新葛飾署に両津達は集まっていた。壇上に屯田署長がいる。周りには報道陣が詰めかけている。
「え〜。本日は近年頻発しているひったくりやあおり運転、住宅街で発生する窃盗などを取り締まるための新たな部隊スーパーエンジェル7のお披露目をしたいと思います!」
屯田署長が手を上げる。すると、バイクのエンジン音と共に麗子達が現れた。際どいビキニみたいな衣装を纏った姿で報道陣の前に来る。
「こちらが我が署が誇るエリートライダー達です!」
秋本麗子、麻里愛、擬宝珠纏、磯鷲早矢、乙姫菜々、小野小町、清正奈緒子が並ぶ。報道陣がパシャパシャと写真を撮っている。そこに両津が手を上げて抗議した。
「ちょっと待ったぁ!」
「なんだね両津君?」
「確かに麗子と早矢は美人、マリアは強い、乙姫はバイクを乗りこなせる。ここまではエリートと呼ぶに相応しいでしょう。しかし、残りはエリートと言うには力不足だ!」
「うるさいカンキチ!」
「黙りなさい原始人!」
「余計なお世話よ!」
纏達が反論する。
「そもそもお前らはバイク乗れるのか!?」
「失礼ね!ちゃんと乗れるわよ!」
「小町君も奈緒子君も成績は良いぞ。」
「これがぁ?」
両津が不満ある顔で小町と奈緒子を指差す。
「それをこれから実証しようと思う。スーパーエンジェル7は最新の追跡装置逃さん君を搭載している。どこに逃げようとも確実に逮捕することが出来る。」
「あれ使ったのか…」
「では、泥棒役を…」
「ちょっと待った!」
また両津が抗議する。泥棒役に不満があるみたいだ。
「だから言いましたよね!今令和ですよ!あんなタカトシのコントでしか見ない泥棒なんて今どきいませんよ!ここはバイクの達人本田と下町に詳しいわしと…逃げ上手の時行が泥棒役になるべきです!」
「何故私が!?」
いきなり呼ばれた時行が驚く。
「時行、これはあいつらとわしらの鬼ごっこだ。」
「鬼ごっこ!」
鬼ごっこと聞いて時行の目がキラキラしている。準備は出来たようで両津が本田を無理矢理バイクに乗せる。
「待ってください先輩!これまた捕まるオチじゃ…そう何度も捕まってたまるかぁ!捕まえれるもんなら捕まえてみろぉ!」
「時行!わしらも行くぞ!」
「はい!」
「では、時間は1時間。スーパーエンジェル7、出撃!」
スーパーエンジェル7との鬼ごっこが始まる。麗子達が意気揚々とバイクを発進させる。ヘルメットに両津達の位置情報が表示される。逃さん君から撮られた映像をヘルメットに送信していた。麗子達は二手に別れて両津達を追いかける。
「見つけたわ!」
「先輩!」
「逃さん君か!二手に別れるぞ!」
本田がそのまま突撃、両津は裏道に入った。本田の正面にいた小町達がオート操縦にして立つとバイクに装備されていた銃を構えた。
「ファイア!」
小町達が撃つ。本田に命中した弾は弾けると中から催涙ガスが出た。さらに、身体も痺れる。たまらず本田が倒れる。
一方、両津を追いかけている麗子達は両津を挟み打ちにする。両津は前方にいる麗子に突撃しようとする。麗子は銃を取り出して放つ。弾は両津に命中すると粘液が溢れ出した。
「なんだこれ!?」
粘液が絡まり両津は動けなくなる。それでも突撃するが粘液がバイクにも絡まりそのまま倒れた。そこに報道陣が押し寄せてくる。
「凄いぞ!25分で2人を捕まえた!」
麗子は合流した小町達とハイタッチする。両津と本田を捕まえ喜んでいると早矢が時行を見つけた。麗子達も時行を見るとワクワクしていた。目をキラキラ輝かせピョンピョン跳ねている。いつでも鬼ごっこ出来る状態だ。すると、麗子が両手を合わせた。
「ごめんね時行君。私達、今から戻らないといけないの。だから、鬼ごっこはまた今度。」
時行が分かりやすくがっかりしている。麗子達は気不味そうに戻って行った。
翌日、スーパーエンジェル7が両津と本田を捕まえた記事が大々的に載った。両津が悔しがっているとニヤニヤしながら小町達が来た。
「残念だったね原始人!」
「くそ〜!っていうか時行はどうした!?」
「さすがにバイクに乗った私達が時行君を追いかけ回すのは絵的にねぇ。」
「そうそう!」
「それに…多分私達じゃ時行君を捕まえるの無理だと思う。」
「嘘!?」
小町と奈緒子が時行を見る。鬼ごっこが出来なかったのがつまらないのか不貞腐れている。麗子がチョコレートを上げると少しだけ機嫌が直ったのか美味しそうにチョコレートを食べた。小町達が帰ると両津はボルボに電話した。
「ボルボ、ワイルド野郎隊やるぞ。」
『もう止めようぜ両津。』
両津は左近寺にも電話するがボルボと同じ返答がきた。両津はなんとしてもスーパーエンジェル7に勝ちたいと考えていると時行と目が合った。時行はキョトンとして両津を見る。
「あ、あの…」
「時行、お前流鏑馬出来るよな?」
「はい。戦場では基本流鏑馬です。」
両津がニヤリと笑う。時行は嫌な予感がするも両津に付き添う。両津がバイクの後ろに弓矢装備の時行を乗せる。
「いいか時行。今わしはお前の馬だ。お前はいつものように矢を射るだけでいい。」
「ま、まぁ、やってみますけど。」
両津がバイクを発進させる。時行が練習にと両津が用意した麻袋の的に次々と矢を当てる。それを見た乙姫と本田は驚いていた。
「凄いですね時行君。あんな特技があったなんて。」
「本当に時行君は不思議な子だよねぇ。」
「どうだ時行!?」
「やっぱり馬より難易度は高いです!」
そう言いながらもちゃんと百発百中で的に当てる時行に本田達は拍手していた。そこに緊急通報が入る。
『ライフルやショットガンで武装した4人組が現金輸送車を襲撃!12億円を強奪して逃走した模様!繰り返す!…』
「教官!」
「うん!」
「菜々ちゃん!スーパーエンジェル7出撃よ!」
本田も出撃しようとする。そこに麗子達が来て乙姫を連れて出撃した。バイクに乗った本田のところに両津が来る。
「本田!状況は!?」
「良くねえぜ両津の旦那!犯人グループはかなりの武装をしている!」
「よし!わしも準備を済ませていく!本田は先に行け!」
「おう!」
本田がバイクのエンジン音を響かせながら出撃して行った。現金輸送車襲撃犯達は長い国道を黒いバンで逃走していた。その後をパトカーが追うもマシンガンで攻撃され近付けない。そこにスーパーエンジェル7が合流した。
「あれが例のバンね。」
「どんだけ暴れているのよ。」
「早く止めましょう。」
バンが高速道路に入る。小町達が止めようとバンの後ろに付き粘液弾を発射しようとした時、バンの屋根が開きロケットランチャーを持った強奪犯が現れた。顔にはフルフェイスヘルメットを着けている。
「嘘でしょ!?」
小町達が慌てて回避するも爆風で小町と奈緒子が倒れる。残った麗子達が追うも今度はバンのリアウインドが開き手榴弾が投げられた。
「回避して!」
麗子達が回避するも今度は纏とマリアが倒れた。バンが橋を通る。そこに本田が来てバンの前に出る。しかし、ライフルを乱射してくる強奪犯になかなか近付けない。その様子を別の橋から両津と時行が離れた道路から見ていた。
「ライフルにマシンガンにロケットランチャーに手榴弾…あいつらこの日本で戦争でもおっ始めるつもりか!」
「どうします?」
「時行、ここから狙えるか?」
「出来なくはないですがあれを貫通出来るかどうかは分かりません。」
「でも、やるしかない!」
両津はバンと並走するように走る。お互いの間にはかなりの距離がある。本田がバンに蹴り入れるが逆に体当たりで後ろに下がってしまった。さらに、手榴弾が本田達の前に投げられる。時行はその様子をじっと観察している。
空から中川がヘリでバンを捉える。バンからライフルを持った強奪犯が出てきて乱射する。それが麗子のバイクのタイヤに命中してしまう。さらに麗子が早矢にぶつかってしまい2人とも倒れてしまう。
「乙姫!無理はするな!」
「はい!でも、私がここで止めないと!」
2人はバンから距離をとって追う。バンの前にパトカーが待伏せしているがそれをロケットランチャーで吹き飛ばして突破する。
「時行!」
「まだです。」
時行は冷静に観察する。今持っている矢ではバンの装甲は抜けない。今の自分にはあの装甲を貫通させる技量はない。だから待つ。その時が来るまで。バンからガトリングガンを構えた強奪犯が出て来る。
「なにぃ!?あいつら、あんな物まで持ってるのか!?どうやって手に入れたんだよ!」
(来た。)
時行が弓を構えた。両津はそれを察知しバイクのスピードを一定にする。強奪犯がガトリングガンを乙姫に向ける。本田が乙姫を守ろうと前に出た瞬間、
(顕家卿、まだあなたの矢にはまだ遠く及びませんが見ていてください。)
時行が矢を放った。矢はまっすぐ飛びガトリングガンに命中した。ガトリングガンは壊れ動かなくなる。
「なんだ!?矢!?」
「あれは…」
「まさか、時行か!」
「やるじゃねぇか時行!」
強奪犯は使い物にならなくなったガトリングガンを捨てる。そこに、両津が猛スピードでバイクを飛ばし橋と橋が一番近くなるところでジャンプした。
「両津の旦那と時行!」
「先輩!」
本田と中川が驚く。両津のバイクはバンの右前方に着地する。バンの運転手は時行を見て驚いている。
「弓矢!?あんな物で俺達とやろうってか!」
「しかも、ガキじゃねぇか!」
助手席にいた強奪犯が窓から身を乗り出しマシンガンで攻撃する。両津は巧みなハンドル操作で避ける。
「時行!わしを信じてお前は出来ることをやれ!」
「はい!」
時行は避けながら深呼吸する。そして、弓矢を構えて放つ。矢はマシンガンに命中し破壊する。
「なんだよあのガキ…」
「俺が行く。」
後ろにいた強奪犯がロケットランチャーを持ち出す。そのまま両津を狙う。両津はスピードを上げて避けるも爆風でバランスを崩しかける。もう一発とロケットランチャーを構える。そこに本田がバイクでジャンプして強奪犯に体当たりした。強奪犯の1人と共に倒れる本田。
「教官!」
「行って菜々ちゃん!」
強奪犯を抑えた本田が叫ぶ。菜々は頷いてバンを追った。両津達とバンはそのままトンネルに入る。ライフルの乱射を避ける。しかし、弾がタンクに命中しガソリンが漏れ始めた。
「しまった!」
「両さん!」
だんだんスピードが落ちて行く。強奪犯がニヤリと笑って狙う。そこに乙姫が来た。両津の左側に着くと手を伸ばした。
「時行君!こっち!」
「行け!時行!」
「はい!」
時行はバイクに立つと乙姫のバイクへジャンプした。それを追ってライフルを乱射する。時行は空中で捻って避けながら乙姫のバイクに乗る。強奪犯達は驚き過ぎて声が出ない。
「最早、曲芸の域だな。」
両津はスピードを落としていく。乙姫は時行のために右へ行こうとするもライフルで撃たれなかなか行けない。このままでは時行が狙いにくい。時行が矢を取ろうとする。しかし、そこでさっきの乱射でほとんどの矢が折れていることに気付いた。
「矢があと1本しかありませんね。」
「そんな!どうするの!?」
「問題ありません。この1本で決めます。」
時行の発言に乙姫が驚く。絶え間なく鳴るライフルの発射音。そんな中で時行はヘルメットを脱いだ。強奪犯は時行を狙うが時行は弾丸を全て避けた。
「当たらねぇぞ!」
「大丈夫だ。あの位置なら弓矢でこっちを狙うのは無理だ。」
(この感覚。貞宗殿との犬追物を思い出す。楽しい。)
時行は目を瞑り昔の思い出に耽る。そして、目を開ける。
「乙姫さん。」
「はい。」
「少し私の我儘に付き合ってください。」
「う、うん。」
乙姫は少しスピードを上げる。上空から中川が状況を報告する。強奪犯は依然として高速を逃走中。追跡しているのは乙姫だけ。そして、彼女の後ろに時行がいる。
「時行君?」
「この距離を保ってください。」
(まだだ。)
時行は何かを待っていた。乙姫はなんとか避けるも長くは続かない。イライラした強奪犯が手榴弾を投げてきた。
(来た。)
時行は手榴弾を視認した瞬間、体を反転し仰け反らせて矢を放った。
《パルテノンショット》
放たれた矢は手榴弾に命中しバンの下に落ちた。そのまま爆発しバンが吹き飛ぶ。熱いと言って強奪犯達が出て来る。そこに乙姫が粘着弾で動きを止めた。そこに麗子達が来る。マリアの後ろに乗っていた両津が時行に駆け付ける。
「時行!」
「両さん。」
「菜々ちゃん。あなたがこれやったの?」
「いいえ。時行君です。」
乙姫の回答に麗子達は驚く。両津とグーでタッチする時行の顔はあどけなかった。
翌日、スーパーエンジェル7の活躍で現金輸送車強奪犯が逮捕されたと新聞に記載された。そこには時行の活躍は載っていない。未成年の少年を危ないところに連れて行かせたのを知られないためだ。両津は時行を連れ出したことで始末書を書いている。時行が後ろから覗いていると纏達が来た。
「時行、昨日はありがとな。これ、お礼。」
纏が持ってきた饅頭を美味しそうに食べる時行。彼を小町達は不思議そうに見ている。
「時行君って本当に凄い子よね?」
「踊れるし逃げ足速いし弓も出来るし多才よね。」
「それでお前ら、何しに来た?わしの冷やかしか?時行に礼か?」
「失礼ね。あんたにも礼よ。ほら。」
そう言って小町は両津にチロルチョコをあげた。両津は複雑そうな顔をしている。
「冷やかしだな。」
両津はチロルチョコを一口で食べる。
「それでどうだったカンキチ?私達スーパーエンジェル7。」
「あれか…あの制服はお前らには似合わないだろ。」
「そこじゃねぇよ!私もそう思ってたけど!」
「さすがにあれはねぇ。」
「正直恥ずかしい。」
「ちゃんと署長に制服の変更を言ってきたわよ!」
顔を真っ赤にさせる纏達。そんな平和な光景を見ながら時行は饅頭を食べるのであった。
逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が50回を突入した記念としてアンケートしたいと思います。皆さんはどんな時行君が見たいですか?
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カッコいい時行君
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可愛い時行君
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エロい時行君
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真っ裸刑事
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その他(コメントお願いします。)