逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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新葛飾署からWi-Fiで

 新葛飾署では新たにWi-Fiで日本中の警察署と繋げるため中川が大原部長や屯田署長達にWi-Fiの説明をしていた。

 

「•••つまりWi-Fiというのはインターネットのような配線無しで必要なデータを送受信したり、送金や動画・音楽・ゲーム・読書などを安定した通信環境で行うことが出来るというものです。」

「ぜ、全然分からん。」

 

 中川が何度も説明するが大原部長達は理解出来ていない。そこに両津と時行がやってきた。

 

「中川、そんな説明じゃガラケー世代の部長達に分かるわけがないだろ。わしが説明する。」

 

 両津が中川の代わりに大原部長達の前に立つ。

 

「いいですか部長?Wi-Fiというのは簡単に言えば自宅に家政婦を招くようなものです。」

「先輩、さすがにざっくりしすぎです。」

「情報の整理やスムーズにデータを送受信するってのはつまり家政婦に片付けなどの家事や仕事の手伝いをするということなのです。」

「そ、そうなのか?」

 

 大原部長が食いつく。

 

「以前紹介したインターネットは仕事するのに有線やらモバイルやら色々面倒な過程がありましたがWi-Fiはそんな面倒など全て省いてくれるのですぐに仕事してくれます。」

 

 両津が説明している横で時行が寝ている。Wi-Fiなんて全く興味がないのだ。

 

「これを家政婦に例えるなら履歴書無しで即家事代行をさせるようなもんです。これなら複数の端末=複数の家で働くことが出来る家政婦が増えるということです。しかし、中には悪意を持った者が作るWi-Fiがあります。」

「なんだねそれは?」

「Wi-Fiは個人で作ることが出来ます。もし、そのWi-Fiに繋いでしまったら最後、お金や情報を丸ごと盗まれます。」

「「なにぃ!?」」

 

 大原部長達が驚く。

 

「スマホは個人情報の宝庫ですからね。一度自宅に招いてしまえばそこに居座って情報を盗まれたり合鍵を作って何度も侵入されたりします。特に預金通帳や写真•動画、検索履歴はマズいでしょう。」

「何故検索履歴がマズいのだね?」

「検索履歴はその人が今興味あるものを教えてくれます。それを使えば相手を騙すネタが簡単に手に入ります。そうなれば簡単に詐欺にかけることも可能というわけです。」

「な、なるほど…」

 

 両津は例え話としてアイドルばっかり検索していたらそのアイドルのマネージャーと名乗る人物から来た連絡に騙されてお金を取られた話をする。

 

「今はそんな危ないものが流行っているのか。」

「Wi-Fiも使い方次第です。例えばわしが包丁持って寿司屋にいても誰も何も言いませんが包丁を持って秋葉原にいたら即逮捕です。要は正しい知識と対応を持たないとWi-Fiを使うのは無理ということです。」

 

 両津がマジックボードに鍵のマークを描いた。

 

「まず無料のWi-Fiは疑ってください。こういうマークが着いているWi-Fiは比較的安全です。それと、少しでもおかしいと感じたらパスワードを変えてください。泥棒が嫌がるのは頻繁に鍵を変える家です。それはインターネットの世界でも同じです。面倒なパスワードがあるところなんて好んでいきませんよ。」

 

 両津の説明に大原部長達は頷いている。

 

「警察署をハッキングしようなんてバカはそう居ませんがこういう心得を持つこと自体が大切です。特に情報の管理はしっかりしないといけません。一度盗まれたらあっという間に広がってしまいますからね。」

「わ、分かった。しかし、Wi-Fiの接続などわしらには…」

「丁度いい相手がいますでしょう。以前もインターネットの接続をしてくれたところが。」

「そ、そうだな。なら両津、中川と一緒に行ってくれんか?」

「構いませんよ。部長、これからWi-Fi関係で困ったらわしか中川にまず相談してください。」

「そうしよう。」

 

 両津は時行を起こして中川と一緒にある場所へと向かった。凄い大きな学校だった。両津達は改札を通り抜け廊下を進む。

 

「ここはどこなんですか?」

「私立電子学校。今じゃどこでもタブレットで勉強しているがここがその走りだ。わしらは小学科理工学部の教室に向かっている。確か…」

 

 両津がキョロキョロ見回していると前を歩いている小学生を発見した。両津がその小学生に声をかける。

 

「いた。プラス!」

 

 振り向いた小学生、電極+(プラス)は両津を見てため息をする。

 

「言いましたよね。私は忙しいのです。」

「小学生は普通暇なもんだろ。」

「それはあなたのような古い人間の考えです。」

 

 プラスが時行を見つける。

 

「君は?」

「ほ、北条時行です!」

「北条君、君も今の子なら小学生は忙しいって分かるでしょ。」

「た、確かに私は鎌倉奪還のために逃げたり綸旨を盗んだり兵を逃がしたり戦場で鼓舞したり戦ったりといろいろ忙しかったですけど…」

「君、何時代の人間?」

((南北朝時代の人間です。))

 

 プラスがドン引きする。両津が新葛飾署にWi-Fiを接続するように頼む。プラスはスマホでスケジュールを確認、調整すると了承した。

 

「私に感謝してください。」

「おう。感謝するよ。」

 

 即日、プラスが新葛飾署に来てWi-Fiルータを設置、日本全国の警察署へとWi-Fi接続を済ませた。屯田署長が説明書を読むも全然理解出来ない。

 

「書いてることが難しすぎる。」

「署長、その説明書は大切に保管してください。会社の電話番号もあるので何かあったらそこに電話出来るように。」

「う、うむ。」

「それでは私はこれで。」

「ああ、ありがとう。」

 

 プラスが去って行く。ちゃんと繋がっているか確認するためパソコン室へ行く。両津がパソコンでいろいろと調べる。問題無く繋がっているようだ。すると、時行が気になったものがあると指差した。

 

「この…モンタージュ?というのはなんですか?」

「簡単に言えば顔が作れるやつだ。わしも昔部長の顔で遊んでミサイル落とされたことがある。」

「雷じゃないのですか?」

 

 両津が笑いながら久しぶりのモンタージュをしている。中川と屯田署長が呆れている。そこに大原部長が来た。どうやら、Wi-Fiでまだ分からないところがあるらしい。

 

「時行、ここで待ってくれ。すぐ終わらせる。」

「はい!」

 

 両津は大原部長達と一緒に部屋を出る。1人残った時行は暇だからとモンタージュで遊び始めた。いろいろ試していくうちに大体の使い方は分かった。ならばと試行錯誤した結果、諏訪頼重が完成した。しかも、凄い笑っている。

 

「よ、頼重殿が出来てしまった。…凄い時代だ。」

 

 プププと笑いを堪えている時行。元に戻そうといろいろクリックする。すると、『保存されました。』と表示された。何のことだろうとまたクリックする。今度は『全警察署に送信完了しました。』と表示された。

 

「わ、私は凄くマズいことをしてしまったのではないでしょうか?」

 

 時行は尋常じゃない量の汗を掻く。元に戻したいがやり方が分からない。そこに両津が戻ってきて時行を呼んだ。時行は口から心臓が飛び出るぐらいびっくりする。

 

「どうした時行?」

「りょりょりょ、両さん!な、なんでもありません!」

「なんだ•••?帰るぞ。」

「はい!」

 

 時行は内心どうしようと悩みながら両津と一緒に帰った。この時、凄い笑顔の諏訪頼重が全国の警察署に送信されているなんて思ってもいない。

 

 後日

 

『突如、全国の警察署のパソコンに出現した謎の笑顔の男性。通称“日本版This man”ですが発信元が新葛飾署と判明し…』

「時行君はどこだ!時行君を捜せ!」

「なんでしょうかこの人?」

「う〜む…不気味だ。」

 

 大慌ての新葛飾署。大量の諏訪頼重の笑顔が舞う中、両津と中川が諏訪頼重の笑顔を見て戦慄するのであった。

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