逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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時行一行一泊二日伊豆旅行

「気〜持ちいい〜!」

 

 時行達は両津の運転で伊豆に向かっていた。時行といつもの友達を乗せて走っている。

 

「さすがだぜコーチ!」

「私達の無理を聞いてありがとうございます。」

「いいってことよ!そう畏まるな!」

 

 両津はアロハシャツでサングラスを掛けて笑っている。弧太郎達の親が仕事で忙しく同行出来ないと知った時行が両津に頼んだ結果快くOKしてくれた。予約していた伊豆のホテルに着く。両津が受付している間に時行達は部屋に行き荷物を置くと海水浴場に向かった。

 

「お前ら!わしが見える範囲から離れるなよ!」

「「「はーい!」」」

 

 水着に着替えて砂浜を走る弧太郎達。両津がパラソルを準備していると時行と渚が来た。

 

「どうした?」

「その…」

 

 2人が周りの目を気にする。そこに監視員と思われる男性が来た。男性は時行と渚をジーと見る。

 

「問題ありません。男でした。」

「なるほどな。」

 

 女子に間違えられていた。2人はパラソルの下で体育座りしている。そこに弧太郎が来た。

 

「何涼しんでんだよ。早く遊ぶっすよ。」

「い、いや…私は遠慮しておこう。」

「僕も泳ぐのは苦手で。」

「折角海に来たんだから遊ばなきゃ損っすよ!」

「そうだぞ。こういう機会は将来くるかどうか分からんから今を目一杯遊ぶべきだ。」

 

 両津に押された時行と渚は弧太郎に連れられ雪長達のところへと行く。ビーチバレーやビーチフラッグ、スイカ割り、砂のお城作り、いろいろと遊んでいくうちに疲れたのか時行が両津の隣に座った。両津がスポーツドリンクとアイスを渡す。

 

「ありがとうございます!」

「しっかりと水分補給しないと熱中症になるからな。」

 

 スポーツドリンクを飲みアイスを食べる時行。その時の時行の表情がどこか切ない。両津が気にしていると時行が両津を見て質問した。

 

「私だけこんなに楽しくていいのでしょうか?」

「いきなりどうした?」

「私は死んだはずです。でも、今はこうやって新しい友達と遊んでいます。私と共に戦ってくれた郎党達に申し訳ない気持ちです。」

 

 時行は空を見上げる。自分が鎌倉にいた頃はこんな風に遊ぶことはなかった。殺意飛び交う戦場で武将として戦い続け多くの命が消えるところを見てきた。そんな自分が今を楽しんでいいのだろうか?そう思っていた。そんな時行を見た両津も空を見上げ笑う。

 

「なんでお前が生き返ったかは知らん。が、わしも死んだことあるぞ。」

「えぇ!?」

「そん時は地獄乗っ取ったり神様脅したりして生き返ったぞ。」

「なんですかそのハチャメチャな生き返り方。」

「本来は人生一度っきり。もしかしたら神様がお前を生き返らせてくれたのかもな。今を目一杯楽しんでこいってな。」

 

 両津が時行の背中を叩いて励ます。時行は両津に励まされ気分が落ち着いた。2人で弧太郎達を見る。静が亜矢を砂に埋めてセクシーな体を作っていたり雪長がかき氷を食べていたり弧太郎が渚に泳ぎを教えたりしていた。

 時行がみんなを楽しそうに見ている。しかし、両津は立ち上がり弧太郎達を睨んでいた。時行が気になり聞いてみる。

 

「両さん?」

「マズいな。」

「え?」

 

 両津が走り出す。弧太郎が渚の手を掴み泳ぎを教えている。その時、2人が波に拐われてしまった。2人はどんどん浜辺から離れていく。

 

「やっぱり離岸流だ!」

「両さん!」

「時行!お前はあそこのライフセーバーに離岸流だと言え!」

 

 両津が心配する雪長達は離れさせて海に飛び込む。凄いスピードで2人のところへ泳ぐ。2人はパニックになり暴れている。そこを後ろから両津が2人の首に腕を回して海面上に上げた。

 

「落ち着け!まずは深呼吸だ!」

 

 両津が岸と並行に泳ぐ。2人は両津に言われた通り落ち着いて息をする。そこにライフセーバーが来て弧太郎を抱える。そのまま2人を砂浜まで運ぶ。幸い水はそんなに飲んでいない。 

 

「大丈夫だ!」

 

 下を向いて水を吐き出す2人を見て一安心する。両津がライフセーバーに離岸流が発生したことを報せる。その結果、一時的にビーチは封鎖された。そこからは近くをドライブしたりショッピングしたりホテルでゲームを楽しんだ。

 その夜、部屋でテレビを見ていると両津が来た。みんなを呼んで外に出る。すると、夜空一面に輝く星が散りばめられていた。その光景にみんな声が出ない。

 

「大自然の中の星空もいいがこういう都会の星空も捨てたもんじゃない。」

 

 砂浜で座って星空を見る。いろんなことがあったけど楽しい1日になった。

 

「お前ら、人生は一度っきりだ。だから、今を生きていることを目一杯楽しめ!」

「両さん、なんだかおじいちゃんみたいな言い方だよ〜。」

「うるせぇ。」

 

 両津と亜矢が笑う。静が星空を撮影する。雪長と弧太郎が寝転がり夜空を見上げる。時行は哀しそうな目で両津を見ている。そして、夜空を見上げる。

 

(みんな…私はもう少しこの世界にいたいと思う。だから…見ていてほしい。)

 

 時行は気持ちを整理すると両津達と一緒に笑顔で星空を堪能した。

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