時行は停まっている戦闘機にジャンプして乗る。翼の上を楽しそうに走る。その先に軍人が待ち構えている。それでも時行は止まらない。またジャンプして軍人を躱す。そのまま逃げると前の滑走路が突然下に動き出した。初めて見るギミックに時行は興奮が止まらない。ジャンプして降りる。その後を追うようにジョディー達もジャンプして降りてくる。
(凄い!私に追いついてる!日本以外にもこんな凄い人達がいるのか!)
時行はカール・ヴィンソンの中を走る。内部はジョディー達の方がよく知っている。時行が逃げる先に待伏せしている軍人がいた。時行がそのまま突っ込む。軍人が前に出て捕まえようと飛び出す。それを時行は股下を抜けて逃げた。そのまま階段を駆け上がる。軍人達が待ち構えている。それを見た時行は顔を赤らめ笑っていた。それに一瞬ビビる。その隙に時行は軍人達の間をすり抜けた。そのまま姿をくらます。
「両津、もし時行が逃げ切ったらとんでもないことになるぞ。」
「そのとんでもないことにわしは賭けてる。」
外で待っている両津とボルボ。すると、時行がひょっこり現れた。場所はなんと艦橋からだった。艦長が時行に驚いている。後から来たジョディーに誰なのか聞く。
「両さんが連れてきた時行って子供よ。」
何しているのか聞くとジョディーが鬼ごっこと答えたため呆れていた。すると、時行が艦橋から跳び下りた。両津以外の全員が驚く。時行はいつものように壁を蹴って着地する。
「Oh!ジャパニーズニンジャ!」
艦長が凄い興奮している。さすがのジョディーも跳び下りまでは出来ず2時間が経過した。逃げ切りウキウキの時行の頭を撫でる両津。そこにジョディー達が戻ってきた。
「嘗めてたわ。凄い子ね。」
「だろ。わしの自慢の子だ。」
両津がニヤニヤ笑う。そこに艦長がやってきた。時行の手を取り握手する。興奮して英語を喋っているが時行は理解出来ない。代わりにジョディーが翻訳してくれた。
「あなたの動きを見て忍者みたいだと言っているわ。」
「わ、私の友達に忍者がいましたので…」
「ボビーの御爺様みたいな人がいるの?」
ジョディーが驚く。ジョディーも艦長も時行が気に入りカール・ヴィンソンの中を案内してくれた。全てが初めて見る時行にとって興奮が止まらないでは言い表せれないほど衝撃的だった。
「面白い子ね、両さん。」
「本当にどこで見つけてきたのか知りたいぐらいだ。」
「鎌倉だ。」
「今度鎌倉行きましょう。」
ジョディーの次の旅行先が決まる。そのままカール・ヴィンソンはブラジルのアマゾンへと進む。そこに彼女の父親が待ち構えていた。