ある日、弧太郎が時行にスマホゲームを見せた。
「時行、これは『コロセンクエスト』略してコロクエと言ってな。最近流行ってるゲームだ。聖徒を編成し様々なモンスターを倒して行く爽快RPGゲームだ。」
弧太郎が時行のスマホにコロクエをインストールした。
「とりあえずチュートリアルを済ませてみな。面白いから絶対ハマる!」
弧太郎にオススメされた時行は超神田寿司でコロクエをやってみる。キャラクターを5人編成して襲ってくるモンスターをコマンドで倒すというシンプルな物だ。
「フムフム…確かに戦略性もあり郎党にも魅力的な者が多い。弧太郎がハマるのも分かるぞ。」
時行はチュートリアルを済ませる。操作方法も簡単だ。これなら私でも楽しめそうだ。時行はニコニコしながらコロクエを進める。しかし、すぐに行き詰まってしまう。相手のモンスターが強くてすぐに全滅してしまうのだ。
「つ、強すぎる…どうすれば…」
時行は試行錯誤する。そんな時、ガチャの欄を開ける。そこにはピックアップとして“カルマ”、“アヤコ”、“シズク”の3人がいた。3人とも時行が編成しているキャラクターより強い。しかも、見た目がカッコよかったり可愛かった。
「そうか!強い郎党を入れればいいのか!」
時行はガチャを回す。しかし、ピックアップキャラは誰1人出なかった。時行は最高レアの1つ下のレアキャラを編成して挑む。これで勝てた。
「なるほど。海野殿のような強い武将を揃えることが出来れば有利に進めれるというわけだな。」
その日はコロクエに没頭する時行であった。
翌日、派出所の休憩室でコロクエをしている時行。すると、両津と大原部長の声が聞こえた。
「両津!またそんなくだらんゲームなどしおって!」
「部長、御言葉ですがこのコロクエはくだらんゲームじゃないですよ。」
コロクエに反応する時行。休憩室から覗いてみる。
「昨今のスマホゲームは進化を続けているんです。スマホ自体の進化に伴いゲームも多様化、複雑化していきます。少し前に流行ったスイカゲーム然りパズドラ、モンスト、PUBG…ジャンルもパズルのような簡単なものから対戦ゲームのような複雑なまのまで幅広いです。中にはスマホゲームが原作のアニメやコミックなんてある時代ですからね。」
両津が熱弁する。時行は聞き入っていた。
「特にこのコロクエはシンプルなコマンドバトルだが戦略性もありどんなキャラでも育てればある程度クリア出来るようになっています。グラフィックも綺麗でキャラクターも魅力的。それに、内容も凝っていて奥深く今一番流行っているスマホゲームと言えるでしょう。」
両津の圧に押される大原部長。
「わしが予言してやりましょう!近い将来AIが制作したスマホゲームが流行るでしょう。」
「そんな物が…」
「ありえますよ。AIで画像を作るアプリが既に存在しています。AIでゲームを作る時代がもうすぐ来ますよ。」
「凄い時代なんだなぁ。」
両津と中川の話を聞いた時行は改めて自分が今いる時代の凄さを感じていた。仕事が一通り終わり再びコロクエを始める両津に時行が近寄った。スマホを見ると既に自分の何倍のレベルに達していた。
「凄い!両さん、そこまで行けるのですか!?」
「ああ、行けるぞ。相性を見極めれば比較的楽にクリア出来る。」
両津が時行にコロクエを教授する。時行は言われた通りにやってみるとクリア出来なかったステージがクリア出来た。それに喜ぶ時行。
「ん~~!何故だろう…初めて鎌倉奪還した時と同じぐらい喜んでる気がする!」
時行はステージを進めて再びガチャが出来るようになったのでガチャ欄を見る。すると、最初は能力しか見てなかったアヤコとシズクが亜矢子と雫に似ていると思い始めた。
「これ…もしかして亜矢子と雫か!なんとしても郎党に欲しい!」
時行はガチャを回す。しかし、全部使っても2人は出てこなかった。時行がふてくされる。すると、課金という表示が出た。おそるおそる説明通りにタップしてみるとガチャが出来るようになった。
「これだ!」
時行は再びガチャを回す。すると、見たことない演出が出てきた。大いに期待する時行。すると、出てきたのはカルマだった。
「違う!そっちじゃない!」
時行が叫ぶ。時行は熱くなりさらにガチャを回した。すると、またさっきと同じ演出がきた。時行はワクワクしながら待つ。出てきたのはアヤコだった。
「来たー!亜矢子が来たー!」
凄い喜ぶ時行。障子の隙間から檸檬と纏が覗いていることに気付いていない。
「時行、凄いゲームにハマっているな。」
「あれはカンキチコースじゃの。」
時行はシズクを当てようとガチャを回す。また同じ演出だ。時行が期待しているとまたカルマが出た。
「違うんだ!そうじゃないんだ!」
時行が悔しがる。もうガチャは回せない。時行は意地でもシズクを当てようとさらに課金した。その結果、合計3万円でカルマ3体とアヤコとシズクをゲットした。
「やったー!亜矢子と雫が私の郎党になったぞ!」
喜んだ時行は早速アヤコとシズクを育てる。しかし、素材が足りない。時行は素材を集めるクエストをやる。しかし、なかなか集まらない。
「全然集まらない。このスタミナという物も課金で手に入るのか。」
時行は課金してスタミナを溜める。そして、また素材集めのために周回した。スタミナが無くなれば課金して周回する。これを繰り返していた。
「素材…周回…課金…素材…周回…課金…素材…周回…課金…」
翌日、両津が銀行に金を下ろしに行く。いつものように下ろそうと預金通帳を見る。両津は目を疑った。1日で7万も使われていたのだ。
「何故だ!?何故金が減っている!?」
一方、時行はアヤコとシズクの育成が順調のようでニコニコしている。中川が時行のスマホを見て驚く。昨日よりもレベルがかなり上がっていた。
「凄いですね。先輩に近付いてますよ。」
「ですよね!凄いですね最近のゲームというものは。課金というもので簡単に強くなれるなんて。」
時行の発言に中川と麗子が不審に思った。
「時行君、課金したの?」
「はい。アヤコとシズクを私の郎党にするためにガチャというものを何度もやりました。」
「いくら使ったんですか?」
「え?」
時行がキョトンとしている。
「時行君、それはお金を使っているのよ。」
「でも、私はお金なんて払っていませんよ。」
「それは多分契約している先輩の口座から引き下ろされてますね。」
「え…」
知らないうちに両津の金を使い込んでいたことを知る時行。汗ダラダラで慄えていると後ろから気配がした。おそるおそる振り向くと怒り心頭の両津がいた。
「時行。」
「あ、あははははは…」
時行が逃げる。両津が追う。
「時行ー!何わしの金を使ってんだ!」
「すみません!あとちょっと!あと3周で素材集めが終わります!」
「ダメだ!お前は課金禁止だ!」
「時行君ももう立派な現代っ子ね。」
「悪い方向にですけどね。」
謝罪しながら両津から逃げる時行を見て呆れている中川と麗子であった。